月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

  

 「それは、私が決めるわ。シンジさん」

 「ていうか、シンジ。おまえ、彼女いるやろう」

 えっ!

 という顔をして、寂しげ。

 「そうや、諦めろミドリ。はかない恋やったな」 うんうん、頷く

 「まだわからんわい。若いんやからな」 強気

 「「「「・・・・・・」」」」 シンジ。トウジ、ケンスケ

 パワー負けする。

 

 第11話 『家庭教師!?』

 商店街

 アスカと加持

 「・・・ラッキーッ! 加持さんに買物付き合ってもらえるなんて」

 「なんだ・・・ここ水着のコーナーじゃないか?」

 大胆な水着に着替えるアスカ

 「ねぇねぇ 加持さん。これなんかどう?」

 「中学生は、ちょっと、早すぎないか」

 「加持さん、おっくっれてるぅ。いまどきこれくらい当ったりまえよ」

 「ほ〜う」

 「折角の修学旅行なんだもん。パァーと気分を開放しなきゃ」

 「修学旅行は、どこ?」

 「オ・キ・ナ・ワ。メニューにはね。スクーバ・ダイビングも入っているの」

 「スクーバか・・・3年くらい潜ってないな」

 「ねえ、加持さんは、修学旅行、どこに行ったの?」

 「ああ、オレ達、そんなのなかったな」

 「どうして?」

 「セカンドインパクトがあったんだ」

 「・・・・」

  

  

 商店街。

 アスカ、加持。

 シンジ、トウジ、ケンスケがばったりと出会う

 「ん・・・・おおお、惣流やないか」

 「ジャージ・・・・げっ! 三バカ」

 アスカの言葉にムッとするトウジ

 「加持さん」

 「シンジ君じゃないか、修学旅行の買物かい」

 「いえ、少し遊んで帰ろうと思って」

 「惣流さんが大人の男と一緒にいる〜」

 ケンスケが、トリップ。

 「そうか、十分に楽しまないとな・・・そのうち、ゆっくり話しをしたいな。シンジ君」

 「・・・・は、はい」

 「シンジ君。予想外に気骨がある君に興味が出てきてね・・・」

 加持は、司令を侮辱したシンジに関心を持っていた。

 「加持さん。時間がもったいない。食事」

 アスカが甘える

 「ああ、そうだな」

 アスカと加持が腕を組んで歩いていく

 「惣流が〜」

 ケンスケは、トリップが深まる。

 「なんや・・幻滅やな」

 「惣流のやつ。孤高美少女みたいやったのに腕組んで頼りきっとるやないか」

 「えっ! 加持さんは、面白い人だよ。僕は好きだな」

 「惣流に幻滅したんや。男の方は、どうでもいいわい」

 「アスカは、僕が出会ったときから加持さんが好きだったから」

 「じゃ、その筋の人やな」

 ケンスケが復活。

 「ははは」

 シンジは、笑って誤魔化す。

 「あの着こなし、体格と風格。プロの諜報員だな」

 ケンスケのメガネが光る

 「・・・し、正気に戻ったんだ」

 「あの後姿が、オレの直感を反応させたよ」

 「そう・・・なのかな」

 「知らないのか?」

 「うん」

 「パイロットって、護衛が付いているんじゃないのか?」

 「そうだと思うけど・・・・」

 シンジは、一瞬、気配を感じ、そして、消えた。

 シンジが周りを見渡すと普通の商店街の風景だった。

 「どうした?」

 「いや、なんでもないよ」

  

  

 NERV総司令官公務室

 ゲンドウ、冬月

 「シンジ君が、洞木ミドリの病院に行ったそうだ・・・」

 「・・・・」

 「フォースチルドレン。母親だけでなく、妹もコアに取り込ませるのは、リスクが大きくないか」

 「当面は、母親だけでいい。シンクロ率に問題がなければな」

 「ゲヒルン時代の7つの遺産。使うべきか、使わざるべきか」

 「NERVには、シンジ、二号機のパイロットを含め7人のチルドレンがいる」

 「人類のため。いや、自分の子供が生き残るため覚悟を決めることができた母親達だな」

 「資金がないだけだ。無駄にするつもりはない」

 「この子供が、シンクロ率で優れているかどうか」

 「7人とも寝ている間のシンクロテストだからな」

 「しかし、ゼーレや他の勢力に種明かしをするつもりはない」

 「だが、本当に信用できる諜報員、保安部員は多くない」

 「というより、NERV職員の年棒は、ゼーレのスイス銀行から直接振り込まれている」

 「あと5人に子飼いの保安部員をつけるような余裕はないな」

 「加持という男、彼は気付いているのではないか?」

 「様子を見る。節操がないが使える男だ」

  

  

 NERV、ミーティングルーム

 ミサト、シンジ、レイ、アスカがお茶を飲んでいる

 「ええええぇぇええ〜!!! 修学旅行、行っちゃダメェ〜!」

 「そ。駄目」

 「どうして!!!」

 「戦闘待機だもの」

 「そんなの聞いてないわよ!!!」

 「いま、言ったわ」

 「誰が決めたのよ!」

 「作戦担当の。わたし」

 「あんた、お茶飲んでないで、ちょっとなんか言ったらどうなの。男でしょう!」

 「そうなると思っていたから」

 「諦めていたってわけぇ〜」

 「うん」

 「情けない。飼いならされた男なんて最低」

 「うん」

 「気持ちはわかるけど、こればっかりはしかたがないわ」

 「あなた達が修学旅行に行っている間に使徒の襲撃があるかもしれないでしょう」

 「いつも待機、待機、待機!」

 「いつ来るかわからない敵を相手に守ることばっかり!」

 「たまには、敵の居場所を突き止めて、攻めに行ったらどう!」

 「それができればやっているわよ」

 「それに最悪でも、近くに発電所が必要なんだから」

 「シンジ君とアスカには、いい機会だと思わなきゃ」

 「クラスのみんなが修学旅行に行っている間、少しは勉強ができるでしょ」

 「私が知らないと思っているの?」

 ミサトがシンジとアスカの学績チップを見せる

 「二人とも何点取ったかなんて筒抜けよ」

 「バッカみたい、学校の成績が何よ」

 「旧態依然とした減点方式なんか、何の興味もないわ」

 「郷に入っては郷に従え。日本の学校にも慣れてちょうだい」

  

  

 NERVからの帰り

 シンジとレイ

 スーパーで買物

 「あの・・・・綾波」

 「なに?」

 「勉強、教えてくれないかな・・・・」

 「・・・・」

 「ほら、僕って頭悪いから綾波に教えてもらったら成績も上がって、もっと、いい高校にいけると思うんだ」

 「いいわ」

 「本当、ありがとう、綾波。お礼に夕食は、僕が作るから、そうだ。お昼の弁当も作るよ」

 レイは驚き、嬉しそうな表情を見せる。

 「ええ、ありがとう」

 「じゃ。夕食何にする? 買って帰るよ」

 「肉抜きのラーメン」

 シンジ。思わず立ち眩み

 『そ、そうだった。今度から僕が決めよう』

 「じゃ 夕食はラーメンにするよ」

 「部屋に戻ったら1時間たったら僕の部屋に来てよ・・・あ、電話する」

 レイが頷く。心なしか頬が赤い

  

  

 403号室

 シンジが弁当を作り。

 ラーメンを作ると携帯でレイを呼んだ。

 初めて自分からこの携帯を使う

 レイが、シンジの部屋403号室に入ろうとしたとき。

 アスカが外食から戻ってくる。

 「へえ、ファースト。意外にだいたんね。シンジの部屋に行くなんて」

 「ええ」

 「へぇ 仲のいい事で・・・」

 

 

 レイは、シャワーに入ったのか室内着に着替えていた。

 ピンクの上下で良い香りがする。

 あまりの綺麗さに動揺するシンジ。

 「・・・伸びる前に食べよう」

 「ええ」

 「これは、明日の弁当。冷蔵庫に入れておいて、学校に持っていくといいよ」

 レイは、シンジと同じ弁当を見ると微笑んだ。

 「ありがとう」

 「美味しい」

 「ありがとう」

 「綾波は、修学旅行、行きたかった?」

 「いけないと思っていたから」

 「僕も・・・」

 「綾波は、どこか旅行に行ったとこある」

 「第三東京市から出たことない」

 「僕は、第二東京に住んでたんだ。でも良いことなんてなかった」

 「どうして?」

 「よくいじめられたんだ。第三東京市に来て、いじめられなくなって良かった」

 「お父さんがお母さんを殺したって、学校、親戚、近所で仲間外れにされ、嫌がらせされたり、殴られたり」

 「預かってもらっていた親戚も、僕に冷たかった」

 「・・・・・・・」

 「お父さんのことも恨んだけど。お父さんがお母さんを殺したんじゃないと信じたよ」

 「でも、お父さんにも嫌われて捨てられたのかなって・・・」

 「ひょっとしたら僕自身が嫌われやすい人間と思って・・・」

 「・・・・・・・」

 「お父さんに第三東京市に呼ばれたとき・・・・」

 「恨んでいたのか、喜んだのか、わからない・・・」

 「ごめんなさい。なんて言っていいかわからなくて」

 「ごめん・・・変な話しで・・・」

 「でも、第三東京市にきて、綾波に出会えてよかったよ」

 レイは、頬を赤くする。

 「・・・わたしも、碇君に出会って、良かった」

 「本当、良かった」

  

  

 シンジは、数学を教えてもらう。

 学校で教わるより覚えやすかった。

 「・・・教科書を丸暗記しているの?」

 「ええ、いつも本を読んでいる」

 「本を読むのが好きなんだ」

 「わからない。学校に行って、勉強するように命令されたから」

 「でも、学校の本以外も読んでいるのは、どうして?」

 「学校の本は、最初の一月で1年から3年まで全部読んだの」

 「だから、高校の教科書と。大学の教科書を呼んで。いまは、図書館の本を読んでいるの」

 「どうして飛び級しないの3年生でも、おかしくないのに」

 「碇司令に飛び級しないように命令されたから」

 「へえ、なんでだろう。僕は、綾波と同じクラスで嬉しいけど」

 「碇君と同じクラスに入れるためだと思う。保安上の理由」

 「じゃ お父さんに感謝しないとね」

 「最近は、感謝しているんだ。話しかけてもらわないけど、綾波と会えたし・・・」

 レイが微笑む。

 シンジは、フゥーと惹き込まれそうになる。

 「でも、アスカも大卒だから。パイロットで僕が一番バカだね」

 「碇君は、バカじゃないわ」

 「でもテストとか、クラスで下の方だから・・・」

 「わたしは、テストも、学校も、気にしないもの」

 「碇君はどうして気にするの?」

 「な、なんか、人間として劣っているみたいだから」

 「劣っているのは、わたし。使徒を倒しているのは、碇君だから」

 「でも、倒しているのは、エヴァだから」

 「碇君が、初号機を動かしている、半分は、碇君のおかげ」

 「そ、そういう考え方もあるんだ。なんか自信が出てきたよ」

 「そう」

 「ねえ、綾波」

 「なに? 碇君」

 「修学旅行中さ、空いている日があったら、どこかに行かない?」

 「ええ」

 レイが承諾してくれたので、シンジは感動する。

 「じゃ 街に行こうよ」

 「ええ」

  

  

 学校、昼休み、屋上

 「・・・なんやと、シンジ。綾波をデートに誘ったやと!」

 「シッー こ、声が大きいよ。トウジ」

 「シンジ。えらいぞ!」

 「ワザと大声で言ってるだろう。二人とも」

 「ははは、いつや」

 「修学旅行中。僕もレイも行かないから・・・アスカも」

 「なに、本当か! シンジ」

 「うん」

 「ぐぅうおおぉおおおお!!!! なんてこったあ〜!」

 ケンスケがトリップしていく

 「家の事情で、社員が減って手伝わないといけないから」

 と、白々しい嘘をつく。

 「苦学生やのう、シンジ。命賭けっというのが不憫やけどな」

 トウジがウソに付き合う

 「ははは」

 シンジが、力なく笑う

 「うそだ」

 「折角の水着写真を・・・」

 「青い空。白い雲。白波打ち寄せる砂浜。緑の島。コバルトブルーの海。惣流と綾波の水着」

 「オレの計画が〜 構図だって考えていたんだぞ〜 嘘だ。悪夢だ。陰謀だ」

 ケンスケが絶望のあまり、トリップしたまま、去っていく。

 「ケンスケのやつ。いい小遣い稼ぎやから賭けてたんやろうな」

 「シンジをダシに惣流と綾波を並べて撮ろうと言うとったからな」

 「残念だったね」

 「いいんや。そやけど、そっちの方が残念やったな修学旅行、行けんとは」

 「しかたがないよ」

 「土産、買って来たる・・・そうや、ミドリが喜んどったわ。ありがとうな、シンジ」

 「僕も行けて良かったよ。怪我したと聞いて引っ掛かっていたから」

 「でも、あんな簡単にばれるなんて思わなかったけど」

 「あいつ、あれで、情報通でな、頭も良いし勘も良いんや。新聞とかもよう読むし・・・・」

 「そやけど、カマかけられて、いちいち動揺したら守秘義務なんか守れんやろう」

 「うぅ・・・小学生にカマかけられるなんて情けない」

 「俺も、あいつには、ようやられるからな。最近の小学生は怖いで」

 「なんか自信なくすよ」

 「あいつは特別や。おかんが、おらんから、早熟になったんやろうな」

 「かわいい妹だね。僕は兄弟がいないから、なんか羨ましいよ」

 「シンジが良かったら。また、行ってくれへんか」

 「妹と付き合わんでもいいんや」

 「シンジが見舞いに行ってくれたら、あいつも元気になりよる」

 「うん・・・時間を見つけたら行かせてもらうよ」

 「ありがとうな。シンジ」

  

 教室

 アスカ、ヒカリ、チアキ

 「・・・ねえ、本当に行かないんだ。オキナワ」

 「突然で、ごめんね。家の事情で苦学生なのよ」

 「楽しみにしていたのにな・・・男子らもね」 チアキ

 「わたしも楽しみにしてたのに。バカな男子に水着を見られたくないけど」

 チアキが教室のざわつきに気付いた。

 「・・・ねぇ 綾波さん、弁当食べているって」

 レイは、窓際の席で一人。弁当を食べていた。

 「うそ」 アスカ 絶句する。

 「本当だ。弁当食べている」

 「やだ、女子でパンは、わたしとアスカだけなの」

 「うっ!」

 「ちょっと、ヒカリ。綾波さんに聞いてきてよ」

 「え〜 だって、なに聞いてもしゃべらないんだもの」

 「また、いやな思いするだけだから」

 「委員長でしょう」

 「苦手なのよ、綾波さん」

 「得意な人なんていないわよ。いつも、一人で食べてるし」

 「うん」

 「碇君なら、いけるかも・・・あっ!」

 「相田が近付いてる。無謀なやつ・・・玉砕ね」 チアキ

 教室中で綾波に接近してる相田が注目される。

 しかし、弁当を覗き込んだだけで踵を返して戻っていく。

 「弁当の中身を見に行っただけか」 チアキ

 「アスカなら綾波さんと話しができるんじゃないの」 ヒカリ

 「嫌いだもの」

 「また、はっきりというわね。保護者同士が仲良いんでしょう」 チアキ

 「保護者同士だけね」

 「そういえば、碇君と綾波さんの保護者で来た人って綺麗な女の人だった。男子が騒いでた」

 「髪に少し紫が入っていた人ね」

 「胸の大きな人ね」 チアキがニヤリ

 「どうせわたしは小さいわよ」 ヒカリがむくれる

  

  

 屋上

 「シンジ〜」

 浮遊霊化したケンスケが戻ってくる。

 「なんだよ、ケンスケ。怖いよ」

 「おまえ、どこ行ってたんや?」

 「綾波が、おまえと同じ弁当を食べているのは何でだ?」

 「・・・・・」

 「おっ! なんやと〜」

 「教室が、ざわついていたぞ。綾波がまともなものを食べてるってな」

 「・・・・・・・」

 「シンジ。確か、弁当は、手作りだったよな」

 「勉強を教えてもらう代わりに綾波の弁当を作ったんだ」

 「なんやと〜!」

 「え、餌付けか?」

 「餌付けって言うなよ。勉強を教えてもらっている代わりだよ」

 「普通は、逆なんやぞ。男が女のために飯なんか作るな。情けないやつっちゃな」

 「だけど、僕のせいであの二人が低い高校に入れられるというのは辛いから」

 「そういや、綾波って頭良かったよな。学年一位、飛び級だっていけるのに」

 「それに綾波も、惣流も、おまえより体力あるんとちゃうか」

 「おまえがヘトヘトになって教室に来るのに、あの二人は、平然としとったで」

 「うん」

 「男の癖して情けないやっちゃな」

 「ははは」

 自覚しているシンジは、笑うしかない

  

  

 NERV

 発令所

 コーヒータイム。

 伊吹が恋愛小説。

 青葉がギター雑誌。

 日向がマンガを読んで、三人三様

 「・・・・沖縄に修学旅行? こんなご時世に」  リツコ

 「こんなご時世だからこそ、遊べるときに遊びたいのよ・・・」

 「シンジ君とレイは諦めていたから良かったけど」

 「アスカは水着まで買ってたらしいから、大変だったわよ」

 「いいなあ、オキナワに修学旅行か」

 「わたしは、セカンドインパクトの10年後だったから箱根で一泊だった」 伊吹

 「そういえば、そのころから経済再建計画が始まって、修学旅行が定例化させられたんですよね」 青葉

 「俺は、行けなかったよ。切り替わり時期で外れ組み」 日向

 「あんた達は、良いわよ」

 「わたし達の頃は、運が悪ければ死ぬ時期だったわよ」

 「津波やら地震やら火災やら、犯罪が他の国に比べて異常に少なかったのが奇跡」

 「修学旅行なんて、考えられなかったけどね。ね、リツコ」

 「あら、その年の3分の1の学校がセカンドインパクト以前に修学旅行に行っていたみたいよ」

 「私も行った後」

 「うっ そんな〜 わたしの青春を返せ」

 「運、不運も運命よ」

 「うう、悲しすぎる・・・3人には、第三東京市の中で遊んでもらいましょう」

 ミサトが。ひがみっぽく呟く

 「あら、シンジ君とレイが仲いいから、アスカがあぶれるわね」

 「そうね。シンジ君、女の子二人と遊べるほど器用じゃないから」

 「あの年齢で女の子二人を満足させて、遊べたら、こわいっすよ」 日向

 「加持さんじゃあるまいし」 青葉

 「また、やったのか、シゲル」 日向

 「そ、それがな・・・あ・・・ん・・・んん・・・」

 青葉は、ミサトの眉間に皺が寄ったのに気付いた。

 「何をやったのかしら。青葉君・・・」

 ゴクン!

 「いや、噂だけですから」

 「その噂、興味があるわね。青葉君・・・」

 「・・・・・・」

 青葉が引き、ミサトが冷たい表情で迫る

 ・・・・ゴクン・・・男同士の盟約は・・・・・・・

 ・・・・・守られなかった・・・

  

  

 飛行場

 修学旅行を見送る。

 シンジ、レイ、アスカ

 「アスカ・・・お土産買ってくるからね」

 手を振るヒカルとチアキ

  

 「シンジ・・・おまえらの分まで楽しんできてやるわ」

 「シンジ、報告しろよ」

  

 シンジ、レイ、アスカは、空港に残される

 「・・・シンジは、どうするの?」

 「僕は、綾波と出かけようと思っているけど」

 「・・・・・」 レイ

 「ふ〜ん。お熱いことで・・・わたしも加持さんを探すか」

 「シンジ、いつまで走るの?」

 「ミサトさんが良いって言うまでじゃないかな」

 「明確な目標がないのね」

 「ミサトらしいけど、だらだらやっていたらいつまでも走らされるわよ」

 「行きましょう。碇君」

 「うん・・・・・じゃ・・・アスカ」

 シンジとレイが去る。空港に残されるアスカ

 『こんなに良い女なのに一人か・・・』

 『あの二人、夜も一緒に食べてるんだよね・・・』

 『ファーストのやつ。趣味悪いけど、意外とやるわね』

 

 

 スーパー

 シンジ、レイ

 「お金は、わたしが出すわ」

 「でも」

 「わたしに出させて、碇君」

 「うん、じゃ 朝食も一緒に食べる。パンだけど」

 レイが微笑んで頷く。

 『か、可愛過ぎる』

 「朝から、勉強するのね」

 「うっ 綾波と勉強するのは楽しいけど・・・」

 「朝は、散歩とか、公園に行ったりとか、ゲームセンターに行ったりの方が良いかなって・・・」

 「お昼も一緒に食べられるし」

 「いいわ」

 「本当、良かった。ずっと勉強すると頭が朦朧としてくるんだ」

 「本読むのが嫌いなの?」

 「本を読むのは嫌いじゃないけど・・・勉強が嫌いなんだ」

 「???」

  

  

 この7日間の修学旅行中

 NERV出勤は、3日間。

 シンジとレイの親密さが増していく。

 特にダブルエントリーの効果は絶大。

 感情表現の乏しいレイはシンジと一緒にいると時々、微笑み、

 振り向く人間が増える。

 

 

 404号室

 「つまんない」

 アスカがテレビを見ながら呟く。

 テーブルの上には3万円が置いてある。

 暇潰しに護衛している保安員を捕まえて、一ヶ月の減棒を3万で済ませた。

 403号室には、シンジとレイがいる。

 シンジだけなら適当な理由をつけて遊びに行こうか、と思うのだがレイが嫌いだった。

 「こんな良い女なのに一人か、はぁ オキナワ行きたかったな・・・」

 端末を覗き込むとオキナワの画像メールが送られてきていた。

 「加持さん・・・・どこ行っちゃったんだろう」

 「まさか、ミサトのところじゃ」

  

  

 403号室

 シンジとレイ

 「・・・わたしが、片付けるわ」

 「いいよ、綾波、風呂上がりだから僕が後で、やるから」

 「いいの・・・私に片付けさせて」

 「じゃ、一緒にやろう」

 シンジは、レイの隣に立つとドキドキする。

 「僕が拭くから」

 『キスしたいな』

 シンジは、数回にわたって妄想を振り払う

 「はい。碇君」

 「えっ あ・・・」 シンジ、驚く。

 そして、目の前の皿を見て慌てて拭く。

 シンジの顔が真っ赤になる

 「どうしたの?」

 「な、なんでもない」

 動揺するシンジ

  

  

 勉強 理科

 「熱膨張は、熱くなると分子の動きが速くなって体積が増えるの」

 「冷えると逆に分子の動きが遅くなって体積が小さくなる」

 「ふ〜ん」

 「電子レンジは、電子を分子にぶつけて、分子を振動させて熱を出させているわね」

 「じゃ 冷凍庫は、分子が止まっている」

 「動きが小さくなるだけ」

 「絶対零度でも電子が本当に止まっているかどうか、わからないの」

 「観察するときに光を受けると影響を受ける」

 「深くなると量子論になるけど」

 「難しいんだね」

 「冷やし過ぎると分子間で粘り気がなくなって脆くなったるする」

 「うぅ・・・もう限界」

 「そう・・・じゃ お休み」

 「綾波。ねぇ テレビゲームしない」

 「テレビゲーム?」

 「これ」

 シンジは、テレビゲーム機を見せる。

 「どうするの?」

 レイは、テレビゲームをした事がなかった。

 「これはね・・・」

 内容的にはハーモニックス・シミュレーションの方が優れていた。

 しかし、面白みで、テレビゲームが優れていて、2人は、楽しい一時を過ごした。

 

 

 

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第10話 『鈴原の妹は・・・・』
第11話 『家庭教師!?』
第12話 『マグマダイバー』
登場人物