月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

   

第59話 『そこに山があるから』

 シンジとレイは宇宙開発に駆り出される。

 アスカは実業家生活で忙しく。

 ハルカは、エヴァ関連の研究で忙しい。

 さらにアスカ、レイ、ハルカは、教員職も兼ねて変則的な生活だった。

 学校生活も、なおざりで、3割休校。

 それでもシンジと仲間たちにとって、高校生活は、有意義だった。

 惣流アスカは、柔和性を。

 綾波レイは、師弟愛と一般常識を。

 朝霧ハルカは、気分転換を・・・。

 という具合に人間の人格は、簡単に変わらないとしても影響があるかもしれず。

 本人が、それほどでなくても、シンジは、綾波レイの新しい魅力に呆然としたりもする。

 

   

  

 

  

 ラグランジュ点 L5

 約75パーセントの炭素質系C型小惑星。

 約17パーセントの珪素質系S型小惑星。

 ニッケルと鉄が主成分のM型小惑星。

 他にも、稀少金属を含んだ小惑星もあって、宇宙開発では、宝の山だった。

 カヲルが、8個目の小惑星を自転させて中身を刳り貫いて、

 アラエルで建造したシリンダー状のコロニーを差し込んで固定。

 シンジ、レイ、アスカ、ハルカ、カヲルも、慣れたもので自転軸がぶれることなく成功する。

 これら箱物は占有権を確保しているだけだった。

 移民やインフラ整備は、後回し。

 氷の小惑星を砕いて運び込み太陽光熱集光器で過熱して気化。

 あとは、植物相から発生する酸素の自然増に頼った。

  

  

 天城シロウと赤木リツコの結婚式。

 宇宙での結婚式は、珍しくなくなっていた、

 それでも、第166組目とカウントすることが出来た。

 人望と実力の差だろうか、

 それとも、戦後という平和な世の中であるためだろうか、

 盛大な挙式が行わる。

 シンジは、レイの作った原稿を読まされる羽目に・・・・

 訳知りの人々は苦笑いしていたが、照明の調整で周りが、ほとんど見えず。

 気分的は、朗読に近かった。

  

  

 アラエル 工場

 シンジとアスカは、4m級作業ロボットを見上げていた。

 このロボットは、人間が操縦することも。

 トリニティの遠隔操作や自立プログラムによる無人作業もこなせて、

 現時点で優れものという評価を得ていた。

 「少し、小さくない?」

 「身長で、エヴァの10分の1ね」

 「6割が光質なんだね」

 「ええ、トリニティのおかげで増殖も楽になったけど、ほとんどは、初号機と渚カヲルの生産ね」

 「LCLって、嫌なんだよね。あれだけは、何とかならないのかな」

 「十分な所得になっているはずよ」

 「使ってないような気がする」

 「わたしも、使う暇がないわね」

 「・・・・・・・・・・・」

 「今後は、この機体が宇宙開発の主役になっていくでしょうね」

 「じゃ 楽が出来るのかな」

 「基礎工事は、こっちでやらないと駄目よ」

 「じゃ いまと同じじゃないか」

 「シャカシャカやらないと、NERV債の償還が進まないのよ」

 「・・・何かのロボットアニメみたいだね」

 「ロボットアニメも、この機体を使うことになりそうね」

 「戦車型とか、戦闘機型とかじゃないんだ」

 「戦争するわけじゃないし。開発するときは人型が便利なのよ」

 「それに戦車だと、一定以上の質量がないと、大砲を撃ったときの反動で、ひっくり返るもの」

 「でも、エヴァの場合は、質量が、あるよね」

 「エヴァが勝手に擬似的な質量を作っているだけよ」

 「ん、じゃ それがないと浮かぶ?」

 「ええ、浮かぶでしょうね。量子量ゼロの光だもの」

 「じゃ 初号機も飛ばせるのかな」

 「装甲は、外さないとね。試してみたら。シンジならできるかもね」

  

 

 エヴァング シリーズと呼ばれる機体のロールアウトで宇宙開発速度が速まる。

 もっとも光質の培養は、加速器を使うか、

 初号機(シンジ、レイ)、渚カヲルの増殖に頼るため容易ではなく、

 シンジとレイは、初号機でエヴァ光質の増殖をするか、宇宙開発の基礎工事が仕事だった、

 月の地下空間である主要幹線9本が加速器として併用され、

 太陽光熱発電の供給が増すとエヴァ光質の生産力で初号機や渚カヲルを抜いてしまう。

 その代わり、初号機(シンジ、レイ)と渚カヲルの宇宙開発基礎工事の割合が増えていく。

 シンジとレイも、ずっと一緒にいられる、ダブルエントリーを好んでいて文句を言うつもりはなく。

 働かなくても良いだけの収入があるのに進んで働く。

  

 数十体のエヴァングが小惑星を刳り貫くための作業機械と

 搬送用カプセルを小惑星表面に設置し、

 エヴァゲリオン抜きの初の小惑星開発も進められる。

 初号機と渚カヲルが数刻でやってしまう作業をエヴァングは、数ヶ月を要し、

 効率の悪さは、採算ベースを年単位にした。

  

  

 第壱高校の屋上

 学生服のアスカ、レイ

 「やっぱり、エヴァングは、効率悪いわね」

 損益収支がかかっているらしく。

 アスカは、うんざりするほど日当計算表を睨みつける。

 「でも太陽系開発をエヴァゲリオンと渚カヲルに頼ってしまうのは危険すぎるわ」

 「それにもう少しマシな、設備を整えたコロニーを組み込む時間的余裕も必要よ」

 「アメリカも、ドイツも、宇宙艦隊を整備しているし」

 「小惑星に探査機を送り込んでいるから、あまり、のんびりとしていられない」

 「ただの箱だけでも先に小惑星に組み込んだ方が占有権で有利よ」

 「ニュートラル型のエヴァンゲリオンを建造する?」

 「500分の1でパイロットを発見できる」

 「ゼーレ球から精神体の複製をダウンロードすれば良いわ」

 「いっそのこと、ゼーレ球ごとエヴァンゲリオン12体を再構成させる方法もある」

 「リリスがなくても、ゼーレ球に動き出されたら、なにするか、わからないわ」

 「仮にダウンロードでも、どれくらいの力を発揮するのか、わからないし」

 「確かに・・・それほど、信頼は、出来ないかも」

 始業ベルが鳴る

 「はぁ〜 また授業か」

 「非常勤だから、それほど負担にならないわ」

 能力過多な、アスカとレイが教室に向かう。

 「でも、レイが先生というのも、意外ね。教職も馴染んでいるし」

 「アスカが仕組んだんでしょう」

 「そうだけどね」

 「いいけど」

 「恨んでいないんだ」

 「たいしたことないもの」

 「絆強いわね。あんたたち」

 「ええ」

 「夕食は、どうするの?」

 「・・・堤防で刺身」

 「良いけど。あんたこの前、海で泳いだとき、魚、追いかけて捕まえてなかった?」

 「ええ」

 「普通の人間は、そんなことしないのよ」

 「そうなの?」

 「そうよ」

  

  

 全翼型 全長100m×全幅160m×全高15mの巨人機、

 価格、整備、運用で高額。

 さらに軽量過ぎて気流の影響が大きかった。

 など問題を抱えてもエヴァ光質は航空機の素材で主流になろうとしていた。

 ブースターを装備すれば、そのまま、大気圏を離脱し、衛星軌道にまで行くことが出来た。

 あるいは、宇宙戦艦は、衛星軌道に入ると背面飛行に入る。

 「・・・ハルゼー艦長。アラエル管制官から “ぶつけるなよ” だそうです」

 「わかっているさ ったく。日本人め、でかい態度をしやがって」

 「こんなことになるんだったら使徒迎撃戦をアメリカ大陸でやれば良かったんだ」

 「マギも、人類補完計画も、エヴァシステムも日本製ですから」

 「それに碇ゲンドウも日本人ですし」

 「日本本土迎撃は、民族的に抵抗が少なかった。と聞いてます」

 「どうせそうだろうよ。しかし、アメリカは、勢力を回復できるかどうか」

 「むかしの様には、いかないでしょうね」

 「おまえは若いから、抵抗ないだろうがセカンドインパクト以前のアメリカ人は、そう思えないんだ」

 「では、わたしでなく。もっと年寄りに、やってもらったらどうです」

 「そうもいかんさ。会話の問題じゃなく。レリエルの能力を持つ人間にしか出来ないこともある」

 「切り札ですか? 渚カヲルには負けますよ」

 「絶対にかね?」

 「ええ、絶対に」

 「どのくらいの力関係なんだね」

 「大人と赤子程度でしょうか」

 「レリエルのコアがないのは、それほどの差になるということか」

 「レリエルの複製コアを培養中なんですよね」

 「ああ、ケルベロスもマギも破壊されて、資料もデーターも全て破壊されたが残った物でなんとかな」

 「ATフィールドを展開できるんだろうな」

 「たぶん、大丈夫ですよ」

 「ところで、ほかのレリエルの仲間は?」

 「さあ、施設も、指揮系統もバラバラでしたから、最終決戦で、ほとんど死んでいるか、逃げたか・・・」

 「仲間同士で精神感応のような繋がりはないのかね」

 「一人一人、違うサンプルで人体実験したみたいです。わかりませんね」

 「しかし、有視界に入れば、精神感応も使えますし、確認できるでしょうね」

 「何人か覚えている顔もあるので・・・・」

 「ドイツでも、レリエル系の人間を確認したらしい」

 「へぇ〜 ゾンビじゃないでしょうね」

 「それは、わからんが、そんなに問題かね?」

 「少なくとも、自分が襲われるのは嫌ですね」

 「人類も、随分と多様化してしまったな・・・・」

 「建前上、人種間の差異は、小さかったのでは?」

 「法律上は、なかったさ。それに既存の人種を超えて、というのもなかった」

 「もっとも、法律の専門家も少ない」

 「守られていたか、どうか。いまでも守られてるか。わからないがね」

 「そろそろ、軌道を変えますか?」

 「ああ」

 宇宙戦艦は、軌道エレベーターの軌道を避けて飛行する。

 「アメリカは、どこに軌道エレベーターを建設するんですか?」

 「さあな。ガラパゴスが良いという者もいる」

 「キトが良いという者もいる」

 「大西洋側のマカバが良いという者もいる」

 「アメリカが大西洋なら、欧州連合が東アフリカに軌道エレベーターを建設するだろうな」

 「それぞれ、太平洋、大西洋、インド洋に面することが出来る」

 「ハルゼー艦長は?」

 「宇宙戦艦にとっては、軌道エレベーターは邪魔にしかならん」

 「ですが、エヴァ光質の生産は、とんでもないエネルギーを必要としますから。一般化は、困難かと」

 「わかっている」

 「忌々しいが日本は、月の全周を利用した加速器でエヴァ光質の生産を開始している」

 「太陽光熱発電を利用してだ」

 「そういえば、アラエルを地球軌道を全周させるんですよね」

 「ああ、そうらしいな。たぶん、加速器もつけるだろう」

 「いまより、もっと邪魔になりませんか」

 「アメリカ政府は、苦労しないで区画を割り当てられるからと、乗り気になっている」

 「軍人がどう思おうと。政治家が、やってしまうときは、やってしまうだろうな」

 「そうなれば、本機も、宇宙に常駐配備だ」

 「日本人は、どうして、シンガポール沖に軌道エレベーターを建造しなかったんでしょうか?」

 「太平洋とインド洋の双方に睨みを利かせられたのに」

 「アラエルが、そこにあったからだろう」

 「それに、日本、ニューギニア、オーストラリアのラインを監視しやすく」

 「ワイゲオ島を核に航路を確保して十分、インド洋に対する睨みになっている」

 「もっとも、船舶の重要性が、いつまで続くかわからんがな」

 「今後は、エヴァ光質が主流になると?」

 「今でも十分に軽量だからな。擬似質量の操作は、まだ困難だが」

 「それさえクリアできれば、光は、量子量ゼロ。空気よりも軽い」

 「黙っていても衛星軌道にまで上っていくんだ」

 「水の抵抗を考えれば、船体を光質で作りたくなるさ」

 「例え、積荷の重みで沈んでも燃料費が浮くだろう」

 「その上、既存の材質より強靭で耐久年数すら、ないときている」

 「ですがエヴァ光質は、日本から購入する方が早いですね」

 「おかげでNERV債も随分減っている。良し悪しだな」

 「ところで、主要各国の上層部は、最終決戦でゼーレ球に入って、大丈夫なんですか?」

 「大丈夫じゃないさ。基幹になる政官財のエリート層をそっくり、コアに持っていかれた」

 「体制そのものを立て直さなければならず」

 「南米まで支配地を広げなければならない」

 「上層部と体制が、そのまま残っている日本は、どうしても有利だ」

 「道理で混乱していると思いました」

 「艦長は、ゼーレ球に行かれなかったので」

 「お呼びが、かからなかったよ。残念というべきか、幸運というべきか」

 「どちらが、良かったので?」

 「さあな・・・・」

 「世相が酷いと、ゼーレ球入り。考えたくなりますね」

 「世相か・・・混乱というだけならセカンドインパクトから混乱しっぱなしだよ」

 「いや、セカンドインパクト以前。いや、セカンドインパクトを起こしたくなるほどにな」

 「上層部が起こそうとしたというのも、不思議ですね」

 「既得権がたくさんあって、安楽な生活があるというのに・・・」

 「エリオ・ホーネット君。永遠の生命。人間関係の摩擦、しがらみの解消は、お金持ちも関心を持つよ」

 「ですが、わたしたちは、種子のサンプルを投与されているせいか」

 「ゼーレ球に入らせられなかったようです」

 「その辺のデーターは、残っていない」

 「理由は、もういない専門家に聞くしかないな」

  

  

 北アフリカ、チェニス

 ヘルメットを被った金髪の少女がトンネルから出て来て。数人の大人が迎える。

 「上手くいったようだな。アーク・ヴィクトリア君」

 「ええ、これで、ジブラルタル海峡ルート。シチリア海峡ルートの出来上がりですね」

 「欧州連合とアフリカ大陸がジブラルタル。シチリア海峡ルートで繋がると経済波及効果は大きい」

 「あとは、自然に勢力が、増していくだろう」

 「一休み。できそうですね」

 「ああ、一休みしたら、ケープタウンまで頼むよ」

 「ケープタウンまで、ですか?」 不満

 「しかし、便利なものだ。好きなだけ虚数空間に物質を送れるというのは・・・」

 「これでも結構、疲れるんです。それにATフィールドの干渉を受けやすいし」

 「やはり、渚カヲルには勝てないか」

 「戦う気にもなれません」

 「戦車を消してしまえるというのに・・・」

 「相手は、真正の使徒ですよ」

 「見かけはともかく。わたしのような中途半端な使徒人間じゃありませんよ」

 「それでも君に期待するしかないな」

 「戦いになるということですか?」

 「いや、イザというときにな」

 「出来れば、戦いは、止めて欲しいですね」

 「彼が目の前に来たら降伏しますよ。死にたくありませんから」

 「誰も、戦いたいとは思っていない」

 「しかし、準備だけはしておくものだ」

 「準備ね。地域紛争で懲りたんじゃないんですか?」

 「懲りたさ。しかし、同時に抜け道も考えた」

 「それは、人の性と言うやつですか?」

 「国の上層部に立つと、国防も考えるということだよ」

 「それにしては、随分、混乱していませんでした? その上層部」

 「出来立てほやほやだからな」

  

    

 放課後の学校。

 職員室から出た綾波レイは、校門の前で待っているシンジと合流する。

 先生と生徒から、婚約者同士になる瞬間・・・・

 「綾波先生。サヨウナラ〜」

 などと声を掛けられたりもする。

 アスカの策謀だがシンジとレイの心身感応は結束が強い。

 なんとなく出来た垣根も、背徳的で、小気味良い刺激に感じたりもする。

 後ろめたさがないのか、

 婚約者が公然としているせいか、周りも、それを認めている。

 良い雰囲気の結界のような世界が作られる。

 アスカとマナもなんとなく入り込めずに後ろから付いていく。

 それでも、土足で入り込める人間がいる。

 渚カヲル。

 人間と言えるか、なのだが、見た目で人間。能力で使徒。

 さすがに使徒だけあって、人間同士の結界など、簡単に踏みにじる。

 「シンジ君。スキーに行かないかい」

 「スキー?」

 「スキーというのはね」

 「セカンドインパクト以前のスポーツで雪山から板に乗って滑り降りるんだよ」

 「なに? シンジ。スキーを知らないの〜」

 「よ〜し、次の休みにドイツに連れて行ってあげよう」

 「わたしも♪ わたしも行くからね。シンジ君♪」

 結界が壊れてしまうと侵食が始まる。

 アスカの介入とマナの援護射撃で近場の北海道がドイツ行き。

 「・・・・・・・・・」

 シンジは、一言も意思を表わすこともなく。

 ドイツ・スキー旅行が決まっていく。

 なんとなく、哀れに思うのは、近くで見ていたヒカリと “いつもの事ね” と見守るレイだった。

 『綾波さん。碇君のこと、あんな風に勝手に決められちゃって、良いの?』

 『・・・いつものことだから』

 『そう』

 シンジは、なんとなく、我を通すことに臆病になっていた。

 普通の女の子なら刺激がなくてつまらないと思うのだが、

 なんとなく、人気があるという不思議。

 碇家当主で将来性は、安楽で安定しているというのは大きい。

 しかし、レイ、アスカ、マナも自立して

 どちらかというと、三人とも積極的に男性化。

 トラウマで消極的に女性化しているシンジを落とそうとしているようにも見える。

 『雪山でスキー。ムフッ♪』

 『欧州連合と顔繋ぎしないと。疎遠も過ぎると対立関係になるから手間が省けたわね・・・・』

 『・・・・・・・・・』

  

  

 ドイツ

 惣流・アスカ・ラングレーの故郷。

 森林を白雪が覆い、ライン川が大地を分けて流れていた。

 シェーンブルク城は、アスカ、シンジ、レイ、マナ、カヲル、ヒカリをひっそりと迎える。

 父親と継母は、最終決戦後、行方不明になっていた。

 失望したが生きていると思いたい。

 厳密にいうと最終決戦は、日本も、ゼーレも戦略目標しか狙っていなかった。

 つまり戦略目標にさえいなければ、生きている可能性が高い。

 「・・・綺麗にしているじゃない」

 マナが喜ぶ

 「本当にお城なんだ」

 ヒカリも嬉しげ。

 「・・・・」 アスカ

 事前に掃除と修復させており、住むのに支障がなさそうだった。

 もっとも、以前と違って見え、故郷というには、空々しいほど色褪せている。

 もし自分にとって、母と呼べるとすれば、母の記憶を持つ朝霧ハルカだけ。

 そして、彼女は、宇宙開発の仕事で来ていない。

 よくよく不幸な話しだ。物心がついて最初の出来事が母の拒絶と、死別。

 悲しみを忘れるように訓練と勉強に打ち込んだ日々。

 使徒から人類を守るという気負いと、エリート意識と自制の狭間で生きてきた。

 それは、格下のシンジにあっさりと戦績で負かされ、

 その後、マヤと組んで金儲けをしていたら、シンジに投資される。

 さらに碇財閥の実権まで任され、

 碇シンジは、名義上のボスで、人が良いのか、バカなのか、自分に財産を任せている。

 引き受けてしまった方は、煩わしいなりに楽が出来て忙しく、楽しくもある。

 さらにシンジは、命の恩人。戦友。先生と生徒。同級生。仕事上のパートナー。同居人。

 母、惣流・キョウコ・ツェッペリンの記憶を持つ朝霧ハルカのサルベージを提案した少年。

 ファーストキスの相手でもある。

 使徒戦の頃より絆は、強まっている。

 もっとも、シンジとレイが婚約して、くっ付いたのは面白くない。

 レイは、いつもの様にメーテル服を着ていた。

 よくよく考えれば、綾波レイの秘書能力。

 いや、参謀としての才覚は、凄まじい。

 こっちのやろうとしていることをほとんど先読みし、

 いつの間にか障害物が取り除かれていたりする。

 使徒戦の頃、むかついていた寡黙な気質は、惚れ惚れするほど貴重になっていた。

 というわけで、レイとの関係もすこぶる良く、略奪愛も、思い止どまされる。

 霧島マナは、節操がないのか、そうでもないようだが・・・・・

 「シンジく〜ん。早く行こうよ」

 「う、うん・・・」

 シンジは自信なさげに頷き、ガチャガチャとスキー用具を持っていく。

 ・・・・初めてだったら大して滑れまい。

 誘った渚カヲルも付いてきたヒカリも、それほどでもないだろう。

 いきなり滑れそうなのは、野人の如き霧島マナと、

 読んだマニュアル本通りに重心移動をコントロールできるレイくらいだ。

  

 そして、案の定。

 霧島マナも、綾波レイも、可愛げがない。

 30分で、スキー歴10年が通用する。

 初心者コースが飽きた3人は、斜面を滑走しながら木々を抜けてシュプールを残していく。

  

 ドタッ! バタッ!

 コメディースキーを演じるシンジ、カヲル、ヒカリは置いていかれる。

 「シンジ君。なぜ真っ直ぐ滑り降りられないんだろう」

 「ひょっとして、蛇行しながら滑り降りるんじゃないかな」

 シンジが、レイ、アスカ、マナの滑走を見て呟く。

 ・・・どたっ! ・・・どたっ! ・・・どたっ!

 「なるほど・・・ヒカリは、どう思う?」

 「蛇行しようとしたら転んだわ」

 こけたヒカリが雪に埋もれた状態で呟く。

 「んん・・・・なにが、問題なんだろう・・・」

 「カヲル君。やじろべぇ みたいに両手を広げてバランスを取ったらどうかな」

 「シンジ君。惣流たちは、そんな風に、やってない、みたいだけど・・・」

 「あの3人は、上手いから。下手は、下手なりに滑って良いんじゃないかな」

   

 ※危険

 というわけで、ストックを両手一杯に広げて重心を取りながら・・・・どてっ!

 さらに横に倒れないように3人で横に手を繋いで・・・・・どたっ! ゴロゴロ

 柔軟性と応力を期待して、3人縦列・・・・・ばしっ! ゴロゴロ、ゴロゴロ

 航空力学で習った倒れない(落ちない)速度で・・・・・どたっ!! ゴロゴロ、ゴロゴロ、ゴロゴロ

 レイ、アスカ、マナが上級者コースで戻ってきた時。

 シンジ、カヲル、ヒカリは、雪だるまを作って遊んでいた。

 「あ、あんたたち・・・」

 「シンジ君。わたしも、手伝うね」

 「雪が強くなるから。城へ入りましょう」

  

  

 夕食

 チーズフォンデュ

 (溶かしたチーズのナベにパンなどの食材をつけて食べます)

 「あんたたち、スキーは、楽しかった?」

 「「「・・・・・・・」」」  シンジ、カヲル、ヒカリ

 「明日は、わたしが手取り、足取り。教えてあげるね。シンジ君」

 「初日だから好きにさせていたけど。まともに滑りたいなら教えてあげても良いわよ」

 「お願い〜 アスカ」 ヒカリが拝む

  

 闇に降り散る雪が古城に積もり。

 黒い川に向かって、落ちて融けていく。

 蝋燭の灯火が内装を揺らすように照らしていた。

 「シェーンブルク城の前を流れるライン川に沿って、小さな村があったの・・・」

 「そこに将来を誓い合った男と女がいたわ・・・」

 「男は働き者。女は綺麗でやさしい娘と評判だった・・・」

 「ある日、女が、いつもより早く、洗濯を済ませて、家に帰ろうとすると・・・」

 「許婚が隣村の娘と逢引しているのを見つけたの」

 「女は、必死になって、許婚が戻ってくるように努力したの・・・」

 「でも、男は、隣村の娘と逢引を続ける・・・」

 「女は、絶望してライン川に身を投げて、死んだわ・・・」

 「「「「・・・・・・・・・・・」」」」

 「その後、女の霊は、許婚を求めて歌を歌い」

 「その歌に魅せられた漁師たちは、誤まって船を転覆させて死んでいった」

 「「「「・・・・・・・・・・・」」」」

 「昔からこの地に伝わる。娘の名前を取って、ローレライの伝説よ」

 『アスカ〜 ・・・なんて、話しをするのよ』 ムッ!

 『ふっ』 ニヤリ

 アスカの狡猾な策謀で、マナの企みが打ち消されると高校生らしく。

 3Dゲームで遊ぶ。

 それでも、マナは、“女は、女同士よ” と、レイをシンジから遠ざけさせた。

  

  

 そして、遊びは、2日、3日で終わる。

 欧州連合機構との歓迎レセプションやら、

 懇談会やら、エヴァングの売込みやらでシンジは引っ張り出される。

 宇宙開発は、お金がかかる。

 この頃、シンジは、ドイツ語、英語で原稿を読まされ、簡単な片言会話ならできた。

 専任の通訳やアスカが間に入るが片言でも話せれば、雰囲気も変わる。

 トリニティの遠隔操作でスキーをするエヴァングは、上手く。感嘆で迎えられた。

 エヴァングの力を見せ付けて、欧州連合を圧倒する意図が見え見え。

 しかし、能天気な当主シンジのおかげで平和攻勢になってしまう。

 

 人間性というのは、不思議なもので、トップに悪意がないと。

 すんなりと協調したりする。

 

 ゲレンデの木陰。

 「君は、どこかで見たことがあるね」

 カヲルが後ろから声を掛けると。少女は、びくりとして振り返る。

 「アーク・ヴィクトリア。よろしく。渚カヲル君」

 「・・・何をしていたのかな?」

 「見学よ」

 「ここは、資格のない者が入り込めるような場所じゃなかったけど」

 「資格ならあるわ」

 少女は、レスキューの証書を見せた。

 「この山岳は、わたしの任地なの」

 最終戦争後の人手不足でも15〜17才の女の子のレスキューは無理がある。

 普通は、助けられる側だ。

 「レスキューだと、僕の名前を知っているのかい?」

 カヲルがニヤリと微笑む。

 「ええ、重要人物の手配が回って来たの」

 “そんなはずはないだろう”

 と突っ込むべきだがカヲルは、ボケ担当だった。

 白々しいセリフに戸惑う。

 渚カヲルにすれば、仲間に危害が及ばなければ、それで良く。

 そして、アーク・ヴィクトリアに悪意が感じられず退くことにする。

  

  

 アラエル軌道衛星

 ゼーレ球

 リツコとマヤは、パチパチとキーボードを打つ

 「先輩。ゼーレ球より、宇宙移民計画修正案です」

 3Dグラフに計算式と数値が流れて、人口増加と宇宙開発速度の曲線が微妙に変わる。

 20億の人口曲線と宇宙居住可能人口曲線が右上がりに伸びていく。

 そして、地球人口不快限界を超えて、宇宙の居住人口限界を越える。

 火星と金星のテラフォーミングは、間に合うはずもなく。

 真空の世界に居住空間を造って生活ともなれば、どう考えても不利になった。

 人間は、物を消費しなければ生きていけない。

 そして、物には限りがある。

 ゼーレの人類補完計画なら、有限な資源配分の心配は、まったく必要ない。

 ゼーレ球の中から高笑いが聞こえてきそうなのだが彼らにとっても人類は、自己増幅装置で安定供給が望ましい。

 ゼーレは、ゼーレ球に4000万の人間を取り込んだ時点で、必要最小限の人類補完計画が成功。

 地球規模への拡大に失敗しただけといえた。

 「ふぅ〜」

 「先輩。コーヒーを・・・・」

 マヤがカップを手渡す。

 「ゼーレが勝っていたら。人類は、シンジ君、レイ、アスカ、ハルカの4人だけだったんですよね」

 「ええ、随分時間を稼げるわね」

 「シンジ君たちの子孫が増えた頃には、ゼーレ群集生命体が力を持つ頃ですか?」

 「さぁ〜ゼーレが調整すればそうなる」

 「調整しなければ、ズレがあると思うけど。いまの状態より、双方とも楽なはずよ」

 「供給する側と保護する側に分かれて補完し合えるわね」

 「宇宙進出もATフィールドで行ける。行きたいと思うかわからないけどね」

 「先輩。わたしたちは、間違っていませんよね」

 「さぁ〜 物理的な進歩は、いまより、あるわね」

 「もっとも、彼らは、ATフィールド操作能力があるから、いらないと言うでしょうけど」

 「・・・・・」

 「死期が近付いたらゼーレ球に入るという手もあるけどね」

 「そんな・・・」

 「既にゼーレ入球希望者は、並んでいるでしょう。みんな年寄りだけど、若い者もいるわね」

 「・・・・・・・・」

 「世相が悪くなると、もっと、増えるわね」

 「シンジ君たちは、元気にしているかしら」

 「エヴァングの売り込みに行ってるはずよ」

 「欧州連合は、トリニティの遠隔操作を外すでしょうけど」

 「自動制御は、楽なんですけどね」

 「ゼーレ球が捨てた個人、社会、国家間の相克は、発展と荒廃のどちらにも転ぶわね」

    

 

 雪山の登山。

 アーク・ヴィクトリアは、シンジ、レイ、アスカ、カヲル、ヒカリのサポーターで同行する。

 金髪美人で、欧州連合が何を企んでいるか、露骨にわかる。

 あわよくば、篭絡・・・である。

 『懲りない連中ね』

 『シンジ君に近付いたら・・・・・』

 『・・・・・・・・』

 お金持ちでも、登山はする。

 というより、お金、プラスアルファが重要だった。

 資金力があっても、それだけの人間は、低く見られる。

 つまり、一流と見られない。

 ヘリで山頂まで行ってもバカにされるだけ。

 宇宙も、その延長に過ぎない。

 軌道エレベーターを歩いて登るのなら別だが・・・・

  

 “その山なら登ったよ”

 と言えれば、人間力で、一気に主導権が握れる。

 つまり、相応の地位にある者の登山は、ステータスの一つに過ぎない。

 そして、お金持ちほど、プラスアルファを求めて、金の力が通用しない世界に身を投じる。

 しかし、それは、結果論で、過程で得られる精神的な要素もある。

 “そこに山があるから” という、考えは常にあって、

 登山を目的にするか。登山を手段にするかは、個人の価値観による。

 どちらであれ、計画性、判断力、気力、体力、忍耐心、

 自己管理、自然予測、山岳知識、運など、自己の総合力を確認し、

 人間としての総合力を自他ともに証明させる。

 もっとも、シンジ、レイ、カヲル、ヒカリとも、惰性で付き合って、動機も、意欲も、低い。

 まだ、精神感応で、欧州連合の御偉い方と交流したマナは、登山の意図がわかる。

 そう、彼らの精神感応で見せる姿勢は

 “虎(エヴァ)の威を借りる者たち” “成り上がり者” に対する。それ。

 そして、それは、正しかった。

 エヴァがなければ、碇・惣流・伊吹財団も、日本も、欧米と同列に並んでしまう。

 「シンジ君。リリンが山に登るのは、文化なのかい?」

 「なんだろう。安らぎを求めないで苦しみを求めるなんて、なんか変だね」

 『人がせっかく、怠惰で惰性のぬるま湯から出してあげたのに』

 『このバカシンジが、少しは悟れ』

 幼少から訓練されていたアスカ、レイ、マナは、命の危険に晒される精神的な高揚感で、その気になる。

 そういった精神的高揚感に欠けるシンジ、カヲル、ヒカリは、標準的な凡人といえる。

 シンジは、使徒戦で、何度も死にかけた割に甘えがあって、緊迫感のない人間だった。

 母親(エヴァ)の胎の中で命がけで戦っていたと思えば、頷けるかもしれない。

 しかし、国際外交の表舞台に引っ張り出そうとすると指導力で無理が出てくる。

 そして、シンジの腑抜け振りは、傀儡で扱いやすいのだが限度があった。

 こんなやつに戦績で負けて、命の恩人というのも腹が立つ。

  

 

 キャンプ地で休息。

 アスカ、レイ、マナは、3人とも戦闘モードで、

 明日の天候とルートの確認で地図を睨み、緊張感が伝わるのか、空気が張り詰める。

 シンジは、真剣な表情のレイを惚れ直しているのか、ぼんやりと見ている。

 レイは、一顧だにしない。

 冬山の登山で恋愛ゴッコなんて、やっていたら死あるのみ。

 サバイバル歴で言うとマナ、アスカ、レイの順で登山も応用が利いた。

 シンジ、カヲル、ヒカリは、のほほ〜んとしている。

 中間は、アーク・ヴィクトリアで訓練を受けているのか、それなりで、

 使徒カヲルを別にすると、シンジやヒカリのような足手まといにならない。

 そして、能天気な三人は、トランプ遊びに興じる。

 「冬の登山でやる。大貧民は、リリンの文化だね」

 「革命」

 ヒカリが10を4枚出す。

 「「・・・・・・・」」

 「文化が、革命されたよ」 (T・T)

 

  

 標高3800メートル。

 足場のほとんどない、岸壁の岩場にザイルを掴んで、ぶら下がり、

 ハンマーでハーケンを岩に打ち込むと、音が響いて広がる。

 “ハーケンが歌う” と言う表現もある。

 空気が薄くなると疲労が大きくなり、寒さで手が痺れ、体が思うように動かなくなる。

 アイゼンと一体型登山靴は、最新のモノだが自分の判断で足場を確保する。

 誤れば、死と隣り合わせ、仲間ごと巻き込むことにもなる。

 ザイルを命綱にピッケルで足場を作り。

 状況次第で、ピッケルだけで、命を支える。

 赤木印の栄養剤、洗腸剤は、効果的で、

 およそ登山の苦しみの半分が解消されていた。

 それでも、現実に登るのは、知力、気力、体力をすり減らしながらになった。

 緻密な計算と、チーム全体の状況を把握しなければならない、

 単純に山の斜辺分だけ、距離が長くなるが斜辺など楽なうちで、

 断崖絶壁をよじ登る作業を何度も繰り返した。

 全神経を集中するわけにいかない。

 数パーセントは、とっさの変化に対応する注意力に割かれる。

 先行は、霧島マナ。

 時折、小石が落ちてくるが落盤は、まだ、ない。

 当然、個人差がでてくる。

 NERVの箱入り訓練を受けても、

 期間が短いヒカリが途中のキャンプ地で脱落。カヲルが抜ける。

 「僕が付いているからね。ヒカリ」

 「ありがとう。カヲル君」

 最初から “みんな仲良く一緒に” というレベルの山ではなく、

 結局、シンジを山頂に登らせれば、目的を達成する。

 アスカ、レイ、マナの三人が、山頂に立つより。

 シンジ一人を山頂に立たせるために登っているようなものだった。

 理由は、碇シンジが碇財閥の当主という事に尽きる。

 この腑抜けに欧州でも指折りのマッターホルン(標高4478m)を征服させるは、猫に小判。

 惜しい気もする。

 しかし、何も語らずとも、碇財閥の当主がマッターホルンを登頂。

 碇・惣流・伊吹財閥・日本の欧州連合に対する意思と、対外的に受け取るだろう。

 刹那、シンジの足場の崩れ。

 マナがザイルを引き摺り上げて、体力を消耗しきって脱落。

 その後、酸素ボンベの残量を計算・・・・・。

 「ア、アスカ、本当に僕が行って良いの?」

 『このスカタンが!! あんたを登らせるために苦労したのよ』

 「早く行きなさいよ」

 シンジとレイだけが山頂に向かう。

  

 シンジとレイは、マッターホルン(標高4478m)の山頂に立つ。

 足元に世界が広がっていた。

 宇宙から下を見るのとは、まったく違って見える。

 自分自身が大地と一つになって、山頂から世界を見渡していて、征服欲が満たされる。

 仲間の苦労を踏み台に登ってきたようで、

 なんとなく、ずるいような気もするが、シンジも、レイも、体力が残っている。

 「綺麗だね」

 「ええ」

 朝日がマッターホルンを照らす。

 シンジとレイは、ゆっくりと唇を合わせた。

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 少しだけ、アメリカとドイツに目を向けてみました。

 国際社会の光と影。

 支配者だったゼーレの消失によって、欧米社会は、秩序が大きく混乱したこと。

 そして、そこからの立ち直りです。

 欧米諸国の要職者と特権階級者がゼーレ球に入った後、

 残った半・未経験者たちが、がいきなり、政官財の要職に就くことになりました。

 当然、中枢を失って大混乱です。

 一年から二年ぐらいで国家体制の慣らし運転というところでしょうか。

 アスカ、レイは、才能があっても経験値が小さく。

 外交下手な日本政府が国際社会を上手く乗り切って、

 月や小惑星の支配権を手に入れたのも頷けるかもしれません。

 悪どいですが、世の中というものは、そういうものでしょう。

 “思う” という字が “田” と “心” で作られていることからして、

 田に対する人(心)の執着。土地に対する人の執着の強さは、本物ですね。

 

 そして、レリエル系の人間がアメリカとドイツにいました。

 今後、どうなっていくのかわかりません、

 使徒人間も国家の枠組みに入った方が、安全です。

 レリエル系の人たちも超然としておらず。

 意外と安着で人間味がありました。

 このまま、エヴァングで、ガンダム風に行くかどうか、

 未定ですが、ボチボチです。

 

  

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第58話 『良し悪しあり』
第59話 『そこに山があるから』
第60話 『幸せは、勝ち取るもの』
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