茶色ちゃん=名前改め、ゴンタの話          2012年4月10日(火)



 茶色ちゃんは、実は、あの後、また歩けなくなってしまった。ぺったりと床にお腹をつけて、パタパタと亀の子みたいに、あしを必死に動かせて、這えずりまわることができるだけだ。
 抱えてやらないと、ご飯も食べられないので、ご飯の時は抱えて、食べやすい位置に持ってやらないといけない。私がいない間、ノイはよく面倒を見てくれてはいたが、
「家の中にいれると、おしっこだらけになる」
と、ずっと、家の裏においていた。
 他の犬たちが、バタバタ、家の外と中を行ったり来たりできる中で、茶色ちゃんは、一人家の裏にいたわけだ。「それ、かわいそうじゃない。障害を持った上に、一人ぽっちなんて」
と、ラオスに帰ってきた私が、さっそく家の中にいれると、床(タイル)の上を一生懸命に這っている。
 立って身体を支えることはできない細い4本の脚を、バタバタと動かして
部屋の中を動き回る。私の方へ一生懸命這ってくるが、こっちが、反対の方向に行くと、目をくるくると動かして私を追うと、前脚を何度も何度も動かして、方向転換して、追って来ようとする。
「ほら、こんなに、茶色ちゃんは、がんばってるじゃないの。こんなに動けるよ、がんばれがんばれ」と私が言うと、ノイは
「こうやって這えるのがせいぜいだよ」と言う。
 でも、それでも、この子が、ちゃんと生きていて、ここまで頑張っているってだけでも、すごい!
 いつまでも、茶色ちゃんと呼ぶのもなんだし、きっと、こういう障害犬だから、人にあげるわけにもいかないし、うちでみることになるだろう。そこで、「ゴンタ」と名前をつけた。ゴンタは、男の子なのだ。強く生きろ!という願いを込めて、強そうな?ゴンタ!にしてみた。
 とにかく、家の裏に1匹でおいておいたのでは、



 ゴンタもつまらないだろうが、こうして、みんながいるところに来ると、一生懸命、動き回る。とにかく、少しでも筋肉がついて力がつけば・・・と思うわけだ。他のきょうだいたちが、一緒にくっついて寝ることもあるけれど、耳や尻尾ををかまれて引っ張られたり・・・やられてしまうことも多い。やっぱり、障害犬が世の中を生き抜いていくのは、大変なことだ。でも、きっと、這いながらも、あれこれ見て、あれこれ聞いて・・・ただ1匹でいるよりはいいに違いない。

 昨日、獣医に連れて行った。すぐさま、「メートーン(寄生虫)」がいるな」と・・・虫下しを飲ませてもらう。それから、ビタミンの薬をなめさせてもらうと、ぺろぺろなめた。
「お腹に虫がいるから、いくら食べても栄養にならないんだよ。それで、栄養が足りなくて歩けなくなったんだ」とのこと。確かに、この子は、お腹がポンポンで、まるで、古いがビアフラの子どもみたい・・・・欠食児童みたいな体型だ。もっと早くに、病院に連れてきてやればよかった・・・かわいそうなことをしてしまった。
 でも、頑張れがんばれ、ゴンタ。おまえも、きっと他の子みたいに、走りまわれるようになるよ。がんばれがんばれ。
 それにしても、やっぱり犬それぞれが違い、同じように生まれてきても、元気に育つ子もいれば、弱くなってしまう子もいる。やはり、5匹のきょうだい・・・丸々と大きくなっている子の中で、ゴンタは寄生虫のせいか、元から弱いのか、栄養失調になってしまった。弱いものは、自然淘汰されていくようにできているんだろう。本来ならば死んでしまう命なのかもしれない・・・けれど、せっかく生まれてきた命、這ってでも生きていろよ・・・と言いつつ、飼い犬だから、それは、飼い主である私たちが責任を持って世話をしなくてはいけないということだ。・・・・もう子犬はたくさんだ!と言っているノイも(私も、もう子犬はたくさんなのだが・・)
「仕方ないから、この子は、うちで面倒みてやるしかないだろ」
と言っている。

 ゴンタは、ペプシに似ている。



母ポチのおっぱいを吸う。他の子犬に比べて全然小さい。脚がいつも、蛙みたいに開いてしまっている。でも、おっぱいは、両手両脚をふんばって、上手に飲める。でも、母犬がやりたがらないので、母犬を無理やり押さえておかないといけないのだ。

前のページを見る   

次のページを見る

もくじ