月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

 「あとは、予算上の問題ですか?」 リツコ

 「・・・なんとか、出来るだろう」

 「しかし、復活したと思って良いのかな」

 「ゼーレの一研究機関だったゲヒルンをゼーレの中核機関に押し上げ」

 「セカンドインパクトのドサクサに紛れ、国連を背景とした」

 「完全自治を有する非公開組織NERVを立ち上げさせた原動力・・・」

 「伝説の東洋の3賢者・・・・」

 「「「・・・・・・・・・・・・・」」」 リツコ、レイ、ハルカ

 

第42話 『女の戦い』

 学校 教室

 「・・おはよう、シンジ。霧島」

 「おはよう。ケンスケ」

 「おはよう。相田君」

 「今日、綾波は休みか」

 「んん、泊り込み」

 「いないのか。あまり話さない人間でもいないと寂しいな」

 「うん」

 「しかし、NERVも変わったな。社交ダンスとはね。親父も、最近、生き生きしているよ」

 「そういえば、ケンスケのお父さんも踊ってたね」

 「ふっ 霧島や委員長とワルツを踊れるなんて、夢でも、みなかったことだな」

 「ついでだよ。本気にするな」

 「ハルカが来る前は考えられなかったよ」

 「あのダブルエントリーは、エグイけど。朝霧と惣流とは良かったけどね」

 「・・・・・」

 「だけど、一番、効くのがシンジじゃな〜 久坂も複雑な顔をしていたよ」

 「・・・そ、そうだね」

 「でも、ミサトさんと踊った時が一番、萌えたな〜」

 「スケベ」 マナ

 「ミサトさんのすき焼きパーティーには行ってないよね」

 「えっ! 呼ばれるの・・・・楽しみだな〜」

 「呼ばれるか、わからないけど、現実は甘くないと思うよ」

 「勉強なんか手が付かないな。早くNERVに行きたいよ」

 「マジメに勉強しないと一番低い人間に合わせて全員が同じ高校に行かされるけど。保安上の理由で」

 「う、うそっ 俺じゃん。うそだろう」

 「ミサトさんがそう言ってたから、僕は、綾波に勉強を教わったよ」

 「わ・・・わ・・・・ま、まずいじゃないか」

 「ふっ 僕は、高校ならどこでも入れるけどね」

 「ど、どうしたらいいんだ・・・よし、霧島に教えてもらおうか」

 「わたし、マジメにノートとってないよ。仕事で忙しいし」

 「わたしの場合。本業の特技を活かせれば、たいていの高校は入れそうだけど」

 「マナは、部署で接点がないから。当てにしない方がいいよ」

 「ぐぅおおお!! なんてこった!」

 「シンジは、休みが多いから駄目だ」

 「委員長か新城にノートを見せてもらって、教えてもらおう」

 ケンスケは、ヨロヨロと立ち上がると、アスカ、ヒカリ、チアキ、タダシのグループのところに行く。

 「そういえば、シンジ君。最初は下から数えた方が速かったのに、レイに教えてもらって急に頭が良くなったのよね」

 「・・・・」

 「飛び級、行けるんでしょう」

 「うん、でも、保安上。みんなと同じ教室にいないといけないから」

 「でも、レイと食事してから、まだ勉強してるの?」

 「うん。高校レベルなって。しばらく、ゲームとかで遊んだけど」

 「たまに綾波から難しい本の説明を聞いたりしているよ」

 「・・・・」

 「たぶん、大学の本じゃないかな」

 「凄〜い。シンジ君」

 「いや、凄いのは綾波だよ。分厚い本を暗記しているんだから」

 「わ、わたし・・・・負けない」

 「勉強で?」

 「ううんん、腕っぷし。わたし、シンジ君を命がけで守るの」 マナ、気合

 「あ、ありがとう」

 教室の向こう側でチアキとタダシがノートでケンスケの頭を叩いて説教していた。

  

  

 NERV

 赤木研究所

 レイ、ハルカ、リツコ、伊吹が並んでパソコンのキーボードを叩いていた。

 巨大な3D映像シミュレーションが絶えず変化して流れる。

 「やはり、種子が無いと出力の制御が不安定ね」

 「アンチ・ATフィールドとATフィールドともムラが出来る」

 「ゼーレが碇司令を信用せずに複製した種子を持参してくれるのを祈るしかないわね」 リツコ

 「あの種子。わたしが書き換えの基礎理論を構築したの」

 「複製は作れないと思うけど」 ハルカの発言

 「「「・・・・・・・・・」」」 レイ、リツコ、マヤ

 「アンチ・ATフィールドのムラが23パーセント±5、ATフィールドのムラが19パーセント±4か」

 「日本でさえ、最良で18パーセント。平均値で27パーセント」

 「最悪で51パーセントがサードインパクトと」

 「その後のバウンドインパクトから取り残されるわね」 ハルカ

 「サードインパクトに取り残される既存人種」

 「バウンドインパクトから取り残されるゼーレ種」

 「バウンドインパクトで人工進化した新人種ですね」

 「バウンドインパクトの再構築ATフィールド波の影響を受けた既存人種と」

 「自然に対する影響も、不確定が多すぎる」 レイ

 「ここにいる4人が、その4タイプに分かれる可能性があるわけですね」

 「いいえ、レイとハルカはエヴァに搭乗しているから既存種として取り残されるわ」 リツコ

 「ち、力関係では、どうなるんでしょうか?」 マヤ

 「既存種は、新人種に吸収されるか滅ぶけど」

 「新人種とゼーレ種は、どうなるか分からないわ」

 「ゼーレ種は、核になる老人達が消滅しても、ATフィールドで覆われて超常能力も使える」

 「時間をかければ、使徒並みね」

 「既存種で、再構築ATフィールドを浴びた人種は、不確定」 リツコ

 「エヴァでゼーレ種と戦えるでしょうか?」

 「マヤがゼーレ種になる可能性があるのよ」 リツコ

 「・・・・・・・・」 マヤ

 「まぁ 戦えないことはないけど、向こうが戦う気になるか、不明ね」 ハルカ

 「エヴァのパイロットは取り残されちゃうんだ」 マヤ

 「自前のATフィールドでサードインパクト、バウンドインパクトにも、耐えられるわね」 ハルカ

 「人類が4分割されてしまうことに変わりないわね。

 「比率は、バウンドインパクトで再構築された人類が多数派だけど、有力候補かは不明」 リツコ

 「第1アダムの種子。どこにあるの?」 レイ

 「NERV中、探しているけど広すぎる。碇司令が持っているか不明」 リツコ

 「第12使徒の無力化した種子は、ゼーレに引き渡しているのね」 レイ

 「そういえば、種子の書き換え技術は、ドイツ支部が専有していたわね」 リツコ

 「では、ゼーレ侵攻時にその種子を使うはず」

 「種子の差異が問題になるけど」

 「ゼーレの書き換えの内容次第では、スペクトルの偏重で第12使徒レリエル系人種で再構築される可能性もある」 レイ

 「・・・・・んんん・・・」 マヤ

 「多少の微調整が必要だけど難しいわけじゃない」

 「それなら、サードインパクト、バウンドインパクトのムラはゼロ。4分割には、ならないわね」 ハルカ

 「エヴァのパイロットを除いてね」

 「エヴァを降りる手もあるけど、作戦上の問題で出来そうにないけど」 リツコ

 「構わないわ。4人とも限定されたレベルで、補完計画が済んでいるようなものだから」 ハルカ

 「じゃ ダブルエントリーの重複は、恒久的に持続するという事」 リツコ

 「一番、影響が強いのはシンジ君とレイちゃん、ね」

 「シンジ君が、どこで何をしているか分かるでしょう」 ハルカ

 「ええ、分かるわ」 レイ

 「じゃ 碇君もレイが、どこで何をしているか、分かるわけ」 リツコ

 「ええ」

 「シンジ君と肉体関係は?」 リツコ

 「ありません」 レイ、赤くなる

 「何を考えているのか、分かる?」

 「な、なんとなく」

 「シンジ君もレイが何を考えているか、分かるの?」 リツコ

 「・・・なんとなく」

 「じゃ いま、シンジ君は、どこで、何をして、何を考えているの?」 リツコ

 「学校でバスケット、私のことを思っている」 レイ、赤

 「何を思っているの?」リツコ

 「わたしと一緒に居たいって」

 「す、素敵!」 マヤ

 「・・・なかなか、希望的ね。人類補完計画の原案」

 「でも人間の感情って、良いものばかりじゃないのよ」

 「感覚の共有は、表層的で断片的なもの。恨みを買う人間も人を憎む人間も淘汰されていく」

 「むかし、3人でよく話し合った。マギにシミュレーションも残っているはずよ」 ハルカ

 3Dの一角で画像が停止

 「でも、全体の利益のために恨みを買っても、犠牲を強いる断行も必要よ」 リツコ

 「それも加味されているわ」

 「理論上。結果オーライだったわね。ゼーレの心身融合よりは、身動きが取りやすい」 ハルカ

 「良いな・・・・思い思われ・・・慕い慕われ・・・」 マヤ。トリップ

 「マヤ・・・手が止まっているわ」 リツコ

 「・・・はぁ・・・」 マヤ

 「マヤ!」 リツコ

 「は、はい」

 マヤは、慌ててキーボードを叩き始める

  

  

 学校

 昼休み

 昼食後、シンジ、マナ、ケンスケがくつろいでいた。

 そこにタダシがやってくる。

 「なあ、3on3をやらないか」

 タダシがバスケットボールを持っている

 シンジ、マナ、ケンスケは、顔を見合わせる、

 「いいけど」

 「うん、うん、健康的ね」

 シンジ、アスカ、タダシ、ケンスケ、チアキ、ヒカリ、マナの7人が体育館に入る。

 「でも、スカートで大丈夫なの?」

 「重し付けたから」 チアキ

 「組み分けはどうする。7人だと一人余るよ」 シンジ

 「男3人、女4人は?」 タダシ

 「・・・いま、気が遠くなりかけたんだけど」

 シンジが見当を付けるとアスカが最強だった。

 点数を付けると、アスカとマナが100点、自分が70点、

 タダシが60点、チアキが50点、ケンスケが40点、ヒカリが30点。

 男女で点数を分けると女が280点、男が170点。勢力比6対4で負ける。

 「かわいがってあげるわ、ね。マナ」

 「アスカ。本気でやるの?」

 「戦力比の計算が出来ないような。人間は思いっきり打ちのめしたらいいのよ」

 その後のバスケは、男性陣にとって屈辱的な展開だった。

 マナが撹乱。

 チアキとヒカリのパスワーク。

 そして、アスカのシュートに翻弄される。

 シンジ、タダシ、ケンスケは、汗だくの状態で残される。

 その後、この昼休みの変則3on3は、学校で評判になってしまう。

  

  

 放課後、

 ケンスケは、チアキにハリセンで叩かれ、必死にノートを写していた。

 「シンジ君。早く行こう」

 「うん、大丈夫かな。ケンスケ」

 「散々、サボっていたんだから当然の報いよ」

 「だけど。今日のバスケ。カッコわるかったよ」

 「次は、久坂を追い出して、わたしがシンジ君のグループに入ってあげる」

 「アスカとマナ。反則並みに強過ぎだよ」

 「シンジ君は動きが良くなってきているから。そのうち負けちゃうかな」

 「そ、そうかな」

 「大丈夫。自信をもって、シンジ君」

 「じゃ ケンスケ。先に帰るよ」

 「・・・じゃあな」

 

 シンジとマナ

 「今日は、アスカが作るんだよね」

 「んん・・・アスカのやつ。本気で作るわね」

 「そうかな」

 「朝から気合はいっていたから、昨日の夜から下ごしらえしているわね」

 「レイも今夜は帰ってくるんでしょう」

 「うん。夕食には帰るって」

 「ふふふ、女の戦いよ」

 「どういう戦いだよ」

 「どれくらい美味しい料理が作れるか、女の優位性を賭けた戦いよ」

 「本当にそれで優位になれるのかな」

 「なれるわよ」

 「・・・・」

 「ねえ、シンジ君。一番美味しい料理を作るのは誰?」

 「マナだよ」

 「やっぱり。ふふん。苦労した甲斐があったわ」

 「でもコーヒーは、レイが一番上手に入れるでしょう」

 「うん」

 「だから、アスカは、料理でレイに勝ちたいと思うでしょうね」

 「美味しい料理を作ってアスカはレイに勝ち誇りたいのよ」

 「でも、アスカって、外食派だけど」

 「ちっ! ちっ! ちっ! 甘い〜」

 「学校が終わって車に乗ってすぐに帰ったでしょう」

 「即興料理じゃないのは確かよ。食後のデザートも付くわね」

 「・・・・・・・」

 「シンジ君。帰りに摘まみ食いして帰ろうか」

 「そ、それは、ちょっと不味いよ。アスカが本気で作っているんなら」

 「んん・・・・じゃ デートしながら帰ろう」

 「デ、デート!」

 「もう、いまさら照れなくていいじゃない」

 「レイが居ない。アスカも先に帰って、久しぶりの2人っきりよ」

 「わたしも、アスカに夕食、誘われたんだけど」

 二人の後ろを付いてくるヒカリが呟いた。固まるマナ

 「・・・碇君と霧島さんと一緒に来てねって、アスカが・・・・・・」

 マナが、その場に崩れる

 「・・・・ふ、ふふ、ふふふ。アスカ。あんた、やっぱり」

 マナ。怒

  

  

 シンジ、マナ、ヒカリが並んで帰る

 「・・・碇君って、いろんなことがあったのに、あまり変わっていないのね」

 ヒカリがシンジの斜め後ろから呟く

 「そ、そうかな」

 緊張するシンジ

 「鈴原が逝ってしまったあと。碇君がとても苦しんだって聞いて。ごめんね」

 「わたし、何も分からなくて。いやな思いをさせたかな」

 「あ、あの時・・・僕が戦えなかったから、あんなことになったんだ。僕が戦えなかったから」

 「記録。全部見たの・・・碇君は悪くないと思う。鈴原の運が悪かった。そう思う」

 「あ、ありがとう・・・委員長」

 「碇君。ずっと、がんばってたんだもの」

 「わたし、何も知らなくて、自分勝手に思い込んで・・・」

 「・・・・」

 「本当は、碇君。ずっと、大変だったのに・・・誰にもわかってもらえなくて・・・」

 ヒカリ、涙。

 焦る、マナ

 「・・・ごめんね・・・碇君・・・ごめん・・・碇君・・・」

 ヒカリ、涙ボロボロ

 「あ、委員長。もう良いから。気にしていないから・・・泣くことないよ・・・なんか、慣れてしまったし」

 「・・・碇君・・・優しいのね」

 「碇君・・・わたし、これからは、碇君を支えられるようにがんばるから・・・・」 ヒカリ涙

 『・・・アスカ。あんた。とんでもない女を引っ張り出して、やぶ蛇よ』

 『冗談じゃないわよ。強敵じゃない。どおしてくれんのよ』

 マナ、焦る。

 「ぼ、僕のほうこそ、よろしくね。委員長」

 「ヒカリって呼んで」

 「えっ〜」

 シンジ、気が遠くなる。

 学校で名前を呼んでいるのは、アスカとマナの2人。

 もう1人、増えれば、それこそ、無節操男確実だった。

 「駄目? じゃ 洞木」

 「うん・・・洞木で良い?」

 「うん」

 シンジがホッとした瞬間。

 ヒカリがシンジに微笑む。

 ドキッとするシンジ。

 マナとヒカリの目が合ったとき、

 不意にヒカリの目に潜む意図に気付いて震える。

 『こ、この女。狡猾よ〜』

 マナは各種パラメータからシンジと女たちの関係を瞬時に計測。

 レイを100点、自分を80点、アスカ70点、チアキ50点、ヒカリ50点と見当をつける。

 これにハルカが参戦すれば90点で自分を抜いてしまう。

 「碇君。小さい頃はどんな子だったの?」

 「えっ えー、と・・・」

 『こおのそばかす女。相手の幼少の頃を聞くというのは、完全に狙っているじゃないの・・・』

 「写真とかある?」

 「う・・・うん。少しあるけど、少ないよ」

 「ずっと親戚のところに預けられていたから。待遇とか、あまり良くなかったし」

 「そう、苦労していたんだ。碇君・・・それなのに人類を守るために・・・碇君、偉いのね」

 「ち、違うんだ。ずっと惰性で生きてきたから、自分には価値なんて無いと思っていたから」

 「したいことなんてなかったし、何もできることなんてなかったから・・・・」

 「それで・・・それでも、最初はいやだって言ったんだけど」

 「人類を守るなんて考えていなかったんだ・・・・」

 「い、いまだって、人類を守るなんて考えてないのかもしれない・・・」

 「あの第2東京の境遇から逃げ出したかっただけなのかもしれない」

 「い、碇君・・・・」

 「つまらない、人間だろう」

 「そんなことないよ。自分の気持ちを正直に話してくれるなんて」

 「わたし、なんか、感動しちゃった。碇君って誠実なんだ・・・」

 『ま、不味い。不味い。アスカのバカ、バカ、バカ』

 「そうかな」

 「そうよ。英雄ぶって、カッコ良いこという人より、親しみが湧くもの・・・」

 『あ〜ん。シンジ君〜 この女、狙っているんだから。口車に乗っちゃ駄目〜』

 「昔の写真も、つまんないものが多くて」

 「見てみたいな」

 「わたしも見たいな。シンジ君の幼い頃の写真」

 マナ、シンジの腕を組んでゴロゴロ状態

 「うん、いいよ」

 「やった〜♪」

 ヒカリとマナの視線が絡む。

 なんとなく手を出そうと様子を見ている余裕のメス猫に、

 警戒感をあらわにする二号メス猫といった雰囲気が漂う。

 空気が読めないシンジは、トウジとのことで気まずかったヒカリとの関係が、それほど悪くないので、ホッとしていた。

 

 

 

 404号室

 ご馳走が並べられた食卓にシンジ、レイ、アスカ、マナ、ヒカリが着いた。

 シンジは、女の子4人に囲まれて、落ち着かない。

 「アスカ。凄い。こんな美味しく作れるようになったんだ」

 「もう、いつでも加持さんを呼べるよ」

 「捕まらないのよね。どこにいるんだか」

 アスカがマナを見る

 「アスカ。美味しい。物凄く上手くなった」 ヒカリ

 「そう。良かった。ヒカリに褒められたら本物ね」

 「ふふ ふふふ ふふふふ」 マナ

 「マナ。あんたね。プロに仕込まれたからって、余裕こいてんじゃないわよ」

 「へえ、霧島さん、プロに教えられたの。どおりで美味しいと思った」

 「和食とイタリア料理。結構、応用が利くから、他の料理も並み以上ね」

 「体術だけじゃなかったのね」

 「あのね、洞木さん。これでも、少年兵のなかで諜報全般で総合上位よ」

 「私達に姿を見せている時点でそれも半減しているけどね」

 「諜報員とも言えないし。ただのシンジの専属護衛よ」

 「直属護衛も立派な諜報活動の一環よ」

 「じゃ 隠れている護衛が、たくさんいるんですか?」

 「ヒカリにも付いているはずよ。捕まえたら保安部員が1ヶ月の減棒だから、試しに捕まえてみたら」

 「アスカ。何人も捕まえて金とっているでしょう。保安部で問題になっているよ」

 「捕まる方が悪いのよ。最近は腕を上げたみたいで見つからないけどね」

 「ったく〜」

 「ボーっとしていたらこっちも鈍っちゃうし、向こうも弛むでしょう」

 「でも、全然、気付かなかったな」

 「アスカやレイと良い勝負できるまで気付かないでしょうね」

 「ええっ 無理。そんなの、だいたい、真っ暗なのにどうして相手のいる場所が分かるの?」

 「慣れたら。そのうち分かるわよ」 アスカ

 「ふ〜ん・・・碇君と綾波さん、見詰め合ってる」

 シンジとレイが気付いて、眼を逸らす。

 「アツアツなんだ。碇君と綾波さん」

 なぜかムッとする。アスカとマナ

 「なんか羨ましいな」

  

  

 403号室

 シンジ、レイ、アスカ、マナ、ヒカリ

 シンジの部屋で自分のアルバムを見せていた。

 「碇君。かわいい」

 「そうかな。小学校の3年の頃かな・・・でも、アスカって、小さい頃から美人なんだ」

 「ほほほ、この美しさは、罪よね」

 「霧島さんは、小さい頃、おかっぱ頭だったのね」

 「ちっ 辛い労働孤児時代・・・色気がない・・・レイは写真ないの?」

 「ないわ。相田君に撮ってもらったのが一枚だけ」

 「見たい」 ヒカリ

 「・・・持ってくる」

 レイが持ってきた写真は、登校中のシンジとレイが写されていたもので、

 二人の柔らかな表情が良く撮れていたものだった。

 「へえ、持っている写真が、これ一枚だけは、ある意味、ポイント高いわね・・・」

 「・・・・」

 「でも綾波さんの写っている映像って、サーバー上では物凄く多いけど」

 「アスカより多いかも知れない」 ヒカリ

 「映像は、性格でないもの」 マナ

 「マナ。ケンカ売ってるのか」

 「霧島さんの映像も増えているでしょう」

 「映像は、性格でないものね」 アスカの仕返し

 「アスカと違って、性格美人で通しているのよ」

 「てめ〜」

 「アスカ、小さい頃のアルバムで抜けている部分があるよ」 ヒカリ

 「・・・写りが悪かったからドイツに置いてきたわ」

 「あ〜 また、見詰め合ってる」 ヒカリ

 シンジとレイがハッとして目を逸らす。

 「コーヒーのお代わり、入れるよ」

 シンジが立ち上がる

 「良いなあ、綾波さん。彼氏がいて」 ヒカリ

 「・・・・・・・・・」 レイ

 「綾波さん。一生懸命にがんばったから。それで碇君が惹かれたんだと思う」 ヒカリ

 「笑顔に惹かれたって。碇君」 レイ、ポツリ

 「そ、それは切っ掛けよ」

 「・・・・・」

 「それに笑顔って、それまで、生きてきた気持ちも出てくるし」

 「綾波さんの笑顔だったから碇君。好きになったのよ」 ヒカリ

 微笑むレイにボーとする。ヒカリ、アスカ、マナ

 「ありがとう。洞木さん」 レイ

 「・・・えっ・・・」

 「あ、いや、なんか、碇君の気持ち・・・いま、完全にわかったような気がする」 ヒカリ、ドキドキ

 シンジが、コーヒーを持ってくる。

 「ありがとう。碇君」

 「うん」

 赤い顔をしながらモジモジとレイを盗み見るヒカリ

 「ど、どうしたの? 洞木。部屋暑い」

 「えっ あっ・・・なんでもない」

 「ぷっ!」マナ

 「ヒカリ・・・あんた」アスカ

 「ち、ちがう、違うから・・・そんなんじゃないから」

 「・・・・・」 シンジ、レイ

 「・・・・・」 アスカ、マナ

 「・・・そ、そろそろ、帰ろうかな」 ヒカリ

 「あれ、泊まるんでしょう。わたしの部屋に」 アスカ

 「あ、そうね。そう、泊まるのね。わたし」 ヒカリ、動揺

  

  

 404号室

 アスカ、ヒカリ

 ベットに横になるアスカとヒカリ

 「・・・ヒカリ」

 「わ、わたし・・・ノーマルよ・・」

 「で、でも、なんか、綾波さんの表情に惹かれちゃって・・・また、見たいなって・・・・」

 「まぁ 気持ちは、分からなくもないけど・・・報われないわよ」

 「わ、分かっているわよ」

 「ったく。レイの方ばかり見て・・・・」

 「綾波さんの人気の高さ。納得したわ」

 「一瞬、男に生まれたらと思ったくらいだもの」

 「レイ、鋭いから気付くわよ」

 「やだ・・・恥ずかしい」

 「まあ・・・見られているのは分かっても、そっちは、天然だから分からないと思うけど」

 「碇君が惚れるわけね」

 「マナに聞いたけど。碇君に近付こうとしたでしょう」

 「ご、ごめん、アスカ。碇君と関係修復しようとしたら、止まらなくなっちゃって」

 「で、どっちよ。どっちもって事はないでしょうね」

 「そ、そんな。無理よ。あの2人の間に入れそうにないから。遠くから見ていようかなって」

 「ふ〜ん」

 「アスカは、どうなの・・・・碇君」

 「そうね・・・・カッコ良くなってきたけどね。遊び相手には、いいかな」

 「そう。前は、思いっきり否定してたのに」

 「少しは素直になるわよ」

 「碇君に小さい頃から美人って言われたから」

 「そんな、分かっていること言われてもね」

 「アスカ・・・ダブルエントリーって、インパクト強いわね」

 「うぅ わたしは、その気ないからね」

 「わ、わたしだってないけど。やっぱり、碇君とは、その気になりやすくなるわね」

 「シンジとレイは、最高のシンクロ率と重複率だから。太刀打ちできないわよ」

 「でも、あれは・・・ないんでしょう」

 「まだ、と思うけど」

 「やっぱり、そうか。でもなにやっているんだろう」

 「わたし、鈴原のこと忘れて碇君に近付こうとするなんて、自分が信じられなくなる」

 「無理に忘れることないと思うけど、自分を信じた方が良いと思う」

 「・・・・・」 ヒカリ

 「・・・・・」 アスカ

 「・・・ごめん、眠くなっちゃった」 ヒカリ

  

  

 発令所

 
エヴァ機 零号機(レイ専用機) 初号機(シンジ専用機) 二号機(アスカ専用機) 四号機(ニュートラル機)
ベスト・パイロット レイ・シンジ シンジ・レイ アスカ・ハルカ  
  ケンスケ     チアキ
   
トライデント機 アルファ(ヒカリ専用機) ベータ(タダシ専用機) ガンマー(ケンスケ専用機) デルタ(チアキ専用機)
         
    

 「・・・・シンジ君とチアキの4号機、アスカとヒカリのアルファは、良いとして・・・」

 「ベータのタダシ君、ガンマーのケンスケ君は、チョッチ、遅れ気味ね」

 「しかたないっすね。牽引役のレイとハルカが赤木研に取られていたら」

 「いったい、どういうつもり、リツコのやつ」

 「赤木研・・・出入り禁止にされたんですよね」

 「ったく。職権乱用して、マヤまで、持って行きやがって・・・・」

 「司令と副司令が認めているんじゃ お手上げですね」

 青葉が最上階層の2人をチラリと見る

 「アルファのエヴァ光質は、増加している?」

 「えーと、増加していませんね」 青葉

 「アスカが駄目という事は、トライデント機のエヴァ光質の増幅は、シンジ君の専売能力ということ?」

 「シンジ君のATフィールドの厚み。突出していますから・・・・」

 「4号機の戦力化。トライデント機の防御力強化。どちらを選択するか微妙ですよね」  日向

 「やっぱり、相性抜きでシンジ君とトライデント機。アスカとエヴァの組み合わせで行くか」

 「シンジ君とヒカリ、タダシ、ケンスケ。アスカとチアキですか?」 日向

 「進捗率が低下しますがトライデント機の防御力自体は、向上しますからね」 青葉

 「アスカと零号機がまったく合わないのが痛いですね」 日向

 「リツコが赤木研を出たら知らせて」

 「はい」 青葉

 「最近は、赤木博士とハルカの追いかけっこが減りましたね」 日向

 「リツコがハルカの掌で踊らされて喜んでいるんじゃ 追いかける必要もないわよ」

 「赤木博士。随分、笑うようになりましたから目を疑いますよね」 青葉

 「それにしても、新兵の訓練。重要性は高いはずなんですがね」 日向

 「それより、重要で優先順位の高い。ものがあるということね」

 「例のサルベージですか?」

 「第11使徒、第13使徒、第16使徒のオリジナルコア3基」 青葉

 「それとも・・・人類補完計画」

 「疑わしいですよ、それ」

 「だって、戦自に占領されてすぐに人類補完計画は、無期延期と宣言されたじゃないですか」 日向

 「リツコは意識しているし」

 「ゼーレがそれを進めているでしょう」

 「日本政府が自前の人類補完計画を検討している噂もあるわ」

 「・・・・・」

 「セカンドインパクトで時間稼ぎできたけど。勝っても、負けても、人類の未来は暗いから」

 「ゼーレの人類補完計画は、未来として明るいんですかね」 日向

 「少なくとも現在ある社会問題も、危機も、全て解決される」

 「・・・・」

 「それが幸福かどうか分からないけど」

 「人類としての姿を自ら捨てる選択が出来るゼーレは、ある意味、超人的な集団ね」

 「ある意味、ガイア的思考でしょうか」 日向

 「そういう風にだけは、思いたくないんだけどね。戦意が低下するから」

 「そうですよ。どっちが悪党側か、わからなくなる」 青葉

 「・・・どちらにも正義は無い。使徒戦すら、正義ではなく、系列の違う人類の生存競争」

 「ゼーレとの対決も人類進化の強要と反発か」

 「勧善懲悪に分かられたら、どんなに良いか」 日向

 「そんな幼稚な思考は捨てなさい。人類の歴史に勧善懲悪は、一つも無いわ」

 「・・・赤木博士みたいな意見ですね」 青葉

 「いけない。あの女がいないから自分で、あの女の代わりにバランスを取ってしまう」

 「付き合い長いですから。いないと寂しいんじゃないですか」 青葉

 「はぁ 子供達と親睦を図るか。すき焼きパーティーでもするかな」

 「部屋を片付けないと、またアスカとケンカになるんじゃないですか?」 日向

 「んん・・・・あんた達。2人とも来なさい」

 「「ええっ〜」」

 日向、青葉。ガックリ

  

  

 コンフォート17

 506号室

 ミサト、日向、青葉、アスカ、ヒカリ、チアキ、ケンスケ、タダシ+ペンペン

 壮絶な大掃除の後。

 めでたく、すき焼きパーティーが行なわれる。

 「・・・シンジのやつ、逃げやがって」 アスカくさる

 「アスカ。作戦課のすき焼きパーティーなんだから、強要できないでしょう」

 「ミサト。あんた、グル〜ッと周りを見て見なさいよ」

 「みんな、あんたに呆れている目でしょうが」

 ジーッと一同が二人の成り行きを見詰める

 「・・・・み、みんな、無礼講だからね」

 「無礼講。作戦課に乾杯しましょう。はい・・・カンパイ!」

 「カンパイ!」 一同

 意気の感じられない白けたカンパイが行なわれ、

 ミサトは、ひたすらビール缶を飲み。

 すき焼きが黙々と食べられていく。

  

  

 発令所

 ハーモニックステスト

 初号機 ダブルエントリー、(シンジ・レイ)

 マヤと数人のスタッフがシンジとレイの補完状況を観察する

 「・・・ハーモニックス率88パーセント。シンクロ率97パーセント。

 「重複率は0.008パーセントで安定しています」

 「そう、たいした才能ね」

 「理論的にありえないと思いますが」

 「単独で安定して制御できないのに」

 「ダブルエントリーでは、たぶん、一番、気持ちの良い状態で安定している」

 「重複率がハーモニックス率とシンクロ率の基準値を決めていると思って良いんじゃないかしら」

 「重複率が0.008パーセントで安定しているのは、これ以上は、固体別の個性が失われるから?」

 「今のところ、そう想定しているわね」

 「データーは、だいたい、揃ったけど、止めさせるのはかわいそうになるわね」

 「シンジ君とレイ。久しぶりですからね」

 「電気料の収益もあるし、しばらく、続けますか」

 「そうね。でもダブルエントリーから出た状態でも二人の重複率が0.01パーセント」

 「精神感応というより、心身感応か、ある意味、人類補完計画原案の精神感応よりも上ね」

 「どういう感覚なんですかね。興味ありますね」

 「パイロット全員の感覚を総合すると、悪意がなければ、気持ち良いという事ね」

 「多次元的に意識が広がるともいうし」

 「本当は、アスカ・ハルカ組も4号機だと電気料の収益で助かるんですがね」

 「新兵教育で、それどころじゃないもの」

 「頂点を極めたシンジ・レイは当然。アスカ・ハルカ組も頂点に近い」

 「経済性抜き、牽引役でバラバラにされて当然」

 「じゃ 空いた時間だけでもシンジ・レイ組で初号機を動かすのが経済的ですか」

 「そうね、家に帰らせて休ませるより、二人のダブルエントリーの方が休息につながるもの」

 「リフレッシュ時間になるわ」

 「アスカ・ハルカ組も長時間の作戦が可能ですが、休息という感じじゃありませんからね」

 「女同士だから、どこか反発があるのね」

 「そういえば、シンジ君とチアキ、ヒカリの組み合わせの重複率と進捗率が上がっていますね」

 「アスカとタダシ、ケンスケ組の方は、微妙ですね」

 「進捗率はそれなりなのに重複率は低いし」

 「・・・分かるような気がするわね」

 「気持ちの問題ですか?」

 「でしょうね。種馬シンちゃん、か」

 「ろ、露骨ですね」

 「ミサトさんが言ったのよ。子供達、すき焼きパーティで落ち込んでいなければ良いけど」

 「そんなに酷いんですか?」

 「先輩の話だと、一番酷いのはカレーよ」

 「次が部屋。すき焼き自体は普通みたいだけど。部屋が夢の島だから・・・」

 「憧れている人、多いんですけどね」

 「社交ダンスでミサトさんに幻想を抱いちゃう人、多いはずだけど」

 「その点、先輩は本物ね。ハルカのお陰で魅力アップだもの」

 「でも、伊吹さんがハルカに低姿勢なのは、見たくないですね」

 「・・・わ、わたしは、中尉。ハルカは少佐。低姿勢なのは、一般常識でしょう」

 「でも・・・なんか、外から見ていると赤木博士と同列で見ているようにも見えますよ」

 「き、気のせいよ。純粋に上の階級だからよ」

 「んん、秋津司令や冬月副司令に対する姿勢よりも、赤木博士に対する姿勢に近いような・・・・」

 「そ、それは・・・ほら、あの先輩にとんでもない影響を与えたという畏敬みたいなものよ」

 「14歳の子供なんですけどね」

 「でも伊吹さん。最近はレイに対しても。同じような姿勢ですよ」

 「そ、それは・・・常に最前線で戦っているパイロットに対する姿勢よ・・・・当然よ」

 「そうですよね・・・・子供を最前線に送って、後ろで座って見ているんですからね」

 「選択の余地が無くても、よくよく考えると、客観的に最低な組織ですね」

 「そ、そうね・・・そうよ」

  

 

 

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第41話 『東洋の3賢者 復活』
第42話 『女の戦い』
第43話 『婚 約』
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