1999年11月下旬の日常

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1999年11月21日(日)

 最近すぐに猿化してしまう私。す・ぐ・に・実験・し・た・く・なーるーっっっ。HI-POSIを無限ループで聴いている最中だ。今朝からずーっと流しっぱなしだぞ。

 まーた自堕落な一日。昼間、バイクで行きつけの蕎麦屋まで天ぷらうどんを食いに行った以外は外出すらしていない。では何をしていたかというと、記憶がないということは何もしていないという訳で。まだ風邪薬の御世話になっているのだからこのぐらいが丁度良かろう、という気もするが、宿題は片付いていなければ読書も進まず、手慰みにせめて書評だけでも一本アップしようと手をつけてみても、「まずいラーメン王決定戦」なんかに見入ってしまって大して進展していないし。そして10時半にして勃然と眠気に見舞われている始末。疲れているか睡眠が足りないかのどっちかだと思うので、どちらにしても寝るのが最上の策だろうから今日は適当に休もうと思う。横になって本でも読んでるわ。

 ……サボりたいための言い訳に聴こえる? ……そりゃそうだろう、その通りなんだから。でも第二掲示板を「社交場 in Deep」に変更して壁紙やデザインを新調したりと、ちまちました更新は行ったので今日はこれで勘弁。しかし「In Deep」はミステリ系の人には書き込みづらいだろうなー。


1999年11月22日(月)

 京極夏彦『百器徒然袋-雨-』(講談社ノベルス)読了。やはりこれは京極風ホームズ譚と呼ぶべきものだろう。全ての結末を見越した上で、筋書きを一片も仲間(と言われるのは厭だろうが)に伝えることなく、ただ己が思うままに事件をコントロールする榎木津の、その破天荒な魅力を楽しんでこその一巻である。ただ、こいつだけだと事件のからくりが読者に対して充分に明かされないので、ホームズの詭弁に当たる部分を中善寺が補っている訳だ。あくまでも人物の魅力を描くことに腐心したせいか、事件そのものの仕掛けは妖怪シリーズ本編ほどの大きさも精緻さもないが、読む上で気にかかることはないだろう――読者はただひたすら榎木津の所業を楽しんでいればいいのだ。一方で、深川にはワトスン役に纏わるある仕掛けが面白かった。榎木津が主役でなければただ苛立たしいばかりの仕掛けなのだけれど。

 明日が祝日という関係からか、午前中にかなりの仕事をこなした。その反動のように午後にはいつものように暇を持て余す――そこでふと思い出して、本の在庫を漁った。近々芦辺 拓氏の『探偵宣言』(講談社ノベルス)を読む予定があるので、その下準備のためにアントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』(創元推理文庫)をちゃんと読んでおこうと思っていたのである――はいそうです、今まで読んでませんでした御免なさい。
 職場の奥に置いた段ボール箱六つ、その中で文庫ばかりが収められているのは三つ。中身を片っ端からひっくり返してみる。そして気になったものをついでに表に出したりする。井上雅彦の『異形博覧会』シリーズ二冊、早めに読もうと思っているうちに第三巻まで出てしまったのだ。近いうちに纏めて、と考えて出しておく。最近フクさんが書評欄で触れていた樋口有介の『初恋よ、さよならのキスをしよう』とその続編短編集『探偵は今夜も憂鬱』が見付かったのでこれも出しておく。ディクスン・カー『三つの棺』にカーター・ディクスン『貴婦人として死す』……読もう。レイ・ブラッドベリ『何かが道をやって来る』『10月はたそがれの国』……今記録を参照してみたら、『何かが道をやって来る』は記載すらされていなかった……購入書籍や読書に関する記録は七八年前から行っている。最初は手書きだったものも全てデータ化済みだ。即ち、八年以上も前から積読……出しておいた。アントニイ・バークリーもちゃんと発見した。
 魔窟かここは。

 馳 星周『M』(文藝春秋)読了。久々に一日足らずの一気読み。直前に文章面で重量のある中篇集に取り組んでいた所為もあるのかも知れないが、文章の流れがよく、すらすらと読めた。一連の長篇作に比してエロスの描きぶりがより濃厚でどぎついのだが、その衝撃が霞むほど結末が暗く重い。『不夜城』を読んだときにも思ったが、うまい作家であることは否定できないにしても、好き嫌いは極端に分かれるだろう。或いは、その救いのなさにこそ読者にとっての救いが秘められているのかも知れない――重さにも拘わらず、何とも言えぬ芳醇な余韻がある作品集である。何れにしてもお子様にはお勧めしません。読む場合は毛布の中や押入などの暗がりで読み、その衝撃を実生活に持ち込まないように。

 倉阪鬼一郎『百鬼譚の夜』(出版芸術社)の書評を脱稿しました。のろいなー私。


1999年11月23日(火)

 発作的に壁紙のデザインを変えてみました。データ量は変わってませんが(そちらを先にどうにかしろという気はしますが)前よりは見やすくないですか?

 二、三日前から風邪気味で、症状自体は重くなっていないのだが軽くもなく、鼻水、喉の痛み、軽い頭痛などの初期症状が持続しているのでいい加減鬱陶しくしんどい。祝日で日中は仕事がないのをいいことにまたぞろ自堕落な半日を過ごした。しかし何故読書も進まないんだろう。壁紙のデザインを変えてみたり猫に足を押さえつけられたまま昼寝したり思いつきでちまちま行動しているうちに時間を浪費してしまうのだ――そもそも今メインで読んでいるのは多田克己『百鬼読解』(講談社ノベルス)、物語ではなく学術的興味が多分に盛り込まれた読み物なので、先日の馳星周のようにつるつると流し込むという芸当が出来ない。面白いんですけどね。元々民俗学的なものに興味がありましたし。しかし、だからこそ斜め読みが出来ないので、こういう体調だと手こずることこの上ない。ま、ゆっくりやりましょう。そんな訳で今日は一本書評をあげるつもりだったのですが明日以降ねー。因みに書評ページには既に次の予定が書き込んであったりする。そうして己を叱咤するのであった。叱咤しても身体が言うことを聞かない場合も多いんだけどさ。

 ――バイトから戻り、人心地つけてさあ日記を書くか、とその前にふとホームページを覗いてみると、カウンターが3000を越えていた。うーん、予測より遥かに早い。

 最後になりましたが、19日逝去された山村正夫氏の御冥福を心よりお祈りいたします。作家としての業績もさることながら、宮部みゆき氏らを輩出した面においても推理文壇にとって大切な方でした。……でも長篇は読んだことがないのです、実は。『湯殿山麓呪い村』が何処かに埋まっていたかなー(そればっかりや)。掘り返してこよう。


1999年11月24日(水)

 今日選んだ風邪薬は効く効く。眠くて仕方なかったわ。多田克己『百鬼読解 妖怪の正体とは?』(講談社ノベルス)を読み終えたが朦朧とした意識ではしんどいものがありました。ただ、体調不良を差し引いても、これは妖怪シリーズ本編を読む傍らちらちらと眺めるのが正しい用法と見えます。時として趣旨がどの辺りにあるのか判断しづらくなるのも困りものでした――もうちょっと元気があれば違う読み方もできるのかも知れませんが、今日はこれが限度。

 夕方、帰宅前に職場から自転車を漕ぎ漕ぎ買い物巡り。まずいきつけのCD屋で山下達郎『ON THE STREET CORNER3』(MOON RECORDS)角松敏生『You're My Only Shinin' Star』(BMG FUNHOUSE)、それに『星界の紋章 Vol.6』DVD版を購入。
 山下達郎は10年以上ファンをやっている筈なのにリアルタイムで購入したオリジナルアルバムが三枚しか無い。ベスト盤や企画盤を含めてもまだ両手で余る。時として激烈な餓えを感じることすらある。完璧主義の看板に恥じず、彼ほど安心して聴けるアーティストは実の処今日のミュージック・シーンでは寡聞にして知らない。今回は『STAND BY ME』など定番中の定番からCMに使われたオリジナル曲まで、全てが一人アカペラによる演奏というライフワークの新作。
 一方の角松敏生は中山美穂に提供した名曲をセルフカバーした奴。角松敏生のアルバムは一枚しか持っていないのだが、実はその中にこの『You're My Only Shinin' Star』の英語版が収録されている。そして今回のマキシにもちゃんと英語版が収録されている。しかもカップリング曲のひとつ『花瓶』もバージョン違いが問題のアルバムに収録されている。馬鹿馬鹿しいような気もしたが、楽曲自体は好きなので改めて購入。処でBMGって一体いつファンハウスに呑まれたんだ。
 次いでバイト先の本屋へ。牧野修『忌野とハコ』、もとい、牧野修『忌まわしい匣』(集英社)が入っていないかと思ったのだが、見付からなかったとのことでキャンセル。捜して貰っていればそのうち入る場合が多いのだが、今回は訳あって早めに読みたかったのである。ために、ここではある雑誌増刊の早出し分だけ買って退散し、近くで一番大きい書店へ。どうも置き方が無秩序で探しにくい店なのだが、よほど特殊なものでない限りちゃんと入荷している店なので、こういう場合はよく利用する。今回も些か手こずったがちゃんと発見。大森望氏の過激なアオリが好き。

 帰宅後は滞っているCGなどに着手しよう――と思っていたのだが、ふと触発されてCGIと格闘を始めてしまった。以前ダウンロードしておいた掲示板をニフティ上で運用しようと思ったのだが、選んだ掲示板は表示部分にhtml方式を採用しており、どうもこれがうまくニフティのCGIサーバ上で動作しないらしい。幾ら設定を変更しても、肝心の表示部分だけが見られないのである。夜中の二時半ぐらいまで試行錯誤を繰り返して、結局このシステムは捨てることにする――そして未だ日記を更新していないことに気付いた。泡食って書き始めるが、現時点で三時を回ってしまった……流石にもう寝る。結局何もできなかったも同然ではないか。くそう。


1999年11月25日(木)

 出勤前に遅刻覚悟で上野に寄った。『トゥルー・ラブストーリー ファンディスク』が買いたかったのである。万一買い洩らすのが厭なぐらいに。それにしても『ときめきメモリアル2』の売り方は変だと思う。レジカウンターの奥に、「初回限定版は11月**日に厳正な抽選のうえお渡しするお客様を決定いたしました。つきましては当日、限定版のフリー販売は当店では行いません。宜しく御了承の程お願いいたします」といった旨の断り書きがでかでかと貼ってある。その後ろには限定版の箱が約六個。ほー。通常版を購入しても先着で何かが付いたらしいが、1はやればやるほど(移植されればされるほど)嫌気がさす内容だったので、取り敢えず敬遠する。二十分ほどの遅れで職場に着く。流石に親父に厭な顔をされた。そらそうだ。
 一仕事終わったところで再び外出。懲りない男。今度の目当てはCD。最近半ば通い詰めている某店にバイクで向かった。どうしてこんなに扱いが悪いのかムーンライダース。今日発売にも拘わらず、普通の陳列棚に二枚並んでいるだけである。それとも二枚表に出してあるだけでもまだましなのか。ついでにあちこちのソフト売場を彷徨して、件のソフトの売れ行きを眺める……段々白けてきた。既に初回版が何処にも無いという出荷の仕方が不思議だが、それ以上に販売店の売り方も買い手の状況も変。件のソフトに関しては「初回版が手に入るようだったら買ってみる、ないなら買わない。やりたくないから」というファンからすると相当嫌味な姿勢の私ではあったが、この中途半端な盛り上がりは一体何なのだ。あのゲームと製作会社については言いたいことがいっぱいあるが、取り敢えず明らかに広告戦術的な出荷の仕方だけは止めて欲しかった。それで盛り上がるのは、はっきりとマニアだけだ。

 午後は特に仕事もないので、ちょっと日記部分のファイル構成をいじってみた。ミステリ系の方にとってはお馴染みのページにミステリ系更新されてますリンクというものがある。私のページは一応(ほんとに一応)ミステリ系のページである筈なのだが、ここにはまだ登録して戴いていない。考えられる理由は幾つかある。

 1,高橋まき氏がこのページの存在を知らない
 2,自薦にせよ他薦にせよ推挙する声がない
 3,というか誰もここをミステリ系のページだと捉えてない

 以上三つ……しくしくしく……

 ……という冗談(になっていないような気もする)はさておいて、現実としてこのページが登録されていないのは、おそらくこのページの更新履歴がとりにくいことにあるのではないか、と想像していた。更新されてますリンクではそのページにおける何れかのファイルを選んで、その更新日時を取得している(筈)。御覧の通り私のページはフレームを多用しており、加えて日記の最新ページは10日毎に変更され、一定しない。また日記は常時更新を言い訳に、更新報告をトップページで行っていない。これでは登録して戴きたくても申し出るわけにもいかないではないか、と漸く気付き、日記での最新記述の場所を一定させる方法に切り替えるべく、あちこち構成をいじっていた次第。今後は最新記述の位置をSaikin.htm#New固定とし、10日分貯まった処でテキストのみを新しいファイルに移動する、というやり方でいくことに決めた。んでもって、直接このファイルにアクセスして来るという不届き者の皆様があることを想定して、↓にフレーム仕様トップページへの直結リンクを置いてみました。さあ、これでどうだ!

 と誇ってみてもどなたもこのページを推薦してくれなかったり高橋まきさんが厭がっていたりすると永遠に登録されない訳なんだけどしくしくしくしく…………

 帰宅後は買ったゲームに手もつけず昨日の遺恨試合。まず昨日いじっていたのとは別の掲示板プログラムをダウンロードして、設定部分を一通りカスタマイズした。昨日の経験からhtml方式を利用したCGIは鬼門だと悟ったので、拡張子cgiへのアクセスでボードが表示されるシステムを選択……というか、寧ろhtmlを利用している方が珍しいのだと改めて実感する。選り取りみどりである。迷った挙句に、KENT WEBで配布している一行レス機能付きのものを一旦設置してみることにした。設置場所のアドレスなど細かい制約をひとつひとつクリアし、最後にアイコン表示の設定でかなり手間取ったものの、どうにか動いた。仮に若おやじの社交場・Nextと名付けたが、例によって用途は決めていない、というかこの掲示板を固定して利用するのかもまだ決めかねている。KENT WEBには他にも発言の際にイメージアイコンを選択添付できるものがあって(青木みやさんのページで使われている奴ですな)、これに独自のアイコンを設定して使う、という欲求が首をもたげているのだ。これが巧くいけば、今私が作成に荷担している某氏のファンページに使えるのでは、と思っているのである。某氏の作品に登場する主要キャラクターをデフォルメしたアイコンを登録しておくと、書き込みもし易くなるのではないかなー、と……ああ、自分で自分の首締めているよな俺。でもやりたい。あ、しかしそうするとこちらの掲示板はそのまま置いといてもいい訳か、あちらは別アドレスにすればいいのだし……悩む。ともあれ今回作った掲示板は、たまーに見場を変えるぐらいで、暫くはそのまま放置しておくつもりですので、ゲストブックに書き込むぐらいの楽な気持ちで痕跡を残していって下さいませ。誰かが適当なボケを書き込んでひたすらそれにツッコミ続ける、という使い方も可。ご随意にどうぞ。

 うーん、久しぶりに長ったらしい日記だ。まだ書くことがあるぞ。明日にしてもいいんだが、以下MOON RIDERS『dis-covered』(DREAM MACHINE)寸評。
 本作は一年半ほど前に発売されたKi/oon Records移籍第一弾(にして最終作)アルバム『月面讃歌』のオリジナルテイク集+αである。と言ってもファン以外には意味がよく解らないか。『月面讃歌』はMOON RIDERSが完成させた音源を、一曲ずつ若手のプロデューサーやミュージシャンにそのまま手渡して、好き放題いじらせるという破天荒な手法で作られたアルバムである。クレジットを見ると大半の曲が演奏を差し替えられており、ムーンライダースの痕跡を留めているのはヴォーカル部分だけ、という凄まじさ。しかしその結果、各曲がプロデュースを担当したクリエイターの個性的に彩られ、全体で見ても聴き応えのあるアルバムとなっていた。こうなるとオリジナルテイクにも興味が湧いてくるのが人情――という訳で発売されたのが本作である。サービスとして収録曲中二曲を、再び他のプロデューサーがリミックスしたものが収められている。
 で、評価は、というと――申し訳ないが、私個人としては『月面讃歌』の方が好み。『月面〜』と異なり全ての演奏をオリジナルメンバーで行っているため、アルバム全体の印象は見事に統一されているのだが、『月曜の朝にはとるに足らない夢』は『月面〜』のハードなアレンジ・演奏の方が鈴木慶一の声に合っていたし、『Lost Time』は武川雅寛のヴァイオリンソロなどが欠けた分物足りなく、間奏が増えた分冗長に聴こえてしまう。ミックス面で様々な細工が為されていたり、作りは実にライダースらしいのだけれど、前作の出来を思うと、些か物足りなかったかな、という気分。何せお気に入りを挙げると、メロディにも歌詞にも全く隙がなく、もともとどうアレンジしても聴けるぐらいの名曲『Sweet Bitter Candy』(Ki/oon時代唯一のシングルに収められた奥田民生参加のヴァージョンは最高の出来)に、ボーナストラック版の『恋人が眠ったあとに唄う歌』ですから。
 と、些か辛口に責めてしまったが、鈴木慶一の渋みのあるヴォーカルに安定した演奏など、「おぢさんロック」とでも形容すべき完成された音楽性は一聴に値する。何度も聴くうちにじわじわと味わいを増してきており、その辺りこそライダースの真骨頂なのでは、とも思う。ファンや往時の楽曲が好きという御仁は聴くべし。

 ……ああ、本当に長くなってしまった。ごめん。原稿用紙で十枚以上書いてるんじゃないかこれ……? 何やら無駄に気力を消耗してしまったような……


1999年11月26日(金)

 まだ早い時刻ですが(午後七時)、取り敢えず連絡。ポスペ買ってまいました。暫くはぺんぎん使いです。名前はさむさむ。部屋が寒そうだから。トップページとここに専用のアドレスを封じておきました。……なんで買ったのかはよく解らん。

 気を取り直して、今日の浪費日記。例によって仕事をちゃちゃと片付けるとバイト先を訪れて、うろうろ巡って漫画ばかり数冊を購入。うち一冊は珍しい、というより刊行自体が初めてらしい、雑誌の竹本泉特集増刊である。今は亡きアップルミステリー誌上で、竹本泉が定期的に発表していた短編の中で展開していた『ねこめ〜わく』の単行本未収録分に書き下ろしが一本、他に同じく単行本に収められていない短編が二本と、既に刊行済みだが数ページ分のカラーを再現するという名目で三本の旧作が収録されている。迷うことなく買うのがファンというものである。ほくほくで帰ろうとしたところを、長期でバイト勤めしているFさんに引き止められ、唆されて『ブレア・ウィッチ・プロジェクト完全調書』(アーティストハウス)を購入してしまう。年明けに公開される、実際の失踪事件を不明者自身の記録などを元に映像化した映画の、いわば原作本である。問題の失踪者三名は今もって行方不明のままであり、そうした事件性にも興味を惹かれたが、何より翻訳がかの大森望氏である。買うしか。
 そのあと、用事はなかったのだが何となくいきつけのCD屋にも寄ってしまう。時間がないので適当に切り上げよう、などと思っていたのだが、入ったタイミングが悪かったのか、BGMを聴いているうちに段々唇が引きつってくる。我に返ったときには、既に山崎まさよし『SHEEP』(Polydor)を購入していた。だってさー、昨日からずーっと店内で流してたしさぁ、家でもCM見ちゃったしさぁ。こうして12月期の財政も、初っ端から黄信号が灯ってしまった訳である。きゃんきゃん。
 午後は何もないので軽く仮眠をとって、四時過ぎには上がってしまう。一旦自宅に戻って荷物を降ろすと、上野−秋葉原で買い物。何か毎日同じ事をしているような気がするが気のせいだろう。先ず上野でソフトを三本購入。『Refrain Blue』(elf・18禁)と上記の『PostPet2000』、それに『ファーランドストーリー 四つの封印』(TGL)。最後のは二年ほど前に発売された作品の廉価版。何せ定価で2000円、実売でも1800円程度なので、ちょっと目を惹かれたと思った次の瞬間には手に持って売場を彷徨いていた。TGLのソフトとは相性があまり良くない(私がね)のだが、安い分却って気楽に遊べそうな気もする。もう一枚同時発売だったが、こっちは音声が入っていないので買わない。そのくらいのおまけはないと、ねぇ。
 秋葉原でも入る店はいつもどおり。ポイントがあるからさ。『アニメ版 To Heart 第6章』(ケイエスエス・DVD)を購入したあと、各階を何となくぶらぶら。『ときメモ2』がポスター2枚+きんちゃく袋の特典付きだ。でも買わない。あちこちで「すっきっとっかっっ」という歌声が聴こえてくるのが何となく厭。前作に較べれば格段に歌は上手いけど、アレンジのどぎつさは同程度だし(相変わらずコーラスが鬱陶しい……)。ジャズのCDを買おうかとかあれこれ悩みながらほぼ全フロアを渉猟して歩いたが、ここに来て漸くブレーキが機能してくれたらしい。一枚買えば充分だが。第一明日も来てしまいそうだが。

 ゲームをやるより先に、まずポストペットのセットアップ。この辺りは流石に年の功があるので、二・三十分程度で完了する。どうしてそんなに早く腹が空くんだとか何でバナナの皮を置くとちゃんと転んでくれるんだとか諸般疑問は感じないでもなかったが、……確かに愉しそうではある。当分は続けて見るつもりですので、ポスペユーザーの方気が向いたらお使いに出して下さいな。まだ慣れていないので一発二発誤って小突いてしまう危険はありますが。

『Refrain Blue』はこの日記を送信したあとでまともに取り組むつもりなので、その前に『ダークロウズ』(アリスソフト・18禁)についてちょっと言及しておく。
 システムを要約すると双六である。調教シーンで行動を選択すると数枚のカードが捲られ(枚数はプレイヤーの判断で上下する)、ポイントが規定以上に達していれば成功、イベントグラフィックが鑑賞できる。基本的にこの繰り返しのゲームで、そうして稼いだ金銭で傭兵を雇い、敵国の攻撃をかわしきれば目的達成。無論一連の行動には様々な背景があり、調教に際してキャラクターとの会話シーンがあるが、ここでの挙措によってシナリオ・エンディングは様々に変化する(情報では八通りあるそうな)。シナリオの細部には御都合主義や安易な展開が多いが、テキストとしては練られている方なので取り敢えず及第としてもいい。問題は、操作性が異常に悪いことであろう。組み立ては綺麗なのだが、データロードが起動画面でしか出来ない(ゲーム中ロードしたい場合は一旦ソフト自体を終了・再起動する必要がある)、回想モードやコンフィグ画面への移行にいちいち画面効果を採用しているため苛立たしくなってくる、などかなり不親切な点が目立つ。ゲーム中にロードが出来ないのは、純粋にゲームとして愉しんで欲しいというスタッフの意図を反映したものであろうが、エンディングを見るよりもCGやイベントの回収に熱意を注ぐ向きにはやはり不親切極まりない設定である。特にこのスタイルではプレイを繰り返すほどにルーティンワークに陥りがちなのだから、スタッフの意図よりもプレイヤーの便宜の方を優先して欲しかった、と思うのだが。
 何にせよ、この作品は恐らくスタッフがそう企図していた通りに、純粋な「エロゲー」である。そのつもりで遊ぶ分には完成度は高い。


1999年11月27日(土)

 朝方から猿化。ひたすら『Refrain Blue』をやり続ける愚か者。現時点で三人分のシナリオを終えた訳だが、この時点で気付いたことをざっと記すと、
1, 文章は中の下。読み辛いということはないが陳腐な言い回しや思慮に乏しい会話廻し、加えて冗長なイベントが多く、それが屡々集中力の持続を妨げる。
2, キャラクターそれぞれのシナリオは悪くない。やっていて泣ける。が、この型の話で泣けるのは或る意味当然であって、さほど自慢にはならないだろう。捻りがない分評価は低くなる。現時点でキャラのお気に入りはちなつ(深川の属性バレバレ)、シナリオのお気に入りは、エンディングテロップの前まではつぐみ。テロップあとの挿話は、展開としては正解なのだけれどゲームとして見た場合腹立たしいだけ。
3, 今の処一番不快なのは、最初の段階で攻略できるキャラクターが少ない、というよりもしかしたら一人かも知れない。そのキャラのエンディングを(幸福であれ不幸であれ)見たあとに一人、そのキャラのシナリオを終えるとまた一人、といった具合に増えていっているような気配がある――最初の人数については一度セーブデータをクリアしてみないと正確なところが言えないが、一度二度のプレイでは絶対に登場しないキャラが多いことは確か。それは即ち、遊ぶうえでの自由度を引き下げていることに他ならない。何度かやっていてその理由も意図もほぼ読めてきたのだが――問題は『謎の少女』の存在意義にあるのだろう――そのゲーム的性格を一言で言い表すと旧態依然とした一本筋アドベンチャーになってしまう。無論道行には間違いもあり、その辺の試行錯誤もゲームとして愉しむこともできるのだが、この展開の様式はノベル形式としての先駆『雫』と『痕』においてかなりの上質さで実現されているものであり、今の段階でそれらと『Refrain Blue』の出来を比較すると、その精神も実際の出来映えもかなり劣っているとしか言えない。正直既にゲームデザイナーの発想力を疑っている。こういう作品を正しく評価するためにはきちんと結末まで見届けなければいけないが、それとて既に漠然とだが予測が付いている。もしも予測と殆ど違わないようなオチだったら……
 とまれ、現時点での評価は一応の及第点というところ。しかしかつてあれ程発展的な作品を繰り出してきたelfの最新作としては物足りない、というより改めて凋落の危機に瀕しているな、という感じを受けてしまう。まだCGのレベルも全体としてみれば高い方だが、そのうちに凡百のソフトハウスに肩を並べてしまう羽目になるかも知れない――それも追いつかれるという望ましい形でなく、ただそちらにずり落ちる、という形で。

 一日中そんなことを考えながらゲームをやっていたので、外出したのは昼食の時だけ。いきつけの蕎麦屋に家族で行った。そのついでに、鉄製の小さなラックを二つ買って帰る。机の下でとぐろを巻いているゲーム機の類と、机の上に堆積したCDやDVD、ゲームの箱類を多少なりとも整頓するため、机の下に備え付けようと思ったのである。しかしゲームにかまけているうちに、組み立てもしないまま夜が更けてしまう。スチール製の部品を夜中に摺り合わせるのは流石に近所迷惑そうなので、明日廻し。これからまたゲームに戻ります。それが猿化していると言うのじゃ。

 西澤保彦さん御自身の日記で「本格推理15」に言及され、私の作品のファンと仰言って下さった。舞い上がってます。きゃー。


1999年11月28日(日)

 猿状態ひとまず脱出。『Refrain Blue』(elf・18禁)取り敢えずシナリオ・CGともにコンプリートしました。で結論を申し上げると、やっぱり中の上程度の出来。本心では中の下ぐらいにしたいのだけれど、そうすると18禁のソフトの大半が下のレベルに落ちぶれてしまうのでやや甘くします。本意ではないですが。
 評価が辛くなった理由は、昨日の日記でちらっと触れた結末に纏わる予測、それと着地点が殆ど同じだったことが先ずひとつ。それでも過程がしっかりと描かれている、或いはゲームとして楽しめるレベルならば納得できるのだが、描写は冗長だし、何よりその間で描かれる主人公の結論が、キャラクター毎のシナリオで綴られる懊悩や諦念、決意などと較べてあまり差違がなく、なまじ大風呂敷を広げているだけに一層色褪せて見えるのである。終盤はそれ以前のシナリオをも呑み込んだ幻想絵巻的な展開になるのだが、他のシナリオとの絡ませ方が恣意的で違和感ばかり際立っているし、先述の通りその結論が迫力に欠けるためラストシーンの感動も散漫なものとなっている。
 着想は悪くなかったと思う。主軸となる仕掛けのひとつは私自身何かに使えないかと腹案にしていたものだし(ただ、これほどの大風呂敷に使おうなどとは許より考えもしなかったが)、上手くシナリオ同士の繋がりを計算してやっていればもう少し感動的なエピローグになった筈なのだが。要は、クリエイターの思慮不足か致命的な力量不足が問題だと言えよう。
 ただ、キャラクター個々のシナリオを単独で見る限り、全く悪い訳ではない。放置されたままの伏線であるとか描き込み不足であるとか、反対に説明不足だったり行動と行動の因果関係が弱かったりと、弱点も論えばきりはないのだけれど、それらに目をつぶらずともまるっきりの不出来ではない。ただ、それらを纏めるシナリオが個々のエピソードを束ねるには小粒すぎるのである。換言すると、キャラクター攻略のゲームとしてみればそれなりのレベルにあるということ。但し、期待しすぎてはいけない。
 なんにせよ、以前のelfのような、業界の標準値を引き上げるような目覚ましい完成度ではない。その辺りが往年のファンとしては寂しく、一喝したいところである。この程度で安住されては困るのだ。
 ――ともあれ、ひとまず猿状態脱出である。良かった良かったこれで懸案に取りかかれる――と思ったら、先週購入したままインストールすらしていない『トゥインクル・レビュー』の存在に気付いた。いやそれだけじゃない、『ダークロウズ』もせめてもう一回りぐらいしてからレビューを書きたいし(あ、『Refrain Blue』は後日、二日分の日記を纏めて、改稿のうえ「戯れ」の処にアップする予定です。開設以来初の「戯れ」更新だー!)、それ以前に『ハートに火をつけて!』なんか買ったときに「外れっぽいから」と言い訳して名前を挙げなかった上、その後本当に数十分の一も終えていないところで止まっている始末……うあああああ。という訳で猿日記はもう暫く続くかも。まあ、懸案は仕事の暇を見付けてやろう。職場では流石にゲームは……やろうと思えば出来るか……

 午前中、両親が法事に出ている間に、昨日購入したスチール製のラックを組み立てる。ドライバーも用意したのだが、最近増えてきたネジの類を一切使用しないタイプだった。その代わりゴムハンマーと布がいるようなことが書いてあったが、ドライバーの底と梱包材で代用する。乱暴だがなんとかなっている。午前から午後にかけて、凡そ一時間半程度で完成。机の下に押し込み、コンシューマーハードやゲームソフト、DVDなどを適当に詰め込んでおく。怖ろしいのは机の奥で蜷局を巻くコード類と、その隙間を埋め尽くすように堆積した埃埃埃。よく今まで火事にならなかったと肝を冷やすが、何だか二、三年前にも似たような恐怖を感じた記憶があるのは気のせいか。ともあれ、これで机の下だけは大分すっきりしたし、今後購入予定のドリームキャストとPS2を収納するスペースなどもどうにか確保した。さて、次の問題は、室内に積み上がった書籍や漫画をどうするか、なんだが………………………………

 最近毎回欠かさず「特命リサーチ200X」を見ている。今週一本目の報告は笑えた。効率的な「一夜漬け」の方法について検証していたのだが、色々と専門知識を弄しながら結局は解りきった結論に達している辺りが。


1999年11月29日(月)

 今日のことは明日考えます。

 で、ここからは30日の日中に記してます。何故すぐ書かなかったのかと言うと、……詳細は後述。
 月曜日は相変わらず仕事の密度が低い。持て余した暇を利用して漸く牧野 修『忌まわしい匣』(集英社)読了する。初出媒体の性格もあって(『異形コレクション』とSFマガジンが中心)ホラーとSFが大半を占めているが、それ以上に濃密な電波が蔓延しているという印象。狂気というのとはまた違うが、現実と微妙にずれた位置から世界を冷ややかに眺めているような視線がなかなか癖になる。秀逸だが人に勧めるのは少々気が退ける作品集である。
 その後例によって買い物へ。バイト先で漫画を二冊仕入れ、次いで大書店に足を伸ばした。Illustratorの教本が欲しかったのだが、斯界の趨勢を如実に反映してか置いてあるのは何れもMac版。職場ではMacがメインマシンだからそれでも良かったのだが、自宅で練習する際のテキストにするつもりだったので出来ればWindows版の方が有り難い。取り敢えず同じもののWindows版の在庫があるか確かめようと、Mac版のものを携えてレジへ。店員の姿が近くに見えなかったのでカウンター周囲に陳列してあるものを見るともなく眺めている――Windows版の竹本 泉『クリックのひ』(徳間書店・クリックまんが)があるのを発見。衝動買い。目的のIllustrator Windows版の教本は在庫なし。何をしに来たのか解らず首を傾げながら職場に戻った。
 昼頃、懇意の計理士さんが訪れる。毎月末に必ず見えているのだが、人見知りのうちの猫は脳味噌の軽さ故か一向に慣れてくれない。炬燵の中にいたのだがそれを階段に押しやり二階に避難するようにし向けて置いたが、板張りの冷え冷えとした階段の途中に蹲って階下の様子をずっと窺っている。居たたまれないので抱えて二階にある蒲団まで運んでいこうとしたのだが、来客があるときに抱き上げられると大体客の前に連れ出されるのが常のうちの猫、ベッドの手前で思いっ切り抵抗して、後足で引っ掻いていった。左手首に二筋の傷。……見た目殆ど躊躇い傷である。当然痛い、というか冷静に考えるとかなり危ない。二、三発叩いておくと、そのあと計理士さんが帰るまで大人しく蒲団の中に丸まっていた。そして殴られたことも人のことを引っ掻いたことも完璧に忘れてるし。

 帰路、バイト先で石川真介『美濃路殺人悲愁』(青樹社・BIG BOOKS)と漫画一冊を購入すると、秋葉原の書泉ブックタワーまでバイクを走らせる。目当てのIllustrator教本を二冊見付けると、ついでに牧野修の『MOUSE』がないかと思い、文庫売り場を探し歩くが影もない。店員に訊ねると、見た覚えがないと言う――そんな筈はないだろう、と思ったのだが相手も譲らず、取り敢えず手にしていた香納諒一『さらば狩人』(角川文庫)だけ買って帰宅。どうにも腑に落ちないので早川書房やミステリ系の書評サイトを確認してみた結果、どうやら絶版状態になっているらしいと悟った。おいおい。まがりなりにもホラー大賞長篇部門佳作受賞作家やないか。ほんの数年前の作品集が何故絶版。それより何より、一時とは言え出ていたものを見覚えがないの一言で片付けた店員。ちょっと探すとか調べてみるとか他の店員に確認するとかして見ろって。少なくとも私は今後二度と君に在庫を訊ねないぞ。ったくもう。……しかし『MOUSE』、もう古本屋を探し歩くしかないのかねー……

 両親は酉の市の手伝いのため帰宅が遅くなる。夕食はその帰りに買ってきて貰う手筈になっているので、適当に摘みながらだらだらと――またしてもゲーム漬け。昨晩、『Refrain Blue』を終え、立て続けに取りかかった『トゥインクルレビュー』をひたすら遊ぶ。はっきり言ってシナリオは陳腐、革新性はおろか独自性も大して見当たらない作品だが、気楽に遊べる美少女ゲームとしては充分に評価可能。なまじストーリー性や表現を気取っただけのものよりも、こういったシンプルなゲームの方が填るときは填りやすいのである。どっかの会社みたいに中途半端なシナリオを「奥の深い物語」などと喧伝して悦に入ったりしているよりは、いっそこの位突き抜けてくれた方が遥かにましというもの。深いことは考えずにひたすら攻略に邁進していた所為で、他のことは一切手につかないまま夜が更けた。だから日記もお義理程度に一行だけアップした訳である。猿状態継続中。ウッキー。


1999年11月30日(火)

 午前中に昨日分の日記を片付けると(結構長い……)、バイト先でスニーカー文庫三冊に雑誌も三冊購入。雑誌の中でまともに読んでいると断言できるのは一冊だけ。これを買わずに済ませられるなら自室の書籍容量が飽和に近付くのを暫くは回避できそうな気がするんだが一時凌ぎのような気もするし。言い訳っぽいすかそうですか。
 午後一番で今度はCD屋を訪れ、大江千里『2000 Joe』(Epic Records)を引き取る(新盤で端から購入するつもりのものは前金で全額支払い済みなのである)。今年までの大江千里を総括する内容のベストアルバムだと聞き及んでおり、「今度こそはあの曲が入るのか?!」と期待に胸膨らませ、帰宅後初めて裏面の楽曲リストに目を通す――ない。『Sloppy Joe』『Sloppy Joe II』『Winter Joe』に続いて四連敗。みんなそんなに嫌いか『これから』(アルバム『APOLLO』に収録)。アルバムに収録されたのもシングル発売(1988年――げ、11年前だ)からだいぶ後のことだったし。いや百歩譲って『これから』が収録されなかったのは許すとしても、『僕じゃない』(『六甲おろし吹いた』所収)や『さよならも言えずに』(『SENRI HAPPY』所収)に『竹林を抜けて』(『APOLLO』所収)、それに最近の『碧の蹉跌』『Tiger Chanpion』(ともに『ROOM 802』所収)といった佳曲まで入っていないのは何故だ。腹立ち紛れにライナーノートを読むと、まあ、その辺りの事情は大体納得がいった。選曲の主導が本人+ファンの意見であったということ、加えて各アルバムから一曲ずつ、という縛りを自らに施していたらしく、まあそれなら宜なるかな、という風に思う。でも悔しい。そのうち裏ベストと銘打ってCD一枚分纏めてやる、個人的に。
 ライナーノートを見ると、大江千里、結構凄まじいことをしていたりする。今回のベスト盤を作るに当たって代表曲のひとつ『GLORY DAYS』をヴォーカルのみ当時のものをそのまま流用し、他のパートを新たに収録し直して更に今の大江千里の声でハーモニーをプラスしている。アレンジの根幹は同じなのだがアコースティックギターやピアノなどの生音に比重を傾けている分、足が地に着いたという感じでオリジナルよりも聞き心地がいい。ミックスを調整してよりハードな印象になった『Echo』(今回数少ない深川にとっての「当たり」)も、オリジナル以上に完成度が高まり今回の収穫と言えよう。裏話としては、オリジナル盤でしっとりとしたピアノ弾き語りを聴かせてくれた『いつかきっと』という曲が、実はかのDavid Campbellをコンダクターに据えた弦中心の楽曲として考えられていたのを、収録直前になって大江千里が思いついて弾き語りしてしまったのを採用、弦の方をお蔵入りにしていたというのが痛快。清水信之(平松愛理の旦那だ)が落ち込むのも当然だが……これについては、深川は弾き語りの方に一票投じたいような。何度も聴いているうちに印象は変わるかも知れないけど、弦バージョンにはやや拒否反応あり。そうそう、『いつかきっと』オリジナル版の収録された『Yellow Monkey Red Fish』(……で合ってるよな)は名盤だと思う。素晴らしく粒ぞろいだぞ。
 ……書いていてふと、以前河内実加さんが大江千里を苦手だと記していたことを思い出した。いやだからどうということもないのだが、そんな訳で私は結構好きです、大江千里。個人的な恨みを脇に置けば今回のベスト盤はかなりのハイクオリティと断言します。特に苦手意識のない方なら聴いて損はないでしょう。それにしても大村憲司(アレンジャー)って亡くなってたんだ……知らなかった。

 火曜の夜はバイト。レジに立つ前にざっと渉猟。おお、本当に出ているぞ田中芳樹『アルスラーン戦記(10) 妖雲群行』(角川文庫)。だからと言ってちゃんと継続的に出てくれるかは疑わしいが。これから揃えようかと思っているので、取り敢えず一冊確保しておく。んでレジに移動したら、私のために取ってあった本二冊。愛川 晶『夜宴 美少女代理探偵の殺人ファイル』清涼院流水『ユウ 日本国民全員参加テレビ新企画』(ともに幻冬舎ノベルス)……お願いだからこんな分厚いので不意打ちするのは止めて(清涼院ではなく愛川晶のほうね)。幻冬舎は発売直前まで書店に告知をしないからいつも困惑するのだ……いや、書店というか私が。毎回もっと早く宣伝しておいてくれれば心の準備が出来るのに。
 アルスラーンの新刊は待ち焦がれていた人が多かったのか、夕方入荷分は閉店までに捌けた。しかも脇に取っておいた私の分を目敏く見付けたお客さんがいたので、仕方なく売る。いいけどねどうせすぐには読まないんだから。帰りに漫画を一冊ついでに買った。ざっと眺めた限り、何気なく手に取っただけなのだがかなり私好みのテーマである。気が向いたらそのうちここで触れます。

 尚、この日記をアップしたらまた猿状態に戻ります。『トゥインクルレビュー』、取り敢えず全キャラコンプリートしないと納得いかなくなった。それが終り次第、今度こそさくさくと素材を作るのである。アイディアは大体纏まっているのだ一応は。まあゲームの方は一両日中に片が付くと思いますが、それまで掲示板などで不義理が続きます。乞う御容赦。メールなどはちゃんとチェックしてますので必要事項や用件はそちらでお願いしまっす。ペットもお使いに出してくれて大丈夫よん。間違って叩くかも知れないが。
 それにしても猿に始まって猿に終わる一旬であった。とほほ。この調子のまま終わらせるか1999。


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