「そ、それは・・・常に最前線で戦っているパイロットに対する姿勢よ・・・・当然よ」
「そうですよね・・・・子供を最前線に送って、後ろで座って見ているんですからね」
「選択の余地が無くても、よくよく考えると、客観的に最低な組織ですね」
「そ、そうね・・・そうよ」
第43話 『婚 約』
第三東京
市内のレストラン
シンジとレイは、いつの間にか見詰め合い
ハルカは、呆れたように微笑む
「仲良いのね。ケンカとかしないの?」
「し、しません」
「しないわ」
「ふ〜ん。羨ましい。仲が良いのが一番よ・・・・二人は、結婚するの?」
「ぼ、僕は、綾波と結婚したいと思っているけど・・・」
「碇君」
シンジとレイが見詰め合う。レイ、メロメロ
「へえ〜 いつ?」
「高校を卒業してから・・・」
「碇君・・・」
レイ頷く
「そう・・・・レイちゃん。がんばらないと他の娘にシンジ君を盗られちゃぞ」
「マナ、アスカ、チアキ、ヒカリも狙っているからね」
レイ、コクンと頷く
「シンジ君。残りのコアにもリリスの核を入れているのね」
「ええ」
「アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ。母親型の女の子が4人出てくるけど、もうしばらく様子を見ましょう」
「リリンと敵対するのは面白くないわ」
「でも、可能性として、第1使徒アダム系人種は、わたしとレイを含めて6人になるわね」
「みんな、青髪紅眼なんですよね」
「そういう原種だもの」
「髪は、染めて目は、コンタクトで誤魔化すとしても、新人類は、精神感応で全て連結される」
「わたし達は、共存できなくなって、淘汰される可能性がある」
「・・・どうすれば・・・」
「あくまでも可能性よ」
「精神感応といっても表層的な感情の起伏が連結されて読み取れる程度」
「交配して子供が生まれたら、その子は優性遺伝で精神感応が組み込まれるでしょう」
「そうなれば良いけどね」
「パイロットはエヴァに乗っているから組み込まれない。旧人類のまま」
「エヴァのパイロット同士は、精神感応よりも優勢な心身感応よ。旧人類とはいえない」
「どちらかというとこちらの心身感応の方が新人類を組み込んでいく側になるかもしれない」
「でも、パイロットは、人類全体から置いてけぼりですね」
「そういうこと、パイロットは、たぶん優遇されるけどね」
「トライデント機の娘達はそうも行かない」
「それにトライデント機のATフィールドは弱すぎて」
「ゼーレのアンチ・ATフィールド波に耐えられない可能性が高い」
「男には、ならないんですか?」
「基本的にコアって器用じゃないのよ。人柱にされたのは、母親」
「インパクトを利用しないで引っ張り出すんだから原種として利用できるのは、その母親のDNA情報を利用した女性になるの」
「そうですか」
「もう。シンジ君。もっと偉そうにして良いのよ」
「いや、なんか、貫禄負けしているみたいで・・・・・」
「そんなこと無いわよ。シンジ君」
「・・・・・・・」
「そんな風に可愛くしていると押し倒しちゃうぞ」
「えっ・・・・・・」 シンジ
「・・・・・・・・・」 レイ
「くすっ 冗談よ」
「ははは」
レストランに見覚えのある男が入ってくる
「・・・か、加持さん」
「よお。シンジ君、綾波ちゃん・・・・それと初めましてかな、朝霧君」
「初めまして、加持さん。でもどこかで、会った気がするけど」
「・・・隣、良いかな」
「どうぞ」 ハルカ
「加持さん。帰ってきてたんですか?」
「君たちの護衛に付いていたんだが朝霧君に興味が出てね。つい出てきてしまったよ」
「怒られるんじゃないんですか?」
「基本的には、政府側で、第3東京市国防管区の監視が仕事でね。怒られる筋じゃないんだ」
「アスカが探していましたよ」
「実のところ、彼女の護衛が多くて、仕事柄、会わない方が良くてね」
「そういえば、最近は、捕まらないって」
「これでも逃げるは上手くてね。ところで、朝霧君は、どこから来たのかな」
「・・・履歴書の通りです」
「・・・突然、NERVの深層部がら出現した」
「生まれは、富士宮よ」
「おいおい。そう隠すこともなかろう」
「・・・・・」
「碇ユイ博士と綾波レイ、碇シンジ」
「惣流・キョウコ・ツェッペリンと朝霧ハルカ。惣流・アスカ・ラングレー」
「この関係は、同じ系列のものだ」
「・・・・・」
「惣流キョウコの生まれは、確かに富士宮の朝霧だがね」
「何が知りたいのかしら」
「真実さ」
「それは、仕事。それとも病気?」
「・・・病気かな・・・真実を知りたい」
「実力以上のものを得ようとしても死ぬだけよ」
加持は、ニヤリと微笑む
「そうだ。確かにその通りだな。実は、確信に近付いている」
「ただ、確証がなくてね。自分の想像が信じられないほどだ」
「無理に真実を求めなくても、楽しく生きるべきよ」
「人生を楽しむには、もう汚れ過ぎたな」
「不運を決め込んでも。自虐にふて腐れても。悟りきった真似をしても」
「自分のためにはならないと思うけど」
「ふっ いまので確証を得たよ。君は本物だ。伝説の東洋の3賢者か」
「学者でありながら賢者と呼ばれただけはある」
加持の元にコーヒーが運ばれてくる
「加持さん。政府が人類補完計画に手を出そうとしているのは、噂だけ?」
「政府は、一枚岩じゃない。実のところゼーレとの対決に躊躇している」
「相変わらず、離合集散ね」
「バラバラにされそうだったのを何とか食い止めたところだ」
「しばらくすれば、もう一度戻ることになる」
「再選のため。政権を担いたいばかりに自分の意見を曲げる人間もいるのね」
「出世が出来ると思えば、裏切り。自分の意見を変えて反対票も入れる。よくある話しだ」
「それで、欲望に支配されやすい人間に欲望を捨てさせる方法で」
「効果的なのが暴力や死をちらつかせる。加持さんということ?」
「いまの政府は、有力者の欲望を叶えるだけの時間も、余裕もないからね」
「まぁ 素敵な話し」
「心苦しいがね。倫理や道徳、博愛が役割を果たしてくれないから、代わりに恐怖をね」
「・・・・・」
「政府で人類補完計画に関心を持っているのは、一部だけだ」
「主流ではないのね?」
「予算の一部が回されているが何か出来るだけの予算でもなく。人材もたいしたものじゃない」
「そう。政府は、軍を掌握しているの?」
「いまのところ、幸か不幸か文民統制が取れている。軍のモラルも高い方だ」
「政府は、馬鹿なの?」
「あいにく、人並み以上の能力も、人類の未来や国益より」
「狭い範囲での派閥争いと選挙基盤のもめごとに忙殺されている」
「そうなってしまうのね」
「視野の広さ、人類意識ならゼーレの方が上だな」
「それで、官僚は、優秀な頭脳を肥大化させながら、私服を肥やしているわけね」
「自分の組織を命がけで守ろうとする者。拡張しようとする者は多いよ」
「でも、全体の利益のために自分の組織を潰しても良い、と思うような腹のある官僚はいないのね」
「自分の組織を守るためには、命がけで働いているさ。保身だよ」
「命がけの方向が違うわね。愛国心とも、人類愛ともいえない」
「確かに」
「セカンドインパクト後を乗り切るため、豪腕を振るった気概のある政治家も官僚も保身に走ると愚民化の早いこと・・・」
「NERVの人類補完計画で、それらを解決できるのかい?」
「加持君。まともな飼い主が欲しいの?」
「欲しいね」
「種子を探しているんだけど」
「第1アダム?」
「NERVの人類補完計画の原案は、人類全体の精神感応よ」
「表層面に限定されるけど伝達速度・精度・容量は数百倍、虚偽は困難」
「でも、個性が、失われないレベル」
「それまで脳の10分の1使っていた状態から3分の2を使う状態になる」
「良心家が出世する時代になるわね・・・・・・」
「それには、インパクトをムラ無く行うためには書き換えに成功した種子が必要なの」
「失敗すれば、最悪の場合、人類が分割される」
「種子があれば、それを防ぐことが出来る」
「・・・たぶん、碇所長が持っているはずだ」
「何とか手に入れてみよう。ここであったことは、アスカに黙っててくれよ」
「よろしくね。加持君」
加持は、コーヒーを飲むとお金を置いて出て行く。
「・・・ハルカ。大丈夫なの?」
「種子を探していること、ゼーレに知られたら」
「NERVが人類補完計画を意図していると勘ぐられる」 レイ
「彼は、多分、一流よ」
「そう聞いている」
「ゼーレもリリスに種子が無いこと知れば、躊躇する」
「それとも、第12使徒の種子を必ず書き換えて持ってくるはず」
「それに種子が無いことで起こる分割だけならゼーレもこちらの意図が分からないはず」
「そうね」
402号室
シンジとレイは、コーヒーを飲んでいた。
「碇君・・・本当に結婚してくれるの?」
「綾波が良ければ、綾波と結婚したいって、思っている」
「碇君と結婚したい」
「本当! 良かった。婚約だね」
「うん」
「綾波。キスして良い」
「うん」
・・・・・・・・・
「ダブルエントリーも良いけど、キスするのも良いね」
「どっちが良い?」
「んんん・・・・ダブルエントリーでキス」
「怒られる」
「そうだね。でもダブルエントリーを出ても重なっている感覚があるのって、嬉しいね」
「でも、生身の訓練の時、感覚が狂う」
「うん。相手がマナだと全然、分からなくなる」
「アスカが相手だったら?」
「なんとなく分かるけど、ほとんど間に合わない」
「そう」
ジオフロント上空を滞空するトライデント機アルファ (シンジ、ヒカリ)
発令所
ミサト、日向
「エヴァ光質は?」
「増加しています」
「そう」
「皮膜が機体を完全に覆えば、名実ともに最強の空中巡洋艦か」
「電磁弾道砲とN2爆弾を凌ぐことが出来れば、使い道が広がりますね」
「ええ、ロケットブースターで打ち上げて」
「トライデント機4機で、静止軌道上の第16使徒を占領できる」
「その効果は、大きいそうよ」
「静止軌道上の大要塞ですね」
「その全てが、シンジ君にかかっている」
「ゼーレ側に、シンジ君がいない。物凄く優位な気がしますね」
「基礎になっている人柱の数が違うから。絶対とはいえないけどね・・・」
「ある意味、ゼーレが羨ましいですね」 青葉
「3000万の人柱を集められたから?」
「同じセカンドインパクトでも地域によって事情が違います」
「人柱が不幸とは決められませんよ」 青葉
「飢えで死ぬか人柱なら、人柱を選ぶかも」
「コアの中で生きている実感があるのかしら・・・・」
「そろそろ、シンジ君とヒカリちゃん。限界では?」
「・・・そう。じゃ 降ろして休息を取らせて」
「シンジ君とレイの組み合わせ以外は時間的制約があるのが辛いですね」
「休息の代わりにシンジ君とレイを初号機でダブルエントリーという手もあるわね」
「シンジ君はともかく、レイの都合は付かないと思いますよ」 青葉
「んん・・・・」
「トライデント機のコアを初号機に書き換えて、シンジ君とレイに乗ってもらうのはどうですか?」
「んん、新兵の訓練で、後退するけど・・・」
「少なくともエヴァ光質がトライデント機を覆ってしまうのは早いと思います」
「なるほど、新兵教育を意識し過ぎていたわね」
トライデント機アルファ (シンジ、レイ)
ミサト
「ハーモニックス率43パーセント、シンクロ率83パーセント、重複率0.053パーセントです」
「エヴァ光質は?」
「どうやら、シンジ君とレイの組み合わせの相乗効果で予測よりも増加しています」
「シンジ君、レイ。自動操縦だから、好きなだけ乗ってて良いからね」
『なんか、エイになって飛んでいるような気がするんですが』
「負担は?」
「初号機や零号機、四号機ほど休息を取れないようですが、長時間の作戦が可能です」
「シンジ君。気分は?」
『そうですね。自分自身で風を切って空を飛んでいるような・・・悪くありません』
「レイと一緒に?」
『・・・はい』
「レイ、気分は?」
『碇君と同じです』
「このミッションの目的は、トライデント機の防御力強化よ」
「シンジ君が乗るとATフィールドの作用で機体全体がエヴァ光質の皮膜で覆われる」
「そして、レイとのダブルエントリーだと長時間の作戦が可能になる。お願いね」
『はい』
『問題ありません』
訓練場
ハルカは、あっさりとアスカに捻られる
「痛い!」
「はあ〜 ハルカ、全然素人じゃないの・・・最初の頃のシンジ並みに弛んでいるわ」
「アスカって強いのね。カッコいい」
ハルカ、憧れる
「ハルカ!」
「なに?」
「走りなさい」
アスカ。出口を指差す。
「ええ〜」
「戦場で死にたくなかったら。走りなさい」
「あ〜ん。アスカ〜」
「甘えても駄目!」
ジオフロント
ハルカは、コダマと走らされる。
他にもヒカリ、チアキ、タダシ、ケンスケが職員と走らされる
「・・・コダマさん・・・あなたも・・・災難ね・・・付き合わされて・・・」
「いえ。光栄です」
「総務やっていると、鈍ってしまうので碇君とも走ったことがあるんですよ」
「みんな、走らされるのね・・・」
「そのときは、わ、わたしだけ、自転車でしたけど」
「今度は、リツコちゃんも・・・・走らせようかしら・・・鈍っているはずだから」
「あ、あのう・・・聞いていいですか?」
「なに?」
「どうして・・・赤木博士を・・・・リツコちゃんと・・・・呼ぶように・・・なったんですか?」
「んん・・・・・・なんとなく・・・・かな・・・」
「そ、それだけでも・・・尊敬してしまいます」
発令所
トライデント機アルファは飛び続けていた。
ミサト、日向
「・・・・日向君。新兵訓練は?」
「いまは、走らされているようですね。今日は珍しく、ハルカも・・・・」
「アスカも、隊長らしくなったかしら」
「地位を与えれば、自然とそれらしくなると思います」
「実力に差があり過ぎる場合は、楽なのよね」
「実力で負けていると苦しいんですよね」
「自分のスタイルに自信をなくしたり。頭を使ったり、本に頼ったり」
「そうなのよね・・・・」
「・・・・・」 一同
「マヤ。シンジ君とレイ。どこまで行ってるのかな」
「あんなに仲が良いということは、やってないのかな?」
「やってません」
「んん、気になる。マヤ、本当にやっていないの?」
「やったら、すぐ分かります」
マヤは、頬を赤くして、ニューロン・シナプスマップを確認する。
機械的にわかった。
「監視している保安部員も、わたしも肉体関係は無いと見ているんですよね」 青葉
「んん、言われて見ると・・・確かに・・・・・」
「一緒にいるのは確かですが」 日向
「んん、シンジ君、一緒の部屋に何時間も二人でいるのに」
「そんな蛇の生殺しみたいな。お姉さん悲しい」
「そんな、まだ中学生ですから」
「あのね。最前線パイロットなのよ。明日には死ぬかもしれないのよ。やったもん勝ちよ!」
「まさか、不能」 青葉
「正常です」 マヤ、頬が赤い
「んん、気になる。あとで聞いてみようかな」
「二人を傷付けないでくださいね」 マヤ
「わ、分かっているわよ」
街のレストラン
ミサト、シンジ、レイ
「さあ、食べて、食べて、シンジ君、レイ」
「頂きます」
「・・・・・」 レイ
「今日は疲れたでしょう。慣れないトライデント機にたくさん乗って」
「いえ、そんなには」
「・・・・・」 レイ
「美味しい?」
「は、はい」
「ごめんね。すき焼きパーティに呼んであげられなくて」
「いえ。全然!! 気にしていませんから」
「気にしていないわ」
むっ!
「まぁ〜 いいわ。ねえ、いま・・・二人の関係は、どのくらい進んでいるの?」
「・・・・こ、婚約しました」
ぶっ!!
ミサト、咳き込む。
「・・・・・・・・」 レイ、頷く
呆然と二人を交互に見るミサト
「こ、婚約・・・・」
「高校を卒業したら結婚しようって」
「・・・・・・」 レイが頷く
ミサト、絶句
「ふ、二人とも、マジメなのね・・・・」
ミサト。少し引く
「駄目ですか?」
「えっ いえ・・・・ご、自由に・・・・し、祝福するわ。おめでとう」
ミサト、焦る
「ありがとうございます」 シンジ
「ありがとうございます」 レイ
「で、でも、その年で将来の相手を決めるなんて、勇気があるのね」
「そうなんですか?」
「え、ええ・・・と、ほら、若いんだから、いろんな人と仲良くすれば良いと思うけど」
「でも、二人で決めたことだし・・・」
「「・・・・・・」」
「まあ、このことは、わたしの口からは、他の人には言わないけど。な、仲良く・・がんばってね」
「はい」
「はい」
402号室
シンジ、レイ、アスカ、マナ
レイの作った食事を食べる4人
「レイ。腕を上げたわね」 マナ
「そう、碇君の担当のときも私が作るわ」
「駄目よ。部下である、わたしが作るわ」 マナ
「・・・婚約者のわたしが作る」
マナとアスカは絶句する
その目は、シンジに注がれる。
「「・・・・・・・」」マナ、アスカ
「あ、綾波と、こ、婚約したんだ。高校を卒業したら結婚しようって」
マナとアスカは、テーブルの下にしゃがみ込んで顔をあわせる
『・・や、やってないわよね』 マナ
アスカがテーブルの上に顔を出して二人を見るとすぐにしゃがむ。
『や、やってないと思うけど』 アスカ
『でも、婚約なんて、まじめ過ぎよ』
『人類の救世主なんだから、やりたい放題じゃないの』
『なんで婚約で自分を縛るわけ』
『・・・バカシンジだから』
『レイのやつ。シンジ君を独り占めするなんて、ずるい』
「何してるの?」
テーブルの下から顔を出す。マナとアスカ
「な、なんでもない。婚約おめでとう。シンジ、レイ」 アスカ、引きつる
「・・・・おめでとう」 マナ、ムッとしながら
「ありがとう。アスカ、マナ」
「ありがとう」
そして、シンジとレイの婚約は、奇異に思われながらも内外に浸透していく。
NERV本部
ラウンジ
「「「「婚約〜!!」」」」 リツコ、伊吹、青葉、日向
「シー! 誰にも言っちゃ、駄目。秘密。ここだけの秘密よ」
「というか。ミサトに教えた時点で秘密じゃないってことね」
「な、なによ。せっかく、最新情報を入手したのに」
「マジメですね。婚約だなんて」 青葉
「少なくとも婚約しているのなら、夜中一緒に過ごしていても、口出しできないという事ですね」 日向、納得。
「シンジ君とレイ。偉いわ」 マヤ
「やっているようには、見えないけど」 リツコ
「データー上も、やっていません」 マヤ
「ミサト。いつ結婚するの?」
「高校を卒業してから」
「じゃ 結婚してから・・・・いつまで持つかしら・・・・・・ふっ」
「わたし、応援します」 マヤ
「まぁ 僕も応援するな。あの二人が正気なのは、嬉しいから」 日向
「婚約といっても二人だけで決めたことだし、まぁ 若いんだから・・・あ・・・応援するかな」
青葉は、マヤの睨みに負けて応援する。
「まだ小学生に毛が生えたようなものだし、個体差で二人とも遅れているけど・・・」
「高校生になれば、シンジ君も、我慢できなくなるでしょうね」
「・・・薬で・・・・」 マヤ
「駄目よ。生存本能を抑制すると、シンクロ率に悪い影響が出るから・・・」
「こういうのは自然に任せた方がいいわ」
「しかし、良いな。あの二人。婚約か・・・落ち着くよな。気分的に」 日向
「そ、そうか〜 逆に落ち着かないな」
「それに、やらなくても、あんなことやこんなことが・・・」
「青葉君。なんか、いやらしい」
「いや、自然な流れとしてだよ」
「そうそう。一緒にいる時間が長いと、いやなことも見えてくるし、幻滅したり、目移りしたりよ」
「特にレイは、家庭的とは言えないし」
「経験済みですか?」
「ふっ 男と女の性みたいなものよ」
「そうね。ミサトの生活をチラッとでも見たら、レイは、聖母に近いわね」
「リツコ。人を生活破綻者みたいに言わないでよ」
「ち、違うの?」
「ち、違うでしょう。わたしだって、その気になれば、立派なものよ」
リツコ、伊吹、日向、青葉は、疑わしげにミサトを見ると。
ミサトは、ムッとする
「ミサト。いい加減にまっとうな生活しないと、生活破綻者どころか、人格破綻者。人生破綻者よ」
「な、何よ。ちょっとビールが多くて、掃除する間が長いだけじゃない」
「・・・・・・・」 一同
「うぅぅ 酷い、みんなが虐める〜」 泣き
402号室
シンジがドアを開けるとレイが立っていた。
「碇君。おはよう」 レイ
「綾波。おはよう」 シンジ
シンジは、綾波に軽くキスをする。
二人の朝は、早かった。
朝の一時を一緒に過ごすのが心地良かったからだ。
何をするわけでもなかった、一緒にいて手を繋ぐとなんとなく落ち着く。
「・・・そろそろ、行かないと、アスカが朝食を作って待っているわ」
「うん」
シンジとレイが404号室に入るとアスカとマナが待っている。
「・・・・2分遅刻。二人とも朝からイチャついてたわね」
「ぅう・・・・」
「ええ」 レイ、無表情。
アスカとマナは、ムッとする
「どこが良いのかしら・・・・」
「はぁ わたしの方が可愛いのに」 マナ。ぼやく
「あの・・・そろそろ。食べようよ」
「どうぞ」
アスカ。ふて腐れる
「頂きます」 一同
学校
シンジ、レイ、アスカ、マナが登校。
ヒカリ、ケンスケ、タダシ、チアキは、走って登校
「おはよう。ケンスケ」
「・・・はぁ〜 疲れたよ。シンジ、良く走って登下校やってたな」
「うん、綾波とアスカが一緒に走ってくれたから続けられたんだ」
「俺は、家が近い委員長と。久坂は新城と登下校で走ることになったから」
「そうなんだ」
「俺達の方が遠いから、凄く疲れるんだよ。早く起きないといけないし」
「同情するよ」
「でも、まあ、委員長と一緒に走るのも悪くないさ」
「えっ ケンスケは、洞木が・・・」
「いや、意識しているわけじゃないけど。感慨深いものがあってね・・・」
「しかし、惣流のやつ。無茶苦茶厳しいぜ」
「同情するよ」
「組み手やったら半殺しに遭うし。闇打ちだっけ、あれもボコボコに遭うし」
「惣流のやつ、凶暴すぎるよ」
「そうなんだよ・・・」
シンジ、しみじみ頷く。
「勉強もな・・・新城と久坂のやつ詰め込みやがって、宿題まで出しやがる。俺が一番、悲惨だよ」
「・・・そういえば、ケンスケ。小テスト、割と良かったね」
「割とね・・・いままでよりはね」
「そのうちだよ。なかなか、覚えないけど」
「ある程度覚えたから、パズルと同じで勢いが付いてわかるようになるんだ」
「なぁ ところで綾波のやつ」
「偉い難しいホームページ見てないか、あんなの中学生が見るものじゃないだろう」
レイは、ドイツ語で書かれているホームページを熱心に見ていた。
「あれ原文だろう。翻訳しないで見ているじゃないか」
「す、凄いね」
「本当は、何人なんだ」
「に、日本人かな・・・」
「セカンドインパクトでオゾン層が、おかしくなって南半球じゃ」
「硬角質や粘着質の皮膚を持つ人間が誕生しているけど」
「・・・・」
「綾波の場合。皮膚も白いし白人系かな」
「突然変異で環境に逆行するものかな。それとも氷河期でも来るのかな」
「た、ただのアルピノだよ」
「そういえば朝霧ハルカ。彼女も綾波と同じアルピノみたいだけど、あの娘は、良いよ。最高だな」
「そ、そう・・・」
「なんと言うか、お姉さまって感じ。憧れるな〜」
「いろんな表情を見せて俺を惑わせるんだ」
「ミサトさんが最高じゃなかったんだ」
「幻滅してしまった。俺の部屋の方が綺麗だったよ」
「ハルカの部屋は、どんなかな・・・・」
「きっと綺麗さ」
「恋は、盲目だな」
「おまえ知っているのか?」
「知らないけど。実際に付き合うのは、大変だと思うよ」
「綾波とはどうなんだ。付き合っているんだろう」
「大変だよ・・・・・」
「そういえば、綾波も物凄く強いんだよな」
「たまに訓練場に来るけど、惣流と良い勝負だった」
「うん」
「でも一番強いのが、霧島だから参ったよ」
「俺より背が低いのに簡単に捻じ伏せられる。改造人間じゃないのかあの強さ」
「桁違いに動きがいいね」
「シンジは、綾波と。どっちが強いんだ」
「綾波」
「頭は?」
「・・・綾波」
「がんばってな」
「うん」
「そう、落胆するなよ。あの硬派自慢の二枚目タダシを投げ倒した男じゃないか」
「マナに3分で落とされたら、自慢する気にもなれないよ」
シンジ、自嘲気味
「・・・・霧島は、なんで綾波にくっ付いているんだ」
レイが、パソコンのホームページを見ている横で、マナがレイの方をボーと見ていた
「さあ・・・」
レイ、マナ
「・・・どうして、わたしを見ているの?」
「シンジ君が、どうしてレイを好きになったのか気になって」
「笑顔が・・・好きって、言っていたわ」
「それは、認めるけど・・・他にもあるでしょう」
「そう・・・わからない」
「・・・ねえ」
「何?」
「それドイツ語? 翻訳しないで読めるの?」
「専門用語が多いと誤訳されるときがあるから」
「ドイツ語、話せるの?」
「・・・文書が読めるだけ」
「何が書いてあるの?」
「10次元世界に存在する弦(ひも)を基本粒子として・・・」
「電磁力、強い力、弱い力、重力をすべて統一して説明することがこころみられている理論・・・」
「超ひも理論ともいう。電磁力、強い力、弱い力をひとまとめに説明しようとする大統一理論には・・・」
「重力が含まれていないところが不満足な点である」
「重力をふくむ統一理論として有力視されている・・・・超弦理論は・・」
「ストップ!」
「・・・・・・」
「はぁ〜 シンジ君がレイの頭脳に惚れているとしたら、勝ち目はないわね」
「マナは、元気で、かわいいわ・・・碇君は、マナに感謝していて、とても好きよ」
「それ余裕」
「事実」
「そういう・・・客観的な姿勢が好きなのかしら」
マナが腕を組む
「ねえ・・・シンジ君と、よくキスするの?」
マナは、周りに聞こえないように近付いて聞く
「ええ」
レイ。少し赤く頷く
「その時の気持ちは?」
「・・・嬉しいわ」
レイ、さらに赤くなり。
マナが、へこむ
「・・・・・・・」
「胸とか揉まれたりする?」
「いいえ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「レイの方からシンジ君にキスしたりも・・する?」
「ええ」
「んんんん・・・」
「・・・・・」
「二人とも、裸で寝たりする?」
「いいえ」
「んんんん・・・・」
「・・・・・・」
「シンジ君は、やさしい?」
「ええ」
「んんんんん・・・・・」
「どうして?」
「えっ!」
「どうして、そういう事、聞くの?」
「シンジ君とレイが、そういうことしているのが想像できなくて」
「そう・・・するわ」
マナが、ガックリと机に塞ぎこみ。
そのまま、イヤイヤ状態。
後ろから、それを見ていたシンジが赤くなる。
「・・・ねえ、シンジ君は、アスカのこと、どう思っているかしら」
「とても強くて前向きで、綺麗で、頭が良いと思っている、とても好きよ。尊敬もしている」
「レイって、不器用だけど良い娘ね」
「そう」
「レイは、どうして、シンジ君が好きになったんだっけ?」
「・・・わたしには、碇君しかいないもの」
「そう」
学校
昼食後
バスケット
(シンジ、レイ、タダシ、チアキ) VS (アスカ、マナ、ケンスケ、ヒカリ)
シンジとレイのコンビネーションは常軌を逸したレベルで行なわれる。
アスカとマナは、アイコンタクト無しでボールのやり取りをするシンジとレイに圧倒される
後は、タダシ、チアキとケンスケ、ヒカリの戦力差がそのまま点差となっていく。
多くの生徒が見守る中、8人組みのバスケは、人気を集めていた。
アスカが一番目立って主導権を握っていたため。
アスカ帝国と総称される8人組の誕生だった。
昼休みが終わる。
「何で相手を見ずにパスできるんだよ。アイコンタクトも無しで投げるか普通」
ケンスケは、納得できない。
「あ、綾波とは、気が合うんだ」
「碇。最近、自信喪失が激しいんだから、あまりショックを与えないでくれよ」
タダシは、どよ〜ん
「でも、勝てたのは久坂と新城のお陰かな。僕と綾波は、アスカとマナに押さえ込まれていたし」
「はぁ 霧島さんにもう少し身長があったら負けてたよ」
「なに? あのでたらめな動き。何で、あんなに機敏に動けるわけ?」 チアキ
「普通、パスしたボールを追いかけて取る?」
「・・・霧島って、小柄な割りに胸が大きめだから、萌えるな」
ケンスケが後ろにいたマナにどつかれる。
「わたしが後ろにいるのもわからないから、負けるのよ。このスケベ」
「最低〜 相田君」 ヒカリ
「相田。ちゃんと勉強しないと、昼休みも勉強させるからね」 チアキ
「シンジ〜 みんなが虐める〜」
「ははは」
トライデント・アルファ
(シンジ、レイ)
「どう? マヤ」 ミサト
「ええ、アルファ機。エヴァ光質の皮膜で完全に覆われ厚みが徐々に増しているようです」
「・・・最終的にはどういう形になるわけ?」
「いまのところ不明ですが、皮膜の厚みが大きいほど、容積に比例してATフィールドも強靭になります」
「強くなる?」
「はい、エヴァ皮膜そのものは、量子数を持たない状態なので空気より軽く」
「機体の比重は減少することに・・・・」
「そう、とりあえず、ベータ、ガンマ、デルタも完全に皮膜で覆った方が良いか・・・・」
「そのほうが効率的ですね」
「ハルカを除けば新兵単独で実戦レベルに達しているパイロットはいない」
「ATフィールドの発生もムラがある」
「物理的にでも、防御力の強化が重要ですね」
「シンジ君とレイは、喜んでいるみたいね」
「ミサトさん。先輩が飛行が終わったら。レイを赤木研によこすようにとのことです」
「はぁ どこも引っ張りだこか」
「マヤ。そっちは進んでいるの? 何やっているかわからないけど」
「それは、わたしの口からは、言えません」
「そうでしょうとも・・・」
「出来れば、なるべく早くトライデント4機ともエヴァ皮膜で覆いたいんだけど」
「先輩には報告しておきます」
「本当。頼むわよ」
第42話 『女の戦い』 |
第43話 『婚 約』 |
第44話 『カヲル来襲』 |
登場人物 | |||