2007年09月18日

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適当RPG【3rd edition】リプレイ




【第3部】 クルセイド・ウォー・ダンジョン


幕間3 カイマとニイ 錯綜と交錯



 

 それは、その日の夜の2つの出来事……。






今回の参加メンバー


カイマ
魔導師

ゼファー
聖騎士
 

ニイ
忍者

イリス
骨董屋



クレース
魔導師



◆Scene01◆ カイマ
カイマ : 戻ってきて、ベットの下の段にばたーんと「あー、帰って来た帰って来た」
カイマ : 「だーっ、茶がうめーっ」(紅茶)

クレースのPL : カイマおやじくさ(笑)


ゼファー : 「お前……、オッサンくさいなー」(笑)
カイマ : 「う。……ヒトが気にしていることを」
ゼファー : 「ま、今日の俺は機嫌が良いんだ……。許してやる」
カイマ : 「普段なら怒るのかよ」(苦笑)
カイマ : 「……おめーさぁ」
ゼファー : 「ん?」
カイマ : 「部屋、一人で使いたいか?」
ゼファー : 「は? 何言ってんだ? 頭大丈夫か?」
カイマ : 「……いや。一人部屋なら、オッサン臭さに怒る必要もないし、大量殺戮歌の練習に文句言う奴もいなくなる」
カイマ : 「俺が出てっても、別に困らねぇよな」
ゼファー : 「………。反応のない部屋はつまんねえよ……」
カイマ : 「……そ、か」
ゼファー : 「冒険者でもやめようってのか?」
カイマ : 「そうじゃねぇ、けどさ」
カイマ : 「ほら俺、どうも命狙われてるらしいし。同じ部屋だと、いろいろ大変じゃね?」
ゼファー : 「なんで?」
カイマ : 「狙撃されたり、爆破されたりするかもしれねぇよ?」
ゼファー : 「ダンジョンで散々やられてるじゃねえか」(笑)
カイマ : 「寝てる時とか、飯食ってるときとか」
ゼファー : 「お前が一人出てったら、そういう時にすぐやられるんじゃねえの?」
カイマ : 「……逆に言えば、俺一人で済むだろ?」
カイマ : 「別にお前のこと心配してるんじゃねぇよ。一応騎士だしな」
ゼファー : 「二人なら、やられずに済むかもしれねえぞ?」
カイマ : 「二人ともやられるかも知れねぇ、二人じゃすまないかもしれねぇ」
カイマ : 「……同じ建物に、ニイも、お嬢さんも、クレースも、ナギも……あと絶対心配ないだろうがアリス様も居るんだぜ?」
ゼファー : 「だから? 危ないのが判ってるんなら、守れば良いじゃねえか。離れちまったら、絶対守れねえぞ?」
カイマ : 「……俺には、何も護れないさ」
カイマ : 「元気付ける手助けが少しでもできたらと思ってたが、……原因が俺じゃな」
ゼファー : 「は? 原因が自分にあるんならなおさら責任持てよ」
ゼファー : 「なにカッコ付けて誤魔化してんだ」
カイマ : 「…責任っつーのは、どうやれば取れるんだろうな」
ゼファー : 「そんなの俺が知るかよ」
カイマ : 「非力な魔術師の俺が護ると言い張って、傍にいて、…護れなかったら?」
ゼファー : 「ごめんなさい。って謝っとけ」
カイマ : 「死んじまったら?」
ゼファー : 「死なせんな」
カイマ : 「……その自信が、俺にもあったらな」
カイマ : 「つくづくお前が羨ましいよ。ごく、たまに」
ゼファー : 「自信なんてあるわけねえだろ」
カイマ : 「のわりには、はっきり言うよな」
ゼファー : 「男が一度、約束を口にしたんだ。意地でも約束を守ってみせるぜ!って気になるだろ?」
カイマ : 「……意地かぁ」
ゼファー : 「そっ、『思う一念、意地でも徹す』って言うだろ?」(笑)
カイマ : 「またテオか?」
ゼファー : 「まあな」
カイマ : 「………」
ゼファー : 「お前……、カイマは口に出したか? 自分の想いを」
カイマ : 「俺の、想い…?」
カイマ : 「俺の…」
ゼファー : 「見栄や照れ隠しで固まったものじゃなくて、ホントの想いだ……」
カイマ : 「……俺」
カイマ : 「そうか、俺、……ニイが、好きなのか」
カイマ : 「……はっ!?」
ゼファー : 「まあ、そんなことは端からお見通しだから、いまさら突っ込まないけどな……」
カイマ : 「つーかお前に言ってどーするんだ俺ーー!?」(壁に頭ガンガンガン)
ゼファー : 「ニイと一緒に行きたいんなら、ニイの居場所を作ってやるべきなんじゃねえの?」
カイマ : 「で、できたらとっくにやっとるわ!」
ゼファー : 「今のニイの状態って……、こんな感じだと思うわけだ」
ゼファー : 自分の机の椅子を持って、脚を3本折る。
カイマ : 「え…?」
ゼファー : 「この椅子が今の、戸惑ってるニイの状態とすると……」
ゼファー : 「おっそろしく不安定だよな……」
カイマ : 「足一本だもんな…」
ゼファー : 「じゃあ、どうする?」
カイマ : 「……支えてやらんと、倒れる」
ゼファー : 「そだな。でも、お前がこの間ニイに足そうとした足はこれだ」
ゼファー : “理解できそうにない理想”と書いた槍を渡す(笑)
カイマ : 「そもそも長さが違う…」
ゼファー : 「だろ? そんなのが脚になるかよ」
カイマ : 「……そうかー…」
カイマ : 「俺は、自分の理想を押し付けてただけ、なんだな」
ゼファー : 「そんな一気に行かなくても、これくらいで良いんじゃねえの?」
ゼファー : と、今度はカイマの教本の表紙に“信頼”とか“日常の楽しさ”とか書いたのを何冊か投げ渡す(笑)
カイマ : 「待て」
ゼファー : 「あ? なんだ?」
カイマ : 「言いたいことは分かった、それについては感謝する。ガ」
ゼファー : 「お? こっからが良いところなんだぜ? 遮って良いのか……?」(笑)
カイマ : 「今のお前の行動は明らかなる器物破損じゃー!!!」(教科書取り上げる)「ついでに椅子も!」
ゼファー : 「細かい事は気にすんな! それよりも椅子(ニイ)が倒れちゃうぞ?」
カイマ : 「ぐはっ!?」(支える)
ゼファー : 「ほらな? 近くにいたら支えれたろ?」
カイマ : 「うむ」
ゼファー : 「後は少し支えてる間に、小さくてもこうやって積んでけば………………、脚になるじゃねえか」(本を積んでく)
カイマ : 「………」
カイマ : 「……(嘆息)」
カイマ : 「借り、作っちまったな」
ゼファー : 「借り? そんなのが出来たのか、そりゃ良いな」
カイマ : 「…サンキュ(ボソ)」
ゼファー : 「へっ、一人しかいねえつまらない部屋にしないでくれそうだからな、それでチャラだ。気にすんな」
カイマ : 「ケッ、そんなに大歓迎なら、毎日のように文句と抗議を言い募ってやるよ」
ゼファー : 「そりゃこっちのセリフだ。せいぜい俺に上の段から見下ろされてろー」
カイマ : 「俺は、高所が苦手な、ダケだっ」
ゼファー : 「やれやれ、そんなのじゃ屋根の上で星を見る、ロマンチックなデートは出来ねえなあ……」(ニヤリ)
カイマ : 「がふぅ」
カイマ : 「………」
カイマ : 「…ちょっと屋根上ってくる(しゅた)」
ゼファー : 「お?」
カイマ : 「のぼって、くる(ガタガタガタガタ)」
ゼファー : 「出来ない事は出来ない。って言えば良いのに……」
カイマ : 「う、うるせぇっ!」
ゼファー : 「高いところには昇れねえけど、高くないところで一杯良い場所見つけてくりゃ良いだけじゃねえか」
カイマ : 「デートのためじゃねぇっ! 違う、違うんだからな!」
カイマ : 「俺は、おれはーっ!(ダッシュ)」
ゼファー : 「あーあ、また逃げてった……」(笑)
ゼファー : 「さて……、この壊した椅子はどうしようかなっと……」
ゼファー : 「クレースに《復活》とかかけてもらったら、治んねえかなあ……」

 もう覚えてるんだから、自分でかけてみればいいのに(笑)





◆Scene02◆ ニイ

イリス : 一方その頃女子寮では――


イリス : かごにいっぱい、あれこれ薬草持って訪ねていきますよー。
イリス : そして、これでもかというぐらいに鳴子が鳴る。
イリス : 「えっ?」音に驚いて、かごを落とすし。
ニイ : すばやく身構えて……そしてすぐにイリスと気づく。「……あ」
イリス : 「ごめんなさい!」ってしゃがんで拾い出す(笑)
ニイ : そそくさと鳴子トラップを解除。
ニイ : 「……驚かせた、ね」 小さく頭下げる。
イリス : 「こちらこそ、ごめんなさい」
ニイ : 薬草を見つめてる。
イリス : 「ニイさんに、あるだけ持ってきてみたの…体がまだ痛かったら、ええと…お茶にして飲んでみてね」
イリス : 「おかえりなさい」って、かごごと手渡しますよ。
ニイ : 「………」 少し迷ってる。魔法とかですっかり完治してるから。
イリス : 魔法だからなあ(笑)
ニイ : しばらく逡巡した後で、ようやく手に取ります。
ニイ : 「……うん。ただいま」 かごを持ったまま少し困っている。
ニイ : 薬草の中身は滋養強壮だったり、解熱作用だったり、利尿促進だったり……怪我とはあんまり関係ないものばかりだけど黙ってよう(何)
イリス : (おおあたり)
ニイ : 「……ありがとう。もう、すっかりよくなったから」
ニイ : 「(ふとひらめいて)少し、待ってて」
ニイ : じゃあ、せっかく持ってきてくれた薬草の中から、ちゃんと煎じて飲めるものを選んで、薬草茶を作ります。
イリス : 興味深そうに見てる。
ニイ : やがて煎じて持ってくる。
イリス : 「あ、この組み合わせなら飲みやすいのね」
イリス : 「あの。ひとつ、聞いてもいいかしら」
ニイ : 「……? これなら腹痛とかに効くけど?」
イリス : 「あ、そうなの? 覚えておかなきゃ」
イリス : 「…じゃなかったわ(笑)」
イリス : 「ニイさん……戻って、来たかった……?」
ニイ : 「………」
ニイ : 「私は……」
ニイ : 「……わからない。けど」
ニイ : 「……考えなかった……ううん。違う。一度は会いに行ったのだから……」
イリス : 「わたしは、戻ってきてくれたことが嬉しいけれど…それは、そこにいた頃のニイさんを知らないからだわ。帰れるなら、帰りたいところかもしれないもの」
ニイ : 「それも、違う。私に帰りたい場所なんてない」
ニイ : 「……ただ、あの時指令を聞いて。遂行する気にはどうしてもなれなかった」
イリス : よくわからない顔をしてる。イリスはそういう事情を知らんので。
ニイ : 「……今、クレースさんはこの話、聞いているの?」
イリス : 「聞こえてると思う。一緒にいるときは、ずっと」
イリス : 「さっき…戻りたかったか、って聞いたのは、クレースがそう話しかけてきたからなの」
ニイ : (とても意外そうに)「クレースさんが、私のことを気にしているの?」
イリス : 「そうみたい。伝言だともどかしそうだから、代わったほうがいいかしら。それとも、直接話してみる?」
ニイ : 「……直接?」
イリス : 「直接。ニイさんがつければ話せるわ」(金具を外しはじめたりして)
ニイ : 「………」 差し出された腕輪を見て、少し悩んだ末に手に取る。
ニイ : 「この中に…クレースさんが…」
ニイ : 「……少し、ゆるい」
『クレース』 : 『聞こえるか?』と頭の中に。
ニイ : 「!?」(かなりびっくり)
イリス : 「私も驚いたわー」って笑いながら独り言。
ニイ : 「……クレースさん、なのね?」(声に出して)
『クレース』 : 『ああ。……やはり普段話すのとは勝手が違うか』
『クレース』 : 『……直接聞ける分、話は早くなるが』

ニイ : 声って、どう聞こえるんでしょうか。イリスさんの声じゃないでしょう?
イリス : 違います。肉声かどうかも怪しい(笑)
ニイ : 一応、男の声?
イリス : んー、男声ぐらいはわかるかとー。


ニイ : (クレースさんって本当に男だったのね)と心の中で思っているのが、伝達に慣れてないせいで、伝える意識の方に行ってしまったり(何)
イリス : 今更そんなことを驚かれるとは、思いませんでした(笑)
ニイ : 今までイリスさんの声でしか聞いたことがないから。
イリス : そーなんですよね、時々忘れる(笑)
ニイ : 『……聞きたい、ことって?』(ようやく会話のコツをつかんできた)
『クレース』 : 『…カラマツという忍ははなはだ信用ならんから、聞いても仕方ないかも知れんが…』
『クレース』 : 『お前がこちらを選んだ理由を聞いてみたくなった』
ニイ : 『こちらを選んだ……理由……』
ニイ : 『どうしてだか、自分でもわからない』
ニイ : 『あいつだけなら、切り抜けられると思ったから?』
ニイ : 『抜けの罪を不問にするなんてありえないと思ったから?』
ニイ : (そんなエサに俺は釣られないクマーって思ったから?)
ニイ : 『……違うような、気がする』
ニイ : 『……ただ』
ニイ : 『……クレースさんに。皆に助けてもらって……多分……私は……』
ニイ : 『嬉しいと思った……と、思う……』
『クレース』 : 『私も……あの時までは、誰かが助けに来るという期待も、そもそも戻ろうとも思ったことはなかったな』
ニイ : 『……あの時。この前の……?』
ニイ : 『……なら、何故クレースさんは戻ろうと思ったの?』
『クレース』 : 『私は……』
『クレース』 : 『私を知っている者がいないと、ただの装飾品に過ぎないからな』
『クレース』 : 『もっとも、知っていても扱いによっては知られないより悪いこともあるが』
『クレース』 : 『私が人の姿をしていなくても反応が変わらん連中は非常に貴重だ。こうして話している、今の…お前のような、な』
ニイ : 『……それが、理由? それだけのことで、ここに戻りたいと思うの?』
『クレース』 : 『理由としては、十分じゃないか? 名のない――』
『クレース』 : 『名のない「物」に戻ることに比べれば……』
ニイ : 『………』(心が、凍りつく)
『クレース』 : 『お前は、ジュレイに戻ることをしなかった』
『クレース』 : 『お前とは、多分逆だな』
ニイ : 『逆…? 違う……』
ニイ : 『そうじゃない。違わない』
『クレース』 : 『私とは逆だが、同じだな……』
ニイ : 『忍であること。心を殺し、冷徹に任務を遂行すること……』
ニイ : 『……私はもう、そんな場所には戻れない。戻りたくない』
『クレース』 : 『だから、同じだと。ジュレイの忍に戻らずに「ニイ」でいることを選んだお前と……「クレース」でいたかった私は、同じだ』
ニイ : 『………』(深く考え込んでいる)

*    *    *


イリス : 「ニイ、さん……?」
ニイ : 我に返る。
イリス : 「大丈夫? なんだか…泣きそうな顔、してたから」
ニイ : 「……う…うん。何でも……ない」 腕輪を外しながら。

 イリスには、クレースが何を話していたのかはわかりません。ただ、独り言のようなニイの言葉が聞こえていただけ。
 そのまま物思いにふけってしまったニイの様子に、イリスはそっと、その場を離れたのでした――――。






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