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LOVELY、LOVELY、HAPPY ! - part time job -





「っワケのわからんこと言ってないでコイツらどうにかしてくれ!」
竜くんが叫ぶ。
「あ…」
竜くんは まだ硬直していた。
ポケットから遊び道具を出して引きつけ、三匹を庭の中央まで連れて行った。
ひよこ、うずら、ソラマメはコロコロとじゃれ合っている。
「つ、つかれた…」
竜くんは汗びっしょりだ。
「ちょっと どければいいのに」
「やだ。触りたくねぇ」
「ちゃんとシャンプーしてあって汚くはないと思うけど…」
「そんなんじゃねー」
まぁ確かにそういうこと気にするタイプじゃないよね。
「じゃあ何?」
首を傾げて訊くと、竜くんはウッと言葉に詰まった。
「………だよ」
「え?」
ちっこくてヤなんだよ!!
ぶっすーーと言う。
「コイツラはまだいいんだ」
大人しく お昼寝をしているダイズとアズキを指した。
「でもアイツラは ちっこくって すぐ壊れそうで嫌だ」
「え…」
「ちょっと手で振り払ったら怪我しそうで嫌だ!!」
ぷい、と横になって寝てしまった。

えっと………だから動けなくなっちゃうの?


「動物は弱いから嫌いだ」


「………竜くん、動物 飼ったことあるんですか?」
「ねえよ」
でも今の口調って、死なれたことがあるような…?

「…前に     夜中うろついてた頃に道端で……男が面白半分でノラ犬 蹴ったんだよ」

ちょっと脚上げるくらい軽くだぜ? でも起き上がんなくなって、その場にいた女が酷いって騒いでさ。たまたま近く歩いてた俺が病院 連れていかされて …死んじまってやんの。打ち所 悪かったとか言って。骨折れたとかいってさ。ノラだから引き取り手もないし、その女と埋めたんだよ。
…あんな、ちょっと、なのに。あっさり。

「触りたくねえ」

「……竜くん」

「あ?」

「竜くん」

「………………………重いんだけど」
うん、だって乗っかってるもん。
「暑いんだけど」
うん、夏だもん。
顔を向けた竜くんにキスをする。
「…なんなんだよ」
「私、強くなりますからね」
「なんじゃそりゃ」
ぷっと竜くんが吹き出す。
仰向けになった竜くんに抱きついた。

大丈夫。
人だって、動物だって、そんな、すぐ壊れたりしないよ?



「ワン!」
わ!!
アズキが私たちが遊んでいるのだと思って近付いてきた。
さっき撫でられたので『もっと』と言っているようだ。
竜くんはまた固まっている。
うーん…やっぱり怖いんじゃ……
もともと苦手だったところに更に触れなくなったのかな。
「…アズキは噛んだりしないから、ぎゅって」
「…は?」
「ぎゅってしたら、案外 大丈夫」

「ぎゅってしたら、柔らかくて、あったかくて、気持ちいいから」

「……」
じっと竜くんが見てくる。
あ、あれ、やっぱり無理?

「……それ、」

「それ、俺も このまえ思った」

竜くんは よいしょ、と身体を起こした。
このまえって…?
私が思うと、竜くんはアズキを撫で、アズキは気持ち良さそうに大人しくしている。
それを確認してからゆっくり抱きつく。
「……」
「………」
「…………気持ちいい…かも?」



「わん!」


「わんわん!」



わん !


わあっ!!



「うずらひよこソラマメ!」

遊んでいると思った三匹も竜くんに飛び込んできた。

「……っ!」

「……!!」

「………やっぱ 無理


コイツラは、無理!



四方を犬に囲まれて動けなくなった竜くんは…… ほとんど半泣きだった……






つづく




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