本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

そもそも製造業と商業・サービス業の区別があいまいになっています。

商業・サービス業向けの補助金を作りにくい理由〜(2)製造業向けの制度設計ではうまく合わない

補助制度の多くは、中小企業が対象です。
そして、企業が製造業なのか、商業・サービス業なのかで、中小企業の規模が違います。
このため、「製造業なら中小企業なんだけど、サービス業だと中小企業に入らなくなる」という状況が発生します。

今回提案した補助金では、業種分けによる資格判定はしません。
世の中、区分がかなり曖昧になってきています。 だったら、そんな区分はなくしてしまえばいいのではないか、と思います。 むしろ、補助対象経費の区分けから、製造業/商業・サービス業、どちらかに有利になるような仕組みにすれば十分、ということです。
【参考】中小企業庁「中小企業の定義」→

一般的に、 製造業は、研究開発に長い期間を要します。
そして出来上がった試作品も、あれこれテストして何回も手直しされ、はじめて市場に出されます。
人件費と比較すると、製造費用や研究開発費用の割合が大きくなります。
このため、製造業向けの補助金は、原材料費とか設備導入費とか展示会出展費とかに重点が置かれます。

一方、商業・サービス業は、そんなに準備期間を持てません。
取りあえず売ってみて、つけた値段が妥当かどうか確認します。 初期費用の大部分は人件費です。
展示会よりは即売会が合っています。
広告や口コミでも販促します。
こういった商業・サービス業に、製造業向けの制度を当てはめるのには、ムリを感じます。

このことから、「補助対象経費」をコントロールすれば、対象業種を予め限定しなくても、結果はついてくると、考えました。
補助対象経費の取扱いが、「商業・サービス業向けだ」と語らせるようにしたいと思います(詳細は後述)。
補助制度を活かすも殺すも、補助対象経費次第(補助対象経費一覧)→

最近では、どこまでを商業・サービス業と呼ぶかという区分けがはっきりしなくなってきました。
事業主は企業を興したとき、その事業内容を登記しますが、現実には事業は生き物ですので後日あれこれ変わったりします。
その都度、登記しなおすというの面倒ですので、当初の段階からひじょうに広範囲の事業を記載することが普通です。
「商業・サービス業に限る」と限定したとしても、そこに羅列されている事業内容のどこかに該当する場合がほとんどでしょうし、それでは業種を限定する意味がありません。

「都内に主たる事業所」という判断も難しくなっている→

製造業と商業・サービス業との境目も、どんどん曖昧になってきています。

製造業であっても、最近では生産現場を持たない企画設計と販売活動を中心に行うファブレス製造業も現れています。
製品の企画・販売を行い製造は別会社に任せるのがファブレス企業なんですが、この形態は、「販売代理店」と酷似してきます。
ちなみに、予め工場で部材を作って組み立てる建築物をプレハブを言うが、このハブとファブレスのファブは同じ。

IT企業は製造業なのかサービス業なのか、はっきりしません。このため、補助金の分野では、便宜的に製造業に分類されたりします。
ソフトウエア制作会社はそれだけなら製造業なのですが、一般的にはシステムのメンテナンスをやっているところが多いため、製造業でもありサービス業でもある、という二面性を持っています。

その他にも、受け付けるか否かをあらかじめ検討しておくべき事業分野はあります。
募集要項に記載がないと、ご遠慮いただきたくてもできなくなってしまいます。
ですので、制度設計時に入念な検討が必要になります。
業種の分類とは別に、次のような職業の扱いはどうするか、要検討です→

都公社では、チェックリストを作って、申請書と同時に提出させるようにしています。ここにウソの記載をすれば、「虚偽申請」としてそれだけで落選させることができます。
このため、チェックリストにも代表者印を押してもらうことになっています。
「みなし大企業規制」は時代遅れではないか→


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