月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

   

 チンッ!

 という音とともに開く扉。

 上着を脱ぎ捨て、加持を押し倒しているミサトの姿がそこにあって、

 ゲンドウ、冬月、リツコ、伊吹、青葉が憮然と冷たい視線を二人に向けていた。

 「フケツ」

 マヤが呟き。

 ゲンドウだけが口元をゆるませていた。

 

第16話 『綾波と昼食を』

 

 15年前、西暦2000年

 青く美しい光を放つ地球。

 突然、夜の側の南極大陸から閃光が膨れ上がり、

 光の渦がプラズマを撒き散らしながら南半球のオゾン層を吹き消し飛ばしていく。

 南極上空の咆哮と轟音。

 光の柱が南極大陸を包み込みながら成層圏を突き破って宇宙へ放射されていく。

  

 南極の施設群は、衝撃で吹き飛ばされ。

 灼熱の炎で黒炭した越冬隊員の死体が累々と転がり、

 吹き荒れるブリザードの音に混じって、咆哮が轟く。

 少女を抱えた男が基地を脱出し

 気を失っている少女を非常用脱出カプセルに乗せる。

 少女の頬に血溜まりが落ちて、うっすらと目を覚ました。

 「・・・・お父さん?」

 少女が最後に見たのは、少し緩む口元。

 カプセルが閉じられた。

 南極大陸の地盤から蒸気が吹き上がり、

 南極圏から広がる巨大な渦が全てを吹き飛ばし

 中心から巨大な人型が現れ、光の両翼が宇宙に伸ばされていく。

   

  

 洋上

 少女が漂うカプセルに立っていた。

 ボロボロ防寒具と胸元に下げられた十字架は、血が滲み、

 少女は、唇を噛み締め、人型に光る天空を見上げていた。

  

  

 コンフォート17

 ふくよかな胸と、胸元から脇腹にかけて残る傷痕が鏡に映っていた。

 薄暗い室内、足場も無いほど散らかっていた。

  

  

 雨の降る中、零号機、初号機、二号機が第9使徒を都市の郊外にまで運ぶ。

  

  

 二号機

 複座エントリープラグ

 シンジとアスカ。

 二人の正副調整は、困難を極めたが総合力で若干の伸びが認められ。

 ミサトとリツコがシンクログラフを見ながら検討していく。

 「悪くは、無いわ」

 「シンジ君とアスカの場合。複座より単座2体、出す方がましってことね」

 「神経接続で0.0009パーセント重複しているけど。微妙なところね」

 「疲労は」

 「疲労は・・・単座より、ストレスが+2だから、単座より悪いわ」

 「まあ、相互にハーモニックス率とシンクロ率で、良い影響があればいいというだけね」

 「そうね」

 「零号機は、微妙に陰りがあるわね。若干落ちている」

 「理由は、だいたい見当付く。正直ね、レイも」

 ミサトは、二号機に視線を移す

 「総合的には、プラスにならないかもしれないわね。二号機の複座」

 「まあ、備えあれば憂いなしよ。第9使徒、あまりにも弱すぎたのはなぜ」

 「ざっと見て来たけど。側面上面の防御力が下面の25倍あったわ」

 「直上からN2バズーカ4発を受けて無事というのは、そういうことね」

 「戦車と似た構造でクモ型。ATフィールドも、同じ比重とすれば運が良かっただけ」

 「地上で戦っていたら溶解液と8本の足を振り回されて、容易に接近できなかったはずよ」

 「あの溶解液は、どうしてエヴァを溶かすことができたの?」

 「運動エネルギーも、破壊力もゼロに近いのに。ATフィールドで弾けなかったのはなぜ」

 「溶解液にATフィールド粒子が混じっていて、それがATフィールドを透過させたみたい」

 「それらしい気泡がサンプルに残されていたわ」

 「不幸中の幸いということ」

 「かも知れない・・・」

 「シミュレーションは、プログラム中だけど。データーそのものが少なすぎて」

 「残骸だけで正確に戦闘力を表現できるかどうか・・・」

 「マギの調整が終わるまで、戦自のデーターを盗めに行けそうにないし・・・・」

 「ったく。それで、私自身が直接、戦自に行って頭を下げて」

 「使徒の画像データを貰いに行かなきゃならないのよ」

 ミサトがむくれる

 「日向君じゃ駄目だったんだ」

 「作戦課の部長、直々にだって・・・」

 「戦自の親父とヒヒ爺どもが人に恥かかせて喜んでいるのよ」

 「だいたい、あいつらでしょう。停電工作」

 「証拠が無いもの・・・」

 「でも、委員会もNERVの事。完全に信用していないのよね」

 「司令は、従順に見えないものね」

 「あら、司令も、副司令も、委員会に言われて、御使いに行っているわよ。ちゃんとね」

 「南極。いなくて、嬉しいやら寂しいやら」

 「葛城三佐を全面的に信頼してのことね」

 「使徒が頭上にいる時、密室で加持君と乳繰り合っていたミサトを昇進か」

 「だから、それは違うって言ったでしょう」

 「ふっ ふっ ふふふ」

 「あんたね。思い出し笑いしないでよ。気持ち悪い」

 リツコは、落ち込んでいる日向をチラリと見ると笑いながら仕事に戻った。

 「もう、第9使徒のところに行かなくていいわけ」

 「マヤに行かせたわ」

 「こっちの調整の方が微妙だから、もう、上がっていいわよ。3人とも」

  

  

 NERVからの帰り。

 シンジと、レイと、アスカは、任務明けと早朝作業で学校が休み、

 いつになくレイがシンジに接近し、

 アスカは、シンジと微妙な距離。

 「エヴァに土方やらされるのは、幻滅よね」

 「リツコさんは、効率が良いって」

 「それぐらい、わかるわよ」

 「ねえ、ファースト。あんた服、何枚持っているの?」

 「制服4着、ほか6着」

 「はぁ 計算した通りじゃない。シンジだって、もっと持っているわよ」

 「必要ないもの」

 絶句するアスカ

 「ファースト。あんた。お金貰ってんでしょう」

 「使って良い思いしないで死んだら、どうするのよ」

 「わからない」

 「新しい服、買って着たら気分良いでしょう」

 「碇君が買ってくれた服。着ると気分が良い」

 レイは、白いブラウスと茶色のズボンを見て呟く

 アスカは、引きつりながらシンジを睨む。

 シンジ、少し退く。

 「シンジ。あんた・・・さりげなく、やることやってんじゃないの・・・・」

 アスカ、けんか腰。

 「た、誕生日プレゼントなんだ。綾波が、制服ばかり着ていたから・・・・」

 「それで、シンジが誕生日プレゼントを買ってあげたから」

 「ファーストが自分の誕生日をシンジの誕生日と同じにしたってわけ?」

 「うん」

 「シンジ。私の誕生日には、わかってんでしょうね」

 「うん・・・何か贈らせてもらうよ」

 「ねえ、どこか遊びにいかない」

 「うん・・・」

 「歯切れ悪いわね。昨日と今日の朝にかけて働かされたのよ」

 「経済損失がどうとかって、陽が昇る前から働かされるし」

 「午前中はハーモニックステスト。それとも帰って勉強したいわけ?」

 「・・・うん・・・じゃあ、綾波も一緒に行こうよ」

 レイが頷く

 「で、どこ行くの?・・・・」

 「バカシンジ。お・と・こ・が・か・ん・が・え・ろ」

 シンジは気が遠くなりかけた。

 こういうことに不得手なシンジは、すぐに思いつかず。

 どうしようと思い巡らし、周りを見回す。

 「ボーリングは?」

 シンジ、たまたま見かけたボーリング場を指差した。

 「ボーリング? まあ、良いけど」

 「綾波も・・・いい?」

 レイは頷いた。

  

  

 シンジ、レイ、アスカのが初めて一緒に遊んだのが、この時のボーリング。

 シンジが一度。アスカが二度の経験。レイは初めてだった。

 3人とも家庭の事情で遊びが苦手で、

 それでも、他のレーンを見様見真似で投げる3人の点数は、徐々に伸びていく。

 「ファースト。初めてなのに何で、一番、上手いわけぇ〜」

 「わからない」

 「チッ! シンジにも負けているし」

 「ううぅ・・・6本だ」

 「ようし、逆転よ。シンジ、昼食買って来てよ」

 アスカは、勝とうとするあまり、硬くなっていた。2本

 隣のレーンの小学生4人組にからかわれ・・・・

 「うぁぁあああ〜! ガイジンのお姉ちゃんが怒った」

 「むきぃ〜! ガキども! ガイジンって、いうな!」

 アスカがボールを持ち上げると、小学生たちが騒ぎながら逃げた。

 3人は、その日一日、ボーリング場で過ごしてしまう。

 レイは、ストライクを取ったとき、少し微笑む。

  

  

 学校

 シンジ、レイ、アスカが並んで学校に入ってくる。

 トウジ、ケンスケは、それを見てムッとする。

 「・・・シンジ。身の潔白を証明するなら、昼食に綾波を誘えよ」

 「そうや、シンジ。おまえが綾波一筋という証拠を見せな男やない」

 「な、何でそうなるんだよ」

 シンジが泣きたくなる。

 「おまえ、惣流には手を出さないと言っていただろう。それとも何か、男の友情を裏切るのか」

 「んん・・・トウジとケンスケは、別々?」

 シンジは、いつも一緒に昼食を食べているトウジとケンスケとも食べたい。

 「4人で・・食べるのか?」

 ケンスケが迷う。

 「うぅ・・綾波か・・・」

 「沈黙が支配する世界になりそうやな。おまえ、綾波といつも何を話しとんのや」

 「あまり話さないけど・・・」

 「よう、間が持つな」

 「慣れたけど・・・勉強を教わるときには話しかけてくるけど」

 「当たり前や。教えとんのやから話さんでどないする」

 「取り敢えず。シンジが誘う。もし、4人で間が持たない時は、俺たちは外れる」

 ケンスケが解決案を出す。

 「そうやな。恋人同士の邪魔をしたらあかん。俺たちは愛のキューピットや」

 「「・・・・・」」 冷や汗。

 「さ、誘わんかい!」

 シンジは、心臓をバクつかせながら、レイを誘う。

 あっさりと了承。

 

 

 昼食

 屋上

 シンジ、レイ、トウジ、ケンスケ

 シンジの隣にレイ。正面にトウジとケンスケが並ぶ。

 シンジとレイは、同じ弁当。正面のトウジとケンスケは、パン。

 いつになく、レイの表情が和らいでいる。

 正面のトウジとケンスケは、レイの魅力に当てられたようにホゥーとする。

  

 同じ屋上でアスカ、ヒカリ、チアキが食べていた。

 「・・・ついに、ついに、恐れていたことが起こったわね」

 チアキは、シンジとレイが並んで食べているのを見ながら呟く。

 「チアキは、シンジより背が高いから釣り合わないわよ」

 チアキは、クラスの女子の中で、アスカの次に背の高い。

 「うぅ・・・・」 へこむ

 「負けるな、チアキ。挫けるな」

 「ありがとう。ヒカリ・・・」

 「女って、背が高いというだけで選択肢から外されるなんて、悲しすぎる」

 「でも、チアキは、カッコ良いじゃない」

 「スタイルも良いし。きっとチアキに良い相手が現れるわよ」

 「ほほう・・・どこにいるかな・・・その相手は・・・・」

 チアキは、回りを見回す。

 「そのうち」

 アスカは、手作り弁当を食べていた。

 「でも、アスカが弁当作ってくるようになるということは、本当に完璧な女ね」

 ヒカリが褒める

 「ふふふ、加持さんに手料理を食べさせてやろうと思ってね。練習しているのよ」

 「へえ、碇君の作った弁当じゃないんだ」 チアキ

 「バ、バカ言ってんじゃないわよ。男に弁当、作らせるほど心臓強くないわよ」

 アスカは、ムッとしたようにレイを見る。

 「綾波さんは、碇君が作ったもの食べてるらしいわ」

 「代わりに碇君が綾波さんに勉強を教えてもらっているんだって」 チアキ

 「道理で点数が良くなっているわけね」

 「碇君。先生に質問されても答えているもの」 ヒカリ

 「ひょっとして、ただならぬ関係になっているのでは」 チアキ

 3人は、ジッとシンジとレイを見て結論を下した。

 「・・・まだね」 アスカ

 「・・・うん」 ヒカリ

 「んん・・・・ああいうのってさ、フラストレーション溜まるよね」

 「出来ているんなら諦めるけどさ」

 「ただの仲良しなら、チョッカイかけても良いかなっとか」

 「駄目よ、かわいそうじゃない。愛を育てている二人。見守ってあげなきゃ」

 「それは、アスカに言わないと」

 「何で、わたしよ」

 「あれ〜 離れて見るとアスカが綾波さんから碇君を取ろうとしているように見えるけど」

 「取らないわよ。わたしには加持さんがいるんだから」

 「はいはい」

 「今日は、帰りにどこか行かない」 ヒカリ

 「いいね。行こう」 アスカ

  

  

 NERV 訓練場

 暗闇の中

 シンジは、眼を閉じる。どんなに眼を凝らしても、見えないものは、見えない。

 諦めて心静かに相手の気配を探し、自分の気配を消していく。

 心眼が、本当にあるのか、疑いたくなる。

 しかし、コテンコテンにやられている事実は、覆そうにない。

 部屋の大きさと、自分の位置は、だいたい頭に入っている。

 慣れたせいか、多少動き回っても壁への激突は、ほとんどなくなり、

 精神が研ぎ澄まされていくのを自覚する。

 なんとなく、相手の居そうな空間が意識し、静かにそこに向かって移動して・・・・

 バシンッ!!

 シンジは、背後から竹刀を受けてしまう。

 焦るシンジは、逃げながら何度も反撃を試みるが当たらない。

 4度ほど、竹刀で叩かれた後、偶然、相手の竹刀を竹刀で受けることが出来る。

 その途端、シンジは、押し切られて壁に激突。倒される。

 明るくなるとレイが立っていた。

 『・・・シンジ君。なかなか、良い感じになってきたよ』 日向

 「そうですか?」

 「見当ハズレばかりのような気がするんですけど」

 シンジは、立ち上がる

 『レイは、君が来る前、保安部員と打ち合っていたんだ。彼女の方が慣れているさ』

 「はあ・・・・・」

 『・・・なんか、キスなんてとんでもないって感じだな』

 シンジは、自己嫌悪

 『落ち込まない、落ち込まない。シンジ君。だんだん良くなってきている』

 「日向さん。ミサトさんは、休みですか?」

 『ミサトさんは、戦自に用事があってね。今日中には戻ってくると思うけど』

 「そうですか」

 『じゃ。もう一回だ。中央で位置について』

 「はい」

  

 

 道場

 正面で対峙しているのは、惣流アスカ。

 トラの前にいるウサギのような気分を味わう。勝てる気が、まったくしない。

 アスカが気晴らしにシンジに打たせたことがあった。

 まったく効かなかい。

 彼女は、一言 “硬気功が少し出来るのよ” で、

 突き、蹴りの多くは、外されるか、かわされる。

 そして、アスカに良いように腕や足を取られて極められる。

 シンジは、自分が強くなっていると思っていた。

 あの上級生5人組とケンカした時、負けそうになっても1対1なら勝てる、

 と、5人組に思い知らせることができた。

 ところがアスカやレイを前にすると、勝てる気がしない。

 アスカとレイが達人でシンジは、普通より強いというレベルなのだろう。

 シンジは、アスカに腕の関節を極められて、そのまま肘打ちを受けて悶絶する。

  

  

 ジオフロント

 環状C路

 シンジから見ると、レイとアスカは、全力疾走に近い速度で走っている。

 とんでもない持久力と持続力だ。

 アスカは、マイペースに走るレイを挑発していた。

 シンジは、彼女達についていけず、コダマの自転車に先導されて走る。

 シンジは、アスカとレイに何度も追い抜かれ。

 基礎体力の違いを徹底的に思い知らされていた。

 『僕なんか。僕なんか〜』

 「・・・あの二人、タフね。自転車と同じくらいの速さで走ってるんじゃないかしら」

 「自分が、情けないですよ」

 「大丈夫よ。シンジ君も並以上よ、自信持って」

 「コダマさんは、総務なのに引っ張り出されたんですか?」

 「総務は、何でも屋だから。それに、たまには、運動しろって出されるのよ」

 「・・・・・」

 「でも、シンジ君。名前を呼んでくれるなんて照れるわね」

 「が、学校にも洞木さんっているから」

 シンジの頬が赤くなる

 「ああ、ヒカリは、妹よ」

 「えっ! そうだったんですか?」

 「仲良くしてあげてね」

 「はあ」

 「とにかく自分のペースを守って走ればいいわ」

 「先は長いし14歳だし、これからよ」

 「はい」

  

  

 NERV

 発令所にミサトが荒れ狂いながら入ってくる。

 「・・・あったまにきた! あのヒヒ爺どもが!!」

 「第9使徒のデータ貰ってきたの?」

 リツコが面白そうに聞く。

 「ええ、あっちこっちたらいまわしにされて、貰ってきたわよ」

 「ハンコを貰うたびに嫌味を言われて、ムカツクたらありゃしない」

 ミサトがデーターディスクをテーブルに置く

 「NERVは、目の敵にされているから停電さえしていなければリンクされて」

 「そのまま、入ってくるデーターだったもの」

 「マギは、復旧でしばらく使えないし」

 「ショボイわね。マギって、最高のコンピューターなんでしょう」

 「物理的に回路を切られて、末端をプログラム操作されたら弱いわよ」

 「外部ネットワークからなら、いくらでも対応できる」

 「むしゃくしゃする。リツコ。今日は、付き合って、飲むわよ」

 「第9使徒の分析、マヤにまかせっきりだったから・・・・」

 「何よ。付き合い悪いわね・・・どうせコード601でしょう」

 「・・・わかったわ。付き合いましょう」

  

  

 NERVからの帰り

 シンジの隣にレイとアスカがいる。

 よくよく考えれば、レイが10年以上、アスカが8年以上、NERVで訓練されていた。

 シンジは、今年の5月に来て、まだ3ヶ月。

 よくよく聞くと、レイも、アスカも、全寮制で、朝から晩まで鍛えられている。

 レイの場合、外で暮らすようになったのが1年前。

 年頃の女の子が学校にも行かず基地内にウロウロしている。

 これは、世間体上、問題があるので、仕方なく中学校に入れて外に出されただけ。

 アスカも、ここに来るまで、大学の全寮制で英才教育。

 14年間。シンジは無気力に流されて生きていた。

 付け焼刃で訓練されても、英才教育された二人に勝てるはずがない。

 『・・・僕なんて。僕なんて〜』

 ふと視線を感じて。見るとレイで、

 「・・・・」

 「今日は、素麺にする?」

 レイが頷く

 「ファーストは、良いわね。ご飯作ってくれる男がいて」

 アスカが、思いっきり嫌味

 「でも、僕が勉強を教わっているから」

 「ふん。勉強はね。気合で覚え込むのよ。教えて貰おうという根性からして軟弱よ」

 「どうせ、僕は軟弱だよ」

 「碇君は軟弱じゃないわ」

 「使徒7体との戦いで単独で2体。シューターで2体、共同で1体、サポートで2体を倒してエース」

 レイの言葉にアスカの顔色が変わる。

 「いまだけよ。見てなさい、わたしがエースになって見せるわ」

 アスカは、走って行く。

  

 「エースなんてどうでもいいのに・・・・・・」

 「エースがいると安心する」

 「そうかな」

 「だから碇君がいると安心する」

 「綾波。そう言ってもらえると嬉しいよ。僕も綾波が一緒にいてくれると心強いから・・・」

 シンジは、照れる。

 『や、やっぱり、綾波が一番好きだ〜』

 シンジ、心の叫び

 「そう・・・・わたしは、あまり役に立っていないから・・・・・・」

 「そんなことないよ・・・・・・綾波がいると嬉しい」

 「ありがとう」

   

 

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第15話 『静止した闇の中で』
第16話 『綾波と昼食を』
第17話 『奇跡の価値は』
登場人物