月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

   

 

山岸マユミ物語

 

 

第05話 『迷想少女 マユミ』

 マユミは、いつの間にか、パーティの仲間から敬意の目で見られ、

 少しばかり、居心地が悪くなる。

 尊敬されてしまうと、仲間意識が減って、本音が隠されてしまう。

 当然、本音が隠されると、ウソが増える。

 しかし、ウソの塊である。マユミに責める資格はないだろう。

 南極のリリス。使徒。ロンギヌスの槍。この世界に与える影響が大きすぎる。

 この世界の相続権は、この世界の人類が考え決めることだ。

  

  マユミ ラミネーヌ オーヴラエン ジャン
攻撃 水晶・桃の杖 魔法剣 鋼・長剣 鋼・長剣
防御 エヴァ光質服+ポンチョ 重層皮服+ポンチョ 皮服+ポンチョ 皮服+ポンチョ
  薬剤師 魔術師 剣士 剣士

 

 

 アスラエル王国 王都ハルナハス

 マユミは、どこかで見たようなお城だな・・・・と思いながら入っていく。

 むふっ♪

 『こ、今度こそ、素敵な王子様が、現れるかもしれない』

 『だって、たくさんの王子、公爵とか、いるもの』

 『ど・・・どうしよう。見初められたら・・・いやぁん♪ どうしよう〜』

 『そ、そして “いかないでくれ!” とか “君を愛しているんだ!!”』

 『なんて、両手を握られて言われるんだわ・・・・いだぁ〜』

 くねくね

 『“マユミ、君は、俺のものだ!” あん〜♪ 王子様〜 わたし、どうしたら良いのかしら』

 『かっこよくて。やさしくて。頭が良くて』

 『それでいて、ちょっとだけ、荒々しくて。いやぁん♪ 駄目ぇ〜』

 『あ、荒々しく・・・・わたしのことを・・・・いゃあん♪ 駄目ぇ〜 恥ずかしい♪』

 くねくね

 『そして、あんなことや、こんなことになるんだわ。いやぁん♪』

 『きっと・・・きっと・・・こんな風よ〜 王子様!』

  

  

  

 『お・う・じ・さ・ま・・いやぁん♪』

 フリフリ。クネクネ。

 「「「・・・・・・」」」

 『王子様〜♪ いま、行きますからね・・むふっ♪・・・ん・・・』

 「「「・・・・・」」」

 いつの間にか、ラミネーヌ、オーヴラエン、ジャンに見詰められていた。

 「・・・な、なに?」

 「マユミ・・・物凄く。赤い顔しているけど・・・・」

 「や、やだ! か、風邪かしら」

 「風邪ひくと 『王子様♪ いま、行きますから・・』 とか、いうの?」 しれぇ〜

 マユミの薬は、大人気だった。

 業者が高値で買い取っていく。

 呆れ顔のラミネーヌ。

 敬愛の眼差しのオーヴラエン。

 尊敬の眼差しのジャンを他所に・・・・

 黒髪の妄想少女マユミは、なぜか人気者になっていた。

 『や、やだぁ〜 どうしましょう』

 『きっと、わ、わたし、この世界なら・・・ば、ばら色の人生よ〜』

 くねくね

 『きゃ! きゃ! いゃぁああん♪』

 くねくね

 『れ、冷静にならなくちゃ』

 くねくね

   

 いつの間にか、兵士に囲まれていた。

 「マユミだな。君に異端審問の容疑がかかっている」

 「へ・・・異端?」

 「来てもらおうか」

 「・・・・・・」

    

   

 アスラエル王国 王都ハルナハス ラミエルズ大聖堂

 マユミは、裁きの場に引き出され、民衆に注目される。

 目の前で偽証を続けているのは、ウェルブ公国のオルベンス王子だった。

 「この女が、我がウェルブ公国の公爵家と民衆をたぶらかし」

 「敬愛する長男ソイルド王子を亡き者にしようとしたのは明白」

 「この女こそ。ソイルド王子を呪詛している張本人であることは明白である」

 「・・・・・・・」

 どよめきが広がる。

 オルベンス王子の素行は、このアスラエル王国にも伝わっている。

 注目している民衆は、みな冤罪だと感じていた。

 「なにか・・・言うことは、ないのかな。マユミ殿」 議長

 「わ、わたしは、そのようなことは、していません」

 「ふん! 信じられるものか」 オルベンス王子

 「本当です!!」

 「本当なものか! うそつきめ!」

 「おまえは、魔術師すら悟られないように思いの内を隠しているではないか!!」

 どよめきが広がる。

 これは、多くの魔術師によって指摘され、民衆にも広がっていた。

 むろん、相手の思いを覗くなど、魔術師として下品な行為であり。容認されないこと。

 しかし、相手が記憶喪失であったり。異邦人であれば、状況が変わる。

 疑惑の念が広がっていく。

 民衆の中には、マユミの薬で助けられた者も多い。

 しかし、痛みが過ぎれば、恩も忘れてしまう。

 「・・それだけではない」

 「ドラゴンが、直接、“マユミは、我々の敵なのか” と名指しで聞かれたのだ!」

 「この世界で、過去に、このようなことが、あったであろうか」

 「我々というのは、もちろん魔物であり。魔物は人類の敵である!!」

 「そして、マユミは “誰の敵でもない” と応えている」

 「これは、魔物の敵ではなく。人間の敵という意味にも取れる!」

 「オルベンス王子。そ、それは、強引過ぎます」 ラミネーヌ

 「黙れ! ラミネーヌ! おまえも、この魔物にたぶらかされたか!」

 「そんなことは、ありません。オルベンス王子。マユミは、決して魔物ではありません」

 木槌の音

 「静粛に・・・・マユミ・・・・・直接、君の弁明を聞きたい」 議長

 マユミは、節目がちに応える。

 「ラミエルズの神に全て、ゆだねます」

 ざわめきが広がる。

 自己弁明を放棄したことは、教会の決議に従うということだった。

  

  

 円卓の間

 沈黙する、この世界の指導者達

 「どうするね」

 「もっと、みっともなく、抵抗すると思っていたが・・・・・」

 「潔すぎる・・・教会では、裁きたくない。ここは、王国で・・・」

 「バカな! 王国が異端審問に関わるなど、聞いたこともない」

 「だが、このままでは、マユミの人気は、うなぎのぼり。外へ出してみろ」

 「マユミは、女神になって、教会は滅ぼされてしまうぞ」

 「そ、それは困る・・・」

 「お、王国は、一切、この件に関わっていませんぞ」

 「教会も、王国も、一蓮托生ですよ」

 「そ、そんなことはない。王国は、この異端裁判から手を退きますぞ。ラズエル神父」

 「国王・・・教会と王国。一蓮托生のはずです」

 「・・・・・・」

 民衆を恐れるのは、王国も、教会も似ている。

 そして、民衆に人気のある者を危険視する。

  

  

 ラミエルズ大聖堂 南の塔

 かんぬきが外されて、

 ラミネーヌ。オーヴラエン。ジャンが入ってくる。

 マユミは、一人、窓辺にたたずんでいた。

 表情は、笑みさえ浮かべている。

 「「「・・・・・・・・・」」」

 「・・・・・・・・・・・・・」

 「逃げましょう。マユミ」

 「駄目よ。そんなことをしたら、あなたたちは、犯罪者よ」

 「でも、マユミ。あなたが殺されてしまうわ」

 「わたし、あなたたちまで殺されたくないわ」

 「で、でも・・・・」

 「くすっ♪ わたし、あなたたちの事が好きよ。だから、この世界も好き」

 「「「・・・・・・」」」

 「だから、あなたたちは、この世界をもっと好きになれる世界にして欲しいの・・・・」

 「わ、わたし、あなたを死なせない」

 「ラミネーヌ。オーヴラエン。ジャン・・・わたしは死なないわ」

 「本当に・・本当に信じて良いのね」

 「ええ・・・三日後に会いましょう。でも、ラミネーヌ。オーヴラエン。ジャン・・・」

 「誰も、恨んではいけない。それだけは忘れないで」

  

  

 ラミエルズ大聖堂 異端審問会

 多くの民衆が見詰める中。

 最後の詰問がなされようとしていた。

 王国も、教会も、マユミが、みっともない姿を見せ、

 人気を落とせば、それで、済ませたいと願っていた。

 マユミは、黙して語らず。最後の機会を “ふい” にする。

 同時に民衆のマユミ人気も頂点に達しようとしていた。

 このままでは、教会そのものが滅ぼされかねないと考えた協会首脳部は、処刑を言い渡しす。

 左右に巨大なドラゴンが精霊使いによって創られていた。

 マユミは、処刑台に引き出され。山の様に柴が詰まれた柱に縛られる。

 処刑台は、民衆によって見守られ。罪状が述べられていく。

 「異邦人マユミ。最後に言い残すことはないか?」

 「王国、教会。そして、みなさん」

 「わたしは、誰も、恨みません。だから、あなたたちも恨まないようにしてください」

 「あなたたちは、いまよりも素晴らしい。世界を作れるでしょう」

 「そして、この世界を相続してください。3日後に会いましょう」

 絶句する指導者と民衆。

 マユミのセリフには、一言も、呪いの言葉がない。

 教会指導者の危機感が頂点に達し。処刑の合図が下される。

 左右の知性のあるドラゴンが渋りながら、火炎を吐いて、マユミは、炎に包まれる。

 「マ・・・・マユミ!!!」 ラミネーヌ

 魔術を込められた槍がマユミの胸に突き刺さっていく。

 マユミの頭が垂れ。槍は体を付きぬけ。

 火炎は、マユミを包み込んだ。

 次第にマユミの体が燃えていく。

 そのとき、天から光が差し込んで、天幕を切り裂き。

 教会の鉄塔を切り落とし。協会首脳部の前に突き刺さった。

 「うぁあああ!・・・・あ・・あ・・ぁぁあ!・・・」

 オルベンス王子は、諤々と目の前に突き刺さった鉄塔に怯える

  

  

 消し炭になった遺体をラミネーヌ。

 オーヴラエン。ジャンが引き取って、墓地に埋めていく。

 多くの民衆が墓地に集まり。

 教会も、王国も、民衆を恐れ、遺体の確認すらできない。

 「マユミ・・・どうしてよ〜!・・・・マユミ!!!」

 「マユミ・・・」

 「マユミ・・・・」

 民衆の悲しみが一つになると、天から、

 見たこともないような白銀の巨大なドラゴンが現れ。

 あっという間にオルベンス王子を銜え、天に登ると落とされる。

 恨んではいけないとマユミに言われてもオルベンス王子に対する感情だけは、抑え切れなかったらしい。

 王国と教会指導者は民衆の反目を恐れ怯える

  

 

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 月夜裏 野々香です

 ・・・・ど、どこかで・・・・・・

 借用させていただきました。

 イエス・キリストとジャンヌダルクです。

 

  

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第04話 『暴走少女 マユミ』
第05話 『迷想少女 マユミ』
第06話 『幻想少女 マユミ』 完結
登場人物