2007年12月12日
2007年11月24日

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適当RPG【3rd edition】リプレイ




【第4部】 迷宮組曲


【幕間】 これから――――




 城塞内を混乱の渦に放り込んだ2つの事件。
 エターナルチャンプサムライはカイマという大きな犠牲を出しつつも、サードパーティの活躍で倒された。生き返ったけど。
 忍者テロも一応の終結を見せたが、甚大な被害に、ニイは部下に指示を出しながら夜の街を駆け抜けた。
 ニイが冒険者寮に戻った頃は、すでに深夜であった。

 そんな時、ニイの部屋のドアをノックしてきたのは――――

カイマ : 夜中に抜け出してニイのトコにいくんだな、俺。
ゼファー : 椅子に座って寝こけてたゼファーは出て行くカイマに気付かなかった(笑)



今回の参加メンバー


ゼファー
聖騎士

クレース
空間術師

イリス


ニイ
忍者

カイマ
魔導師

シオン
賢者



◆Scene01◆ 冒険者寮にて

 寺院で蘇生したカイマはその日のうちに冒険者寮に戻され、安静にしています。
 ちなみに現在、ゼファーとカイマの相部屋にはシオンも加わって3人部屋となっています。いま、その部屋を訪ねる人物が1人。


クレース : 「邪魔するぞ………珍しく、静かだな……」
シオン : 「すかぴぃ」
カイマ : 「………(凄い気まずい顔)」
ゼファー : 「ん? ああ、クレースか……」 二段ベッドの上の段にぶら下がって腹筋とか(笑)
クレース : 「イリスが起きないから代わりにな…」 イリスとしてはちょっと休むつもりだったけど、結局起きなかった。腹筋には突っ込まないぞ!
ゼファー : 「そっか…、まああんな事があったんだ。しょうがねえよな」
クレース : 「ニイがついててやれないならせめて、と…これを渡したかったらしい」 茶葉だろうね、ぼとぼととテーブルにあける。
カイマ : 「……むう」
ゼファー : 「葉っぱ…? 何するもんだ?」(腹筋継続中)
クレース : 「茶にして飲めば、腹痛だったか…それに効くそうだ。今のカイマに意味があるか知らんが、これでなくてはいかんのだそうだ」
カイマ : 「腹痛関係ねぇし……あだだ……」
ゼファー : 「で? 茶にするって、どうやるんだ?」(笑)

クレース : ええー!? ゼファーが作るのか(笑)
ゼファー : くくく、動けないカイマを恐ろしい目にあわせてくれるわー(笑)


クレース : 「…もう湯から淹れられるようには、なっているはず…」
カイマ : 「待て、入れなくていい、ヤメロ」
ゼファー : 「遠慮するなって。折角イリス姉ちゃんが用意してくれてんだぞ?」
カイマ : 「そ、それはそうだが…」
カイマ : 「……不安だ」
ゼファー : カップと見ただけで熱湯が入ってると判るヤカンを持ってくる。茶葉をカップの半分くらい入れて、そこへ熱湯を注ぐ(笑)

クレース : やったー! 濃度何倍分なんだろう(笑)


ゼファー : 「ほれ、出来たぞ」
カイマ : 「なぜか茶に固形物が浮いて見えるんだが」
クレース : 「見た目がおかしい気がする」
ゼファー : 「言われてみれば。……まあいっか。気にすんな」
カイマ : 「いやよくないだろ」
ゼファー : 「見た目は悪いかもしれないが、世の中見た目だけじゃねえぞ?」
カイマ : 「いや、見た目から予想できる味というのもあるんじゃねぇか?(大汗)」
クレース : 「……そういえば、イリスが休む前に、起きたら温かいものを飲みたいといっていたような…」
ゼファー : 「ふぅ…。味見しろ?」(ぽん)
カイマ : 「お前がしろよ!?」
ゼファー : 「俺は痛えところねえもん…」(プイ)
カイマ : 「うぎ……」
カイマ : 「なんか、匂いで目が痛くなってきたぞおい…」
クレース : 「……薄めよう。こういうときイリスはそうやって凌いでいた」 量が増えるがな!
ゼファー : 「んー、しょうがねえなあ…」 ちょっとぬるくなってきた茶に、熱湯を足す(笑)
カイマ : 「俺が飲むのは確定なのな…」
ゼファー : 「薬は調子が悪い時に飲むもんだぞ?」
カイマ : 「くそう、言うことだけは正論かよ」
クレース : 「それから……前日のものだが、3人にわけてやってくれ、と」 カップケーキあたり?
カイマ : 「そっちは安心して良さそうだな……」
クレース : 「シオン向けらしいから大丈夫だろう」
ゼファー : 「…………」
ゼファー : 「俺の分もやるよ」
カイマ : 「……は?(唖然)」
クレース : 「……?」
ゼファー : 「いや、お前は今日すげえ頑張ってたからな」
カイマ : 「頑張るって……何もしてねぇけど?」
ゼファー : 「何もしてねえ訳ねえだろ!? 命まで賭けてイリス姉ちゃんを守ってたじゃねえか!」
カイマ : 「……しかし、お前が来なかったらイリスも死んでた」
ゼファー : 「違う! 今回何も出来てないのは俺だ……。お前がいなかったら、イリス姉ちゃんの命はなかったし、クレースがいなかったら、そもそも俺たちはあの空間に入ることすらできなかった……」
カイマ : 「ゼファー……」
カイマ : 「多分……今回は皆そう思ってるんじゃねぇかな。俺も含めて」
カイマ : 「誰一人欠けても、イリスは護れなかった。違うか?」
ゼファー : 「そうだな……」
カイマ : 「護るんだろ、お前が。そのために鍛えてるんだろ」
クレース : 「全員、出来ることは、やれる以上にした……はずだ。あんな狙われ方をされてなんとか無事でいたということも忘れるな」
ゼファー : 「〜〜〜。クソッ! この茶の臭いホントに目にきやがる…」 上向いて目を腕でゴシゴシと。
ゼファー : 「冷めちまったみたいだから、もう一度湯を貰ってくるから、しばらく頼む」
カイマ : 「……いやべつに冷めてても(遠い目)」
ゼファー : 「うるせえ! 病み上がりはじっとしてろ」と逃げるように部屋から出て行く。泣くのを見られたくなかった(笑)
カイマ : 男だー。



◆Scene02◆ 対面 クレースとメシスト
クレース : 「仕方ないな……」 勝手に皿を出して3人に分ける。
カイマ : 「あの、エターナルチャンプサムライの言ってたこと…(ボソ)」
クレース : 「イリスや、シオンを狙っていたことか…?」
クレース : 「そういえば、お前は何か感づいたようなことを言っていたな」
カイマ : 「……ありゃ、ハッタリだ」
カイマ : 「ただ、アイツがクレースのことに気づいてなさそうだったんでな。……そこに賭けた」
カイマ : 「二人の共通点は一つしかない」
クレース : 「カイマ。それは……狙われたのはイリスではなく……」
カイマ : 「お前ってことだよ」
クレース : 「……」
カイマ : 「ま、俺の予想に過ぎないけど」
クレース : 「……仮に、今から私を手放しても、標的から外れはしないだろうな」
カイマ : 「だろうな…」
カイマ : 「……ゼファーに期待しておけや」
クレース : 「ゼファーか……気負いすぎにならないといいんだが」
カイマ : 「心配か?」
クレース : 「心配かどうかはともかく……好物を食おうとしないあたり、今日のゼファーはかなりの重症とみた」
カイマ : 「確かに…」
クレース : 「しかし……シオンもそうだったとはな」
カイマ : 「いや、見てりゃ分かるだろ……」
クレース : 「多少様子がおかしいと思っても、自分と同じかどうか、まで気にしたことはないぞ?」
クレース : ちょっと、寝てる様子を見に行ってみたり。
シオン : 「すぱー…」
カイマ : 「アレは分かりやすいというか、極端というか」
カイマ : 「ある意味お前らより激しいと思うが…」
クレース : 「ああも表に出る意味がわからんな、必要な時以外は持ち主に任せておけばいいというのに」
シオン? : 「むにゃー……このアホに任せておけと?」 帽子をかぶったまま寝てた。
クレース : 「普段は話す必要もないだろうが」
メシスト : 「何をしでかすか分からんから、介入しているだけだ」
メシスト : 「いずれ俺が乗っ取るまで、死なれては適わん」
クレース : 「いい目的だな。…そうなったら、『おまえ自身』が他に認識されることはないと思え」
メシスト : 「フン……(沈黙)」
クレース : 「…………」(こちらも沈黙)
シオン : 「……ふみみゅあああ」
クレース : 「……気の抜ける…」
シオン : 「にゃ?」
クレース : 「起きたか…これはイリスからだ。明日にでも食えばいい」(皿を差し出す)
シオン : 「けぇき!」(ぱくちょっ)
ゼファー : 「戻ったぜー。って、チビ子も起きたのか」
クレース : 「遅かったな」
シオン : 「(二個目ぱくちょっ)」
カイマ : 「あ゛」
シオン : 「(三個目に手を伸ばす…)」
ゼファー : ひょいと取って、「チビ子。こりゃカイマの分だ」
カイマ : 「……いや、俺はもう喰ったよ」
ゼファー : 「人のまで無断で食うなって言ってるだろ。それとカイマ。俺の眼が誤魔化せると思ってんのか?」
カイマ : 「喰ったっつってんだろ……つうか、疲れた。寝る」
ゼファー : 「ほれ。食堂のおばちゃんに普通の茶も貰うついでに、入れてもらったぞ」とさっきの茶を(笑)
カイマ : 「(寝たふり! 寝たふり!)」
クレース : 「今度はまともな茶に出来上がってるんだろうな」
ゼファー : 「食堂のおばちゃんが淹れたからな、大丈夫だろ」
シオン : 「しおんものむら!」
ゼファー : 「カイマが飲んだらな」
シオン : 「ねてるら?」
ゼファー : 「あんな一瞬で寝るわきゃねえだろ。寝たふりだよ」
シオン : 「じゃ、おこるらっ(ぼすんっ)」
カイマ : 「おぐえ!?」
シオン : 「おきるらっ(ぼすん)」
カイマ : 「ぐふう!?」
クレース : (部屋を見回している)「……イリスが目を覚ました」
クレース→イリス : イリスは、今おかれてる状況を確認(笑)
イリス : 「……えと。カイマさん、体はどう?」
シオン : 「起きないら(べしべし)」
カイマ : かいまは ひんし だ
ゼファー : 「チビ子、降りてやれ。トドメがさせそうになってるぞ。」 ひょいと。
シオン : 「うぃうぃ」
イリス : 「……あ、お茶、淹れてくれたのね? よかった。お菓子もちゃんとわけてくれてるみたいだし」(笑)
ゼファー : 「クレースが言ってたからさ、食堂のおばちゃんに頼んで淹れてもらった」
イリス : 「カイマさん…飲める?」
カイマ : 「……なん、とか」
イリス : てきぱきと飲ませてあげよう(笑)
カイマ : 「う、にげぇ…」
ゼファー : 「なんにせよ。イリス姉ちゃんが無事で良かったよ」
イリス : 「みんな、当たり前みたいにダンジョンに行ってるけど…いつもこんなに大変なこと、してたのね」

カイマ : いつもはもっと楽だ(笑)


ゼファー : 「急な襲撃だったから、みんな準備が出来てなかったからなあ…」
カイマ : 「街中で出てくるとか想定してねぇもんな。これからは装備持ち歩かねぇと」
ゼファー : 「剣を背負って歩き回らなきゃならねえとは、物騒な話だよな」
イリス : 「街中っていうのは、怖いわよね…アリスさんも、ニイさんも、ナギさんも…みんな、今日は帰ってこれないみたい」
イリス : 「わたしもせめて、って、今日はずっとカイマさんについてるつもりだったけど、ついダウンしてしまったわ」
カイマ : 「別に俺にかまうこたぁねえよ」
イリス : 「こういうことは、ゼファーだと心配だもの…」(笑)
カイマ : 「そっちか」
ゼファー : 「俺、寝込んだ事ねえからなあ…」(笑)
カイマ : 「俺急に不安になってきたぞ…」
イリス : 「わたしは今日はこれで戻るけど…大丈夫? 3人とも」
ゼファー : 「ああ、大丈夫大丈夫。こっちは俺に任せて、イリス姉ちゃんは今日はゆっくり休んでくれ」
カイマ : 「むしろお前は何もするな」
イリス : 「じゃあ…おやすみなさい。ゼファー。カイマさん。それから、シオンちゃんも」
カイマ : 「おつかれ」
シオン : 「おやすみら!」
ゼファー : 「おやすみ。なんかあったらすぐ呼んでくれ。今度こそすぐに駆けつけるから。」
イリス : 「ありがとう、ゼファー」(ぱたん。)



◆Scene03◆ 深夜の公園にて

カイマ : 夜中に抜け出してニイのトコにいくんだな、俺。
ゼファー : 椅子に座って寝こけてたゼファーは出て行くカイマに気付かなかった(笑)


カイマ : じゃあ、その夜に、ニイの部屋を訪ねていいですか?
ニイ : カランカランカラン! は。鳴子。 ばさっ
カイマ : …ノックする格好で固まったよソレ。
ニイ : 「……カイマ?」
カイマ : 「よ、よう」
ニイ : 「……もう動いて、大丈夫なの? まだ安静にしていないといけないはずじゃ……」
カイマ : 「ああ、迷惑かけたな。……それも含めて、話があるんだ」
ニイ : 「? 別にかまわない」
カイマ : 「悪い。じゃあ、少し付き合ってもらえないか?」
ニイ : 「ここでは……駄目なの?」
カイマ : 「……少し長くなる」
ニイ : あんな事件の後で、いつもと違う雰囲気に微かに警戒する、かな。
カイマ : 「立ち話も難だし、女の部屋に上がりこむほど俺も無作法じゃないよ」
ニイ : 「……わかった。……私もカイマは少し聞きたいことがあったから、それで良い」

 そして2人は移動します。


ニイ : 「あ、ここは……」

 深夜の公園。そこは昼間、異空間が口を開けた場所――――。
 事態が収まった今、不思議なほどにひっそりと静まり返っています。
 やがてカイマが口を開きます。


カイマ : 「……あ、のさ」
ニイ : 「………」(じー)
カイマ : 「前に、お前が忍者だって明かしてくれたときのこと、覚えてるか?」
ニイ : 「……忘れるわけがない」
カイマ : 「俺が馬鹿なこと言ったことも」

 第2部幕間4参照です。


カイマ : 「いや、あの時はマジだったけどさ、俺も」
ニイ : 「……今は、違うと?」
カイマ : 「あの時は本気だったよ。俺が強くなって、組織を使える立場になって……そんな悲しいことはもう終わらせるんだって、簡単に考えてた」
カイマ : 「しかし、結局一人じゃ……何もできないんだって気づかされたよ」
ニイ : 「………」
ニイ : 「カイマはあの時、イザリを継ぐと言った。そして忍の抗争を全てなくすと」
カイマ : 「……そうだな」
カイマ : 「少し考えれば分かるこった。イザリを手に入れたとしても、ジュレイに追われるお前を救えるとは限らない、と」
ニイ : 「(それには答えず)……けれども、カイマも狙われた。イザリの…同族の者に」
ニイ : 「あれは……何故? ……私がいたから?」
カイマ : 「お前のせいだけじゃない。おそらく、原因は俺自身にあると思う」
ニイ : 「忍の抗争を終わらせるはずが、カイマ自身がその中心にいた……ということ…」
カイマ : 「皮肉だよな」
カイマ : 「あの時、それまで目を反らしていた自分の馬鹿さ加減が一気に目の前に下りてきた気がした」
ニイ : 「……」
カイマ : 「なんかそれから、ニイを避けてた。……自分が怖くてさ」
カイマ : 「俺の言葉が、今までどれだけニイを傷つけてたか分からない」
カイマ : 「――それを、謝りたい」
ニイ : 「……同じだね」
カイマ : 「え?」
ニイ : 「私は、自分がどうやってここ(城塞)に来たのか、覚えていない」
ニイ : 「やがてここの状況を知った。外の世界からは隔絶されていること、出るためのパーティが編成されていること」
ニイ : 「ここにいればもう追っ手は来ない。そう思っていたけれど……そんなことは関係なく、あいつらは来た。それだけじゃない。私達だけじゃなく、この城塞内にまで、深刻な被害をもたらした」
カイマ : 「しかし、奴らは俺を狙っているはずだ……それにイザリだって潜り込んでいる」
ニイ : 「カイマも私と同じなのね。逃げても、状況は放っておいてはくれない」
カイマ : 「……そういえば、聞いてなかった」
カイマ : 「お前が自分のことを明かしたきっかけって、ジュレイ、なのか?」
ニイ : 「この先のダンジョンが忍の力を隠したまま抜けられるものではないと判断したから。城塞の中には私を、ジュレイを知る者はいないという油断もあった」
ニイ : 「私は忍を“抜けた”者。ジュレイからもイザリからも、身を隠して生きてきた。見つかったら死ぬ。私が生きている痕跡を残してはいけない。ジュレイの印を焼き、野伏になりすまし、名前も変え、過去は全て捨ててきた――はずだった」
ニイ : 「それが……ここに来て初めて、私を知っている人間に会った。私の素性を知っている人間に」
ニイ : 「……それがイザリの者だった――――カイマ。貴方よ」
カイマ : 「――イザリ、か」
カイマ : 「……ったく、馬鹿だな俺。そのタイミングでバラすなよな、俺」
ニイ : 「あの時、何故、逃げなかったの?」
カイマ : 「……逃げたくなかった」
ニイ : 「意味がわからない」
カイマ : 「俺も上手く答えられないや。何でだろうな……」
ニイ : 「あの時、私の殺気が本物ということはわかったはず。偶然がなければまちがいなく、カイマは――――死んでた――――のに」 エターナルチャンプサムライの前に倒れていたカイマの姿が脳裡をよぎる。
カイマ : 「死ぬのが怖かったわけじゃない。今だって怖いさ、死にたくなんてない」
カイマ : 「それでも。死ぬかもしれなくても、あの瞬間は、お前から逃げたくなかった」
カイマ : 「……正直、今考えても意味分からん。これだけは」
ニイ : 「――――あの時私は、結局カイマをどうすることもできなかった。自分でもそれがとても疑問だった。何故、できなかったのか」
ニイ : 「……でも少し、わかった気がする」
ニイ : 「カイマは、私に対してひどく無防備なの。常に、どこまでも」
カイマ : 「……そう、なのか?」
ニイ : 「それが何故なのか、私にはよくわからないけれど」
カイマ : 「俺も、自覚なかった」
ニイ : 「……別に答えは求めてない、から」
カイマ : 「………」
カイマ : 「俺さ、やっぱり、此処にはいないほうがいいのかもしれないって考えてたんだ……普通に考えて、お互いのために」
カイマ : 「……しかし今、俺は……離れたくない、何度考え直しても」
ニイ : 「……それでカイマはどうしたいの? ここから離れたとして、どうするつもりだったの? ここに居て、これからどうするつもりなの?」
ニイ : 「状況はもう、あの頃とは違う。何かが、動き出している」
カイマ : 「離れた後は考えてなかった。……ここに居て、ここに居られるとしたら」
カイマ : 「……今まで迷惑かけた分、皆の役に立ちたい」
カイマ : 「――探したい人も居るしな」
ニイ : 「……それは?」
カイマ : 「俺の師匠。――ここに来るまでは一緒に居た」
ニイ : 「ここって――城塞の中のどこかに?」
カイマ : 「たぶんな。いなかったら、出てから探す」
ニイ : 「……その人の特徴は?」
カイマ : 「間抜け面で……いや、ニイの手を煩わせるつもりはないよ」
カイマ : 「師匠はイザリの者だし、な」
ニイ : 「………」
カイマ : 「探して会って話して、自分のことはまたそれから考える」
カイマ : 「だが今はそれより、ディドロの件のが重要だろ? 俺も、俺に出来ることでがんばるよ」
ニイ : 「……迷宮組曲」
カイマ : 「ニイも……早く脱出できるといいな」
ニイ : 「……出るのが良いのか悪いのか、わからないけど…ね。ここにいても、外にいても、同じなのかもしれないから」
カイマ : 「……そうか?」
カイマ : 「俺は、違うと思うけどな」
ニイ : 「……?」
カイマ : 「うまく言えないけどさ…。同じ所に留まるより、いろいろな所を見たほうが……」
カイマ : 「いろいろ、あるだろ。その、……景色を見たり、旨いもの喰ったり、知らない人と話したり……あーなんだ、そのなー」
ニイ : 「カイマって……」
ニイ : 「……やっぱり、意味がわからない」
カイマ : 「分からんかもしれないけど…」

カイマ : 「……今のお前なら、できると思うんだけどな(ボソ)」


カイマ : 「……まぁ、また今度な。……また、今度、話付き合ってくれないか?」
ニイ : 「……別にかまわないけど……でもひとつ、聞きたいことがある」
カイマ : 「何だ?」
ニイ : 「カイマは何故、私と二人で話す時になるといつも神妙なの? そんなところ、私に合わせなくてもいいのに」
カイマ : 「え!?」
カイマ : 「い、いやいやいやいやいや」(あせあせ)
カイマ : 「………えと」
カイマ : 「……緊張するんだ(ボソ)」
ニイ : 「……そんなに心配しなくても、もうカイマを狙ったりはしないから」
カイマ : 「そ、そーじゃないっ、気をつける。今度から気をつける!」
ニイ : 「良かった。いつものカイマになった」
カイマ : 「俺、普段こんな大騒ぎしてるか……?(しょぼ)」
ニイ : 考えてみれば、生き返ったカイマに初めて会うのがこのシチュエーションなのね。
カイマ : 目覚めるのを待たずに去ったからな。
ニイ : では――。そんなカイマの様子を見て、少し安堵するニイなのでした。というところでシーンを閉じましょう(笑)




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