月夜裏 野々香 小説の部屋

    

宇宙戦艦ヤマト 『南銀河物語』

   

 わたしは、宇宙海賊アルサ・ミエル。

 軍艦でしか国境を越えられないと思っている。

 皮被り野郎には、用はない。

 

  

 「・・・どっちが有利かしら」

 「・・・相手側ですよ。ナイトハルト財団」

 「カール=ハインツ財団は、危機的ね・・・・・・・動きは?」

 「動くとすれば・・・・・そろそろでしょう」

 ニヤリと微笑むアルサ・ミエル。

 

第22話 『修羅の・・・・』

 南銀河の暗礁域シュヴァルツヴァルト。

 水雷母艦サクラは、宇宙機雷をばら撒きながら逃亡。

 この宙域で、もっとも力を発揮できるのはガミラス艦や水雷艇だった。

 ガミラス艦デストロイヤー8隻、高速空母2隻、水雷艇76隻。

 ナイトハルト財団の私兵と傭兵の連合艦隊は、サクラを包囲しながら追撃していく。

 サクラの航行システムは、事前に小惑星帯を抜ける軌道コースがセットされている。

 それでも速度が速まれば制御ブースターの調整が困難になり、コースが狭まる。

 アルサ・ミエルは、気を利用して許容範囲内で陀輪を回していく。

 ビームやレーザーが逃亡するサクラの舷側をかすめ、辺りの小惑星を破壊。

 破片がサクラのバリアに当たって砕け散っていく。

     

   

 旗艦ガミラス艦デストロイヤー

 「ナインハルト会長。アルサ・ミエルのサクラは、予定の宙域に向かって逃走中です」

 「ふ バカめ。女海賊アルサ・ミエルの伝説も、このシュヴァルツヴァルトで終わりだ」

 「・・・ですが思ったより速いです」

 「ディンギル水雷母艦は、それほど操舵の優れた軍艦ではないのに・・・・」

 「ふん ガミラス艦や水雷艇でさえ、まともな速度は出せないのだ」

 「包囲すれば、逃げられんよ」

 「・・・地球の無人戦艦を乗っ取れるでしょうか」

 「なあに、シャルバート教で解除コードを手に入れている」

 「戦艦に取り付けば、こっちのもの、後は、高く買ってくれるところに売ればいい」

 「久しぶりの大物ですね」

 「暗礁域シュヴァルツヴァルトに入れば捕鯨と同じだ」

 「アトラス帝国時代は良く狩っていたらしいからな」

 「楽しみです」

  

  

 暗礁域で追撃されるサクラは、ヤシマを隠した小惑星にまでやってくる。

 そして、ナインハルト艦隊に全天球で包囲される。

 この暗礁地帯では転移もできない。

 「アルサ・ミエル。全天球で包囲されました」

 「袋のネズミか・・・」

 「ナインハルトから、通信です」

 「出して」

 『ふっ はははは、アルサ・ミエル。もうお終いだな。楽しかったよ』

 上機嫌なナインハルトが拡大投影される。

 「ナインハルト会長さん」

 「この宙域を州軍の巡回パトロールに入れたから、もうすぐ、この近くを通るわ。残念ね」

 『ふはははは・・・・残念だったな。アルサ・ミエル。州軍は、押さえ込んだよ』

 「・・・・・・・・」

 『アルサ・ミエル。ここで死ぬか』

 『降伏して俺の妾の一人になって生きていくか、選択させてやる』

 「どうせなら、本妻じゃなきゃ イヤだな・・・」

 ちょっとだけ恥じらう。

 『ふっ はははは、アルサ・ミエル。かわいいやつよ』

 ナインハルトが合図を送るとナインハルト艦隊がさらに接近。

 そして、アルサ・ミエルが合図を送ると、

 周辺の小惑星から拘束網が打ち出される。

 『な、何事だ』

 『ナ、ナインハルト会長・・・・ぼ、防潜網です』

 水雷艇やガミラス艦が次々に捕獲されていく。

 そして、吸引ビームで小惑星とガミラス艦、高速空母、水雷艇が引き寄せられる。

 「どう?」

 「ナインハルト会長さん。ヤシマ・ホイホイよ」

 「この近辺の小惑星は、こっちで、コントロールしていたのよ」

 『くっ! 脱出しろ!!』

 『だ、駄目です。防潜網で重力場が相殺されています』

 『小惑星の牽引ビームで舵が安定しません』

 『無理に脱出すれば、小惑星に衝突します』

 『お、おのれぇ〜 アルサ・ミエル。撃て!』

 『・・・ど、どこを・・・ですか』

 サクラも、ヤシマも、小惑星の陰に隠れてまだ発見されていない。

 『・・・ど、どこでもいい。撃て! 全艦、撃て!』

 牽引ビームで艦体が安定していない状態でメクラ撃ち。

 当たるはずもなく。

 防潜網によって身動きが取れない状態で、

 ナインハルト艦隊は小惑星群に押さえつけられていく。

 引き寄せられた小惑星からアンドロイド兵が湧いて出ると、

 ナインハルト艦隊を捕獲していく。

      

 この戦いでナインハルト財団は、主力艦隊を失い、

 当主が捕らえられ急速に勢力を失っていく。

 そして、ベアハルデ大陸を二分する抗争でナインハルト財団は敗北。

 カール=ハインツ財団の勝利で収束していく。

 当然、カール=ハインツ株を購入していたアルサ・ミエルは大儲け、

    

    

 開発惑星に捕獲されたナインハルト艦隊が居並ぶ。

 当主ナインハルトを帰還させることでナインハルト財団の利権も一部、転がり込み。

 アルサ・ミエルは、ご満悦だった。

 「まぁ 素敵、デストロイヤー8隻、高速空母2隻、水雷艇76隻」

 「どうするんですか? これ」

 「そうねぇ どこが、高く買ってくれそうかしら」

 「競売にかけてはどうです。暗礁域シュヴァルツヴァルト州が一番高い値になりそうですがね」

 「高速空母は、高級品の輸送で高く売れそうね」

 「シュヴァルツヴァルトの利権を守るために一部艦隊を配備してもいいと思いますが」

 「・・・維持費がねぇ〜」

 「確かに・・・」

 「まあ、半分は、地元警察やシュヴァルツヴァルト州軍に叩き売ってもいいけどね」

 「その方が有力者の口利きより、融通が利くかもしれませんね・・・・」

 「警察組織も利権がらみと思われたくないから。結構、微妙なのよね」

 「得意じゃないんですか?」

 「そうねぇ 上には上がいるから」

 アルサ・ミエルも地球人独特の感性があった。

 ガミラス艦が費用対効果で割安でも放射能に対する嫌悪感があって購入を渋る。

 高速空母に無人戦艦ヤシマのコントロールシステムを装備すると、費用対効果で優れていた。

 しかし、加速性能が弱く、放射能が気に入らず。

 手狭なディンギル水雷母艦を使ってしまう。

  

  

 ディンギル水雷母艦サクラと、

 無人戦艦ヤシマがガルマンガミラス帝国領内を移動していく。

 シュヴァルツヴァルトの液体ニッケルを護衛していても好奇な目で見られる。

 貿易武装商船ならともかく。

 帝国領内の護衛をするには両艦とも純粋な軍艦に近く、過剰すぎる。

 そして、ディンギル水雷母艦と地球の無人戦艦の組み合わせで、

 ガルマンガミラスの宙域を抜けるのは、かなり珍しい。

 しかし、ラグナロク要塞の大株主アルサ・ミエルは、要塞の行き先を左右する。

 「デスラーズパレスか・・・」

 「ラグナロク要塞の引き受け、上手くいけば良いのですが・・・・」

 「ボラー側に配備されるよりマシでしょ」

 「さぁ 惑星破壊ミサイルがあるので、どうでしょう」

 「ラグナロク要塞に惑星破壊ミサイルなんて通用しないわ」

 「でしょうけどね」

 ガルマンガミラス本星。

 ガルマンガミラスの戦闘空母、ドメラーズX、

 ガミラス巡洋艦、デストロイヤーが監視している中。

 ガルマンガミラスの帝星軌道をディンギル水雷母艦と地球の無人戦艦が周回する。

 ラグナロク要塞が絡み、

 ガルマン・ガミラス内に敵や味方が混在している。

 維持費など、費用対効果で比率が変わってくる関係だった。

 何しろ、銀河最強の宇宙要塞を取引するのだから売り込み先は他にもある。

 エウリア・インディア戦線、

 ほかにも銀河系で紛争を抱えている宙域は珍しくない。

 配備先も安定収入を狙うか。

 きな臭い野心があるか、ないか、の差で選択も分かれる。

 ボラー系バナジ貿易商のアシュモフは、ザイルニュームを狙い、

 エウリア・インディア戦線へ送りたがる。

 当然、安定収入を狙うアルサ・ミエルと衝突する。

 “アルミ・サエル。男は穴が好きなのだよ”

 “アシュモフ。女は固いのが好きなのよ”

 という会話が、あったとか、なかったとか・・・・・・

  

  

 ヘッセンホテル ラウンジ

 地球連邦とガルマンガミラス帝国の関係は良好で、

 ガルマンガミラスのホテルで地球系の料理が食べられる。

 「・・・・まったく。やりにくいわねぇ」

 「これだけ監視されていると。身動き取れませんね」

 柱の人影。監視カメラ。他にもいろいろ・・・

 「わたしたちは、開発惑星向きね・・・」

 アルサ・ミエルが手を振ると、

 ラウンジに入ってきたスゴシュ貿易商のシューシルが手を上げて応える。

 「アルサ・ミエル。帝国はロビーで有力な政治家と取引しないと難しいですよ」

 イスカンダル系のシューシルは、それなりに慣れた調子で振舞う。

 「有力な政治家は誰かしら」

 ガルマンガミラス帝政は、元老院と大衆から選ばれる州議院の二層構造。

 世襲制度と実力主義の力関係は拮抗している。

 「後で、元老院のザールブリュッケンを紹介します」

 「ですが最大大株主バナジ貿易商のアシュモフが別の方向性を考えているので困難かもしれません」

 「お金の問題かしら」

 「ラグナロク要塞はミュータントによって構成されているわ」

 「彼らが懸命に働くとしたら心身の回復」

 「地球に近い方で仕事をする方が心身の回復で有利よ」

 「そして、地球に味方している方がね」

 「地球連邦とは刷り合わせが・・・」

 「いえ」

 「地球側で反ミュータント運動が起きています」

 「たぶん、バナジ系の動きでしょう」

 「独立系はバナジ貿易商と組む動きがあるようです」

 「はあ〜 何を考えているんだか」

 「ハイパーディラックエンジンの安定供給です」

 「欲しいんですよ。ルートもありますし」

 「他にも、いろんな資源がありますから」

 「まぁ 魅力はあるわね・・・」

 「でも、反ミュータント運動は良くないわね・・・」

 「将来的に全南銀河を敵に回すことになって、地球系が爪弾きに遭う」

 「地球連邦は、目先の利益に目が眩んで、わからないようです」

 「やれやれ、相変わらず近視眼ね」

 「地球連邦の野党は、反ミュータントで、現政府を独裁者扱いしているようです」

 「なんでしたっけ・・・ヒットラー・・・スターリン・・・」

 「独裁と選挙で成り立っている体制の見分けが付かず」

 「軽々しく独裁という言葉を使うなんてバカな連中、底が知れるわ」

 「一度、独裁社会に放り込むべきでしょうな」

 「無知蒙昧な連中は、どこにでもいますよ」

 「金でも貰っているんでしょう」

 「金を貰ってなら、まだ救いがあるけどね・・・」

 「与党内の内輪揉めと、あと、ドメ派も、くっ付いているようです」

 「少数派のやっかみと排他的な引き篭もりの攘夷派か、癒着しやすいのよね」

 「どうするんです?」

 「今度、地球によるから潰すわ」

 「愛国者を気取っても、ただの保身よ。弱みを握れば、それまでよ」

 「英雄の帰還ですか」

 「バナジ貿易商は、先手を打って、アルサ・ミエルの悪評も広めているようです」

 「・・・・やれやれ」

 「・・・・・」

 「スゴシュ貿易商は?」

 「まぁ〜 中立ですよ」

 「でしょうね。南銀河でバナジ貿易商と戦うと生きていけなくなる」

 「まぁ 世の中、適度に腐っているということで・・・」

 「影ながら応援させていただきますよ」

 「バナジ貿易商の南銀河独占は、面白くありませんから」

 「・・・死して屍拾うものなし・・・ね」

 「あはは・・・生きている間は、できうる限り・・・」

 「面白い情報はない?」

 「バナジ貿易商がモアブと接触を試みているようです」

 「モアブ?」

 「あいつに望むものなんてあるのかしら」

 「自己完結型の生命体で外界に対し、まったく依存していないので、付け入る隙もないようです」

 「ただの観光。旅行者。と見るべきね」

 「要塞の奉公先は、たぶん、価格競争と」

 「アルサ・ミエルの言われるミュータント問題の綱引きになると思われます」

 「・・・・・・・・・・」

  

  

 地球連邦 

 地球から137光年のG型恒星系

 アンドロメダ型戦艦ライオン

 艦橋

 「艦長・・・来ました」

 「ふ やれやれ。これで・・・羽付き戦艦か・・・・」

 「新型戦艦の建造は、後回しですかね」

 「新型戦艦1隻より。旧型戦艦4隻の底上げを選んだのだろう」

 「ガルマンガミラスとの関係は、維持されそうだな」

 「費用対効果。射線の確保を考えると微妙ですね」

 「・・・・だな」

 戦艦ライオンが次元断層サイクロンエンジン2基を装備したブースター艦とドッキングする。

 地球連邦軍は。放射能嫌いでありながら波動エンジンの発見率の高さを嫌う。

 結果として主翼型着脱ブースター艦とドッキングすることで発見される可能性を減らす。

 この着脱ブースター方式であれば戦艦とブースター艦は、既存のドックをそのまま使う事ができた。

 「今後は、隠密航行で次元断層サイクロンエンジン。通常航行で併用」

 「交戦時に波動エンジンで加速ということになりそうです」

 「併用で・・・索敵される率を少し減らせるわけか・・・・」

 「少なくとも巡洋艦以下に見せかけることはできるはずです」

 「巡洋艦は、駆逐艦以下か・・・」

 「はい」

 「・・・・・・」

 地球連邦軍は、波動エンジンの発見されやすい弱点を緩和しつつあった。

 「・・・地球も、いよいよ、第3の恒星系の開発ですか」

 「少し若い太陽だが、その分、可能性は高くなるかもしれない。適当な惑星もある」

 「若すぎませんか?」

 「既得権益を逃れ、自由に世界を設計したいのだろう」

 「それでも、あれこれ、胡散臭い話しがあるようだが」

 「そういえば、南銀河の事件。大騒ぎのようですね」

 「あっち、こっちの部署が呻いていたよ」

 「彼女の気の強さは、地球連邦でも最強レベル。常軌を逸していたらしい」

 「どこも欲しがっているとか?」

 「そして、同時に警戒していた」

 「彼女の倫理観は、少しばかり問題ありだからね」

 「気が強過ぎて、家族からも怖がられた。ですか」

 「オーラドライブ無しでも相当なものだそうだ」

 「オーラードライブを装備したら完全装備の機械歩兵中隊と戦争できると聞いている」

 「じゃ 戦艦を乗っ取るぐらい、わけないですか」

 「戦艦のコントロールシステムを理解できればな」

 「ですが、今回の事件でファンが増えたそうですよ」

 「噂の2メートルのデカ女は、かわいい小娘だからな」

 「不法行為も相当なものとか。隠し口座も多いようで・・・」

 「ふっ 俺たちは相手にされんよ」

 「まっとうな人間は儲からんからな」

 「不正腐敗の証拠を握って、上澄み分を掠めているらしい」

 「じゃ 相手は、政財界のヒヒ爺ですか?」

 「ふっ 今頃、証拠物件を抱えて右往左往だろうよ」

 「・・・なんとなく。ざまあみろ。ですね」

 「まぁ 上澄み分のシワ寄せが、こっちに来て搾取される」

 「義賊なんてそういうものだ」

 「しかし、南銀河・・・楽しそうですね」

 「南銀河に行く地球人も増えるだろうな」

 「オーラードライブを装備すれば、たいていの事は、できそうだ」

 「ですが地球人の標準値を上回るミュータントもいるとか」

 「地球人は、地球連邦によって守られてきた経緯がある。皮被りになりやすいだろうな」

 「そういえば国境の向こうに出たがりませんでしたが、いい機会になったかもしれませんね」

 「だが国内で国に尽くせと思う者と」

 「国外で祖国に尽くせば良いと思う者の意識差は、埋まらないだろうな」

 「たしかに・・・」

 「どっちが正しいとも言えないが国によって守られてきた国民意識の弊害もある」

 「そう簡単に意識は割り切れんよ・・・・」

  

  

 南銀河 地球に向かう航路

 
地球連邦第18機動部隊 + ヤマト
地球連邦 ガルマンガミラス帝国 白色彗星帝国 暗黒星雲帝国 ボラー連邦 ディンギル
ヤマト 1 中型空母 2 ゴルバ 1 大型戦艦 1 ディンギル戦艦 1
大型巡洋艦 2 戦艦 1 中型戦艦 1
ベガ型巡洋艦 12 中型巡洋艦 2 バルコム

航空戦艦

2
高速空母 1 巡洋艦 5 巡洋艦 3
デストロイヤー 12 駆逐艦 4 護衛艦 5 駆逐艦 4 駆逐艦 4
機動艦 40
コスモドラゴン 36 コスモタイガーX 36 コスモタイガーX 140 コスモドラゴン 200 コスモタイガーX 80

 衛星アマテラス

 アマテラスに半没させられたゴルバ要塞。

 古代提督

 地球への帰途は、ラグナロク要塞が護衛に付いたことで気楽なものになっていく。

 デストロイヤー12隻が隊列を組みながら標的に向けて一斉射撃を繰り返していく。

 「・・・・12番艦が遅れ気味だな」

 「12番艦は100年前のパーツが86パーセントですから厳しいですね」

 「平均で100年前のパーツが46パーセントも占めていては、どうにも統一行動がとりにくいか」

 「せめて、機関だけでも足並みを揃えた規格で合わせたいですがね」

 「南銀河で随分とパーツを交換できた。差はあるが少なくとも機関だけはな」

 「100年前のパーツなんて骨董品扱いですからね」

 「欲しがるのは貿易商人か、海賊くらいですよ」

 「どこの国も精製に至るまでの価格が飛び上がり過ぎて、新規格を開発できなくなっている」

 「質的な向上しかできない」

 「整備は楽ですけどね。破損しても安上がりなユニット交換だけで済みますから」

 「だが、100年前のユニットだと劣化と品質向上を含めて50パーセントも性能が違う」

  

 第18機動部隊は、新旧のパーツで継ぎ接ぎだらけの寄せ集め機動部隊だった。

 当然、船主は、次に交換すべき持ち船のパーツを知っており。

 優先順位もリストで出されていた。

 現実問題、100年前のパーツでも宇宙航行は支障はない、

 しかし、戦闘になれば、支障が出てくる。

 対弾性能で50パーセント違うパーツで継ぎ接ぎだらけだと。

 作戦の成否も運次第。不都合極まりない。

 ということで、なるべく均一なパーツで艦体を組み立てようとするが簡単にいかない。

 ここで役に立つのが無人艦隊だった頃の地球で培って蓄積されていた戦術だった。

 この手の艦隊に貴重な乗員を乗せるのは惜しい、アンドロイドも少な目がいい。

 ロッテ戦、単従陣、いくつかのパターン戦術を組み込んだ無人ロボット艦に改造されていく。

 人間を乗せなくて済むため、

 放射能ばら撒きのガミラス艦でも良く。

 余剰空間も余計に使う事ができて機・攻・守に振り分けられる。

 代償として、柔軟性とダメージコントロールが低下。

 コントロールセンターは旗艦と先導艦にあって、

 転移通信やレーザー通信で双方向にダイレクトに直結。

 一定の戦術空間では妨害されることはなく。

 アンドロイド兵のような使い方ができた。

 作戦プログラムや帰還プログラムも想定範囲内であれば機能することから有用性が認められている。

 問題は、規格不一致から来る、統一行動に支障アリというところだ。

 ガルマンガミラス帝国、白色彗星帝国など、ユニットが手に入りやすい艦艇は良かった。

 しかし、暗黒星雲帝国、ボラー連邦、ディンギルなど、

 ユニットが手に入りにくい艦艇は、一度の戦闘で、お終いで、後はユニットの食い合い。

 戦力が目減りしてもユニットの組み合わせ次第で、すぐに戦力化できる利点もあった。

 海賊サルサ・ミエルが、どこからヤシマのコントロールシステムを仕入れたかわかりやすい。

  

  

 宇宙戦艦ヤマト

 「島艦長。準備完了です」

 「ああ、南銀河の探索か・・・むかし見た映画を思い出すな」

 「作戦能力、航続力、隠密性の関係から」

 「ガルマンガミラスの大型巡洋艦シャルンホルスト、グナイゼナウが随行します」

 「無人ロボット艦か、潰しが利いて良いな」

 「ええ」

 「イザという時は巡洋艦側に退避することもあるかもしれない」

 「最低限の居住空間は確保しています」

 「あまり乗りたくありませんがね」

 「しかし、デカイだけとはいえ、全長492メートルの巡洋艦か、護衛する側が大きいとは・・・・・・」

 「ガルマンガミラスが外縁用に建造した通商破壊艦ですから古いことを除けば資質的に十分かと」

 二隻とも太陽が膨張した時、援軍に駆けつけ、大破した巡洋艦だった。

 地球連邦は、破壊されたガルマン・ガミラス艦のユニットを寄せ集め、大型巡洋艦2隻を建造。

 研究用に使った後、モスボールして保存していたものだった。

 「よし、ヤマト。発進!!」

  

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香 です

 アルサ・ミエルは、身の丈が大きくなるにつれ、

 あちらこちらと衝突し始めているようです。

 普通なら、長いものに巻かれるのですが意外と反骨精神があるようです。

 姓名判断で言うと、社会運や仕事運で人と、ぶつかりやすいのでしょうか。

 ほどほどに・・・・です。

   

 ヤマトは、南銀河系の探索です。

 USSエンタープライズと同じ仕事ですかね。

 助さん、格さん。

 いや、旧ガルマン・ガミラス大型巡洋艦のシャルンホルスト、グナイゼナウの活躍の場は、あるのでしょうか。

  

  

 ※基本的にヤマト世界を踏襲しています。

   軍艦は、外見の変化よりも質的な形で向上しているので、

   同じ艦型でも製造年数が違えば、攻守とも、性能が変わってしまいます。

 

 

 

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第21話 『女海賊アルサ・ミエル』

第22話 『修羅の・・・・』

第23話 『獅子身中』

登場人物 恒星間国家群 独立恒星系群 銀河勢力図