「いえーー! 優勝〜〜!!」
「おめでと〜!!」
「お疲れ様でしたーー!!」
「 乾杯 !!! 」
「 かんぱーーい !!! 」
西田先輩が一通り挨拶を終え、みんなで乾杯をする。
ワイワイと会場は騒がしくなった。
体育祭の翌日 片付けがあり、その夜 打ち上げが行われた。
高校近所の中華料理店を予約して、
アルコールなどは入らないが全員ハイテンションだ。
「由希、実行委員の打ち上げは?」
「今週 金曜。今日は それぞれクラスの方があるからな」
「ブルーは向かいの『ババ』で打ち上げしてるってよ」
「お、あとで乗り込むか」
「グリーンは『ヤマ』だって?」
「ああ、『ヤマ』の息子が今年一年にいるらしいから」
高校近隣の飲食店は大抵 陵湘生の行き付けで、打ち上げなども毎年 行われるから
お店の方も慣れたものである。
次々に運ばれてくる料理は端から消えていった。
竜くんは隅の方で由希先輩と何やらヒソヒソ話をしていた。
…あの二人、くっ付き過ぎ!!
「…で、アレはどうなったよ?」
ヒソヒソヒソ
「ん〜、まあレッドの優勝は結構 番狂わせだったな」
「競技が振るわないと思われてたんだろ?」
「みたいだな。 運動部も少ないし」
「体育祭の競技は運動神経じゃねー」
「やっぱり お前がダークホースだったな」 ← リレーで点数 稼いだ
「小日向っちゃんはレッドに賭けてたろ? 居口は?」
「居口はイエローに賭けてた」
「はぁ? あいつレッド副担のくせに」
「大屋先生が丁度 居たんだよ」
「ははぁ。 大屋先生イエロー担任だしなぁ。 あの色ボケ新米教師」
「勝負に女を取ったら負けってね」
「校長は? オレンジだっけ?」
「読みとしては外れてなかったけどね。僅差で二位だし。 石井がレッドに賭けてた」
「おお、美術教師、中々やるな」
「…あの、二人とも…?」
なにやら怪しい会話に私はおずおずと話し掛けた。
「伊集院」
「真琴ちゃん」
二人が振り返った。
「秘密な? / だよ?」
にやり。
そういえば竜くん、賭け金がどうのって・・・。
「それって…」
私の唖然とした口振りに、由希先輩は にっこりと微笑んだ。
「いやだなぁ、真琴ちゃん」
「 これは 先生達からの激励メッセージ だよ? 」
「そうそう。」 ← 竜くん
「うぉ〜い! 隅っこで何やってんだ〜? 」
バン !!
「いてっ」
「川原、お前 コーラで酔ってる?」
「いや? 真琴ちゃん、竜 借りるな。
由希、アレの結果発表・・・」
「ああ、そうか」
「? は?」
「 は〜い、注目〜! 競技パートリーダーから 一言 ありまーす! 」
わー! ぱちぱち。
「あ? だったら応援パーリーのお前が先…」
「いいからいいから」
「あ、えーと、みなさん お疲れ様でした。
優勝は、レッドが一丸となって みんなで頑張ったお陰です。(←棒読み)」
わーわー! ぱちぱち!
「( もう言うことねーよ ) えーと、 」
「 ところで 真琴ちゃん と付き合ってンの? 」
「 は? 」
「 そーだー どうなんだー」
「白状しろー」
「 ?? 」
「 別に付き合ってない・・・けど・・・? 」
「やりー ! 俺 勝った〜 ! 」
「あれだけイチャついてて そりゃねーだろー!!」
「うぉー! 大損だよ!!」
「一宮センパイ、ほんとですか〜!?」
「………」
「オレ、もう観念したもんだと思ったよー」 「私も〜」
「……………」
「よく判ったな?」 「竜は意地っ張りだろー」
「……………………………………………………
由希ィ!!! (怒) 」
「単なる 応援メッセージだよ? 」 にっこり。
「おーまーえーは〜!」
「レッド全員に応援して貰って何が不満なのよ?」
「ねぇ?」
「おまえらなー・・・」
竜くんは 怒り心頭のあまり どう反応していいか判らない様子だ。
「でも一宮」
それまで黙って見ていた高岡先輩が口を開いた。
「なんだよ?」
「……まぁ、家族とかは別にしても…」
「?」
「 一宮にとって 一番大切な女の子、 真琴ちゃんでしょう? 」
きょとん、と竜くんが目を丸くする。
考えてもみなかった、という顔。
「 ふむ………
それは、 そうだな 」
竜くんがそう答えて。
ワッと歓声が上がる。
私は茫然として、里佳に背中を叩かれるやら眞乃に抱き付かれるやらで、
先輩たちにも 揉みクチャにされてしまった。
視界に、高岡先輩の姿が見える。
目が合うと、彼女は悪戯っぽく笑って片目を瞑ってみせた。
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