本格的な商業・サービス業向け補助金を作る  

経営力向上コースの事業案と採択基準をどうするか。

私が考えた対応策〜(g)経営力向上コース(2)
経営力向上コースを設ける場合、一番難しいのが「どの申請を採択基準とするか?」ということになります。
どんな会社でも、自社の経営向上を望んでいます。だから、自分が作った経営向上計画が一番優れていると思うのが当たり前なんです。

ちなみに、国の持続化補助金(h28)を見てみると、対象となる事業は「経営計画に基づき、商工会議所の支援を受けながら実施する販路開拓等のための事業。あるいは、販路開拓等とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための事業。」と定められています。
同じく、事業計画書のには、以下の内容を記載することになっています。

【応募者の概要】
1. 企業概要
2. 顧客ニーズと市場の動向
3. 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
4. 経営方針・目標と今後のプラン

【補助事業の内容】
1.補助事業で行う事業名【必須記入】(30 文字以内で記入すること)
2.販路開拓等の取組内容【必須記入】(販路開拓等の取り組み内容を記入すること)
3.業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】
4.補助事業の効果【必須記入】

持続化補助金の補助対象経費→









生産性向上が一番大事なところなんですが、何で「任意記入」になっているのか、意味不明です。

しかし、この内容をみて、事業計画の優劣を判断するのは、ひじょうに難しいのではないでしょうか。 申請が不採択になったときに、なぜ不採択なのかさっぱりわからない、というのが申請者の不満となっているようです。

おそらく、本補助金でも、事業対象はこれと同様になろうかと思いますが、本制度は、「商業・サービス業向け」となっていますから、採択にあたっての目の付け所はいささか異なることになるでしょう。
私は次のようなリストを考えました。

【経営向上計画の内容】
(1) 経営向上の目標値をお示しください。【必須達成項目】 (例)2年後の第○期決算における営業利益を、直近の営業利益に比べて〇%アップさせる。
(2) (1)の目標を達成するために実施しようとする、新規の商業・サービス事業ないし、これに伴う販路開拓事業等について、記載してください。 (例)既存サービス[A]の内容を向上させた新サービス[B]を開発し、既存顧客を中心に事業展開を行う、などについて具体的に示す。
(3) 自社の経営状況、新サービスをめぐる経営環境などについて、見解を説明してください。 (例)自社の財務状況、既存サービス[A]に対する顧客評価と新サービスBの関係、売上高の将来推計など。
(4) (2)の事業を実施するための実施体制について、記載してください。 (例)協力企業との連携体制、社内体制の整備などについて具体的に示す。
(5) (2)の事業による製品の単価、製造原価、販売目標など、事業の実現可能性について、記載してください。 (例)販売予定価格、原価、販売予定個数、マーケティング手法等について、具体的に示す。
(6) (2)の事業を実施するため、必要とされる資金調達方法について、記載してください。 (例)自己資金□□万円を投入、○○銀行から△△万円の融資を受ける(現在交渉中)など。(本項目は想定内容でかまわないが、具体性を持つ方が好ましい)
(7) その他、自社の強みなどについて、記載してください。 (例)既存サービス[A]については、年間〇〇人の利用者を得ており、既存顧客のニーズについて十分な把握ができている(具体的に数値があれば記載すること)






この項目は、経営革新計画の申請書を参考にして作りました。ですので、経営革新計画を作った会社は、すんなりと書けるはずです。

経営力向上コースの最大の弱点は、実は【必須達成項目】にあります。
役所の事業というのは、すべて予算で決まっています。
経営力向上コースについて、いったいいくらかかるかは、2年先の「目標達成企業数とその申請額」に左右されますが、実際にその時点になってみないと、わかりません。
1社300万円として、100社達成すれば3億円必要。50社達成、50社未達の場合、2億円(100万円×50社+300万円×50社)になります。
できれば予算限度まで採択してあげたい。予算規模が3億円あれば、ぎりぎりまで活用したいと思います。
そうすると、「目標達成企業が当初予定より多かった場合、補助額を減額することがあります」といった、情けない断り書きが必要になるかもしれません。

本補助金は、限度額管理をしているため、ほとんどの企業が満額をゲットできると思います。ですから、役所もそろばんをはじきやすいはずです。

経営力向上コースも、二段階抽出方式をとりますが、社会貢献コースと違って、審査基準がまったく異なる審査をする、というのではありません。
あくまで、「経営計画としての善し悪し」を見た上で、もう一度見直して再挑戦してほしい、という候補策プールとなります。
候補作となって残った申請者には、「御社の申請事業は、残念ながら採択に至りませんでしたが、一定レベル以上であるとの評価を受けています。このため、引き続き審査対象とすることといたしました。再チャレンジを期待しておりますので、内容の修正を行ったうえで○月○日までに再提出いただければ、再度審査いたします。なお、審査員からは以下のような意見がありましたので、申し添えます。」と連絡します。


メニューに戻る   次のページへ