本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

候補者をプールしておくと、その後のレベル低下を遅らせることができます。

私が考えた対応策〜(d)候補者プール
連続して補助事業を募集していると、次第にレベルの低下が起こりがちです。
第1回目に応募した方については、多くの企業は準備不足で、ものすごくレベルが高い感じはしません。いわゆる「ビギナーズラック」が起きやすくなります。
1回目の発表が出ると、企業は「これだったら当社でも・・・」と思うらしく、応募がドッと増えます。
当然、全体の採択レベルが上がります。しかし、毎回毎回募集が続くと、だんだんとマンネリ化してレベル感が下がっていきます。
これをどうやって平準化するかです。






















定期的に募集する補助金だと毎回やっていくうちに申請事業のレベルが下がってきます。そうすると、「前に落選させた申請の方が、こっちより良かったのに・・・」ということになりかねません。

まず、審査した申請書を、(1)即面接へ(飛び級)、(2)候補作として継続審査、(3)選外の3種類に分けます。
(2)が「候補者プール」です。
 




即面接の飛び級になるのは、ごく少数です。
事業を完遂するのに十分な人的・経済的な体力が確認され、しかも、申請事業の内容がかなり詳細に書き込まれていて、あらためてこの先の審査にかける必要がないと思われる場合に限り、飛び級させます。
即面接となれば、まずはハンズオンのための専門家を派遣し、事業内容の完成度アップに着手します。
 いい線行ってるのに残念にも不合格となった企業は、再チャレンジの気持ちが萎えてしまうかもしれません。
そこで、「落選」とはせず、「候補作」としてキープしておきます。
候補作は合格ではありませんので、いっさいの経済的な報酬は与えられません。
しかし、審査に残ったというのは、いちおう誉れになります。
 

候補作プールの性格は、社会貢献コースと経営力向上コースとでは、まったく異なります。
社会貢献コースの場合は、「アイデアとしては一定のレベルに達した」という評価です。
経営力向上コースは、「事業計画としては合格レベルに達していないので、内容を充実させろ」という評価になります。

社会貢献コースと二段階抽出(1)→

経営力向上コース(1)→

難しいのは、この3種の区分けを誰がどのようにして選ぶかです。

候補者をプールしておくことには、支援団体側にもメリットがあります。
まず、時間の余裕がでますから、候補企業の情報を入念に調べることができます。
また、候補として待機している間に、申請企業も事業内容のブラッシュアップが可能になります。

プレス発表にも工夫が必要です。
毎月(ないし四半期毎)まとめて順次発表していくので、「今月の候補策はこれです」という発表形式になります。
候補策については、企業側から「テーマのタイトルまで発表してもよいか」確認しておく必要があります。
合格発表ではなく候補作リストですので、公表に先立っては「どこまで公表していいか」を申請企業に確認することが必要です。事業テーマを公に出すことで、同業他社がそれを真似る可能性があるためです。
また、企業によっては、その時点で諦めて、別の補助金に応募し直したいと考えるところもあろうかと思います。

書類審査段階で落選した企業には、その旨の事実と審査員のコメントを、差しさわりにない表現に変えて添えて連絡します。
「落選でした」のひと言ですまさず、「こういう点が不足していた」ということを、ちゃんと伝えることが必要かと思います。面接まで行くと、どういう所が悪いのかが漠然とは伝わるのですが、書類審査で落ちた場合、「どこが悪かったのかさっぱりわからない」と不満を持つ申請者がけっこういます。

とくに財務面での体力が不足している企業には、それを知ってもらうことが必要です。
なぜなら、企業が運転資金を金融機関に求めた際、「補助金とか経営革新とかが取れれば、考えてもいいんだけどね」と言い返えされて、その気になっている場合も考えられるからです。本当なら「即お断り」のところ、相手を傷付けないように「言い換え」をしているのですが、空気が読めない経営者さんは、勘違いされます。
そもそも経営体質が弱い場合、取りあえずの資金を自分で立て替えなくてはならない補助金活用はかなりのリスクを伴うので、要注意です。
余談ですが、昔の求人票には「〇歳まで」という表示があるものがありました。その後、法律により年齢の制限が違法になると、「ワードとエクセルができる人」という記載が増えました。それって「若い人に限る」の言い換えなんです。でも、真に受けて、パソコン教室に通う年寄りが増えたと聞きます。


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