私の父、三上正寿は日本画画家で、昭和40年埼玉浦和に窯を造成し、その窯に「泥花庵」と命名
してくださったのが、革新的書家であった、上田桑鳩氏でありました。
泥から花が咲く、なんと美しい名なんと豊かな名、想像すればするほど素敵におもえたものです。
父も、昭和59年に他界しましたが、その後も「泥花庵」の名は、私の心の内に、生き生きと素晴
らしい花をさかせてくれております。
その名を想えば、心が晴れ、その名を唱えれば、何かすべてがうまくいくような、そんな心持ちに
なります。
二十歳の頃、「作家」をテーマに写真を撮っていた時、父に木内克氏を紹介されました。カメラを肩に数度アトリエ
を訪れました。静かな生活の内に、語り尽くせない確かな強さ、新しいものを感じたことが、忘れられません。
素敵な玄関も写真に、収めました。
数年後、木内氏宅玄関の彫刻と出会い、自宅玄関扉としたのです。
苦しい時も、この扉を開く度に、心が生き返る思いがします。
「泥花庵」という名も、ブロンズ彫刻「アマゾネス」も私の心を育んでくれた、人生の大きな宝物です。
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