月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

 

 「・・・・」 ゲンドウ、冬月、ミサト、リツコ、レイ。

 主要なメンバーが聞いているなか、

 シンジとアスカの痴話げんかは、回収ヘリが来るまで続く

   

第10話 『鈴原の妹は・・・・』

 使徒戦後、シンジとアスカは、しばらく休み。

 代わりに零号機の修理が終わって、レイのNERV行きが増えていた。

 アスカを苛立たせたのは、レイが零号機でATフィールドを展開できたこと。

 原因は、シンジとのエントリープラグ相乗りが確実だった。

 もうひとつ、アスカを不機嫌にさせたのが・・・・

    

 ブリーフィングルーム

 ミサト、シンジ、アスカ。

 「・・・アスカは、シンジ君と走ってあげて」

 「な、な、なんでよ」

 「なんで私が、こいつと走らないといけないわけ」

 「レイは、修理した零号機との調整があるから学校に行けないの」

 「アスカ・・・シンジ君のおかげで、ATフィールド展開できるようになったの。忘れてない」

 レイがATフィールドを展開すると否定できない状況になっていた。

 「うっ」

 アスカは、シンジとの相乗りでATフィールド展開のコツを掴んだことを不承不承に認める。

 「命令よ! アスカ」

 「レイが、いないときだけで良いから、よろしくね」

 ミサト、にんまり

  

 というわけでアスカは、シンジと学校まで走る。

 学校に到着したアスカが下駄箱を開け・・・

 数枚のラブレターを興味深そうに取り出した。

 「シンジ。これ何?」

 「はぁ はぁ はぁ ラ、ラブレターだよ」

 シンジは、息も絶え絶え、汗だくでフラフラになって答える

 「なんで下駄箱? 日本の習慣?」

 「はぁ はぁ ・・す、好きな人に・・・はぁ はぁ 出すんじゃ・・・ないの・・・」

 「貰った・・・はぁ はぁ ・・・ことないから・・・わからないけど・・・」

 「ふ〜ん」

 アスカは、取り合えずといった様子でカバンに入れ、

 “グーテンモルゲン” と颯爽と教室に入く。

 シンジは、自分の席に倒れ込む。

 アスカは、教官に向かないとしみじみと悟る。

 しかし、教室は大騒ぎ。

 学園トップの格付けに収まった美少女アスカがシンジと走って登校。

 レイは、来ていない。

 早くも、碇シンジが綾波から惣流に乗り換えたと噂が広がる。

 しかし、シンジは、世俗に興味が湧かないほど虫の息。

 自分の机にうつ伏せていた。

 「シンジ〜」 トウジ

 「シンジ〜」 ケンスケ

 「はぁ はぁ なに?・・・はぁ はぁ・・」

 「シンジ。おまえ、俺達との約束はどうした?」

 「そうや。シンジ、おまえ、俺達を裏切ったな」

 「惣流と二人して、一緒に学校休みやがって、一緒に、どこかに行ってたな」

 「ち、ちがう」

 ギャップの激しさに疲れが増す。

 「チクショウ〜 シンジが俺達の気持ちを裏切ったんだ」

 「チクショウ〜 シンジが俺らの気持ちを裏切ったんや」

 「・・・ち、違うよ」

 「俺達の友情が裏切られたんだ」

 「俺らの友情が裏切られたんや」

 「違うって」

 「信じてたのに・・・・」

 「信じとったのに・・・」

 「聞いてくれよ〜」

 シンジがヨロヨロと立ち上がる。

 トウジとケンスケが後退りする。

 「信じてたのに・・・・」

 「信じとったのに・・・」

 「だから・・・・・・」

 シンジの伸ばされた手が空しく残された。

 トウジとケンスケが去っていく。

 シンジの手が静かに下がって。

 疲れ切った体を休めるように、そのまま座ると寝る。

  

  

 アスカは、有意義な学園生活のため。

 手っ取り早く、気の合いそうな洞木ヒカリ、新城チアキと仲良くなっていた。

 アスカに及ばなくても、ヒカリ、チアキは、クラスで、上位の美少女。

 学園ランキングで言うと1位アスカ。14位チアキ。20位ヒカリだった。

 ちなみに沈黙の美少女レイも、最近の表情の変化から4位に浮上。

 シンジ、トウジ、ケンスケをまとめて三バカと称されていたのに比べ、

 アスカ、ヒカリ、チアキの評価は高い。

 「・・・どうしたのアスカ。休み明けで碇君と二人で学校に走ってくるなんて」

 洞木ヒカリがアスカに声を掛ける。

 「ちょっとね。頼まれて、あのバカに付き合わされたのよ」

 「へえ、知り合いだったんだ。全然、わからなかった」

 新城チアキも、会話に入ってくる。

 「お、親が世話になったことがあって頼まれてしかたがなく」

 「良かった。碇君が綾波さんからアスカに乗り換えたのかと思った」

 「じょ、冗談じゃないわよ。あんなやつに乗り換えられるなんて心外よ」

 「だ、だよね。良かった」

 「綾波さんと付き合いはないけど、一人だけで学校に来たとき、寂しそうだったから」

 「そう、そう、可哀想になっちゃって」

 「ふ〜ん」

 「でも、アスカ、人気あるから碇君、男子達に睨まれているわよ」

 「血、見る前にネットで知らせたほうがいいわね」

 「上級生も外で睨んでいるみたいだし」

 通路側の窓際。

 ガラの悪そうな男子生徒が何人かいる。

 「碇君も人気あるのよね」

 「えっ! チアキの趣味」

 アスカが意外そう。

 「そうね、エヴァのパイロットという噂が本当なら悪くないけどね」

 「最近、カッコ良くなってない」

 「そう言えば、転校してきた時、中性的だったのに男らしさが増したような」

 と、ヒカリも評価する。

 意外にシンジの好感度が高いことに驚く。

 アスカの目で、シンジが、まだまだでも、中学レベルでは上位に繰り上がっていた。

 「でもさ、エヴァが使徒に一度負けた後、アスカと碇君が一緒に休み始めて」

 「使徒を倒した後にアスカとシンジ君が一緒に学校に出てくる」

 「これは、十分に怪しいわね」

 チアキのカマかけ

 「えっ! あの時の戦いで、両方の親の仕事が増えて・・・そのしわ寄せで仕方なく・・・」

 アスカ。誤魔化す。

 「ふ〜ん。情報だと碇君とアスカと綾波さんの親が同じ仕事」

 「なのに二人が来ると、替わりに綾波さんが休んで仕事か。苦学生ね」

 「そうなのよね。あはは」 誤魔化す。

 三人の保護者は、零細企業の重役で、NERVへ出荷する精密機械の検査になっていた。

 アスカは、減俸される気はないらしく、信じる者も少数派だった。

 「アスカ。モテるのに彼氏作らないの?」 ヒカリ

 「なんか、ガキっぽくて」

 「それは、ドイツ人に比べたらガキに見えるけど、足も短いし」 チアキ

 「私が好きな人は日本人よ」

 「加持さんていうの、年上でもの凄くカッコ良いのよ」

 「おっ! ついに爆弾発言。学校中で、男の子が泣くわね」 チアキ

 「余計なこと言わないで加持さんに迷惑がかかるでしょう」

 「アスカ、しおらしい。日本の女の子みたい」 ヒカリ

 「4分の1だけね」

 「なるほど」 チアキ

 「ということで、シンジなんて、相手にしてないわよ」

 「そうか、綾波さんだけが相手なら、何とか、付け入ることができるけどな」 チアキ

 「本気なのチアキ」 ヒカリ

 「んん・・・・ 本気というところまで行かないけどね」

 「碇君のこと良くわからないから沖縄の修学旅行で、少し接近してみようかな」

 「バカよ。シンジは」

   

  

 学校の帰りをシンジとアスカが走る。

 アスカは走るのが速く。

 レイとの走り込みでようやく完走できるようになったシンジに辛いものだった。

 息も絶え絶えのシンジが止まる。

 「ちょっと。完走できるようになったんじゃないの?」

 「まだ、3分の2よ」

 止まって座り込むシンジ。

 「アスカ、速過ぎるよ」

 「チンタラ走っている方が疲れんのよ。休んだり走ったりするのもね」

 「食料品を買って帰るから」

 シンジは、起き上がると近くのスーパーに入る。

 アスカも付き合う。

 「いつも、買っているの?」

 「毎日ね。カバンに入るだけ。走るのに邪魔にならない程度」

 「ふ〜ん、出前のほうが楽じゃないのラーメンとか、ピザとか。出来合いの弁当とか」

 「それで良く、その体型を維持できるね」

 「食べてる量の半分は、錠剤で済ませているわよ」

 「僕も。だけど形と味合いもね。食べているって実感が欲しいし」

 「食べ物のために時間を取られるってのって、生き方として不便じゃない」

 「何かを作るのは、悪くないと思うよ」

 「自分の思う通り料理が出来て。思った通りの味になれば嬉しいし」

 「夜に三食分作れば、三食分の買物、料理、後片付けを合わせても2時間から3時間くらいだよ」

 「ふ〜ん」

 「加持さんに料理作ってあげたら、喜ぶかも」

 「うっ」

 固まる & ニマ〜。

 「よしっ!」

 アスカは、スーパーに戻って、なにやら買い始めた。

  

 そして・・・・・

 「・・・ちょっと、シンジ。半分持ちなさいよ」

 アスカは、両手に大きなビニール袋抱えて仁王立ち。

 「走らないと駄目だから」

 「あんたね。少しは協力しようという気がないわけぇ〜」

 「アスカ、僕の言うこと聞いてた。走るのに邪魔にならない程度って」

 「う、うるさい!」

 「今日は、もう走らなくて良いから持て!」

 「買い過ぎだよ。だいたい、料理作れるの?」

 「バ、バカにするんじゃないわよ」

 「わたしは、作れないんじゃなくて作らないの」

 「ふ〜ん、調味料とかは買ってあるんだ」

 アスカが固まる。

 シンジは、アスカの買物に付き合って家財を知っていた。

 「今日は、貸してあげるよ。明日、買えば良いよ」

 「と、とにかく、半分持ちなさいよ」

 「わかったよ」

 シンジは予備のビニール袋に分けて持った。

  

  

 403号室

 シンジは、部屋に戻ると料理を作る。

 しばらくするとアスカが来る。

 「シンジ。調味料貸して」

 シンジは、6種類の調味料を入れた箱を渡す。

 「へえ、それなに?」

 「ソバと餡かけ野菜炒め」

 「弁当も、一緒に作っているんだ」

 「うん、弁当は、餡かけ野菜炒めとカマボコ、コロッケ、白身魚のフライ、きゅうりの漬物」

 シンジの弁当箱は、標準サイズより小さい。

 女性用といっても良かった。

 そして、錠剤。

 リツコさんの話しだと、栄養価、吸収率、バランスとも優れており、

 15粒も食べれば、一食分として十分だった。

 シンジは、訓練や走り込みの疲労回復。

 持久力維持の経験から錠剤の効果を確認。

 食事の半分の量を錠剤にしている。

 リツコ、ミサト、アスカ、レイが抜群のプロポーションを保ち。

 運動能力、回復能力が高いのも錠剤のおかげと言える。

 「・・・・・・・」

 「食べる?」

 「食べる」

 シンジとアスカの会食。

 余った料理と弁当の中身を皿に盛り付ける。

 訓練で、ずっと一緒にいたおかげか、

 二人一緒も馴染んでしまう。

 「悪いわね。シンジ。弁当の分まで食べちゃって」

 「良いよ。アスカに食べてもらえれば嬉しいよ。作ったかいもあるし」

 「嬉しいこと言うじゃない」

 「・・・美味しい。ソバは、初めて食べるわね」

 アスカは、ズルズル、パクパクと食べる

 「どうも」

 シンジは、美味しいといわれて、なんとなく嬉しい

 「アスカは、何を作ろうと思っているの?」

 「・・・・・」

 「やっぱり。何も考えないで買ったね。

 買ったものに脈絡がないから」

 シンジは、にやりと微笑む、

 「・・・・・・」

 シンジがお茶を出す

 「・・・料理の本貸して」

 「ついでに手も貸してあげようか」

 「包丁とか、電気釜とか、フライパンとか、買ってなかったよね。ナベは買ってたか」

 「電子レンジ・オーブンでも作れるものはあるけど・・・」

 「・・・・・・」

 アスカは、見破られてムッとする。

 台所は、レトルト専用で作れても野戦食。

 そう、家庭的な食事を作るために必要なものが決定的に欠けていた。

 「うぅぅぅ・・・・・・・・」

 「んんん・・・肉とジャガイモとタマネギを買っていたから肉じゃが・・・」

 「ニンジンを持っていけばカレーができるね」

 「作り方教えてあげようか」

 「冷凍庫に入れて置けばレンジですぐに食べることができるし」

 「あっ 冷凍庫に入れるタッパある?」

 アスカは既に加持さんへの手料理にかける情熱が削がれ、うつむいている。

 シンジは、お茶と一緒に錠剤を飲む。

 「く、屈辱・・・任せるわ・・・」

  

  

 404号室

 シンジは、アスカの部屋に必要な物を持って行く。

 そして、カレーに必要なものをビニール袋から取り出して、下ごしらえを始める。

 手馴れているらしく、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、肉をあっという間に処理していく。

 「・・・・良く見て覚えないとね」

 「わ、わかっているわよ」

 「材料は、安くても手間を惜しまず丁寧に作れば、だいたい、美味しくなるんだ」

 「料理本に書かれている通りに作っていけば良いけど」

 「微妙な加減とか、書かれていないから、何度も作らないとわからない」

 「カレーの基本は、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン」

 「あとは、牛肉か鶏肉。海鮮カレーだとイカ、エビ、カニ」

 「山菜カレーだと、ほうれん草や白菜やキノコ類を入れたりする」

 「葉っぱモノは、腐りやすいから入れたら残さないで、その日に食べること」

 「野戦食の常識よ」

 「人によっては、隠し味でリンゴ、ジャム、小麦粉、チーズを入れたりする」

 「これは、作り慣れてからの方がいいかな」

 シンジは、ナベに火を通し、油を引き、牛肉と鶏肉を炒め始める

 「何で、水を入れないの?」

 「最初、炒めた方が美味しくなるんだ」

 「油分を取りたくなければ炒めないで水を入れて煮込んでもいいけど」

 しばらく炒めるとタマネギを入れる

 「入れる順番があるの?」

 「肉が一番。二番目以降は、好みだよ」

 「僕は、タマネギが溶けていたほうが好きだから、細く切って先に入れる」

 「ニンジンは、あまり好きじゃないから」

 「カレーが、まとい付くように薄く切るし、ジャガイモは、早く煮えるように小さめかな」

 「好みがあると思うけどニンジンは煮え難いからジャガイモよりは小さい方がいいよ」

 しばらく炒めるとニンジン、ジャガイモを入れる

 「どうして、ニンジンとジャガイモを水の中に入れてたの?」

 「・・・その方があっさりとした味になるから。これも好み」

 「ふ〜ん」

 そして、しばらく炒めると、水を足していく。

 「最初は水を少なく、沸騰したらアクを取って。カレー粉を入れるんだ」

 「ちゃんと溶けるように掻き回さないとね」

 「後は、とろみが丁度良くなるまで水を足していく」

 そして、シンジは言った通りにしていくとカレーの形が作られていった。

 アスカは眼を見張る。

 いくつかの材料を組み合わせて調理したカレーに思わず感動する。

 「出来上がり」

 「凄い」

 「食べる」

 「うん」

 シンジがカレーを皿に載せて、アスカが食べる。

 「美味しい」

 「食パンに付けて食べたら良いよ」

 シンジが食パンを出すと、アスカは素直に付けて食べる。

 「後は、冷めてからタッパに入れて冷凍庫に入れる」

 「好きなときに出してレンジで暖めたら良いよ」

 「んん・・・・シンジ。私の奥さんにしてあげようか」

 シンジ噴出す

 「ああ、あのね」

 「冗談よ」

 「ははは」

 「冷えるまで3Dゲームしない」

 「うっ 最後まで、僕にやらせようとしている」

 「まあまあ。そう言わずに」

 3Dゲームは、政治・戦略物だった。

 意外とケンスケと気が合うのではないかと思いつつ始まる。

  

  

 「ねえ、明日、台所用品買いに行くから選んでくれない」

 「うん。良いよ」

 「ようし、これで加持さんも、いちころよ」

 「美味しく作れるようになるまで、様子を見たほうが良いと思うけど」

 「わかっているわよ」

 「シンジが、この部屋で初めてのお客さんね」

 「下僕じゃ」

 「あんたね・・・」

 「この美人で頭の良い私に仕えられて、男なら無上の喜びを感じても、おかしくないのよ」

 「うぅ・・やっぱり、そういう風に考えていたんだ」

 「ふっ、ファーストとは上手くいってるの?」

 「相手してもらえるわけないよ。僕なんか」

 「当たって砕けなさいよ。男でしょう」

 「当たったら本当に砕けるよ。綾波強いから」

 「ふ〜ん。やっぱり、ファーストが好きなんだ」

 「あんた、酷い趣味しているわね。なんかむかつく」

 「か、関係ないじゃないか」

 「自分より好きな女の子のいる男はむかつくのよ」

 「ム、ムチャクチャだ。それ」

 「普通よ。プライドが傷付くわよ。あんな女に負けるなんて」

 「プライド高過ぎない」

 「あんな、人形のような女に女の魅力で負けたのが頭にくるのよ」

 「綾波が嫌いなんだ」

 「嫌いよ」

 「そんなはっきりと言わなくても」

 「今度、ファーストをデートに誘ってキスしてみたら・・・」

 「少しは人間ぽっくなるかもね」

 「半殺しに遭うよ。面白半分に言わないでよ」

 「だとしたら・・・・」

 「だとしたらって・・・・」

 「シンジの好きって、その程度なんだ」

 「・・・・」

 「あんた。心身とも程度、低いわね」

 「綾波は・・・お父さん、司令のことが好きなんだ」

 「屈折してるわね・・・だから、お父さんを侮辱したんだ」

 「そういうわけじゃないけど」

 「渋い恋愛ね。もっと私が良い子を紹介してあげようか」

 「守秘義務が多いし、やることが多いから」

 「社内恋愛になってしまいやすいわね・・・しゃあない恋愛ね」

 「へぇ〜 冗談も話せるんだ。本当にドイツ人?」

 「頭の差よ」

  

  

 学校

 アスカが颯爽と

 シンジがフラフラと教室に入る。

 たちまち、嫉妬の視線がシンジに突き刺さる。

 シンジよりカッコ良く、頭の良い男は何人もいた。

 アスカにラブレターを出した者もアスカに無視される。

 シンジはエヴァのパイロットという噂がなければ袋叩き。

 トウジとケンスケがシンジを睨み付ける。

 「・・・誤解だよ」

 「恋愛感情は、ないんだな」

 「ないよ。そんなことより、自分が好きなら、付き合って欲しいといえば良いじゃないか」

 「あのなあ、ああいう超美人が相手してくれるわけないやないか」

 「三バカトリオや言われとるし」

 「ていうか、あんな、超美人と一緒にいて、恋愛感情が生まれないというのが信じがたい」

 「だけど、すぐ命令するし、プライド高いし、自分勝手だし、わがままだし」

 トウジとケンスケが崩れる

 「羨ましい、やっちゃな」

 「オレ、命令されたい。わがまま言われたいよ」

 ケンスケが萌える。

 「マゾ?」

 「「おまえ、お子様」」 二人がハモる

 「いいけど」

 「あのな、男だったら高いプライドを持った女を征服する喜びを知らないかん」

 「高い山を登るのと同じや」

 「惣流クラスならヒマラヤだぞ。苦労、苦難を克服してやな。捻じ伏せるんや・・・」

 「至上の喜びを感じるんや。男ならな、頂上を目指さんかい」

 「僕は、ふもとでいいよ」

 ケンスケは、シンジの肩に手を置く

 「あのな、シンジ。命令したり。わがまま言ってくれるというのはな」

 「登っても良いよ、という意思表示だぞ」

 「勿体ないことするなよ」

 「ははは」

 シンジ、真っ平ごめん

 「綾波の方が好きなんか」

 「うん」

 「おまえなら、他の女の子誘えば7割がた上手く行くぞ。ふもとにころがっとる」

 「そうかな、僕なんか、エヴァのパイロットじゃなければ、つまんない男と思うけど」

 「まぁ エヴァも、シンジの一部だよ」

 「それだけと思っている女子は止めた方がいいけどな・・・」

 「一応、知られていないことになっているけど」

 「だいたい、綾波の場合。別の意味で惣流と同レベルの頂やないか」

 「そ、そうだよね」

  

  

 校舎裏

 突然。

 シンジは、上級生5人に校舎裏に連れ込まれて囲まれる。

 「おまえ、気に入らないな」

 「・・・・・・」

 「碇。てめぇ 生意気なんだよ」

 「・・・・・・」

 「何とか言えよ」

 「・・・気を悪くしたのなら、すみません」

 シンジはとりあえず謝る。

 5人ともシンジより背が高く、体格が良い。

 「なめてんのか?」

 「気にいらねんだよ」

 突然。

 一人が背後から殴りかかってきた。

 シンジは、気配を感じて体を捻ってかわしながら、足を引っ掛けて倒しす。

 闇打ち特訓の成果なのか、

 視界に入らなくても5人の位置と動きがわかる。

 しかも、あからさまで、丸見えの動き。

 「こ、このやろう」

 後ろから殴りかかってくる。

 もう一人をかわして、肘打ちで倒す。

 その後は、乱戦。

 5人は、動くシンジを捕まえようとバラバラに殴りかかる。

 シンジは、味方が邪魔になる様に計算して動いて

 シンジのスピード、力とも尋常じゃなく、

 追い付けず包囲できず。一度に掴みかかることもできない。

 上級生5人は、思わぬ苦戦に慌てる。

 簡単に叩きのめして、うさ晴らしと思っていただけ。

 それなのに思わぬ反撃を受けてしまう。

 5人組の突きと蹴りは、ミサト、アスカ、綾波と比べると無駄が多く、弱く、ぎこちなく、メクラ打ち。

 それでも、数の多い上級生のほうが有利で

 シンジは、何度か殴られ、蹴られ、

 その打撃も肘や膝で受けることに成功していた。

 15分が経過。

 上級生5人は手詰まり。

 シンジも集中力が欠けていた。

 「サイティー あんた達」

 いつの間にか、アスカが睨んでいた。

 5人組は、やっかみからシンジを襲ったことを見抜かれ、

 そして、シンジが意外にタフだった事で完全に戦意を失う。

 アスカが近付くと上級生5人は、気まずくなったのか逃げていく。

 「ありがとう。助かったよ」

 「・・・・チッ! 私に向かってくればいいものを」

 アスカは、去って入った5人を名残惜しそうに見つめる。

 「欲求不満?」

 「そうよ。弱いやつとつき合わされてね」

 「ああいう連中が相手なら、半殺しにしても、いいわね」

 「残酷だよ。それ」

 「だって、思いっきり、やれることないもの」

 「だいたい、私に気があるんだったら、シンジじゃなく、私を襲うのが筋でしょう」

 「アスカは、NERVに入ってなかったら、マフィアだね」

 「あの5人、戻ってこないかしら、外だと保安部員がいて襲われないもの・・・」

 「怖過ぎるよ。アスカ」

 「ああいう連中が嫌いなだけよ」

 「でも、助けてくれてありがとう」

 「違うわよ、私の方に来ないかなと思って声をかけただけよ」

 「シンジ。訓練じゃないんだから、肘や膝で受けるとき」

 「斜めか、中心からずらして受けた方がいいわよ。その方が骨折れるし」

 「ははは」

 「でも、三人くらい指にヒビ入ってるわね」

 「うん。でも学校じゃ本気になったらいけないって言われてたから」

 「NERVの方で、あの5人に圧力かけるわよ」

  

 目撃者はいなかった。

 しかし、いつの間にか、シンジと上級生5人のケンカが噂になって学校に広まる。

 シンジは否定。

 5人組のうち、3人が手にギブスをして、翌日に否定。

 しかし、一度流れた噂は、一人歩きした。

 シンジは、上級生5人に負けなかったことで株が上がり、

 アスカ、綾波の仲で文句を言う者がいなくなる。

 そして、修復された零号機の調整が終わるとレイが戻ってくる。

 

 403号室の前

 シンジが外に出るとレイが立っていた

 「おはよう」

 「おはよう・・・碇君。行きましょう」

 「うん、ATフィールド展開できるようになったんだ。良かったね」

 「碇君のおかげ・・」

 「あの、綾波・・・」

 「なに?」

 「怒ってる?」

 「どうして?」

 「僕が、お父さんに言ったことで・・・・」

 「もう、言わないで欲しい」

 「何かが変わると思ったんだ」

 「僕と、お父さんとの事で」

 「もっと、なにか話しができるかもしれないって・・・」

 「でも、変わらなかった」

 「そう」

 その時、404号室が開いてアスカが出てくる。

 403号室の前にレイとシンジがいるのを見て、

 アスカは、落胆したような素振りを見せる。

 「おはよう、アスカ」

 「おはよう。シンジ、ファースト。今日で、私も自由の身ね。自転車が使えるわ」

 「じゃあ、行こうか」  シンジ

 「ええ」

  

 学校

 走ってきたシンジとレイが教室に入る。

 アスカのときと違って、倒れるほど疲れていない。

 教室が、しばらくざわつく。

 そして、すぐにシンジがレイとよりを戻したと学校中で囁かれる。

  

  

 昼休み

 「シンジ〜」

 「シンジ〜」

 「こ、今度は何だよ」

 「シンジ。綾波とよりを戻したのか?」

 「だから、綾波が都合の悪い間だけだって言ったじゃないか」

 「くぅ 二股男や」

 「違うよ!」

 「シンジ。それだけは、それだけは許さんぞ」

 「そ、そんなことしないよ」

 「本当やろうな」

 「しないったら」

 「じゃ 綾波をデートに誘え」

 シンジ固まる。

 クラ〜

 「そうや。綾波ひとり。それが誠実な男や」

 「む、無理だよ。綾波が僕なんか相手にするもんか」

 「男の友情を裏切るのか」

 「男の友情を裏切るんやな」

 「だから、どうしてそうなるんだよ」

 「デートに誘え」

 「デートに誘たらんか」

 「駄目だよ」

 「やっぱり。シンジは、裏切るんだ」

 ケンスケ、泣いた振り

 「そうや。シンジは、裏切るんや」

 トウジ、泣いた振り

 「わ、わかったよ」

 「よし、行け。シンジ。おまえは男だ」

 「そうや、シンジ。おまえは、二股なんてするような男やないと “シンジ” とった」

 「「・・・・」」 シンジ、ケンスケ。

 

 シンジは、躊躇する。

 レイは、難しそうな本を読んでいた。

 後ろを見るとトウジとケンスケが煽る。

 レイの方に向かう足が震えだす。

 ゴクン。

 あと少しのところで、シンジは回れ右して戻ってくる。

 「何しとんのや。シンジ」

 「シンジ。やっぱり、惣流と・・」

 「そ、そのう。今度の休みは、トウジの妹のお見舞いに行こうと思って・・・」

 「うぅ・・上手いこと逃げたな」

 「ん、でも、良いのか?」

 「戦災者との接触。禁止されているんじゃ」

 「パイロットとわからなければ良いと思うけど聞いてみるよ」

 「次の水曜日が休みだから」

 「そうか、パイロットというのは秘密か。まぁ しゃあないな」

 「だけどさ、シンジ。修学旅行前には綾波をデートに誘えよ」

 「うっ」

 「当然や。約束は、守らな、あかん」

 『いつの間に約束したんだろう・・・・・』

  

  

 NERV

 ハーモニックスによる訓練は、費用対効果で優れていた。

 マギのプログラムは使徒戦シミュレーションが可能で、

 第三使徒、第四使徒、第五使徒、第六使徒、第七使徒との戦闘をトレースする事ができた。

 零号機と初号機。

 初号機と二号機。

 零号機と二号機の戦闘シミュレーションも実戦に近く。

 ミサトと日向が3Dを見つめる。

 「・・・やはり、二号機、強いですね」

 「でもATフィールドの計測値だと、初号機は二号機の二倍。零号機の三倍」

 「防御力の差は、大きいわね・・・」

 「それでも格闘センス。総合力は、二号機のアスカね」

 「問題は、第五、第七使徒だとエヴァ単独では勝てませんね」

 リツコが調整を変える。

 「使徒に勝てる方が不思議なのよ」

 「エヴァンゲリオンは基本的に第一使徒の複製よ」

 「それも自律神経を失調させて、パイロットに寄生させて補っているだけ」

 「良く、そんなもので予算が取れましたね」

 「委員会を味方につけたこと、南極で使徒関連のサンプルを独占したのは大きいけど」

 「ゲヒルン時代からNERV初期にかけての碇司令の手腕がえげつないのは確かね」

 「今でも国連、主要国の政界、財界、官僚、軍関係者は弱みを握られている」

 「凄いですね。碇司令って」

 「今世紀最大の人物でしょうね」

 「そう思いたくない人も、認めたくない人も多いでしょうけど、救世主でもあるのよ」

 「「・・・・・・」」  ミサト、日向

 「複座エントリープラグの製造が始まるわ。高度な作戦が可能という理由でね」

 「ハーモニックス率とシンクロ率が効率良く上がるだけで製造する価値がある」

 「助かる」

 「シンジ君とレイの複座の初号機は、零号機とレイ、初号機とシンジ君のバラバラで戦うより強いとマギは試算している」

 「エントリープラグの容積が決まっているから生命維持関連が減るわよ」

 「単純に三分の一以下ね」

 「短期決戦ね・・・」

 「まぁ 電源が落ちてエントリープラグに何時間も閉じ込められる持久戦は、今のところないから」

 「今後、ないとは言えないでしょう。戦局を見誤らないでね」

 「ていうか、使徒って、どういうものなの」

 「形態にまったく脈絡がないじゃない・・・」

 「それぞれの種子に微妙な個性があるみたいね」

 「それが実体化する場合に大きく変化するというところかしら」

 「個性って、性質そのものが隔絶しているわよ。別の種と言ってもいいわ」

 「そうね」

 「まあいいか、隔絶し過ぎて、次の作戦が立てられないわね」

 「データが少ないから第6使徒もサルベージしてドイツに輸送したけど」

 「ドイツ支部がきちんとしたデータを送ってくれるかどうか」

 「それ、お互い様じゃ」

 「・・・・」 リツコ

 「やっぱりねぇ〜」

 「身内でも秘密を持つなんて、本当に人類存亡を賭けて戦っているの?」

 「そういえば、シンジ君、戦災者のお見舞いに行くって聞いたけど」

 「パイロットとばれないなら許可したわ」

 「シンジ君。線が細いから、どんな影響があるか、わからないわよ」

 「鈴原ミドリ。カルテは見たわ」

 「良くないけど悪くない。認めない方が悪い影響を与える。シンジ君を信じないとね」

 「子供相手は、大変ね」

 「レイやアスカの方が、わかりやすいわね」

 「シンジ君は、うっかりすると抜け落ちるから」

 「アスカも、プライドが高すぎよ」

 「トップでいる間は大丈夫よ。戦場で個々の能力は、気休めなんだけどね」

 「エリートがあっさり死んで、愚連隊がしぶとく残るというのは珍しくないのね」

 「比率が違うんだから珍しくないだけよ」

 「軍隊という観点からすれば、レイが一番、使いやすいんだけどね」

 「そういえば、綾波レイ。雰囲気変わりましたね」 日向

 「そうでしょう」

 「あの娘、表現が乏しいくせに直情だからわかりやすくて、くっ くっ くっ」

 「これからの展開が面白いのよね」

 「じゃ、やっぱり」 日向

 「シンちゃんがあれでしょう。レイちゃんもあれでしょう」

 「もう、どう料理したら良いか」

 「余計なことして滅茶苦茶にしないでね」

 「色事が作戦に悪影響を与えることもあるんでしょう。作戦部長さん」

 「そ、そうでした」

 「でもね。守るべきものが身近にあるのは意外と強みになるのよね」

 「全体の幸福を守ろうとする帝国主義より」

 「個人の利益を守ろうとする民主主義が根強いから、マイナスばかりじゃない」

  

  

 衣笠病院

 シンジ、トウジ、ケンスケの三人がトウジの妹ミドリの病院に向かう。

 パイロットであることは、知らせていない。

 しかし、シンジは、緊張していた。

 自分のせいで怪我をしたのだ。

 初号機がシェルターを破壊して、下にいた鈴原ミドリが瓦礫の下敷き。

 それでも、全治の付く怪我は、不幸中の幸いだったらしい。

 「シンジ。顔が青くなってるやないか」

 「えっ ああ、大丈夫だよ」

 「無理せんでもいいで。シンジ」

 「行った方が良いと思う。自分のミスが、どういう結果になるか」

 「強いやないか・・・」

 「そやけど、ミドリ、あれで鋭いからな」

 「そんな顔していたら気付くで」

 「そうかな」

 シンジがトイレの鏡で顔を見る。

 確かに顔が青くなっている。

 「本当だ。死にそうな顔しているよ、どうしよう」

 「漫画でも読んでから行くか」

 「それとも、末期ガンで死にそうだとか」

 「そんなに酷い顔かな・・・」

 「まぁ お見舞いに行く顔やないな。逆に慰められるんやないか」

 「・・・・」 ガックリとする。

 肩に手を置かれる。

 「シンジ。ミドリは、おまえに感謝しとる。命の恩人やとな」

 「そうそう、トウジがシンジを殴ろうとしたことと」

 「バカやって初号機に助けられたことがばれてな」

 「妹にえらい怒られたよな」

 「ケンスケ。おまえが、それを言うんか!」

 「フッ 恥ずかしいやつ」

 「おまえが、どうしても見たいっちゅうたから行ったんやないか」

 「いい経験したよな」

 「ケンスケが、だろう」

 「はは・・・」

 「おっ! 少しは、顔色良くなったやないか」

 「そうだね。行こうか」

 「トウジの妹にしては、かわいい子なんだよな。信じられん」

 「ケンスケ。いい根性してるやないか、われ」

 「ありがとう」

 「れ、礼を言うのは、こっちの方や、妹は、ヒーローが好きなんや」

 トウジを先頭にケンスケ、シンジが病室に入る

 「よう、ミドリ、元気にしとるか」

  

 鈴原ミドリは、ベットに半身を起こして、新聞を読んでいた。

 ゆっくりとこっちを見る。

 顔が整った美少女だ。

 「お兄ちゃん・・・・ちゃんと勉強しとる」

 「い、いきなり、ケンカ売っとんのか、ミドリ!」

 「やってないんやろう」

 ブッ!

 噴出すケンスケ。

 鼻で笑うシンジ。

 「あ、あのな、まあえぇ」

 「今日は友達もお見舞いに来たで、相田ケンスケと碇シンジや」

 「お兄ちゃん・・・の、友達にしては・・・碇シンジさんか・・・カッコいい」

 「お、オレは」

 「お兄ちゃんと同じレベルやね」

 「なっとくできん!」

 「なっとくでけへん!」

 「こ、これ、お見舞い。ミドリちゃん。早く直るといいね」

 シンジは、果物が入ったバケットを置く。

 「ありがとう。シンジさん、初めて見たけど。最近、お兄ちゃんの友達になったの?」

 「うん」

 「シンジさん。こんなお兄ちゃんだけど見捨てないでね」

 「ミドリ。おまえ〜 しばいたろか」

 「僕も、こっちにきて、初めての友達だから」

 「お兄ちゃん、転校してきたの?」

 ミドリが手を出したのでシンジは握手する。

 「うん。よろしくね。ミドリちゃん」

 「エヴァのパイロットね。嬉しい命の恩人やわ。私が直ったらデートしようね」

 「・・・・」 シンジは、いきなりばれて絶句、引き攣る。

 『何で、わかったんだろう・・・』

 「転校生なんていうから、勘違いされるんや」

 『て、転校生だけでばれるのか、子供達の情報源っていったい・・』

 「ていうか、NERVの諜報部は・・・』

 「僕は違うから、他の転校生だよ・・・ミドリちゃん」

 「ふ〜ん。そういうことにしてもいいわ、来年には直るからデートね」

 「ミドリ。シンジが迷惑しとるやないか」

 「小学生の癖して色気付きやがって」

 「おまえ、お兄ちゃんの目の前で、よくそうこと言えるな」

 「来年から中学生や飛び級だっていけるで、お兄ちゃんと三年で同級生や」

 「ミドリ、てめえ・・・」

 「じゃ お茶ぐらいなら。でも、僕なんか、つまんないと思うよ」

 「それは、私が決めるわ。シンジさん」

 「ていうか、シンジ。おまえ、彼女いるやろう」

 えっ!

 という顔をして、寂しげ。

 「そうや、諦めろミドリ。はかない恋やったな」 うんうん、頷く

 「まだわからんわい。若いんやからな」 強気

 「「「「・・・・・・」」」」 シンジ。トウジ、ケンスケ

 パワー負けする。

 

 

 

  

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第09話 『瞬間、こころ、重ねて』
第10話 『鈴原の妹は・・・・』
第11話 『家庭教師!?』
登場人物