本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

二段階で採択することによって、申請の負担軽減と事業の確実性をともに実現させます。

私が考えた対応策〜(f)社会貢献コースと二段階抽出
応援ファンド事業でも「都市課題解決」というテーマに設定して、対象企業を募集してきました。
9年間もやってきますと、内容の傾向も固まってきます。
結果的には、「子育て」「お年寄り」「障がい者」「防災」「安全・安心」「健康・衛生」「人材育成・雇用促進」「省エネ・新エネルギー活用」「リサイクル・環境保護」「観光促進」などが多くなっています。
よって、こういった項目を最初に掲げてしまって、それに基づいた事業提案を受ける、という方法が考えられます。
それなら、納税者の方にも納得していただける補助制度になると思います。

ところがここで、一つ検討しないといけないことがあります。
世の中には奇特な方も多いようで、「困っている人を助けるビジネスをやりたい」という意気込みの方はたくさんいます。しかし、ビジネスすなわち金儲けなのです。
つまり、「困っている人からお金をもらって生活する」ことができなければ、ビジネスは継続できません。しかし、それではとても採算が立たない、だから、行政が補助金を出しているんだ、と勘違いしている方もたくさんいます。
産業政策としての補助金は、「ビジネス」に対して支払われるものであり、儲け話に出す以上、必ず自己負担も求められます。ビジネスとして成り立たなければ、端から話になりません。単なる慈善事業です。
人材不足では、人材育成事業はできない→

ところが、こういう採算割れの事業にかぎって、マスコミは「いい話」として取り上げます。
ついスター気取りになってしまうと、「やっぱやめます」とは言いづらくなってしまい、どんどん深みにはまってしまい、方向修正が難しくなります。
ですので、採択にあたっては、よくよくそのあたりも見定めなくてはなりません。
不採算でよければ、社会に役立つ事業はたくさんある→

審査員も人の子なので、やっぱり「いい話」は応援したくなります。
ですが、「何となくいい話」というだけで事業案が採択されてしまうと、後々、支援側の担当も当該企業も苦しむことになります。
これまでの多くの事業計画を見てきましたが「アイデアは素晴らしいのに、ビジネス的には成立しそうもない」というものも多くありました。それでも、アイデアが良いと、先に進んでしまうこともあります。
そうした悲劇を予防するための方策として考えたのが、二段階抽出です。
申請段階で、課題の存在を認識してもらう→

社会貢献事業の場合、まず、アイデアはアイデアとして評価してあげたい。
先に合格とは別に候補作をプールするという方法をご紹介しましたが、この社会貢献コースでは、最初に「アイデアベースの審査」を行います。
申請書類の枚数はできるだけ少なくし、大まかな事業概要のみを募集しますので、かなりの数が申請されると思います。これを書面審査で絞り込み、候補作として発表します。
この時点では経済的メリットは与えられません。ホームページに社名、事業名が掲載されるだけです。

 

その後、資金計画を含めた詳細な事業計画の作成を求めます。これが第2審査です。
こちらは、本当に事業ができるかどうかの確認になりますので、かなりのページ数があります。経営革新計画書と同じくらいの分量となります。そのくらいでないと、事業実施などできませんから。
もちろん、候補作のまま辞退することもできます。

実は、国の補助金の中には、案件を多数採択した後、補助金の内容をチェックして補助対象経費を後追いで精査するという方法が取られるものもあります。
採択された事業計画書の補助金がすべて認められるのではなく、「この部分とあの部分の補助金だけが出ます」というやり方になります。最初はバンザイ、後でガッカリになることもあるそうです。

私の二段階抽出案は、最初の段階はまだ「候補作」として宙ぶらりんにしておき、その後、精緻に計画を積み上げらえた案だけが採択対象になるという手法です。
そして、この第1段階から第2段階に進もうという企業に対して専門家のハンズオンを実施します。目利きに頼んで、その企業が事業実施に耐えるだけの力量を持っているかどうかも確認してもらいます。
申込み段階で申請数を絞り込む、あの手この手→

クラウドファンディングのような投票の手法を採り入れては→

「商業・サービス業で補助金事務ははじめて」という会社だと、最初は戸惑うことばかりだと思います。
例えば、「補助金は後払いで、しかも、申請額からかなり削られてしまうことも多い。それなのに銀行から借金をして、当面は自分が全額を負担しなければならない」といった、基本的なことがわかっていない場合も多々あるでしょう。
「こんなことなら、補助金申請などしなければよかった」という嘆きも聞きます。

経営革新計画の場合も、「取れば自動的に融資が受けられる」と勘違いしている経営者の方がおられます。

ですので、事前のハンズオンは、できれば義務化する方がいいと思います。
一般的に補助金の申請をさせる場合、過去2〜3年分の財務諸表を添付してもらうのですが、事前に現地訪問をして、それを確認できれば、直近の決算書だけでも十分ではないかと思います。
また、ネット上で経営状況を確認するようなサイトもありますので、専門家の方にその表に数字を入力していただき、報告書に添えて提出するようなやり方もあり得るのではないかと、考えます。

経営自己診断(外部リンク)→


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