本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

商業・サービス業分野への補助金が作れない理由は、一にも二にも「数が多すぎる」からです。

商業・サービス業向けの補助金を作りにくい理由〜(1)ともかくも、数が多すぎる

商業・サービス業向け補助金を作る際に大きな課題となるのは、対象企業数の圧倒的多さです。
製造業を対象としている既存の補助金でも、募集〜選考〜採択〜進行管理〜補助金交付には、かなりのマンパワーが投入されていますので、その10倍近い商業・サービス業を対象にするのは、かなり大変であることに間違いはありません。
申請前の段階で数を減らさなくては、申請書の受付処理だけでマンパワーを消耗します。
このため、経済支援に繋がる支援を行うにあたっては、対象数の多さをいかにして調整するかが大きな壁となります。
制度設計にあたっては、まずはその対策を考える必要があります。

別項で説明しますが、本事業の対象は、
都内に主要事業所を持つ商業・サービス業者で、
(1)創業(法人化)後、5年以上
(2)最大でも従業員300人以下(パート、アルバイトを含む)の規模で、少なくとも1人以上の「正規」従業員を有する
としました。
(3)東京都内に主たる事業所を持ち、事業を営んでいること。

数を減らさないといけないので、対象者は絞り込まなければならないのですが、悩む点も少なくありません。
創業5年以上としたのは、都公社の創業助成事業の申請資格が「都内の創業予定者または創業して5年未満の中小企業者等」となっているためで、この助成金との重複を避けるためです。

特に社会貢献事業となると、NPOが有力候補になります。ですが、やはり企業家的な事業運営となると、一定規模・一定経験がないと、なかなか続かないことが多いようです。
NPOの方々は常日頃から「自分たちを対象とした補助金がない」とこぼしておられましたので外すのは心もとないのですが、やはり産業振興対策なので、申込者を減らすという現実的な課題もあり、利益追求をする事業者に絞り込むことにしました。
創業予定者も、同じ弱点を持っているので、外しました。
対象にしたいところですが、人件費補助が前提となっているため、個人事業主も外しました。

対象の設定はたいせつな部分ですが、制度設計によっていかようにもなります。
担当者の見識を期待しています。
東京都地域応援ファンド事業の場合は、
ア 中小企業者(会社及び個人)
イ 組合等
ウ 一般財団法人、一般社団法人、特定非営利活動法人
エ 創業予定者
オ 中小企業グループ
が対象でした。
結果的に、採択されたものの多くは中小企業者でしたが、特定非営利法人(NPO)と創業予定者も多少は含まれていました。企業グループは皆無で、組合等もほとんどいませんでした。


一般的に対象を絞る場合は前置条件を設定し、それに当てはまった企業にエントリーの権利を与えるという方法が見ばえがいいです。わかりやすく言い換えると、特定の条件を満たさなければ参加できなくするのです。
「過去〇年間に東京都の支援事業を活用したことがある企業」というふうに大くくりし、その事業項目を例示する方法もあります。さじ加減が、とても難しいのですが・・・。

取りあえず思い当たるのは、「経営革新計画の認定」です。
過去〇年間に経営革新計画の認定を受けた企業に、候補者を限定するという方法になるでしょう。
東京都の場合、現時点で認定を受けるのは年間250くらいです。その中の商業・サービス業ですから、対象はかなり絞られます。経営力向上コースには、これを利用することにしました。

申込み段階で申請数を絞り込む、あの手この手→

もちろん、過去において補助金の不正受給を行った企業は除外します。

とはいえ、明白な「不正行為」だと企業も自覚していますが、実務上の問題(終業後に報告書を出さなかったなど)が原因ではじかれていると当事者も気づかない場合があります。
担当者は知っていても、経営トップは「そんなことで不採択になっている」とは知らない場合も考えられます。
これをどう知らしめるかが課題です。

また、同じ補助制度を適用されている期間は、新たに補助金申請できない仕組みにするとか、他の補助金に採択されたときは辞退してもらうとかの仕組みを組み入れて、同時期に同じ企業が何本も補助金をゲットすることを防ぎます。


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