1月3日(木)   桂林はすごい所だ

「バスで桂林へ」

 朝、ゲストハウスの部屋で、お茶とお菓子で朝食。バスを待っていたら、荷台つきトラックが止まり、それに乗って三江へ。昼前に、昨日食べたおいしい麺を再び食べ、長距離バス停へ。

 12時半のチケット。時間近くになっても、バスは姿を見せない。窓口で聞くと、待てというので、ベンチに座って気楽に待っている。三江が始発ではなく、じきにどこかのバスが入ってくるのだろう、と思っていた。しかし、待てど暮らせどバスは来ない。12時半過ぎている。そんなこともあろうか・・・と、のんびり待っていると、おねえさんが来て、「どこ行くの?」「グイリン(桂林)」とチケットを見せると、「あら、そんなバスないわよ。早く早くいらっしゃい」と、私を窓口に連れていき、口早にまくしたてる。

「12時半のバスなんてないわよ。今日はもう桂林行きはないよ。龍勝(ロンション)までで乗り継ぎよ。払い戻してあげて」と言ったらしい。龍勝行きのキップと払い戻しがきた。昨日あんなに苦労してバス停を見つけ、用意周到に!とキップまで買い、コンピューターで打ち出されたキップが出てきたので、万事オーケーと思っていたら、あらまぁ・・。 

 私たちは、普通バスに乗り、龍勝へと。途中、またまた果てしない棚田。そして、山々山・・山には中国の今までの景色の中で、一番木があった。杉である。杉の産地なのだ。窓の外を、製材所や、杉のうすい皮を乾かしている光景が通り過ぎた。

 龍勝で、しっかり者のバスの車掌のおねえさんに、「グイリン、グイリン(桂林)」と訴えると、「ほら、あんたのお客よ。荷物取りに来て」とばかりに、桂林のバスの車掌に怒鳴ってくれた。満員。みな、遊びに行っての帰りらしい。若い子も多い。桂林は日本では観光地で有名だが、実は一大都市である。工業、学校・・・桂林に住んでいる人も多いのだろう。

「桂林の客引き」

 桂林に着く。バス停にはたくさんのバスが連なり、人がごった返している。私たちは荷物を持って歩き出したが、ありとあらゆる人が声をかけてくる。今日のホテルの予約は入れていない。実際に行って見て決めればいいと思ったのだ。ガイドブックで目星をつけ、歩いていけると思った。しかし、現在地がわからない。とにかく通りの名前がわかれば・・と歩き出す。すると、私より小さいおばあさんが、しつこく声をかけてくる。ホテルのパンフを持っている。「このホテルいいよ」と言っているようだ。客引きだ。

「不去(プーチュ)行かないよ。不知道(プーチッタオ)わからない」を連発しても、あきらめずにずっとついてくる。小平が「ちょっと聞いてみる」と、客引きには関係なさそうなレストランの店員さんに地図を見せて、場所を尋ねた。すると、今度はどこからともなく、丸顔やくざ?押し売り的客引き?の黒シャツ男がホテルのパンフを持って現れた。「行かないってば」と、私たちは歩き出したが、今度はお婆やくざ男の二人がぎゃあぎゃあ言い合いをしながらついてくる。いい加減にしてくれ・・・・私たちは困って、他の店の女の子に地図を見せ「ここはどこ?」と聞いた。すると、女の子は「そのおばあさんが教えてくれる。連れて行ってくれるよ」と言う。どうなってるんだか、わからない。

「もう、タクシー乗って行こうよ」と、オート三輪のタクシーをとめた。大阪漫才系のおねえちゃんが運転している。私たちが乗り込むと、お婆とやくざ男が、大声でわめきたてた。すると運ねえちゃんはタクシーを下りてまくしたて、ガァガァとものすごい口論になる。「私の客よ、文句言うなよ」とでも言っているのだろうか?早く出発してくれ〜〜。男がガァガァまくしたてるので、頭にきた私は、ラオス語でまくしたてた。「あんたにゃ関係ないでしょうが。頼んだ覚えも何にもないのに・・知らねぇよ」と、大声でかなりきつく言ったつもりなのだが(でも、ラオス語で言っているので、相手にはわからない)男はそれ以上にがなり返してきた。全然効き目なし。とにかく、出発してくれ〜と、タクシーは走り出したが、の、のろい!しかもすぐ建物の前で止まった。「ここよ。」どうも、何かの宿泊所であろうが、ここじゃない。「違うって、これじゃないよ。このホテルに行って」と、必死にガイドブックを指す。あぁ、こうしている間に、またお婆やくざ男は追っかけてきて、再びがなり立てる。おねえは再びエンジンをふかし、トットットと道を走り出した。なんと、男は小走りにおっかけてくるではないか。さすがにお婆はまいたようだが・・・早く!!・・・オート三輪タクシーはトットットと、あるホテルに到着した。違う。このホテルじゃない!ご立派なホテルである。

 ホテルの前に立っていた英語を話す女性が、「何かお困りですか?」と尋ねてきた。

「私たちここに来るつもりじゃなかったのに、来ちゃったんです」「私たちのホテルにようこそ。このホテルは3つ星で、便利でいいホテルです。」でも、1泊500元。高い。私たちはせめて300元代を考えていた。しかし、そこは小平が値切る。「200!」「まぁ、ご冗談を」と言いつつも、どんどん下がり、「250なら・・」「230元!」すると、苦笑いをしながら、その値段になってしまったのである。私たちがタクシー姉に代金4元を払っていると、どこをどうかぎつけたか、やくざ男が追いついてきた。私たちはそそくさとホテルに入ったが、彼もどかどか入ってくると、ロビーのソファーにふんぞりかえって座った。

 フロントで小平が聞く。「あの男、私たちが頼みもしないのに、とにかくくっついてきて大変に嫌な思いをしたの。あの人は何なんですか?」

 すると、フロントの女の子は素直そうな顔で、

「彼は親切で、フレンドとして親切にしたのだと思いますよ」と言う。

「ホテルが紹介料としてお金を払ったりとか、そういうことはないの?」「とんでもない」    私たちがエレベーターに乗り込もうとする頃、なんとお婆もホテルに到着した。いったい、どうしてわかったのだろう?そして、タクシー運転手のおねえも、そのまま残っていて、やくざ男を合わせて、その三者が、ホテルと交渉をしているようであった。

 これは何なのだ?あの三人はホテルから「私が客を連れてきてやったんだぞ」というマージンをぶんどったのだろうか?しかし、ホテルのフロントはフレンドなどと言っていたぞ。密かに観察していればよかった。中国はわからないことだらけだ。しかし、桂林とは大変なところだ・・・・昆明あたりでの客引きは、「中国語、わからない」と答えると、にやっと笑って立ち去っていた。今から思えば、かわいい。

「桂林は大都市」

 桂林は墨絵のような自然の風光明媚な町並みを想像していたら大違いだ。町自体は本当に大きい。きらびやかなデパート、ビルが建ち並び、その間を走る通りは、六車線もあるのではないか?本当にびっくりした。その大きさに期待して、幻の赤ワイン紅房子を探したけれど、見つからなかった。

 夕食、火鍋(中国のあちこちで、これは人気料理のようだ)。火鍋は、店の前に並べられている鍋の中身を見て、「これ」と決める。蓋をあけると、鶏が一羽入っていたり、アヒルが一羽入っていたり、スッポンと一緒だったり、様々である。私たちはアヒル鍋に挑戦。ぶつ切りのお肉(頭とか、くちばしとかも)の他には、ナツメやらお豆やらが入っている。小平ちゃんはアヒルの頭をかじっているが、私は苦手でそこまでは食べられない。いろんな野菜はぶちこまず、豆腐とレタスだけ。あったまり大変滋養になりそうだ。こんなのを食べ続けていれば、あの客引きパワーも出るのかもしれない。

                                (1元=16円)

車(村→三江)3x2 =6 / 昼飯(麺)2x2=4 /中華菓子 1.8/梅菓子、クッキー  5

バス代(三江→桂林)17.5x2= 35/ タクシー 4

ホテル(景秀大酒店 JINGXIU HOTEL)  230 (本当は500元) / 火鍋 115

                          400.8元(6412 円)二人で