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LOVELY、LOVELY、HAPPY ! - part time job -





植木の陰からジ〜ッと観察する。
よしよし、竜くんは気がつかずに眠っている。
「いい、アズキ、ダイズ、起こさないようにそっと近付くのよ」
びっくりさせてやるんだから。
二匹に言い聞かせる。
「あ!」
するっと腕を抜けて、ひよこが竜くんに向かって走り出してしまった。
仕方ない…。
「行くのよ! ダイズ・アズキ・うずら・ソラマメ!!」

「のあぁあああ!!?」

私達が近付くと、竜くんはズザァ!!と物凄い勢いで後退って、ドン!と背中を樹にぶつけた。
5匹と囲むように竜くんを見る。
「なななんだよ!? なんで家から出してんだ!!?」
「だって庭に出して運動させてもいいって」
「いや、だからって!」
「…?」
竜くんの焦った顔に、うずらを持ち上げて近付けてみた。
「あ、馬鹿! こっち向けんな!」
これ以上ないという位 べったり背中を幹につけて、離れようとする。
ベロ〜ンと横からアズキが竜くんの頬を舐めた。
ぎゃーーー!!!

もしかして、竜くん、動物がキライなんじゃなくて………


「……怖いんですか?」

ぎくぅ !

「あ、あはは、なにを馬鹿なことを〜〜…」
「でも あからさまに『ぎくぅ!』って」
気のせいデス!
「でも明らかに逃げて…」
勘違いデス!

………でも……目が泳いでるんですけど…………

「えーーこんなに可愛いのになぁ」
だから違うって!と言う竜くんを無視してソラマメを撫でる。
とりあえず小型犬の三匹を竜くんに近寄らないよう掴まえておく。
「ち、しょーがねーな、見てろよ」
眉間に思いっきりシワを寄せて、これ以上ないという真剣な目つきでアズキに手を伸ばす。
なでなで
「……! どうだ!!!」

……どうって言われても……

「ワン!」
のわあっ!!

………………………………逃げてるし………

「大丈夫ですよ、この子達しっかり躾けてあるし、噛んだりしませんよ」
私が押さえていなくても大型犬のアズキとダイズは大人しくしている。
銃弾の前にも平気で飛び出る人が、犬が怖いだなんて。
私がそんなことを思っていると、竜くんはムスーと口を尖らせた。
「だってなぁ… コイツラは『ワン』とか『ニャー』とか言うだけで 話が通じないんだ !! 」
「…当たり前じゃないですか…」
「話せば判るとかコイツラには通用しないんだぞ!?」
判り合えねえんだ、とワケのわからないことまで言っている。
「竜くん…」
「ああ!?」
「このバイト……勝負がつく以前に引き受けたんですよね?」
「おう」
「私が勝ったらどうするつもりだったんですか…」
犬が怖いのに引き受けるなんて。

「は?」
きょとん、と竜くんが私を見る。

「負けるワケねぇじゃん」

「お前、俺に勝てるとでも思ってた? わはは、んなわけねーじゃ〜ん」
むっ。
「じゃあもう一回 勝負してみます?」
「お断りしまス」
「楽しそうに勝負してたのに…」
恨みがましく言うと、
「楽しかったけど、いや」
と あっかんべーをする。
子供ですか…。
「まぁお陰で投げ技は上手くなったけどな…」
ぽつりと竜くんが言った。
「…え?」

         え?


『 勝負はしたいんだけど、女の子は殴れないからさ 。  』



前に由希先輩が言っていた。
そういえば竜くんの得意なのは打撃系、だ、し…。

ぎゃああぁあ!!
「あ…」
「伊集院! 手ぇ放すなよ!!!」
竜くんはまた樹にベタとくっつきながら硬直している。
ソラマメとうずら、ひよこは竜くんの膝に乗ったりお腹に乗ったりして『遊んで〜』という意思表示をしていた。
「たたた頼む!どかしてくれーー」
い・や
「なにーー?!!!」
「噛み付かないから自分でどかしたら?」

手を抜いていたなんて!!

……………でも……そっかぁ…。
本気でだったら全然 敵わないのかなぁ…。
だったら、私に守られる気も起きないよねえ…。    ← や、強くても守られたいとは・・・( 竜 )



「…わかりました」





「 私 、 もっと強くなります!!!!!」











つづく




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