第41話 『東洋の3賢者 復活』
遊園地
シンジ、レイ、マナの後方100メートルのアスカとハルカ
「・・・ねえ、アスカ、弁当作ってきたの一緒に食べようね」
「外食でも良かったのに」
「アスカ。シンジ君たちと一緒にいなくても良いの?」
「良いわよ。一緒にいたって、アテられるだけだから」
「また男狩する?」
「そんなに飢えているわけじゃないから」
「ふ〜ん。シンジ君が良いのかな〜」
「だ、誰があんなチビ。冗談じゃないわ」
「もっと素直になった方がいいわ、アスカ」
「シンジ君とレイちゃんの間には入り込めそうにないけどね」
「ハルカは、どうなの? 良い男がいるの?」
「そうね。まだ決めかねているけど、久坂君も、相田君も、良い感じね」
「少年兵にも良さそうな子が何人かいるわね。日向マコトも、ありかな」
「ぅ・・・なんか、人生捨ててない」
「学校に行けば、もう少し選択が広がるんだけどな」
「ゴミばかりよ」
「磨けば光るわよ」
「苦労人。自分で自分を磨けない人間なんて怠け者よ」
「ゴミばかりなら。こっちで磨かないと売れ残っちゃうでしょう。ミサトさんやリツコちゃんみたいにね」
「うぅ・・・それは不味いか」
「ねえ、そのルビーのペンダント、いつもつけているのね」
「ま、魔よけみたいなものよ」
「ふ〜ん」
「ハルカって、本当に労働孤児だったの?」
「どうして?」
「だって、頭良すぎない」
「そうかな」
「いつもリツコのところで、なにやっているの?」
「ええと体とか、頭とか、調べられて、空いている時間にリツコちゃんと遊んだり」
「あとは社交部長の仕事したりよ」
「遊んだり・・・・昨日、NERV中でリツコと追いかけっこしていたのが・・・遊び」
「まあ、遊びの内かな」
「ハルカ。いい加減にしないとエントリープラグに辛子を投げ込まれても知らないからね」
「NERVで、赤木博士といえば、秋津司令、冬月副司令に次ぐ、第3位の実力者なのよ」
「・・・・そうね。気を付けるわ」
「前回の使徒戦でハルカも一目おかれているけど。リツコとは、実績の規模が全然違うのよ」
「実績の規模か。幸福と比例すれば良いんだけど」
「随分、達観的ね。ハルカ。人間って間違いやすい生き物よ」
「達観的な人間が犠牲にされることは珍しくないのよ」
「アスカ。心配してくれるの? ありがとう」
「別に、心配しているわけじゃないわよ」
ハルカがアスカの腕を組む
「アスカ。あれに乗ろう」
NERV
ラウンジ
ミサトとリツコがコーヒーを飲んでいるところに日向が来る
「ミサトさん。例の新型弾頭は、2000発ほど製造できるそうです」
「残りは培養次第ですから月産30発です。光質の変種に時間がかかりますからね」
「ハルカの思い付きで、最後の第17使徒とゼーレのエヴァ軍団に対し、効果的な飛び道具ができたわね」
「ロンギヌスの槍を持つ相手にどうしようかと思っていたから助かるわ」
「ミサト。勝ち目は、ありそう?」
「少しね。日向君。新兵の訓練は進んでいる?」
「ええ、使徒来襲で多少、タイムスケジュールが狂いましたが順調です」
「総合だと。チアキが一番、適性が良いわね」
「さすが保安部長の娘。基礎体力、戦略志向、情報処理能力とも優ね」
「ケンスケ君も。タダシ君も、安定している」
「三人とも精神的に自立している部分が安心感を与えてくれますね」
「そうね。シンジ君、レイ、アスカの3人は精神的に歪すぎたから」
「チアキ、タダシ君、ヒカリの3人の精神的な安定感は救いね」
「ケンスケ君は、問題があっても、ある意味、前向きだし」
「ハルカは?」 日向
「ハルカか・・・あの娘は、別格、特別だわ」
「もっと早く現れていたら良かったのにね。そう思わない、リツコ」
「そうね」
「あの娘が休みだと寂しいでしょう。静かで・・・」
「平安よ」
「その割に手放さないのね」
「調査が終わってないもの」
「へぇ〜 妹みたいでかわいいんじゃない?」
「まさか。ミサトは、あの娘が休みだとつまらなそうね」
「ふふ・・・そりゃ つまらないわよ。リツコがNERV中を走り回る姿が見られないんだもの」
「・・・・・・・・」
「もう、虚勢を張っても遅いわよ」
「リツコがかわいいと思い始めている男性職員。増えているみたいよ」
「あら “かわいらしさ” を捨てたつもりは、なかったけど」
「少なくとも、大学時代よりも、かわいくなっているわ、ね。日向君」
「は、はい、赤木博士は、十分に魅力的な女性です」 汗
「・・・・・」
少し赤らむリツコと日向、面白がるミサト
「ふふふ。リツコちゃん〜 ハルカがいなかったら言ってもらえなかったセリフね」
「・・・・・・・」
「こちらの新兵とゼーレのエヴァ軍団。どっちの戦力化が先かしら」
「最近、ケルベロスのフォルダーの一つを開くことが出来たの」
「まだ確証はないけどゼーレがエヴァ3体とロンギヌスの槍3本を追加建造している」
「エヴァ12体、ロンギヌスの槍12体。ゼーレの核になる老人が12人だから信憑性があるわね」
「じゃ 4対9じゃなくて4対12になるわけ」
「ゼーレの人類補完計画から推察すれば、老人12人を核にした12個のコアが必要になる」
「時が来たら、12人の老人達がニュートラル機のエヴァ12体のコアに取り込まれたあと」
「12個のコア、3000万人分のインストールが行なわれる」
「12体のエヴァと12本のロンギヌスの槍でリリスと融合し」
「アンチ・ATフィールドを増幅させて地球圏を覆う」
「人類全ての心身は、結合力が失われて液化」
「12人の老人を核に心身が融合した地球規模の液体生命体が出来上がり」
「そ、そんな権利がゼーレにあるわけ、冗談じゃないわ」 ミサト怒
「独善的というわけじゃないわ」
「独善よ」
「じゃ ミサトは、人口、資源、人種、言語、食料、公害。環境。宗教・・・」
「民族紛争、国境紛争、経済問題、貧富の問題、犯罪増加を解決することが出来る?」
「マギの計算だと、あと200年で人類は自滅よ」
「たった、一つの問題を解決するのだって、犠牲と反発で袋小路に入る」
「セカンドインパクトで、人口が激減したから人類の寿命が200年程度延びたに過ぎないの」
「死刑囚も同じ」
「だ、だからって」
「全て解決する代案がなければ、人類は自滅よ」
「碇司令も代案を提示できずにゼーレのサードインパクトを民主的な状態」
「個性を強い状態で軌道修正させる程度の計画しか進められなかったのよ」
「だからって」
「問題を先送りにする?」
「200年後の荒廃した地球に資源もなく取り残された子孫に呪われるだけよ」
「解決案は、本当にないの?」
「ゼーレも、各国政府も、50近い代案が検討されているし」
「マギもおよそ同数の代案を出しているけど」
「ミサトや常人が納得できる代案は、一つもないわ」
「それだって、寿命が200年から6000年程度延びるだけ」
「ゼーレが計画している人類補完計画のような根本的な代案じゃないわね」
「見たいなら見せてあげるけど。資源の枯渇で、強い国は、弱い国を支配したくなる気分よ」
「無知は、死の影か・・・人類の未来を見せてもらいましょう」
遊園地
昼食
シンジ、レイ、マナ
マナのバスケットからたくさんの弁当箱が出てくる。
「凄い豪勢」
「へへへ。すき焼きのお礼よ。シンジ君。レイ。食べて食べて」
まるでレイにプロ級の実力を見せ付けるかのように日本料理とイタリア料理が並べられる。
「美味しい」
「美味しい」
「いっぱい食べてね」
「うん」
あまりの美味しさに3人は、あっという間に食べてしまう
「シンジ君。わたしを恋人にしたら毎日。食べられるわよ」
「・・・」 シンジ
「碇君。マナを恋人にしないの?」
「えっ いや、それは・・・」
レイ、マナ。じ〜っ。
「ぼ、僕は・・・綾波を恋人にしたいから・・・ごめん」
「やっぱり。だめか」
マナ、失望
「わたしも、マナも、恋人にすればいのに・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「どうしたの?」
「レイって、倫理観に問題あるんじゃ・・・・」
マナがシンジに耳打ち
「そこまで考えていないだけだと思うけど」
「そういう事なら、私も恋人よね」
「それは、倫理的に不味いよ」
「だって、良いって」
「だ、駄目だよ」
「うぅ・・・うぅ・・・シンジ君・・・」
マナは、ハンカチ出して泣き真似
「もう」
マナがシンジの頭を撫でる
「えっ!」
「使徒をやっつけた。ご褒美よ。約束したでしょう」
アスカ、ハルカ
「美味しい?」
「うん。美味しいけど、大変だったでしょう。こんなに作って」
「半分は、メイドが作ったの・・・あの娘達、自分達で作るって言い張るから、まいったわ」
「優雅な生活ね」
「うん、王女様よ。リツコちゃんは、それに浸る暇もないけどね」
「ちょっと一度、行って見たいわね」
「良いわよ。ちょっとリツコちゃんに聞いてみるわね」
ハルカが携帯を取り出す。
赤木研究所
リツコ、マヤ
「三角測量で問題になるのは生還率ですけど、生存率を考えれば初号機と4号機ですね」
「4号機より二号機の方がハーモニックス率が高いから精度的に発見率が高いわ」
「発見率が低ければ、それだけ無理をすることになる」
「では、やはり、初号機を虚数空間側に」
「初号機は、ATフィールドで虚数空間の壁を作った使徒レリエルを引き千切って、実数空間に出現。実績があるもの」
「命綱も光質を組み込むからATフィールドをまといやすくて簡単には切れないでしょう」
「そういえば、二号機のケーブルもエヴァ光質を使うんですよね」
「ええ、本部だけ。光質培養で予算超過は確実ね」
「ロンギヌスの槍の培養もするんですよね」
「オリジナル・コアをゼーレに渡さないだけでも価値があるけど」
「オリジナル・コアを捕獲しても利用できないのは辛いでしょう」
「そうですね。でもロンギヌスの槍。光質より、闇質という感じですね」
「ブラックホールでもないのに光質を消失させる理屈は、分かり難いですけどね」
「良く分からなくても、使うしかないわ。リリスやエヴァ自体そうだもの」
リツコの携帯がなる
「・・・なに?・・・・そう・・・・・好きにして良いわ・・・・・帰れない・・・・・・じゃ・・・」
「・・・・・・・・・・・」 マヤ
「子供達が家に泊まるみたいね」
「楽しそう。帰らなくて良いんですか?」
「仕事が優先よ」
「はい。でもハルカって、キョウコさんの記憶があるといっても性格的に本人なんですか?」
「本人よ。子供時代に遊ばれたもの」
「す、凄いです」
「先輩。伝説の3賢人と身近にいたなんて・・・」
「でも、キョウコさんって、おもしろい性格だったんですね」
「3人の中では、一番楽しい性格だったわね。わたしも彼女が好きだった」
「だから、主導権を取られちゃうんですね」
「実力で主導権を取っているのよ。本来なら、冬月副司令と同格なんだから」
赤木邸
赤い車が到着して5人が降りる
ハルカがセキュリティーチェックを済ませるとハルカ、シンジ、レイ、アスカ、マナの5人が大豪邸に入っていく
メイドの初雪、白雪の2人が出迎える。
「凄い」 マナ
「大きい」 シンジ
「むかし住んでいた家もこんな感じだったわね。お手伝いも4人から5人いたし」
「・・・・・・・・」 ハルカ
「えっ アスカってお金持ちのお嬢さんだったの?」
「・・・古城なんて、でかいだけ、お手伝いがいなければ不便な貴族社会の残骸よ」
「日本の家屋の方が遥かに合理的で機能的ね」
「じゃ この家は、でかくて機能的で合理的な大豪邸」 マナ
「そういう事になるわね」
「客室の準備が出来ているので案内いたします」 初雪
「食事は7時までに準備します」 白雪
シンジ、レイ、アスカ、マナは贅沢な客室に案内されたあと、
豪勢な食事にありつく。
その後
マナの提案で5人がトランプゲームに興じる。
深夜
暗闇の中
こっそり客室のひとつに入る人影
ベットで布団をかぶって寝ている人物
「シンジ君〜 一緒に寝ようね」
マナがシンジのベットに入り込む
「シンジ君〜 は、私の部屋と替わったわ」
「げっ!! アスカ!!」
「あんたのことだからやると思った」
「アスカ〜」 マナ泣き
「シンジの部屋。カギかけるように言ったから。メイドにも言ったし」
「ふぇ〜ん」 マナ、泣き
「あのメイド2人だと、マナでも梃子摺るわね」
「ぅぅぅ・・・・私と同じ匂いがする。労働孤児上がりで訓練されている」
「アスカと良い勝負よ。私でも2人同時だと不味いか」
「あんた。いい加減に諦めたらいいでしょう」
「だ、だって、レイが、私も一緒にシンジ君の恋人になったら良いって言ったんだもの〜」
「・・・レイも・・・淡白な娘ね」
「だから、ここは、既成事実を作って、一気に正妻の座を・・・と思ったのに〜」
「はぁ〜 無理でしょう。一緒にエヴァに乗って生死を共有しているのよ」
「それも、ダブルエントリーで感覚の重複も多いし、二人を引き離すのは無理よ」
「ねえ、その感覚の共有ってどんなものなの?」
「機密だから言えない」
「感覚の共有。なんかいやらしい響きだわ」
「御名答」
「ぐ・・・・」
くつろぐマナ
「あの2人、もうやってるのかな」
「何よ、一緒に寝るつもり」
「んん・・・戻るのめんどくさくなっちゃった」
「もう、やっているか、わからないわね」
「ダブルエントリーの影響でしょうけど妙に気が合っているから」
「んん・・・シンジ君の体術。レイにソックリだし、もの物凄く実力つけているし、頭も良くなっているし」
「それでいて2人は、馴れ馴れしくないから、やってないと思うけど」
「やってたら、もっとベタベタしているというの?」
「今日、カマ掛けたけど、やってたら、もっと反発すると思ったんけどな」
「シンジ君。我慢しているのかな」
「そんなに生々しくないわよ」
「リツコが戦闘に集中できるように適当に抑制させているんじゃない」
「あの女なら、やりかねないわね」
「シンジって、会ったときから女性的なところあったから。それでも、随分男っぽくなったけど」
「う・・・それって不自然。不能になったらどうするのよ」
「その逆だって出来るでしょう。リツコなら錠剤で一発」
「うっ それって、なんか、冒涜」
「あのマッドサイエンティスト。冒涜くらいで尻込みするようなタマじゃないわよ」
「シンジ君。男の本性が抑えられるって、かわいそう」
「なに? シンジに襲われたいわけ」
「うん。シンジ君なら」
マナ、ぽっ。
「そりゃ 女のあんたが夜這い掛けて来るくらいだから、そうでしょうよ」
「アスカに邪魔されていなかったら。今頃、シンジ君の胸の中で、ウフ」
「けっ!」
「なによ。アスカは、シンジ君に襲われたら抵抗するの?」
「そういう事にはならないわよ」
「その言い方だと、大して抵抗しないわね」
「バカ。さっさと寝なさいよ」
4号機
ダブルエントリー(シンジ、チアキ)
ミサト、マヤ
「・・・微量ながらATフィールドを検出しました」
「そう、ハーモニックス率、シンクロ率とも実戦には出られないけど」
「予測どおり、4号機・チアキで決定ね」
「集中すれば、計算より早く就役できそうです」
「新兵同士のダブルエントリーはないの?」
「基本的に新兵四人の基礎データーは、違いすぎますから・・・」
「洞木ヒカリと久坂タダシのダブルエントリーが一番高いですけど・・・」
「コアを書き換えないでニュートラル機で使えば、500分の1でシンクロできるので」
「一からパイロットを募集した方がましですね」
「霧島マナで、ぴったりシンクロなら、オチとして、良いけど」
「ははは、タイムスケジュールから募集を募っている暇はありませんね」
「トライデント機は?」
「ダンゴ状態ですが、タダシ君、ヒカリ、ケンスケ君の順で進んでいます」
「零号機を後回しにする方がいいのかしら」
「零号機とトライデント機の戦力比は、10対1ですから、一概には言えませんが」
「それは、シンジ君とレイの零号機とトライデント機のATフィールドの出力比が10対1だからでしょう」
「でもトライデント機は専用機なのよ。本人が乗れば出力が上がる」
「まだ、期待値すら出せませんけど」
「そうなのよね・・・ゼーレも、似たような状態なのかしら」
「ゼーレのニュートラル機だと、500分の1でエヴァにシンクロ出来ます」
「シンジ君やレイ、アスカのような。高シンクロ率搭乗員がいないので、互角だと思います」
「アスカの両親。人質に取られる可能性があるのよね」
「人質ですか?」
「そうね」
「ゼーレに人質に取られたら、アスカは、戦えなくなるかも知れないんですよね」
「ゼーレの目的は、アスカも知っている」
「簡単には、なびかないけど、日本やNERVだって、真っ白じゃないし」
「灰色ですね」
「ゼーレだって、真っ黒というわけじゃないし」
「日本政府も、ゼーレを真似た人類補完計画。検討されているんですよね」
「結局、サードインパクトから自立した自我を守ろうと思えば、コアに取り込まれるしかないもの」
「それがイヤなら、ゼーレのサードインパクトを防ぐしかない」
「防いだ場合は、人類の自滅を防ぐ代案がない、か」
「ええ」
「自分達のやっていることに自信がもてないのは最悪ね」
「少なくとも第17使徒だけは殲滅しないと」
「確かに、それは言えるわね。リツコは?」
「赤木研究所です」
「ハルカとレイも?」
「はい」
赤木研究所
ヨシキ、冬月、リツコ、ハルカ、レイ
レイは、3Dを前に説明する
「・・・なるほど」
冬月が感慨深げに頷く
「その・・・・レイ君の考えた方法は、現実的なのかね?」 秋津司令
「調整は必要だが・・・・リリスの絶対位相空間の推算が正しければ、不可能ではない」 冬月
「ゼーレの人類補完計画を成功させた後、リリスとゼーレのエヴァ12体のATフィールドを利用して、人類の再構築」
「理屈は分かるが盲点だな。戦略的には・・・というより柔道の返し技が決まったような・・・」
「成功すれば、ゼーレの人類補完計画が成功」
「その後、リリスとゼーレのエヴァ12体のATフィールドを利用して液状化した人類を再構築」
「ゼーレのロンギヌスの槍12本とリリス。そして、ゼーレのエヴァ12体も消滅。悪くない」
「ですが再構成された人類は、元の人類ではありませんが・・・」
「つまり、秋津司令は一度、人類全ての心身が融合して、数秒で再構成された秋津司令になります」
「ある意味、進化の階梯を上がった事になるのかね。最悪の場合の保険になる」
「イデアを通過した観点で言うと。全人類的な視点、視野に立てるかもしれませんね」
「人類全部がかね」
「個性は残りますが、そういう事になりますね」
「ゼーレ案に対する対抗案にはなる」
「資源の枯渇という観点から。諸刃の剣ということもあります」
「人類の欲望より。人類の英知を信頼したいね」
「問題は、ゼーレの12体のATフィールドで出力が足りるかどうか」
「2号機並みの出力なら問題ありません」
「仮に3分の2以下ですと第3東京市を中心に地球の半球を覆う程度」
「もう一つ、追加建造されているというエヴァ3体、ロンギヌスの槍3本はまだ確証が取れていません」 リツコ
「それも悪くない。核を失ったゼーレは、怖くない・・・」
「最悪でも日本本土が覆われれば・・・・それに抑止力として最高レベルだろう」 ヨシキ
「では、防衛計画のひとつとして進めますか?」 リツコ
「ああ、予算的に割安というのが気にいったよ」
「しかし、詳細についてもっと知りたいものだ」
「レイ君に権限を与えても調査させるべきだろうな」
ジオフロント
“社交ダンス & アスカ 14歳誕生パーティー”
と書かれた垂れ幕。
NERVは、かなり忙しい時期だった。
しかし、ハルカのごり押しで、アスカの誕生に合わせて社交ダンスと誕生パーティーが行われる。
シンジとマナが踊る
「シンジ君。レイが仕事で寂しい?」
「うん」
「わたしが慰めてあげる」
「あ、ありがとう」
「ねえ、シンジ君。レイとは、どこまで行ったの?」
「ど、どこまでって、キスまで・・・」 照れる
「シンジ君・・・・かわいい、照れてる」
「そ、そんなこと聞かれたら、照れるよ。誰だって」
「そうか、そうか、うん、うん」 嬉しげ
「・・・・・」
「シンジ君。また一緒に風呂に入ったり、寝たりしようね」
「だ、駄目だよ。そんなの」
「う・・・私のこと嫌い」
「そ、そうじゃないけど」
「レイが好きなんだ」
「・・・うん」
「ふ〜ん。まだ、中学生だもの。これからよ」
その後、チャッカリとチアキがマナと交替して踊る。
マナ は、取り残されてムッとする
シンジ、チアキ
「碇君。NERVっていいわね。社交ダンスがあるなんて、イメージが変わったわ」
「さ、最近きた、ハルカが社交部長になって、変わってきたんだ」
「ふ〜ん。恋人の綾波さんを名字で呼んで、アスカ、マナ、ハルカを名前で呼んでいるんだ」
「だ、だって、ずっと綾波って呼んでいたから。いまさら・・・・・・」
「で、どうして、アスカ、マナ、ハルカを名前で呼ぶようになったの?」
「3人とも、そう呼べって言ったから」
「なるほど・・・・・じゃ わたしも新城じゃなくて、チアキって呼んでもらおうかな・・・」
「そ、それは・・・・ちょっと・・・・」 照れる
「あら、だって、私達って、ただならぬ関係だと思うけど」
「ただならぬ関係って・・・」 赤くなる
「ダブルエントリーって、随分、身近に感じるでしょう」
「そ、そうだけど」
「ねぇ 綾波さんやアスカとはもっと深い関係になるの?」
「そ、それは、ハーモニックス率やシンクロ率に左右されるから。特に重複率」 ドキドキ
「ふ〜ん。そうか、そうか。これから楽しみね。あとくされがないのも良いわね」
「・・・・・・」
「たぶん、わたしが4号機に乗ることになりそうなんだって、碇君とダブルエントリー増えるわね」
「が、がんばろうね。新城」
「碇君って、反応が、かわいい。計算してる?」
「そ、そんなことないけど」
「ねえ、ヒカリとはどんな感じ」
「ど、どんなって・・・・・おなじ感じ」
「ふ〜ん・・・・相田とか、久坂とは?」
「・・・・おなじ感じ」
「うっ それはちょっとイヤね」
「うん」
「あの、朝霧さんって、綾波さんと同じ、青髪紅眼だけど、親戚?」
「違うみたい。良くわからないけど」
「ふ〜ん。まあいいか、でもアスカやハルカ、綾波さんより、碇君が身近に感じるから。よろしくね。碇君」
「うん・・・・よろしく」
「そうだ。碇君。今日のアスカの誕生日。お祝いしてあげてね」
「うん」
「ちゃんと、お祝いしてあげないと、呪われるわよ」
「・・・・うん」
その後、チアキがアスカと交替。
シンジ、アスカ
「シンジ。レイは何しているの?」
「仕事だって」
「仕事?」
「リツコやマヤが踊っているのに?」
「よくわからないけど、あたらしいプロジェクトがあるんだって」
「へえ〜 あの娘がね・・・」
「・・・・・」
「なんか久しぶりね。第7使徒以来か。こうやって、シンジと一緒に踊るの」
「あの時は、必死だったから。雰囲気が違うよ」
「シンジ。物凄くヘタッピだったものね」
「あんな難しいダンス・・・・ワルツだったら、ちゃんと踊れたよ」
「わたしが主役で来たと思ってたのにな」
「これまで、生き残ってこられたんだから、それで良いじゃないか」
「そうね・・・そう思うことにするわ・・・・」
「うそ・・・・意外に素直」
「シンジ。お父さんのことまだ怒っているの?」
「いまは、前のようには怒ってないよ」
「でも、追放したのを後悔はしていないんだ」
「わからない。でも、お父さんがいるとトウジのことを思い出すから辛いんだ」
「そう、ゼーレと戦争になると、私のお父さんとお母さんが人質に取られる」
「ママは、わたしの本当のママじゃないけど。どうなるか分からないわね」
「・・・・・・・」
「パパは、嫌いだけど、わたし、本当に天涯孤独になってしまうかもしれないわ」
「・・・アスカ」
「わたしが、天涯孤独になったら・・・シンジに慰めてもらおうかしら」
「・・・アスカ」
「ふん・・冗談よ、冗談。シンジには無理ね」
「ぼ、僕に出来ることなら・・・出来る限りのことをするよ。アスカ・・・・」
「ほお・・・出来る限りのことを・・・する・・・それは、楽しみね・・・・」
アスカ、不敵に微笑む
ごくんっ
「ア、アスカ」
「なに?」
「誕生日。おめでとう」
アスカの表情が変わる
「シンジ・・・」
「なに?」
「もっと、牛乳を飲みなさいよ。釣り合わないじゃない」
アスカの方が背が高かった。
「き、嫌いなんだよ。牛乳」
「いいから、毎日飲みなさい」
「い、いやだよ」
「飲まないと、毎日、捻じ伏せて飲ませるわよ」
「・・・・」 汗
赤木研究所
レイは、パソコンの前で画面を見ながらキーボードを叩き、
数人の所員にいくつかの指示をしていた。
赤いナイトメア
アスカ、マナ、シンジ
運転席にアスカ、後部座席でマナに腕を組まれているシンジ。
アスカは、嬉しげで、マナは、気難しげだった。
ナイトメアのいたるところに誕生日プレゼントの箱。
「あの新城という女。油断できないわね」
マナがムッとする。
「あら、おもしろい娘だと思うけど」
「むむ、あの手際の良さ。油断できない」
「踊っている最中にシンジを取られたからって怒ることないでしょう。ダンスじゃ珍しくないもの」
「あの目付き、シンジ君を狙っているわ」
「へぇ〜 シンジ。モテモテね」
「ぼ、僕は・・・・別に・・・・・」
「レイも、ずいぶん、忙しくなってきたし」
「チャ〜ンス」
マナ。ガッツポーズ
「マナも懲りないわね」
「アスカが邪魔しなければ、大豪邸でシンジ君と一夜を過ごせたのに」
「・・・・・」 シンジ、たら〜
「やっぱり、アスカが一番のライバルね」
「あのね。公認カップルは、レイでしょう」
「ふん、正妻ボケしているレイなんて目じゃないわよ」
「わたしが隣でシンジの腕を組んでもいやな顔しないし」
「小物扱いされているのよ」 ニヤリ
「くぅ あとで、お仕置きよ」
「あまり腕っ節に頼るとシンジに暴力女と思われるわよ」
「シンジ君〜 わたし、暴力なんか嫌いなの・・・でも仕方がないの・・・」
「レイを守るためなの・・・・本当は、本当は、心苦しいの・・・・」
なよ〜 ウルウル
「うん・・・・・わかってる」
「本当! 分かってくれる、シンジ君♪」
「うん」
「やれやれ、動機がどうあれ、やることは同じだものね」
「酷い、アスカのイジワル」 泣き
「・・・で、今日は、どうするの?」
「アスカの誕生日ケーキとプレゼントを買って」
「料理は、僕が作ろうか、もう、ずいぶん、作っていないから」
「えぇっ! シンジ君の手料理。わ、わたし幸せ」
「じゃ ケーキ屋とブティックとスーパーに行けばいいのね」
「うん・・・・でもマナみたいにうまく作れないけど」
「いいの、いいの。シンジ君。愛があれば、何だって」
「マナ。おまえが言うな。わたしの誕生日でしょう」
「なんか久しぶりだな料理なんて。全部、綾波がやってたから」
「ねぇ ねぇ 今度から4交替で作らない。その方が割安で楽でしょう」
「・・・・私は構わないけど」
「僕も構わないけど。綾波、僕に作らせてくれるかな」
「んん・・・正妻の座ってやつね・・・レイのやつう・・・し、仕切り直しよ!」
「・・・・・・」 シンジ
「・・・・・・」 アスカ
夕食は、水炊きと肉じゃが。
既に誕生パーティーで祝っていたため、こじんまりとしたケーキ。
12月4日。惣流アスカ 14歳の誕生日は、せわしなく。
それでいて、間が悪いため親友のヒカリ、チアキとも、ゆっりと過ごせない。
それでも、シンジ、マナの二人と夜を過ごせたのは、アスカにとって楽しい時間だった。
「シンジ。誕生日プレゼントにチェロ弾いてよ」
「えっ でも・・・そんなに上手くないよ」
「聞きたい。聞きたい」 マナも喜ぶ
「うん」
クローゼットからチェロを引っ張り出して、シェロモ他4曲を弾いた。
「なかなかね。怪しいところが3ヶ所くらいあったけど」
「バ、バレた?」
「でも上手。安心する音色。情報は正しかったか」
「そ、そんなことまで調べたの?」
「シンジ君が忘れていることまで調べているはずよ」
「さ、さすが諜報員」
「・・・ストーカー」
「し、仕事だって」
そして、アスカ 14歳の一日が終わっていく。
赤木研究所
リツコ、レイ、ハルカ、伊吹、ヨシキ、冬月
6人が3Dで流れる映像を見つめる
「随分、進んだわね」
リツコが呟く。
「本当は、前々から考えていたんじゃない。基礎になる構想から出来すぎよ」
ハルカの感想
「記憶がなくても人類補完計画の発案者の頭脳を受け継いでいるだけは、あるか・・・」
「紛失した第1アダムの種子を使わず」
「コアにリリスの核を組み込んで無精コアで代用・・・か・・・」 冬月
「で、でも・・・これって、人類補完計画の原案じゃ」 マヤ
「人類補完計画の原案で高いレベルでの精神感応による言語統合、ビフォ・バベル計画」
「進化の階梯を一段上がれる」
「人類の寿命は、ゼーレのエヴァのATフィールド出力にもよるが400年から800年は延びるだろう」
「それだけの時間があれば、残りの諸問題も緩和される。先送りしても良い」 ヨシキ
「人類補完計画原案なら蓄積された未来シミュレーションがある、今後の計算もしやすい・・・」
「しかし、ゼーレの人類補完計画を丸々利用。バウンドさせて、原案通りに再構築か」
「碇ユイの喰えない性格は引き継いでいるな」 冬月
「・・・・・・」 レイ
「問題は、短時間のうちに12体のエヴァのATフィールドを集約、制御、再構築させてATフィールド波を出す無精コアね」
「リリスに組み込んで、どこまで制御できるか、こればかりは実験できないから」 ハルカ
「絶対位相レベルの電磁波長とリリスの核の加工とコアの制御の問題だけ」 レイ
「わたしも手伝うね。レイちゃん」
「では、その計画で行くかどうかは、戦況、次第という事でいいかな」
「しかし、ゼーレのエヴァ12体をリリスにセントラルドグマまで素通りさせて良いものかどうか・・・」
「リリスとロンギヌスの槍でサードインパクトを起こすためには、9体、9本以上が必要」
「それ以下では、地球規模のサードインパクトは不可能になります」 レイ
「日本が一人勝ちするためには、リリスまで素通りさせるのが良いだろうな」
「零号機、初号機、二号機、4号機、トライデント機4機が丸々残る」
「ゼーレ側のATフィールドの総量にもよるがね」 冬月
「第2使徒の時と似たような手だな。皮肉といえば皮肉」 ヨシキ
「・・・遺憾の意を表明しますよ」
「サードインパクトだったら人類は殲滅」
「第2使徒系新人類が地球を相続するくらいなら、東京都都民1000万と交換。おつりが来るでしょう」
「いまさら蒸し返しても政府と、戦略自衛隊の落ち度しか見えてきませんから」
「N2爆弾はともかく。一民間企業体に文句を言うつもりもありませんよ」
「あとは、予算上の問題ですか?」 リツコ
「なんとか、出来るだろう」
「しかし、復活したと思って良いのかな」
「ゼーレの一研究機関だったゲヒルンをゼーレの中核機関に押し上げ」
「セカンドインパクトのドサクサに紛れ、国連を背景とした」
「完全自治を有する非公開組織NERVを立ち上げさせた原動力・・・」
「伝説の東洋の3賢者・・・・」
「「「・・・・・・・・・・・・・」」」 リツコ、レイ、ハルカ
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第40話 『秀 勝』 |
第41話 『東洋の3賢者 復活』 |
第42話 『女の戦い』 |
登場人物 | |||