中医針灸

中医学と現代医学とでは生理観、病理観が相当に違います。中医学の病機(病理機序)では

1.邪正盛衰(邪気疾病の原因と正気疾病に対する抵抗力の総称の強さ関係)

2.陰陽失調(体内の陰と陽のバランスが崩れる)

3.気血津液の失調(体の構成物質・エネルギー源の失調)

4.経絡、臓腑の失調

としていますが、それに対する鍼灸の治療原理は、

1.疎通経絡、調和気血(経絡を疎通させ、気血を調和させる)

2.補虚瀉実、扶正去邪(虚を補い実を瀉す、正気を助け邪気を去る)

3.陰陽の調整、偏向の矯正

です。中でも「扶正去邪」で、正気を強化することで病気に対する抵抗力を増し、邪気を払

う、ということを重視しています。正気が強ければ邪気を寄せ付けない、ということです。

実際の診療では、四診(望診、聞診、問診、切診)により中医学理論に基づいた「弁証論

治」をおこなって証を決定し、治療方針を立てます。治療は主に中国針によりますが、他に

必要であれば灸、温灸器刮しゃ抜罐電針などを使用します。

日本の鍼灸にはさまざまな方式がありますが、私は中医学(伝統的中国医学)による診療方

式(中医針灸)を採用しています。中医学は4000年の歴史と長い疾病治療の蓄積のある、

独自の体系を有する医学です。中医学は現代医学とは異なった角度から人体を見ます。

疾病の発生は、