月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

   

   

第45話 『折 衝』

   

 スーパー

 レイは買物をして、シンジとカヲルは、その後ろを歩いていた。

 「綾波レイが食事を作るのかい?」

 「うん」

 「楽しみだな。何を食べさせてもらえるんだろう」

 「いつも、材料を見て想像するんだ。7割くらい当たるよ」

 「んん、野菜炒め」

 「僕もそう思ったよ」

 シンジとカヲルが笑う

  

  

 NERV

 控え室

 アスカがイライラと動き回り。

 ハルカは、簡易ベットで、くつろいでいた。

 「・・・・・・」 アスカ

 「・・・・・・」 ハルカ

 「・・・・・・」 アスカ

 「・・・くっ、くっ、くっ・・・・ふふふ・・・・・は、は、ははは・・・」 ハルカ

 「ハルカ! よくこんな時にマンガなんて、読んでいられるわね」

 「二人とも、仲良くしていたわ。くっ、くっ。このマンガ家、おもしろ〜い」

 「ハルカ。シンジが殺されるかもしれないのよ」

 「殺すのが目的なら、ファーストコンタクトで、すぐやっていたわ」

 「シンジ君も、アスカも、レイちゃんも、一緒にいたのに・・・」

 「ふふふ。最大のチャンスを見送っているのよ」

 「だから、むかつくのよ。猫がネズミをもてあそんでいるようなものよ」

 「むかつくのは、使徒に、無視されたから・・・・・」

 「・・・・・・・・」

 「彼は・・・渚カヲル君は、一緒に遊んでくれる友達が欲しかったのよ」

 「恋人が、欲しかったわけじゃないわ」

 「・・・・・・・・」

 アスカが、ムッとして、ソファに腰掛ける

 「そして、シンジ君は、カヲルを友達だと認識した。アスカやレイちゃんじゃ無理ね」

 「バカシンジだからよ・・・殺し合うのに何が友達よ」

 「そのときには・・・シンジ君に優しくしてあげて・・・シンジ君も辛い・・・思いをするから・・・・」

 「ハルカ。そういう言葉って、笑いを堪えながら言わないでくれる」

 「・・・・・く・・・・・く・・・っ・・・・く・・・」

  

  

 402号室

 シンジとカヲルは、レイが作った野菜炒めで、ご飯を食べる

 「美味しいよ。綾波レイ」

 「うん」

 「ありがとう」

 レイ、社交辞令

 「新婚夫婦の家に押しかけたみたいで悪いね」

 「そ、そんなことないよ・・・刺激があった方が楽しいから」

 「本当かい・・・・じゃ しばらく厄介になろうかな」

 「うん。いいよ・・・」

 「でも、カヲル君の、お父さんとか、お母さんは、心配しているんじゃないかな」

 「二人とも仕事ばかりで構ってくれなかったからね」

 「世話をしてくれた家政婦も仕事だと割り切っていたし」

 「僕がいなくなって、ホッとしていると思うよ」

 「そ、そうなんだ・・・そ、そんな風に思いたくないけど・・・・」

 「シンジ君のお父さんとお母さんは?」

 「お母さんは事故で死んだんだ・・・お、お父さんは・・・言いたくない」

 「じゃ 不幸少年だ。少し似ているかな」

 「僕は、あまり構ってもらわなかったけど、不治の病で死ぬところだった」

 「それじゃ 生きているのは、使徒のお陰なの?」

 「言っただろう。僕にとっては、生も、死も、等価値だって」

 「ごめん。不幸ぶって馬鹿だね。僕は・・・」

 「気にしなくてもいいよ。こうして第二の人生を送れるのは、不幸じぁなくて幸運」

 「闘病生活も、色あせるくらいに、いろんなところに行ったよ」

 「普通の人間だと経験できないようなこともあった」

 「カヲル君・・・ど、どうして僕と?」

 「消去法で、シンジ君が残っただけなんだ」

  

  

 

 綾波ビルの隣のビル。一部屋

 数人の男たちが出入りしていた。

 「加持局長。持って来ました。これから組み立てます」

 「ああ、ご苦労さん」

 「やはり、使徒の可能性が一番高いです。撃たなくて正解だったそうです」

 「勘ってやつだ。見た瞬間に気圧されたからね」

 「これが最大です」

 「40mm対空砲か・・・・・」

 「これで良いんですか?」

 「12.7mm、20mmは、あったが・・・こいつで、人間を狙撃するのは、初めてだな」

 「・・・衝撃が大きすぎるような気がしますが?」

 「ああ・・・それにシンジ君が避難するとは思えないな」

 「命令でも?」

 「シンジ君は、人殺しが、できるタイプじゃない・・・」

 「逃げた時点で戦闘になるが、一緒にいれば戦闘にならない」

 「それに、自分から争いを作る性格じゃない」

 「状況は、極めて不利では?」

 「人が、人殺しをするのに大義名分が必要なのは、善良なうちだよ」

 「すぐ組み立てます」

 「行けそうですか?」

 「たぶん、気を逸らせるだけだな。次の瞬間に、こちらがやられる」

 「近くにいるシンジ君と綾波ちゃんが衝撃で逃げられるか、分からないな」

 「彼が風呂に入っているときがチャンスですよね。二人を避難させて一撃」

 「使徒だぞ、狙撃防止用の壁なんて、紙みたいなものだ」

 「ATフィールドを展開するだけで周囲50mが一瞬で消し飛ぶ」

 「人型の使徒。厄介ですね」

 3Dで室内の様子が映されている。

 「シンジ君は、戦えないだろうな・・・」

 「しかし、彼も理不尽ではなさそうだ」

 小型3D映像で402号室の中が手に取るように分かった。

 「信じるんですか? 使徒を」

 「最初の接触時、主力のファースト、セカンド、サードが揃っていた」

 「彼が見送ったチャンスは大きすぎる」

 「力関係はともかく・・・不可解だな・・・いや・・・不可解なのは、力関係そのものか」

 「不可解ですか?」

 「普通、示威行動の一つでも行うものだ。だが、それもない」

 「シンジ君は、渚カオルの力が、わかっている、ということですか?」

 「ああ・・・」

  

  

 403号室

 シンジとカヲルは3Dゲームに興じ、レイは、コーヒーを入れる。

 「僕より下手な相手に初めて会ったよ」

 「初めてなんだよ。小さい頃は、勉強ばかりだったから」

 「僕は、こっちに来て、友達ができてからかな・・・・」

 レイがコーヒーとお菓子を持ってくる。

 そして、カヲルの反対側、シンジの隣に座る

 「ありがとう。綾波」

 「ありがとう。綾波レイ・・」 カヲル、儀礼的

 「・・・・・」 レイ、無視

 『なんか空気が重い・・・』

 シンジは、レイとカヲルの冷戦状態に戸惑った。

 「カヲル君は、カッコいいから、もてるんじゃない?」

 「どうかな・・・どう思う・・・綾波レイ?」

 「イヤ」

 「嫌われている・・・」 カヲル、どよ〜ん

 「あ・・・綾波は、少し変わっているから」

 「ほら、学校とかに行けば、きっと、女の子にもてるよ。きっと」

 「そうか。学校にも行ってみたいな」

 「明日は、シンジ君の学校に編入手続きをしてみるかな」

 「カヲル君は、学校に行きたいの?」

 「小さい頃は、家庭教師の英才教育。息抜きで学校に行っていたから楽しかったんだ・・・」

 「でも病気になってからは、学校に行った事なかった」

 「シンジ君と同じクラスがいいな・・・何組」

 「2年A組」

 「そう、学校か・・・」

 「役所で転入手続きが必要」

 「シンジ君。役所の案内をお願いしていいかな」

 「いいよ」

 その後、レイは、一度、自分の部屋に戻り、シャワーに入ると、シンジの部屋に戻る。

 三人は、遅くまで3Dゲームをし。

 レイは、帰らない。

 シンジは、何とかレイを部屋に戻そうとしたがレイは動かず。

 シンジと同じ部屋に寝ることに、

 カヲルは、隣の部屋のソファで寝る。

  

  

 発令所

 ヨシキ、冬月、リツコ、ミサト、日向、青葉、伊吹、その他、スタッフ

 「・・・・・・」 一同

 「で、リツコ。どうするつもり?」

 「へっ・・・わたしに聞いているの?」

 「そうよ」

 リツコは、両手を持ち上げて

 “お手上げ”

 「シンジ君と同じ学校に編入させるつもり、使徒なのよ」

 「・・・・・」 腕を組む一同

 「司令!」

 「・・・編入させて、いいだろう」

 「使徒を生徒と一緒に授業を受けさせるんですか?」

 「攻撃されていない・・・ウロウロされるより良い」

 「本部に来れば、そのまま戦闘になるのだから」

 「シンジ君は、しばらくNERV本部に来ないことにしてくれ」

 「それとシンジ君とレイを一緒に人質取られるより、マナをシンジ君と同行させるべきです」

 「ミサト。いまさら不自然でしょう」

 「レイはシンジ君の婚約者なんだから」

 「紹介だってしているし。それに相手が使徒だとマナでも話しにならないし」

 「・・・・」 ミサト

 「シンジ君とレイ。一緒の部屋に寝るなんて、別の意味で緊張するわね・・・」

 マヤは、睨まれ塞ぎこむ

 「レイ、監視カメラに気付いているわね。あの娘」

 レイは、部屋の違いに気付いて、確認していた。

 「・・・・・・・」 一同

  

  

 学校。

 渚カヲルの転入で第壱中2年A組の女子生徒は、萌えた。

 カヲルは二枚目で瞬間的にクラスの人気投票番付でトップに躍り出る、

 遠からず学園トップも間違い無し。

 カヲルの周りに集まる女の子は、魅力的な転校生の世話を焼こうとする。

 しかし、カヲルは、シンジのそばにいることが多い。

 そして、同じ空間にいるシンジ、レイ、マナ、カヲルが奇妙で奇異な空気を漂わせた。

 シンジをカヲルとマナが牽制しながら取り合い。

 レイが一歩離れる。

 「シンジ君。今日は、仲良しの惣流アスカ、相田ケンスケは、来てないんだね」

 「い、忙しいんじゃないかな」

 「誰かのせいでね」

 マナは、命知らずなのか、麻痺しているのか、険悪さを隠さない。

 「誰だろう?」

 「おまえだ。渚!」

 「そうなのかい。シンジ君?」

 「そ、そうかもしれない・・・でもこういう事は、よくあるんだ」

 「それは悪いことしたね」

 「そうだ、シンジ君。昼休みに学校の案内をしてくれよ」

 「うん」

 「あら、学校の案内なら、たくさんの女の子が並んでいるのに、どうして、シンジ君に頼むわけ?」

 「友達だからさ」

 「・・・・・・・・」 シンジ

 「・・・・・・・・」 レイ

 「・・・・・・・・」 マナ、引き攣る

 

 

 発令所

 「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」 一同

 「“友達だからさ” ・・・やられたわね・・・これで、シンジ君は、無力化したようなものね」

 「元々 圧倒的に不利だったのだから、そう言われてもね・・・」

 「はぁ〜 日向君。新人の訓練は」

 「ベータでタダシ君が飛行中。4号機がチアキで訓練中ですが戦闘に耐えられません」

 「ヒカリとケンスケ君は走っている最中です」

 「まだ使えないわね」

 「ええ、使えませんね」

 「・・・神経が磨り減らされるわね。この状態は」

 「青葉君、本部の防衛線は?」 リツコが、尋ねた。

 「はい、円心状に従深防衛線を構築しています」

 「相手が使徒でなければ完璧ね」

 「・・・・・」

  

  

 昼休み、

 シンジの両隣にレイとカヲル、正面にマナ

 マナの作った弁当を3人が食べる。

 「ちょっと、渚。シンジ君から離れなさいよ」

 「なぜだい」

 「あんた、変態なの?」

 「男同士で・・・ あんたを見ている女の子がたくさんいるでしょう。そっちに行きなさいよ」

 「ふっ これでも、僕は、人見知りが激しいんだ。友達がいなかったからね」

 「・・・な、な、なにが “ふっ、これでも僕は、人見知りが激しいんだ・・・”」

 「冗談じゃないわよ。そこはわたしの座る場所よ。どけ!」

 マナが怒って、カヲルを引っ張って席を変わる。

 「やれやれ、シンジ君も大変だね」

 「あんたが一番大変なのよ」

 「シンジ君・・・僕が重荷なのかい?」

 「そ、そんなことないよ。カヲル君が一緒にてくれると楽しいから」

 「僕もだよ。シンジ君」

 「もう・・・シンジ君。何を渚と見詰め合っているのよ。」

 「えっ! だって、正面に座っているから、仕方がないじゃないか」

 シンジとカヲルは、親しく語り合い。

 レイは、無表情。

 マナは、カヲルに敵意丸出し。

 その後、バスケット部の生徒に誘われて、シンジ、レイ、カヲル、マナがバスケットを興じる。

 シンジとレイのパスワークは、神業で、

 カヲルとマナは、個人プレーでバスケット部の生徒を圧倒する。

 マナの挑発で、バスケット部は、2人増えて6人がかりになった、

 それでもシンジ、レイ、カヲル、マナが勝ってしまう。

 黄色い声援はカヲルに集中。

 放課後、カヲルは、人気投票で学園トップになっていた。

  

  

 発令所

 「「「「「「・・・・・・・」」」」」」 一同

 「使徒が中学生活をエンジョイしているわ」

 「運動能力は、人並み以上か、筋萎縮性側索硬化症は完治している」

 「ATフィールドは、まだ確認されていない」

 「リツコ。試しに狙撃してみる?」

 「外なら戦車砲も使えるわ」

 「人間だったら、あなた、人殺しね」

 「使徒なんでしょう?」

 「99.9999パーセントね。そして、戦車砲も通用しないわ」

 「使徒決定。殲滅よ」

 「それで、戦争を始めるの?」

 「攻撃命令は、司令が出すものよ」

 「待機だ」

  

  

 ボーリング場

 1位マナ、2位レイ、3位カヲル、4位シンジ

 「ふふふ、バスケじゃ 良いところを取られたけど、ボーリングは、わたしの勝ちね」

 「シンジ君。僕とライバルだね」 スコア101

 「隣の小学生に負けてるよ〜」 スコア98

 「シンジ君。わたしが手取り足取り教えて、あ・げ・る」 スコア180

 「・・・・・・・」 シンジは赤くなる。

 最後、レイがダブルストライクを取ってスコア182、マナと順位が入れ替わる

 「げっ! 負けた〜」

 「・・・・・・・」 レイ、微笑む。

  

  

 発令所

 「「「「「「・・・・」」」」」」 一同

 「・・・いつまで、この状態が続くのかしら」

 「私達は、常に第一種警戒態勢で緊張状態なのに・・・」

 「使徒は、ボーリングで遊んでくつろいでいる」

 「そういえば、家に帰れないわね」

 「これが精神攻撃なら15使徒を超えているわ」

 「長期戦になれば、遊んでいる使徒の方が有利か」

 「子供達も、学校をいつまでも休ませるわけにはいかないし」

 「交替で学校に行かせるか、家庭教師をつけるか」

 「ゼーレに動きはないの?」

 「同時進攻の可能性だって、あったんでしょう」

 「今のところ無いわね」

 「んん、あの子、ゼーレと接触しているのよね。その時の情報はないの?」

 「フォルダーも、ファイルも、ガードされている。破壊するのは難しくないけど」

 「・・・シンジ君だけを本部に戻せないかな」

 「人見知りする使徒がシンジ君に付いて来ると困るでしょう」

 「はぁ〜 訓練できないじゃない。毒殺は?」

 「シンジ君やレイがうっかり食べたらどうするの?」

 「それに使徒に毒が効くとは思えないわね。麻酔が効かないんだから」

 「例のエヴァ光質弾は?」

 「ATフィールドで覆わないとATフィールドを撃ち破れない、取り込まれるだけよ」

 「それに小型の使徒は、器用なはず」

 「変種の光質を取り込んで。どう使われるか、わかったものじゃないわ」

  

  

 403号室

 シンジは、レイと同じ部屋で寝て、カヲルは、隣の部屋のソファで寝ている。

 「僕は邪魔かい。シンジ君」

 「邪魔じゃないよ。綾波とは一緒に入るけど、何かするってわけじゃないから」

 「しないのかい?」

 「んん、中学生だし、なんか見張られているから、結婚するまで待とうかなと思っているんだ」

 「君は、ガラスのように繊細なんだね」

 「そ、そうかな」

 「僕は、君に会うために生まれてきたのかもしれない」

 「・・・・・・」 シンジ

 「・・・・・・」 レイ

  

  

 NERV ラウンジ

 アスカ、ハルカ、ミサトのコーヒータイム

 「ミサト! いったい、なにやっているのよ!」

 アスカが突然。キレる。

 「・・・・・・」 ミサト、ぼんやり。

 「やる気あるわけ、チャ、チャ、チャ とやっちゃいなさいよ」

 「何を?」 ミサト、冷静。

 「だ、だから、あの気色の悪い使徒を殲滅するのよ」

 「新しく作った。シミュレーションは?」

 「渚カヲル君との戦いは、勝っているの?」

 「・・・・・・・・」

 「小さ過ぎて、上手く行かないんでしょう」

 「本当に、あの強さがあるわけ?」

 「第3使徒と同じレベルの強さにしているけど」

 敵が小さ過ぎて攻撃が空振りしていた。

 「うぅ・・・・・」

 「渚が嫌いなんだ」

 「き、嫌いって! あんたバカ! 使徒なのよ、使徒。使徒! 殲滅でしょ!」

 「・・・そうなんだけどね〜」

 ミサト、ため息

 「シンジが、人質になっているから?」

 「まあ・・・そんな、ところかな」

 「だいたい、何でレイも、一緒に人質になっているわけ」

 「レイが携帯で中継しているのよ。シンジ君は、そういうのできないでしょう」

 「そんなのは、マナの仕事よ。パイロット二人を犠牲にすること無いでしょう」

 「あのオカマが狙っているのはシンジなんだから」 アスカ、機嫌悪

 「アスカは、自分を無視してシンジ君に走った」

 「使徒・渚カヲル君に腹を立てているのよ。誇りを傷付けられて」 ハルカ

 「違うわよ!」

 「そ、そうなんだ・・・そうか、渚カヲル君。カッコいいものね」

 「男に走って行ったから怒っているのね」

 「違うって、言っているでしょう!」

 「アスカ・・・人格壊れてる」

 「ムキ〜 二人で、馬鹿にして」

 アスカが立ち上がると去っていく。

 「「はあ〜」」 ハルカ ため息 & ミサト 崩れる。

 「似たもの同士ね」

 「誰が?」

 「ミサトさんとアスカ」

 「そうね・・・似ているわね」

 「・・・・・」 ハルカ

 「ハルカも似ているわ」

 「誰に?」

 ミサトは3枚の写真をテーブルにおいた。

 「あなたと、アスカと、惣流・キョウコ・ツェッペリン。気付くのにこれだけ時間がかかるなんて」

 ハルカが微笑む。

 ミサトは、もう3枚の写真を出した。

 「シンジ君と、綾波レイと、碇ユイ」

 「惣流・キョウコ・ツェッペリンと、惣流・アスカ・ラングレー」

 「碇ユイと惣流キョウコの写真を探すのは、なかなか至難の業だったけど、これで確証したわ」

 「碇司令が母親の写真をシンジ君から隠した理由ね」

 「ミサトの目を見ていたら気付いていると思った」

 「真実を知りたいわね」

 「そこまで気付いたなら、最後まで自分で調べたら」

 「これ以上は、トップシークレット。当事者しか知らない」

 「ふっ 優秀な科学者が一人いると、科学知識に裏打ちされた想像力と推論でね」

 「現物を見せるだけでスパイの代わりも出来るよ」

 「それは、確実じゃない。相手が利口だとは限らない。馬鹿な作戦を取る指揮官もいる」

 「科学者は、理由もなしに遠回りをしない」

 「わたしは、セカンドインパクトのとき現場にいたのよ。知る権利があるわ」

 「助かって、よかったわね」

 「教える気はないのね」

 「守秘義務だもの葛城少佐」

 「そう、分かったわ。朝霧少佐」

  

  

 404号室

 アスカは、自室に戻ると机の中から、一枚の写真を取り出した。

 若い頃の母親の写真。

 髪と眼の色を除けば、ハルカにソックリな風貌。

 「ママ・・」 アスカが呟く。

 “かごめかごめ” を口ずさむ。

 アスカは、写真をしばらく見詰めてポケットにしまうと、

 洋服ダンスのハーフコートを着て部屋を出る。

 どんよりとした曇り空から細かい雪が降っていた。

 コダマの車に乗り込む。

 「次は、どこに?」

 「本部に戻って、片付けは、終わったから」

 「少しは、寄り道しても良いって言われているけど。ずっと本部に待機だったでしょう」

 「ったく。なんで、こっちがコソコソしないといけないわけ」

 「使徒が悠々とバスケやボーリングやっているのよ。バッカみたい」

 「じゃ 噂は、本当だったんですね?」

 「げっ! いまの聞かなかったことにして」

 「NERV内って、意外と漏れるんですよね」

 「はあ〜 雪が降ってこれだけか」

 「日本は、セカンドインパクト以来の初雪よ」

 「去年まで暖かいくらいだったから」

 「それでも気候が昔に戻っているのは確かね。寒いもの」

 「ドイツに比べたら。こんなの秋風よ」

 「ねえ、もっと寒くなるかな。コートくらい買いに行ってもいいけど」

 「マギの予測だと2月くらいまで、いまの温度差で±4度で続くみたいね」

 「じゃ コートを買いに行くわ」

 「部屋から持ってきたんじゃないの?」

 「ドイツから持ってきた服?」

 「新しいのを買うわ、生き残って着るために」

 「そう、じゃ 最初に行った所で良い」

 「あそこ、第12使徒が消したから」

 「えっ あちゃ〜」

 「西区4番にお気に入りがあるから、そこに行って」

 「ええ」

 「・・・・・・・・」

 「アスカ。ヒカリのことなんだけど、あの子、大丈夫かな?」

 「あのオカマ使徒と、戦うことになるかもしれないわね」

 「オ、オカマだったら。ヒカリは、相手にされないわね」

 「さぁ シンジに近付いたら、速攻で殺されるかも」

 「シ、シンジ君に近付かないように言っとくわ」

 「ふっ 大丈夫よ。訓練中の人間を戦場に出したりしないもの」

 「そう・・・でも、シンジ君は・・・」

 「あいつは特別よ」

 「普通は、まともに動かせるまで何ヶ月も必要なんだから。ヒカリは普通よ」

 「そう・・・良かった」

  

 

  

 405号室

 夕食、シンジ、レイ、マナ、カヲル

 「シンジ君。明日は、学校をサボって釣りに行かないかい?」

 「いいけど。釣り・・・やったこと無いよ」

 「僕もさ」

 「わたしは、誘ってくれないわけ」 マナは、ムッとする

 「来るのかい?」 カヲルは、少しイヤ

 「行くわよ!」

 「私も行くわ」 レイがボソリ。

 食後、4人は、コーヒーを飲みながら、

 買ってきたばかりの3Dロールプレーイングゲームで遊ぶ

 「レイの黒魔術師って、適役ね。くっ くっ くっ キャラの髪も青いし」

 「マナのスパイも、そのままだね」

 「シンジ君の剣士は、ともかく。渚の白魔術師は、納得いかない」

 「そうかい。レベル的には、かなり高いよ」

 「シンジ君。僕が付いているから心配しないで戦っていいよ。僕が守るからね」

 「って言うか、あんた。ゲームでもシンジにベッタリじゃないの・・・」

 「いい加減にヒイキしないで、わたしの小太郎ちゃんも回復させてよ」

 「だって、MPが減りすぎるとシンジ君を守れないよ」

 「この〜」

 「あ〜 何で、味方に体当たりするんだよ。2HP減った」

 「マナ。隊形崩したら駄目よ」

 「こいつが、ヒイキなのよ」

 「いまの戦況で、彼の言っていることは正しいわ。戦闘時と探索時では、優先順位が変わるもの」

 「ぅぅ・・・ぅぅ・・・・情欲的なものを感じる」

 「だいたい、何であんた男の癖に女の子の白魔術師やるわけ」

 「名前は、そのままカヲルだし」

 戦闘が終わってGOLDO40を手に入れる。

 「ふっ 愛さ」

 「この、変態!」

 「あっ! また、体当たりした。3HPも、減ったよ」

 「ふふふ」

 「僕は、挫けないからね。シンジ君」

 「ははは」

 「わたしも、女のキャラにすれば良かった」

 「あとは、惚れ薬のアイテムを購入して・・・シンジ君とゲーム内結婚だね。ふっ」

 スパイの小太郎が、白魔術師カヲルを小突く。HP5減る

 「あんた。私のキャラと交換しなさいよ」

 「駄目だよ」

 「絶対、惚れ薬なんか買わせないから・・・・」

 「くぅ〜 スキルの高さで男を選んだわたしが馬鹿だったわ」

 「解毒薬を買えばいいわ」

 「よっしゃ!」

 「碇君、わたしと婚約モードに入れば、レベル3以下の惚れ薬は、効かなくなるわ」

 「あっ そうだね。じゃ 町に着いたら教会で婚約モードに・・・・・」

 「げっ!」

 「シンジ君。僕とは、いやなのかい?」

 「えっ イヤというわけじゃないけど。ど、道徳的に倫理的に問題が・・・・」

 「あったり前でしょう。ていうか、婚約禁止よ」

 「婚約モードに入ったら。ほかのキャラとの連携が制約されるから駄目。惚れ薬も内部使用禁止」

 「荷物重量制限は、一人、35kgから60kgまでだから、なるべく、資格や証書で済ませる方が得よ」

 「せめて、ゲームの中だけでも、かなわぬ恋を・・・」

 「禁止よ!」

 「マナは、彼と・・・・」

 「絶対にイヤ!」

 「仕事でも?」

 「ゲームの中だけならいいわ」 マナ。泣き

 「僕にも選ぶ権利が・・」

 ボカッ。

 小太郎に殴られ、白魔術師カヲルは、8HPが消える

 「わ、私のどこに不満があるっていうわけ! この変態!」

 「いや、普遍的な愛の追求だよ」

 「普遍じゃないでしょう! あんたのは特定。特別。特殊!」

 「そこに洞穴があるわ・・・マナ、先行よ」

 「うぅぅ 小太郎と呼んで」

 白魔術師カヲルが回復呪文でHPを回復

  

 

 

 

  

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第44話 『カヲル来襲』
第45話 『折 衝』
第46話 『自由意志』
登場人物