月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

  

 「凄いじゃない。エヴァかトライデントか悩むわね」

 「ATフィールド次第でしょう・・・結局、推定でしかないから」

 「とりあえず。新兵の4人と話してみましょう」

   

第40話 『秀 勝』

   

 NERV

 ブリーフィングルーム。

 リツコ、ミサト、アスカと、ケンスケ、タダシ、ヒカリ、チアキ

 「4人ともアスカと同じNERV作戦課に入ることになります」

 「シンジと綾波は?」 ケンスケ

 「シンジ君は、国防省第8特務機関所属」

 「レイは、NERV赤木研究所所属」

 「二人とも、作戦課には出向という形で参与することになっているの」

 「もう一人。朝霧ハルカという娘がいるけど彼女は、赤木研究所所属で社交部長を兼ねている」

 「4人とも、手引きは読んだかしら」

 「「「「はい」」」」 一同

 「アスカが隊長になるけど、全体の作戦指揮は、わたしが取ります」

 「4人は、エヴァ零号機、4号機、トライデント4機のどれかを担当することになります」

 「基本的に重要なのは、ATフィールドとシンクロ率。ATフィールドが展開できなければ、作戦不能」

 「エヴァに関しては、シンクロ率も、重要になります。ハーモニックステストは必ず参加するように」

 「はい」 一同

 

 ハーモニックステスト

専用機
  アルファ機 ベーター機 ガンマー機 デルタ機
素体 0.001 0.001 0.001 0.001
パイロット ヒカリ タダシ ケンスケ チアキ
ハーモニックス率 11 12 16 12
シンクロ率 25 22 24 22
ATフィールド 0.0 0.0 0.0 0.0
         
         
   
零号機 (綾波レイ専用機) 4号機 (ニュートラル機)
素体 1.0 1.4
パイロット ヒカリ タダシ ケンスケ チアキ ヒカリ タダシ ケンスケ チアキ
ハーモニックス率 6 4 4 5 9 8 12 10
シンクロ率 7 6 8 5 20 19 24 22
ATフィールド 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

 「・・・ATフィールド。確認できず」 マヤ

 「リツコ。酷いわね」

 「やはり、孤独感や排他性が、ATフィールドに反映されていたわけね」

 「なに、それ?」

 「可能性として、示唆されていたわ」

 「孤独感や排他性がATフィールドに反映されると」

 「レイも、アスカも、シンジ君も、作為的にそういう環境に置かれたから・・・」

 「社交性が高いとATフィールドも低いわね」

 「か、可能性だけで・・・ひどい話し」

 「人類の存続を天秤に掛けているのに酷いと言われてもね・・・・」

 「長期戦になりそうね」

 「それに零号機は、専用機だから。ニュートラル機の4号機よりは合わせにくいか」

 「リツコ。ダブルエントリーは?」

 「機体との適性を見てからね」

 「11使徒、13使徒のコアサルベージのスケジュールは?」

 「同じ第1使徒アダム系を捜索しているのではなく」

 「違う系列の使徒捜索だから、もっとスペクトル調整が必要よ」

 「ねえ、ハルカは、いつまで、研究所に入れておくの?」

 「組織が複雑怪奇じゃない」

 「資質の問題で研究所は手放せないわ」

 「彼女は、実力で社交部長になったの。こちらで、どうのこうの言うつもりはないわね」

 「ったく、いくら誰も意識していなくても曹長からいきなり、社交部長で私と同格の少佐扱い?」

 「あら、悔しいの」

 「そりゃ リツコは、大佐扱いだから余裕でしょうけど。マヤは、そうでもないみたい」

 「でも、日向君や青葉君は、わたしより、複雑みたいよ」

 「アスカより、上の階級になってしまうし」

 「だったら、自分で気付いてやるべきよ」

 「社交部長。彼女は、自分で気付いて、自分で動いて、自分で勝ち取ったのだから」

 「なに言っても、負け犬の遠吠えか」

 「次のカラオケ大会で遠吠えを聞かせてもらうわ」

 「ダンスの次は、カラオケか。優勝賞金も結構な金額だから思いっきりやるか」

  

  

 トライデント機二機が滞空していた。

 「どう? リツコ」 ミサト

 「ATフィールドは、まだだけど、専用機だけあって高いわね」

 「シンジ君とレイは、4号機だとハーモニックス率40パーセント。シンクロ率74パーセント。重複率0.053パーセント」

 「実戦配備も可能か。汎用性の高さだと、ニュートラル機が上という事ね」

 「ゼーレ側の機体は、全てニュートラル機」

 「5号機から13号機までの建造から換算して、実戦配備にいたる期間は、かなり必要になるわね」

 「でも選択できる人間は、多いはず」

 「結局。核になるのは、最初にコアに取り込まれた人間」

 「それ以外は、ハーモニックス率もシンクロ率も高いわけじゃない」

 「ケルベロスの情報だとそうなっている」

 「ケルベロスの情報は、全て解析されているの?」

 「いいえ、トップシークレットに関する部分はまだね。4割は、フォルダーを開けない状態」

 「肝心な部分は、わからないという事」

 「マギでも、やっているけど」

 「パスワードを間違うたびにデーターが改ざんされたら。先には進めないわね」

  

  

 ハルカは、NERVを出ると保安部の車でリツコの家に送られる。

 大豪邸のセキュリティーチェックを外して中に入ると3階吹き抜けの玄関を見上げる。

 ハルカと同世代のメイド二人、初雪と白雪。そして、猫のシャムが出迎える

 「「お帰りなさい。ハルカ様」」

 「ただいま。はぁ〜 リツコちゃんもこれじゃ婚期が来ないわね」

 「先に食事になさいますか?」

 「お風呂も、準備できています」

 「先に食べる」

 「では、すぐに準備します」

 初雪と白雪は、そそくさと台所に向かう

 『主不在の豪邸か。主従関係って卑屈になるからいやなのよ』

 ハルカは、メイドの初雪と白雪と一緒に豪華な食事を食べる。

  

  

 402号室

 うどんとすき焼き

 「・・・美味しい? 碇君」

 「うん。美味しいけど、綾波。大丈夫?」

 「少しなら食べられるから」

 「無理しなくてもいいのに」

 レイが首を振る

 「碇君と食べたいの」

 「綾波・・・ありがとう」

 シンジ。見詰め合う2人

 「2人っきりの世界に入ってる」

 マナが抗議する

 「・・・・」 シンジ、レイ

 「どうせ、わたし達は、残飯処理よね。アスカ」

 「ふん」

 「いっぱい食べてね。アスカ、マナ」

 「別に遠慮なんてしないわよ」 憮然

 「でも、アスカ。風呂上りで、なんか薄着ね。色っぽいな〜」

 「そんなに寒くないわよ」

 「ふ〜ん。でも、アスカもレイに “シンジに肉ぐらい食べさせなさい” なんて、思いやりあるわね」

 「よくいうわね。どさくさに紛れて “みんなで、すき焼きよ” なんて」

 「あれ、すき焼きが嫌い?」

 「すき焼きに良い思い出がなくてね」

 「ああ、ミサトさんのゴミタメ部屋ね」

 「へえ〜 マナ知っているんだ」 アスカ

 「ええ、買ったものと出されているゴミの量を計算すれば、20kgから45kgのゴミが溜まっているはずよ」

 「50kgを超えた当たりで限界になって半分くらい捨てるの?」

 「くっ! ミサトのやつ。杜撰な生活能力まで調べられているか。恥ずかしいわね」

 「ミサトさん・・・」

 シンジ、呆れ

 「消費されているビール缶とインスタント食品から。最低でも成人病を二つ以上持っているはずなんだけど」

 「そうなっていないのは、赤木博士の錠剤のお陰というのが3ヶ月前にわかったの・・・」

 「いまは、政府、国防省、要人全体で消費されているから、それだけで赤木博士は、大金持ちよ」

 「究極の人体整調剤だって」

 「そういえば、ハルカは、リツコさんと住んでいるんだよね。上手くやっているのかな」

 シンジは、ハルカとリツコが上手くいっているのが意外に思っていた。

 「リツコは、ほとんど家に帰らないから。家政婦のお目付け役みたい」

 「家政婦が2人いるなんて、優雅な生活ね」

 「見た感じ、赤木博士とハルカの2人とも楽しそうだけど」

 「赤木博士をリツコちゃんなんて、呼べるのハルカだけよ」

 「まるで昔からの知り合い見たい」 マナ

 「昔からの知り合い?」 アスカ

 「それはない・・・はずなんだけどね・・・・・」

 マナの言葉にシンジが、ホッとする

 「ねぇ アスカ。洞木さん、新城さん、相田君、久坂君と上手くやっていけそう?」

 「メガネとは、上手くやっていけそうにないな」

 「そんな。ケンスケとも、仲良くしてよ」

 「久坂君は、オールマイティーにカッコいいよね」 マナ

 「メガネよりマシね。学校じゃ マナも久坂と話しているじゃない」

 「だって〜 シンジ君がつれないんだもの〜」

 「向こうから話しかけてくるの。誤解しないでね、シンジ君」

 「うん」

 「マナ。護衛の少年兵も再編中でしょう」

 「だいたい、分担は終わったわ。わたしは引き続き、シンジ君よ」 マナ。ニコ

 「あ、りがとう。よろしくね。マナ」

 「うん! シンジ君。わたし、挫けない」

 「ひくっ」

 「けっ!」 アスカ

  

  

 訓練場

 アスカは、ケンスケ、タダシ、ヒカリ、チアキに囲まれていた。

 4人が一斉にかかってもアスカによって薙ぎ倒され、4人は呆然とする。

 「・・・大切なのは、ATフィールドとシンクロ率だけど。一応、体術も必要よ」

 「シンクロ率が10パーセント程度、低くても体術で優勢なら補えるわ」

 「問題は、零号機と4号機の基礎体力ね。1対1.4で4号機が、有利なの」

 「もうひとつ、4号機はS2機関が装備されていて、制限無しに動くことが出来る」

 「誰が、どの機体になるか、聞いていないけど。がんばってね」

 その後も1対4の訓練が続いたが、4人は、ことごとくのされた。

  

 NERV

 ラウンジ

 タダシ、ケンスケ、ヒカリ、チアキ

 「惣流って、あんなに強かったんだ。眼を見ただけで射すくめられるなんて・・・」  タダシ

 「4人がかりでも勝てないなんて・・・・」  ヒカリ

 「シンジや綾波も同じくらい強いのかな?」

 「碇君が上級生5人組に負けなかったって、本当だったのね」  チアキ

 「惣流に憧れていたけど、あっさりと負かされたら、声も掛けられないよ」 タダシ

 「そうだったんだ。久坂君。へえ〜」 チアキ

 「だ、誰だって男なら惣流には憧れるよ。な〜 相田」

 「まあな。相手をしてもらえないとわかってても憧れるのは止まらない。ファン心理って奴だよ」

 「うそ〜 ファンを超えてストーカーになってたくせに。知っているんだからね」

 「相田・・・おまえ・・・」

 「い、いや、俺の場合、需要に従って・・・久坂だって、買ったじゃないか」

 「うぅ そういえば」

 「ふん。男って、そういう生き物よね」

 「「ははは」」 タダシ、ケンスケ

 「ったく。その写真、何に使っているんだか」 チアキ

 「「・・・・・・・」」 タダシ、ケンスケの目が泳ぐ

 「ったく」

 「碇も強いんだろうな。ショックだ。俺の方が体格が良いと思っていたのに」

 「午後になったらジオフロントを走らされるから。そのうち、体力もついてくるわよ」 ヒカリ

 「これでも小さい時は、合気道やってて少しは自信あったのにな・・・」

 「そういえば、チアキが一番様になってた」

 「自信喪失」 チアキ、ガックリ

 「くそ〜 碇のやつ、学校で、猫かぶってたな」

 「それを言うなら、アスカだって体育でかなり手を抜いているよね。という事は、綾波さんもか」 ヒカリ

 「シンジと綾波は、どこにいるんだろう」

 「トライデント機に乗っているって、アスカが言ってたけど」 チアキ

 「だけど、トライデント機って、俺達の専用機じゃないのか」 タダシ

 「訓練生みたいなものだから、エヴァに乗るかも知れないし、決まってないんだろう」 ケンスケ

 「俺は、トライデント機が馴染みやすいけど」 タダシ

 「俺も」 ケンスケ

 「わたしも」 チアキ

 「確かにトライデント機が乗りやすくて、次が4号機ね」

 「零号機は、違和感がありすぎて、なんか違うぞって感じ」 ヒカリ

 「トライデント機が良いのは、パイロット任せに出来る事だよ」

 「自分で操縦するとフラフラになる」 ケンスケ

 「ジオフロントじゃなくて。早く大空を飛びまわりたいな」 タダシ

 「はあ、いつになったら実戦に出られるのかな」

 「ATフィールドが張れてからでしょう」 チアキ

 「ATフィールドか・・・ゲームだと、すんなりと張れるのに・・・・・」

 「相田君。ゲームじゃ、死なないよ」 ヒカリ

 「そうだな」

  

  

 赤木研究所

 ハルカ、リツコ、ヨシキ、マヤ。

 ハルカが説明している。

 「・・・第11使徒と第13使徒のコアは、残骸から波長を推測できる」

 「問題は、負のエネルギーの海である虚数空間で、その波長を捜索する場合」

 「時空間の逆行という問題が起こるわけ」

 「初号機は、ATフィールド粒子をレーダーやソナーのように反射させ」

 「自らの複製に感応して虚数空間で捜索が出来たの」

 「前回、第11使徒、第13使徒のコアを発見できなかったのは?」

 「両方の波長の特性を走査させたはずよ」 リツコ

 「ハーモニックス率97パーセントでは、シンジ君が感知できなかったわけね」

 「結局、シンジ君とレイちゃんを中継してのことだから」

 「ハーモニックス率をこれ以上、上げるのは、危険だと思うけど」

 「同感ね。前回はかなりやばそうだったし」

 「手立ては、ないという事ですか?」 マヤ

 「三角測量は、有効だけど、エヴァを一機投げ込む必要があるわね」

 「ATフィールドがない場合。時間の逆行にあって、消えてしまうから」 ハルカ

 「・・・・・・」 リツコ

 「そのオリジナルコアは、それほど価値があるものなのかね」ヨシキ

 「コアが破壊されていない場合。それぞれ、培養すれば、コアの特性が発揮できます」

 「仮に11使徒の場合、ナノレベルでの加工、探査、感知、回路など経済波及効果は絶大ですね」 リツコ

 「第13使徒は?」 ヨシキ

 「第13使徒は、属性がわかり難いですが、ある種の浸透能力、強制力、制御力、変質能力、代行能力が認められます」

 「つまり、コアを無傷で手に入れた場合、そういった特性を利用できるというのか?」

 「種子は、地球圏から自己の志向性にあった属性を選んでコアと肉体を生成したと思われます」 ハルカ

 「では、第1使徒は?」

 「第1使徒アダムは、初号機ですが基本的に起爆剤ですから、人類に対する暗示や示威的な性質が一番強く」

 「総合力でバランスが良く優れていると思われます」 ハルカ

 「ゼーレは、虚数空間に対する特性を持つ第12使徒のオリジナルコアを入手しているので有利です」

 「問題は、オリジナルコアを入手しても無傷のまま種子を無力化できるロンギヌスの槍がない事です」 リツコ

 「種子を無力化しなければ、利用できないのか」

 「一度、ヘイフリックの限界を超えると自己再生は、不能になります」

 「こちらが利用するために再生すると、そのまま、リリスに向かってサードインパクトです」

 「ですが種子さえ殺せば、サードインパクトは不可能になります」 リツコ

 「という事は、静止軌道上の第15使徒アラエルは、宝の山か」

 「超長距離から精神に対して圧力を掛けることが出来ますね。そういう事です」 リツコ

 「誰も、手を出せない静止軌道上か」

 「近付けば、ゼーレの電磁弾道砲で撃ち落されます。お互い様ですが・・・」 リツコ

 「トライデント機は?」

 「ATフィールドが展開できれば、到達可能です」 リツコ

 「そうか。少なくともオリジナルコアの重要性だけは良くわかったよ。ゼーレに渡したくない」

 「「「・・・・・・・・・・」」」 ハルカ、リツコ、マヤ

 「三角測量の件。検討してもらいたい」

 「しかし、生還率が低い場合は許可できない」

 「はい」 ハルカ、リツコ

  

  

 ハーモニックステスト

 4号機

 シンジとヒカリ

 ダブルエントリー

 発令所

 「どう? リツコ」 ミサト

 「ヒカリは、ハーモニックス率26パーセント、シンクロ率40パーセント」

 「組み合わせは、シンジ君。アスカ。レイ。ハルカの順番ね」 

 「シンジ君が核なのは変わらないか」

 「それでも、ATフィールドは、まだね」

 「シンジ君を主軸に引っ張っても効果は少ないか・・・・」

 「レイとアスカが普通なのね」

 「いきなり初号機を動かしてATフィールドを展開したシンジ君が異常なのか。納得したわ」

 「それでもダブルエントリーとシンジ君のおかげで、進捗率が良いわね」

 「シンジ君、本人の特性?」

 「まぁ 初号機のコアが、オリジナルという点もあるけどね。それだけじゃない資質もあるわね」

 「たぶん、シンジ君の初号機に対する無防備さね」

 「資質か、ローテーションは、どうするの?」

 「作戦課としては、4号機を優先して戦力化させて欲しいんだけど」

 「シンジ君、レイ、アスカ、ハルカと、ヒカリ、チアキ、ケンスケ、タダシの組み合わせの相性は、一覧表にしたけど」

 「4号機の相性で一番良いのは、シンジ君とレイ、次がハルカ」

 「新人4人の中で、4号機と一番相性の良いのはケンスケ君」

 「でも、シンジ君と相性が良いのは、チアキだから」

 「集中的にシンジ君とダブルエントリーを続ければ、チアキが早く戦力化できるわね」

 「賛成。彼女、合気道やっていたから、体術の筋がいいみたい」

 「シンジ君とチアキの組み合わせで行きましょう」

 「あと、次点で、ハルカとタダシ君、アスカとヒカリの組み合わせも重複率で微妙に良いみたいね」

 「微妙か・・・本当に微妙ね」

 ミサトがデータ表を見ながら呟く

 「じゃ・・・4号機は、チアキという事で進めていいのかしら」

 「ニュートラル機だから、柔軟に進めて、一応、チアキという事でね」

 「零号機は、ケンスケ君が、一番、相性が良いみたいね。まだ、動かないけど」

 「リツコ、それも社交性の問題?」

 「ATフィールドは、それが大きいけど。ハーモニックス率とシンクロ率は、別の要素の方が大きいわね」

 「ふ〜ん。じゃ ケンスケ君のダブルエントリーの相手はレイがいいの?」

 「・・・相田君との相性は・・・・シンジ君とハルカの方が良いわね」

 「んん・・・・んん・・・・」 ミサト

 複雑すぎて混乱

 「ダブルエントリーだと、進捗度は、倍以上ね」

 「専用機だと2ヶ月、ニュートラル機だと4ヶ月」

 「零号機だと10ヶ月後にシンクロ率50を超えて戦力化できそうね」

 「やはりシンジ君が異常なのか」

 「緊急事態だったけど、ありがたい存在だったわね」

 「そうね」

 ミサト 疑わしげ

  

  

 第16使徒アルミサエル

 ミサトが走るスポーツカーから携帯で指示を出す

 「・・・あと15分で、そっちに着くわ」

 「シンジ君とレイを初号機で、8番ゲート、アスカとハルカを二号機で、11番ゲートから出して」

 山越にDNA二重螺旋リング型の使徒が滞空していた。

 「肉眼で使徒を確認、か」

  

  

 発令所

 出撃する初号機と二号機

 「遅いわよ。ミサト」

 「・・・・非番中に来るなんて、どうしてくれようかしら。様子は?」

 「目標は強羅絶対防衛線を通過」 青葉

 「パターンは、オレンジと青を周期的に変化させています」 日向

 「ATフィールドじゃない状態があるの?」

 「マギは、解答を保留しています」 マヤ

 「シンジ君。アスカ。相互支援を忘れないでね」

 『はい』

 『・・・・はい』

 「日向君。新兵の4人にも、実戦映像を見せて」

 「はい」

 「目標は、ロックしている?」

 「はい。目標は大涌谷上空にて滞空。定点回転を続けています」

 「荷粒子砲3基。電磁弾道砲20基、地対空ミサイル35基が準備完了です」

 「N2バズーカも4発が準備できてます」 日向

 「N2バズーカは、使いたくないわ。荷粒子砲と電磁弾道砲による支援攻撃。開始」

 「了解。攻撃を開始します」 日向

 荷粒子砲と電磁弾道砲が使徒に命中するが効果なし、

 「依然として変化なしです」 日向

 「リツコ。コアは?」

 「無いようね」

 「コアなしか・・・分かっちゃいるけど。攻撃しても変化無しは、馬鹿にしているわよね」

 「属性からすると二重螺旋のリング。DNA構造で体積自体は単純で小さい」

 「その分、シンプルで衝撃には強いかも」

 「適切な助言。ありがと。ありがたくて涙が出てきそうよ。初号機と二号機は?」

 「現在。第3東京市から12km。使徒に対し相対距離1kmで対峙」

 「初号機と二号機の相対距離は150mです」 日向 

 「ライフルは、役に立たないと見て良いわね」

 「ライフル弾にATフィールド粒子がどの程度、含まれているかによるわね」

 「試してみるか。シンジ君。ちょっと撃ってみて」

 「はい」

 初号機からライフル弾10発が撃ち出され6発が命中、第16使徒は、衝撃に震えただけだった。

 初号機が予備のカートリッジと交換する。

 「近接戦闘に決定か。代案はある?」

 「・・・・・」 リツコ

 「は〜い。いろんなサンプルのエヴァ光質を撃ち込んだら良いと思いま〜す」

 ハルカが手を上げて答えた。

 「・・・・・・」 アスカ

 「・・・どうなの? リツコ」 ミサト

 「・・・培養中のエヴァ光質は変種を含めて43種」

 「ライフル弾頭に仕込んで、命中させれば遺伝子情報を狂わされて癌化を起こせる」

 「ウラン弾より軽量だけど初速と貫徹能力に優れてATフィールドも、まとい易いか」

 「すぐに技研に作らせるわ」 

 「どのくらいで、出来る?」

 「そうね・・・・2000kg使うとして、弾頭ひとつに100kgなら20発分」

 「1時間も、あれば準備できるわ」

 「地下にはエヴァの廃材があるから加工すれば、2000発は作れる」 

 「へぇ〜 随分、おりこうさんね。ハルカ」

 「へっ へっ へっ 褒められちゃった」

 「社交部長じゃ 勿体無いわね」

 「社交部長は気に入っているの。お年頃なのに虫の付かない女性が多くて」

 「ぶっ!」 アスカ噴出す。

 「ハルカ。戻ってきたら、分かっているでしょうね。戦闘中の記録は、消せないのよ」

 ミサトが震え。

 リツコはムッとする。

 永久保存決定なのだ。

 「・・・とにかく、時間を稼ぎなさい。弾は作るから」

 ミサト険悪

 「は〜い」

  

  

 近接戦闘が始まる。

 初号機と二号機は、巧みな連携で戦う。

 数分後、リング状から一本の紐状になった第16使徒が地表スレスレに蛇行しながら初号機に接近。

 初号機がナイフで切りつけるが蛇のように捻ってかわし初号機の胸に突き刺さる。

 両手で引き抜こうとする初号機だが胸と指が侵食されそうになる。

 「くっ!」

 「碇君」

  

 発令所

 「・・・・目標が初号機と物理的接触」

 「初号機のATフィールドは」

 「展開されていますがパターンオレンジの状態時に侵食が進むようです」 マヤ

 「使徒がエヴァに興味を持ったという事。接触を求めようとしているの?」

 「アスカ、初号機を支援して!」

 二号機が支援しようとすると、もう片方の末端が蛇の様に襲い掛かる

 「マヤ、状況は?」

 「現在。初号機の生体と融合しつつあります」 マヤ

 二号機がライフル弾を撃ち込んだ後、ナイフで尾の部分を切り刻もうとする、

 しかし、尾の部分が二号機にも襲い掛かるため攻撃が成功しない。

 「大丈夫? シンジ君。レイ」

 『な、何かが体に入り込んでくるようです』

 『使徒が・・・初号機を乗っ取ろうとしている』

 「リツコ。何とかならないの?」

 「前回が精神的な浸透。今回は物理的な侵食か・・・」

 「マヤ。シンジ君とレイのハーモニックス率とシンクロ率をランダムに変動させて」

 「はい」 マヤ

 マヤがパネルを操作すると、使徒の侵食が混乱したのか、初号機から離脱。

 二号機に向かう。

 二号機は、機敏な体術とナイフを巧みに操って使徒の侵食を防いだ。

 「シンジ君、レイ。大丈夫?」

 『・・・物凄く気持ち悪いです』

 『ぅぅ・・・』

 「マヤ。初号機を接近戦モードで最適値に戻して」

 「はい」

 「どう? 2人とも」 リツコ

 『よくなりました』

 『・・・問題ありません』

 「今度は、侵食されないようにね。いやな思いはしたくないでしょう」

 『『はい』』

 初号機と二号機は、紐状の使徒を相手にナイフで立ち向かう。

 動きが機敏で衝撃に強い使徒は、強く。

 なかなか致命傷を与えられず勝負がつかない。

 その後、初号機が2度、二号機が1度侵食され、

 パイロットの主副をランダムに切り替えると、

 使徒は、対応できず、ふらふらと離脱していく。

  

 エヴァ光質を弾頭に込めたライフルが射出され、

 初号機と二号機の近くに飛ばされて着地。

 初号機と二号機は、機会を見計らってライフル弾を撃ち込んでいく。

 その後も戦いが続くが、第16使徒は、急速に変色し

 動きが鈍くなると初号機と二号機に切り刻まれてバラバラにされて殲滅。

 

 

 発令所

 リツコ、ミサト

 「これで、第11使徒、第13使徒。新たに第16使徒のコアが虚数空間に漂っている事になるわね」

 「サルベージするの?」

 「生還率は、大丈夫なんでしょうね」

 「初号機は、虚数空間から戻ってきたわ」

 「今度は、戻ってこないわよ」

 「シンジ君とレイは、手に手をとって、平安な虚数世界で生きていくから」

 「・・・・それも、そうね」 リツコ、妙に納得

 「さてと・・・」

 ミサトが発令所から出て行こうとする

 「どこに行くの? ミサト」

 「功労者のハルカをたっぷりかわいがってやるわ。ふふ、ふふふ、ふふふ」

 「怖いです。ミサトさん」 マヤ

 「あのガキ。死ぬほどケーキを食べさせて、豚にしてやるわ。ふふふ、ふふふ、ふふふ」

 怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨

  

 

 市内のケーキバイキング

 ミサト、ハルカ

 「・・・さあ、好きなだけ食べてハルカ。私の奢りよ」 ニコニコ

 「ありがとうございます。ミサトさん」

 「あら、気にしないで使徒殲滅の功労者なんだもの当然よ」 ニコニコ

 「でも、私だけじゃ アスカやシンジ君とレイちゃんも、がんばったのに」

 「わたし、戦闘には役に立っていないから」

 「あら、良いのよ。奥ゆかしいわねハルカったら」

 「マギの戦績分析でもハルカは、リツコと並んで功績トップよ」

 「職責差からすれば、ずば抜けて良いし。遠慮なく食べて、持ってきてあげるね」 ニコニコ

 ミサトがふらりと席を立つ

  

 『見え見えだわ、私を太らせようとしているなんて、私の経験値を知らないのね・・・・・』

 『14年前は、かわいそうな子だったのに・・・・大きくなって・・・・』

 

 ハルカの回想で葛城隊長の娘を慰問したときを思い出す。

  『ショックで喋れないのね。かわいそうに』

  キョウコがミサトの背中を擦る

  『か〜ご〜め〜か〜ご〜め・・・』

  『・・か〜ご〜の〜中〜の〜鳥〜は・・・・い〜つ〜い〜つ〜で〜や〜る・・・・』

  『夜〜明〜け〜の〜晩〜に・・・』

  『・・つ〜る〜と〜か〜め〜と〜す〜べ〜っ〜た・・・・・後〜ろ〜の〜正〜面〜だ〜あ〜れ』

  いつの間にかキョウコは、ミサトを抱き寄せ、ミサトも、キョウコに身を預ける

   

 「・・・なに、ボーとしているのハルカ。ほら、ケーキよ」

 ミサトがケーキを山盛りで持ってくる。

 不意に現実に戻される

 「ひくっ・・・・・」 ハルカ。たら〜。

 「さあ、食べてね」 ニコニコ

 『ミサトさんったら本気なのね』

 「・・・ミサトさん。ゲームしませんか?」

 「ゲーム?」 ニコニコ

  

  

 翌日

 青い顔をしたミサトが発令所に出てくる

 「うぃ〜す」 ミサト、ヨタヨタ

 「どうしたの? ミサト、大丈夫」

 「ぅぅ・・・ ビールとは、全然違う・・・ケーキの食べ過ぎで死にそう」

 「ハルカに食べさせるんじゃなかったの?」

 「ぅぅう・・・そのつもりだったんだけどゲームで負けた方が食べるってことになって」

 「賭け率1対2だから。楽勝だと思ったのに・・・」

 「うぇ〜 気持ちワル〜 35個も、食べるなんて」 

 「どんなゲーム?」

 「ストローを15本使ったゲーム・・・・1本から3本まで取り合って・・・・最後の1本を取ったら負け」

 ミサト、ぐて〜

 「そ、それって・・・」 マヤ

 「はぁ〜 35回も負けて気付かなかったのね。気付かせなかったのか」

 リツコ、ぼそり

 「無様です」  マヤ

 「はぁ〜 マヤ、第16使徒の残骸を急いで調査しなきゃ 今日は徹夜になるかもしれないわね」

   

 

 発令所

 「あ・・ぎゃははははははははははははははははは!!」

 突然、笑い始めるリツコ。

 スタッフ全員が振り向くとリツコの背後からハルカが脇をくすぐっていた。

 「あはは・・・あははは・・・・あははは・・・・あははは」

 リツコ、崩れた状態でも笑いが止まらない

 「リツコちゃん。先に帰るからね」

 ハルカが、やさしくリツコの頭を撫でる

 「あはは・・・あはははは・・・・あははは・・・・あはははは・・・ハ、ハ、ハル、ハルカ」

 「うふ。じゃ お先に。リツコちゃん」

 「あはは・・・あはははは・・・ハルカ〜」

 リツコが起きてダッシュ。

 逃げるハルカを追い掛け回して発令所を一周。

 その後、通路に出て、奇声を上げながらハルカを追い掛け回すリツコがいた。

 スタッフは、関わるまいと全員が知らない振りを決める。

  

  

 遊園地

 シンジ、レイ、マナ & アスカ、ハルカ

 シンジは、レイとマナに腕を組まれていた。

 ゼーレが正面から戦わずパイロットを殺傷すれば、今後の展開で圧倒的に優位になる。

 “護衛よ”

 とのたまう、マナの言い分は、第16使徒殲滅後、さらに強くなる。

 死海文書によれば残りの種子は1体。

 エヴァ9機、ロンギヌスの槍9本を持つゼーレが日本を滅ぼした後、第17使徒を殲滅。

 単独で、サードインパクトを起こす可能性は増大していた。

  

 注目を浴びるのは、麗人レイと華人マナの両側から腕を組まれる凡庸シンジだった。

 シンジは、刺々しい視線を浴び続けて、うつ悟りの世界に逃避。

 「楽しいわね。シンジ君」

 「そ、そうだね」

 「碇君。どうして、緊張しているの?」

 「それはね。美人二人に挟まれているからよ」

 「・・・・・・」 シンジ

 「モテモテね。シンジ君」

 「なんか、周りからの敵意を煽っているような気がするんだけど」

 「大丈夫よ。シンジ君は、命がけで守るからね」

 「わたしも」

 『違うんだよ・・・逆効果なんだよ・・・・視線が痛いよ』

 「・・・ありがとう」

 シンジ、ため息。

 「シンジ君。お弁当作ってきたから一緒に食べようね。レイの分もあるよ」

 「外食で、良かったのに」

 「いっぱい食べてね」

 マナ、ウルウル攻撃

 「うん」

  

 

 

  

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第39話 『徴 兵』
第40話 『秀 勝』
第41話 『東洋の3賢者 復活』
登場人物