第1回

「スクリーム」SCREAM(1996)

− 最近あまり映画館に行ってないのに加え、たまに観に行っても期待はずれなモノばかりで、なかなかここで紹介する映画がなかったのですが、久しぶりに痛快な映画に出会えたので紹介します。それがウェス クレイブン監督の「スクリ−ム」です。公開されたのは少し前ですが、ビデオ化記念試写会という珍しいイベントが行われたので行ってきました。

スクリーム

− ウェス クレイブンといえば「エルム街の悪夢」(1984)が有名でしょう。アイデアもキャラクターも面白い映画でした。私はその他に「壁の中に誰かがいる」(1992)しか観ていないのですがこれも結構面白かったのを覚えています。脚本はこの作品がデビュー作となるケビン ウィリアムソン。この映画の面白さは彼の脚本にあるといっても良いでしょう。デビュー作らしく、気合が入りまくっているという感じです。これだけ出しちゃって後が続くのだろうかというぐらいです(余計なお世話だけど)。

- この映画はホラー映画というより、むしろファンタスティック映画という言葉がぴったりだと思います。恐いのはもちろんなのですが、テンポがよく、ノンストップで最後までストーリーが展開され、いわゆるノリで観られる映画なのです。「誰にも犯人が分からない」というのがこの映画のウリの一つだったようですが、その通り、疑わしい人物がそこら中に散りばめられているので、考えながら観ても結局意表を突かれることでしょう。しかし、それをウリにしなくてもこの映画が十分面白いのは、この映画が過去のホラー映画を実に上手く利用しているところなのです。台詞の中に登場する数多くの話題の他に、過去の映画の展開をわざとばらした上で、怖さを盛り上げたり、過去の映画の犯人達を上手く利用して、犯人を特定させないというあたり、観ていて楽しくなります。しかも、ホラー映画として抑えるべき要素をしっかりと抑えてある。犯人がいわゆるキャラクター物であることや、標的が高校生であること、舞台が小さな町であること、犯人が刃物で襲ってくること、その他いろいろありますが、そういった事をきちんと抑えてあります。それも台詞やなんかであからさまにしているところがまた小気味いいです。

スクリーム

− 最近の酒鬼薔薇の事件や過去の類似の事件の度に、ホラー映画のせいにされ、一方でその反論もその度ごとに出てきて、私個人としては、どちらも正しいし、また正しくないとも思うのですが、ファンから擁護されるべきこの映画自身が「ホラー映画は異常殺人の元凶だ」と言ってしまうなど、痛快ではあります。特にこの映画は子供が主人公で、時期が時期なら、上映が自粛されても仕方ない映画なんですけどね。

− その他、「エルム街の悪夢」も自身の監督した1作目以外つまらないとあっさり言ったり、学校の掃除夫がフレディの格好してたり、ニヤニヤしてしまうシーンもたくさんあり、そういう面でも楽しめる映画です。私はホラー映画がそんなに詳しいわけではないので、詳しい人には相当笑えるシーンがあるんじゃないでしょうか。

− ちなみに冒頭の場面で登場するドリュー バリモアは最近またいろいろな映画に脇役で出ていますが、「E.T.」のかわいい女の子です。最初のシーンしか出ませんが、なかなかの貫禄で、クレジットも最初に出るし、特別友情出演並みの扱いでした。公開は夏だったので、もう映画館では観れないと思いますが、なかなか痛快な映画ですので、ビデオでぜひ観てはいかがでしょうか。

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