本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

審査する以上、審査表を作らなくてはいけません。

私が考えた対応策〜(c)常時募集と書面審査(2)
審査員の選定如何によって、事業の成否が変わることがあります。
ですから、誰に審査を頼むかは重要です。
けっこうややこしいし、時間もかかると考えてください。
書面審査の場合、1人の人に入念な審査をしていただくより、複数の人の目を通して審査してもらう方が良いと思います。最低でも2人、できればそれ以上の人たちに内容を評価してもらった方が、公平感が出ます。




書面審査、面接審査ともにですが、審査員選びは大変です。
まず第一に、「アテがありません」
審査員を選ぶ際には、「どういう基準で選んだのか」「偏りがなく、信頼できる人物なのか」といったことを、裏づけなければなりません。
通常、企業の事業審査ですから、大学の専門分野の准教授クラス、中小企業診断士の方とか、公認会計士の方とかをあたることになります。
なかなか引き受けてくれる人がいません。
謝礼が安すぎます! それでいて、「それなりの人」でなければなりません。
事業内容だけでなく、関連法規などにも明るい人が望まれますが、無い物ねだりかもしれません。
特定業界とか団体とかの関係者は、できるだけ審査員からは外した方がいいと思います。

ようやく選んだとしても、上司は、「なぜ、この人を選んだのか」と、質問してくるでしょう。
「他に引き受けてくれる人がいなかったから・・・」というのが最大の理由であっても、「もっとよく探せ」と言われてしまうかもしれません。
それを考えただけでも、新しい補助金を作る意気込みが、しぼみます。
事業運営そのものよりも、この審査委員選びで準備が遅延することがままあるかと思いますので、審査委員選びは、できるだけ早くから着手しておくべきです。













候補者選びの段階から、上司を巻き込んでおくことが、勘所かも・・・。

審査員の構成(想定)
<書面審査>
社会貢献コース
専門家派遣が別途用意されていることから、最初のアイデアベースの書面審査は、行政関係者が中心となって審査してもかまわないと思います。中には突飛なアイデアもあると思いますが、実現可能性の審査は別途行いますので、広く候補策を選びたいです。
でも、中には「どう考えてもムリ」というような申請もあると思いますので、歯止めをかけていただくため、専門家も加えます。
3人なら、行政職2名、専門家1となります。
特に「法令遵守」には注意しなければなりません。明らかな脱法行為を候補策として公表したら、それだけで支援団体としての信用を失うことになります。

経営力向上コース
事業内容よりも成果が重視されるので、まずは、経営体力の検証が必要です。
審査は中小企業診断士にお願いすることになるでしょう。
こちらは事前の現地確認がありませんので、社会貢献コースで現地派遣した診断士と重複しても問題ありません。
3人なら、専門家2、行政職1となります。専門家2人だけでも、可です。
商業・サービス業が対象ですから技術系の審査員は不要ですが、最近ではITなどを組込んだ事業(ECサイトの運営など)が増えていますので、専門家の1人は、そういった分野に強い人を選んだ方がよいと思います。



評価する申請の種類が変わりますので、当然、評価基準も違うようになります。






事業内容は素晴らしいのに、達成目標が高すぎて達成不可能、というのもあるかもしれません。

言葉は不適切ですが、書面審査は率直に言って「足切り」審査です。
したがって、トップクラスを入念に見るより、「ボーダーラインクラス」から「どうにもしようがないレベル」の申請書の評価に注力しなければなりません。そういう主旨も審査員に伝えます。
また、書類を見ていて、「問題ないかもしれないが、ここの所がちょっと気になる」といったことがあります。そういう点については、記録として残しておきます。
その後の、現地確認や面接審査に役立ちます。
「誠に申し訳ありませんが」という言葉を添えてください。

配慮しなければならないのは、行政職員は人事異動が早い、ということです。複数名お願いする場合は、片方は前回経験者にしておくほうがベターです。
また、幹部職員ともなると忙しいです。「何で自分の仕事でもないのに、こんなこと手伝わなきゃならないんだ」という不満は、当然生じます。こういったところにも気配りは大切になります。


これが一番面倒くさいんですよね。

また、評価結果は、点数化しなければ全体の比較検討が難しくなるのですが、そのブレをどう処理するか、が問題になります。全体的に甘めの人もいれば、厳しい人もいます。
逆に、評点を集計すると、平準化してしまい、ビミョ〜な点数の差異が埋没してしまうことがあります。このため、メリハリのある配点をお願いする場合もあります。
点数の甘辛修正については、別途、ご提案していますので、参考にしてください。

専門家の方はこういったことには馴れていますが、審査員の持っている専門知識が評点に大きく影響することがあります。自分の専門分野だと、どうしても厳しい点をつけがちになります。

これとは逆に、審査員も日常業務をしていますので、審査対象者が知り合いだったりすることもあります。
このため、事前に申請者リストをお渡しし、利害関係者等が含まれていた場合は、別の審査員と交代してもらう、などの手配が必要となります。
面倒くさいですね。でも、気持ちよく審査してもらうためには、避けて通れません。


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