2000年3月上旬の日常

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2000年3月1日(水)

 今週は冷え込んでるねぇ。寒いねぇ。はっきり言って笑っている場合じゃないぞ。私は自分の作業に没頭できるからいいけど、せめて新聞の五段広告のひとつぐらいやらせて欲しいものである。今日扱った広告データの面積二桁台だもの。

『OUTRIDER』誌が漸くロゴを変更した雑誌収納用バインダーを販売開始してくれた。これで溢れていたバックナンバーが纏められるし、財布の奥に仕舞いっぱなしだったバインダー購入費用も無駄でなくなるというもの。あー良かった。……しかし、バインダーで纏めた奴を何処に置くかという問題は依然残されているのだが。

『彼氏彼女の事情 Op.4』(STAR CHILD・DVD)『青いドレスの女』(Sony Pictures・DVD)を買う。後者は原作を集めている関係上(読んだのは第一作目のみ。これもなあ、いつか纏めて読もうと思っているんだけどなあ……)見たい見たいと思いつつ劇場版もWOWOW放映も見逃してしまったので、いい機会だと思い購入したもの……しかしDVDも映画については見ていないものが数枚あるんだよな……。
 反省した訳ではないが『彼氏彼女の事情 Op.4』はさっさと鑑賞した。本放映ではこの辺までビデオ録画で見ていたのだが、総集編の存在を見落としたところで急激に面倒臭くなり、多分次の巻ぐらいから未見となっていた筈。つまりここまでは復習と言えるのだが、総集編を斜に眺めていてちょっとした発見をする。このシリーズ、一話の作画枚数が3000枚を越える回が(私が認識した限り)殆どないのである。にも関わらず緊張感と独特の雰囲気を漂わせた演出の巧みなこと。それに引きかえ、アニメーションを採用したゲームソフトの多くはこれを遙かに上回る動画枚数を消費しながら結果愚にもつかない作品に仕立ててしまっている――無論、『カレカノ』にも枚数が少ない割に線が雑じゃねえかとか色々いちゃもんのつけようはあるのだが、少ない労力を最大限に活用している点だけでも作品としての存在意義はあるような気がする。つまり、何が言いたいのかというとですね……?

 塔 晶夫『虚無への供物 復刻普及版』(東京創元社)、既に問屋では置いていない処が多いそうで、バイト先では仕入れられなかった模様。自力で探すしかないのか。そんなに需要があったのかただ単に発行部数が極端に少なかっただけなのか。第一4000円を超える本を買おうとする奴がそんなに沢山いたのか。……65000円の限定版を既に80人近くが注文しているということ自体驚異的だが。


2000年3月2日(木)

 久々にまともに仕事をしたという気のする一日。と言っても午前中で粗方片付いてしまったのだが。その間を縫って段々と終わりの見えなくなってきた作業を続ける。一体幾つ結末があるんだこの話は。自分で書いていて寒気がしてくる。

 今後、講談社ノベルスは刊行ペースが変わるような噂を耳にしていたため、てっきり今月は何も出ないものと思い込んでいたのだが、夕方バイト先に寄ると都合五点の新刊が並んでいた。私が購入したのは大塚英志『多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還』椹野道流『無明の闇 鬼籍通覧』米田淳一『リサイクルビン』の三冊。冒頭のは昨年暮れまで某K川のヤングアダルト系文庫の新刊ラインナップに名前の挙がっていたものを改題したものらしい。ああやっぱりそういう運びになったかという印象である。米田淳一作品は粗筋や煽り文句を見てミステリと勘違いしたが、よく考えればこの方はSF畑ではないか。でもまあ、読むときはそれ程気にしないと思うのだけれど。

 金八先生を見たあと、暫く作業の続きをしてから突如焦燥感に襲われてスキャナーをフル稼働させる。二十冊分も取り込むと流石に時間がかかる。これで著作一覧に添える書影はほぼ完璧に揃ったが(処女作の親本とアンソロジーが何冊か手許にない)、あとはこれをどう細工してあっちに流用するか……。思いの外どの著作も映像イメージがきっちり確立されているため、部分的に修復すればそれなりに見場のいいものが出来そうなのが有り難い。ともあれ、四日五日ぐらいの間にトップページだけでも人目に晒せる状態にしておきたいところ。


2000年3月3日(金)

 眠い。のでだらだらと書きます。寝ている場合じゃないんだが眠気が一番著しい影響を及ぼすのが論理的思考と言語中枢なもんで、そーなるともうまともな創造は出来ないもので……うにうに。

 今日はまた漫画ばっかり買う。小池田マヤ『ときめきまっくん!(3)』(芳文社・まんがタイムコミックス)が発売。『すーぱータムタム』が完結したのはたまたま掲載号を覗いたもので知っていたのだが、あれから派生した『まっくん』もいつの間にやら終っていた。しかもハッピーエンド。しかも終盤の展開も、他の作品のようなどぎつさがなくて非常に心地よい。特に登場人物の一人として自分を偽っていないのが(わざと虚飾を纏ったりはするんだが信条には反しない)。『すーぱータムタム』はともかくとして、こちらは可能な限り曖昧な状態のままだらだらと話を続けるのではないかと思っていただけに、結構驚いた。終わりの方まっくん可愛すぎるぞ。

 延々企画の土台を叩いている。既に企画という段階ではない処まで到達しているのだが、当方がやりたいことを先方に理解させるためにはある程度筋書きを明確にして文章も組んでおいた方がいいと思われ、ひたすら積み重ね続ける毎日。しかしねー……眠気がピークに達すると基礎部分は何も出てこないんだよな……文章なら、多少壊れることを覚悟しておけば結構すらすらと出て来るんだけど……兎に角寝ます。明日はPS2も届くことだし、英気を養うつもりで。


2000年3月4日(土)

 午前中、PS2が届いた。洋間にあるワイドテレビでDVDを見ていた。何故か音が小さいことを訝しがりながら『青いドレスの女』を一通り鑑賞した。自室に筐体を置き繋いでみて、初めてステレオの左半分が出力されていないことに気づいた。古いテレビなもので元々入力端子の右(赤いコネクタ)の方は何かを噛ませて固定しておかないとうまく入力されないのだが、出ていないのは左側の音(白いコネクタ)の方である。はっきりと憤ってメーカーに問い合わせようと思って取扱説明書を見ると、商品に関する問い合わせ先も故障・修理に関する問い合わせ先も、土日祝日休業とある。ならばと思い、一番開いている可能性のあったドットコムのサポートセンターにかけてみた。状況を話したところ、製品を調査の上お返しするのでまるごと返送してくれときた。手続上致し方ないこととは言え、それでは折角発売日に届けて貰った意味が全くない。かなり苛立ち、もっと早急に対処できないのか、と執拗に訊ねると、先述の商品に関する問い合わせ先の方に訊ねれば別の対処法を示唆してくれるのでは、と言う――ということは今日もちゃんと営業しているんですか、と訊き返すと、何度目かの保留メロディが数分間流れ続け――事態は急転した。再度受話器を取った担当者は、上司と相談の結果、特例ではあるが明日にも代わりとなる商品を送ると言う。つまりは、この大事な日に本当に休業していやがるのだソニーは
 取り敢えず早急の交換を、というこちらの要求は通ったのでひとまず矛先は収めるが、ソニーに対する信頼は私の中で消し飛びました。客を莫迦にするのも大概にしてくれ。

 あんまりくさくさしていても仕方がないので、『青いドレスの女』の感想など。
 私は本編の日本公開と前後して原作・ウォルター・モズリイ『ブルー・ドレスの女』(ハヤカワ文庫HM)を読んでおり(劇場で観るつもりだったんだよなそう言えば……)を読んでいる。ただかなり昔のことなのでやっぱりあらまし忘れていた。ただ、原作を読んだ当時に感じたのとほぼ同じ印象――チャンドラーの顰みに倣う正調私立探偵小説、という印象であり、そうした作品群を敬愛する身には、随所に流れるジャズや仄かな郷愁に満ちた町並みの描写、そして刑事や悪役の描き方など、全体を覆う古めかしさが心地よい。何せカメラワークに至るまで何処か今風を拒絶しているように見えたから。だからこそ好き嫌いは激しいだろうが、私にはかなり響いた。ああ、そう言えばイージー・ローリンズ・シリーズも全作揃っているんだった……早く読みたいです。

 最近、「番組でなかったら犯罪」という企画に縋り付くバラエティ番組が多すぎる。本当に捕まってしまったら……それはそれで見物かもな。その後、大きな手札を失った彼等がどんなものを作るのか。企画力のない番組は早々に淘汰されていいかも。そんなことを漠然と思う。

 ところで明日、何時頃に届くんだろうな。今日みたいに九時頃に着くのは、休日には却って迷惑だぞ。


2000年3月5日(日)

 待っていたが来なかった。配送に廻すのが今日、という話だったのかも知れない。だとすれば明日の朝一番ぐらい着だろうか。今日は未見のDVDを一枚でも消費しようと思っていたのだけれど。だらだらと待ちながら、ここ暫くだらだらと読み続けていた芦辺 拓『明清疾風録 全三巻』(学習研究社・歴史群像新書 品切れ)を読み終える。
 歴史物に不慣れな上に舞台が中国でしかも語彙が豊富、とくると読み辛いのも当たり前のように思えるが、実際は寧ろ怒濤の展開で、もし時間が許していればもっと早いうちに読み終えていたかも知れない。巻末の年譜に拠れば大体二巻までは史実を読み物風になぞったもの、そして三巻が史実を踏まえた上で大胆に虚構(そして理想)の歴史をうち立てている。登場人物の多さ故、傑物の魅力が充分に立っていない(但し、登場する佞臣・奸臣のこれ以上なく厭らしい描写が主人公らの高潔ぶりを際立たせているが)、歴史を追うのにやや早足になっていることなどが不満でもあり、ただ「活劇」として描かれているからにはこのぐらいのテンポの良さがいいのかな、と思う面もあり。一部、芦辺氏らしい映像を意識した文章に視点の所在が不分明になっている箇所がありその辺りだけが勢いを殺いでしまっているが、全体としては楽しく爽快な物語でした。現在入手困難なのが惜しい。取り敢えず感想を書いて興味を惹いておこうと思ったのですがなんだかあれこれ作業をしている間に書き切れませんでした。明日以降。

 さて、かねてより作成中だった芦辺 拓ファンによるホームページ芦辺倶楽部、取り敢えず体裁は整ったということで、見切り発車めきますが公開に踏み切ってしまいます。今書き込むと確実に「Cast」に名前が載るという特典付き。おいでませ。コンテンツも今後じわじわと増えていくでしょう……多分きっと。ちなみにアドレスはhttp://www.hoops.ne.jp/~ashibe/或いはhttp://ashibe.hoops.ne.jp/どちらからでも行けますが、ドメインに名前が入っている分後者の方が説明しやすいのでこっちで御紹介・リンクしていただけたら幸いです。


2000年3月6日(月)

 ある事情からさっきまでずーっと苛立ち通しで、そうした不本意な現状を打破するためにこそこそと文章を認めていたら、その行為そのものである程度気が晴れてしまったのと幾つかの誤解を自覚したことで、実行に移す必然性を感じなくなってしまった。苛立ちすぎでこめかみに疼痛が残ってしまった(風邪という線もあるけど)が、まあこのぐらいは。しかしあんまり腹が立っていたため、仕事こそそつなくこなしたのだけどここ暫く続けていた作業がまた滞ってしまう。明日からもう一度仕切り直そう……果たして週末までに東野圭吾『秘密』と井上夢人『オルファトグラム』読み終わるだろうか。最低限「ミステリ夜話」ぐらいは参加したいので、今読んでいるのは『秘密』の方なのだけど。

 朝のうちに井上夢人『もつれっぱなし』(文春文庫)読了。この前が豊かな語彙を駆使した「騙り」の芸であったのに対して、こちらはいわば「話」芸一辺倒。なんだか騙された気分になる(実際論理展開は騙しているのに等しい)のだが、それが心地よいのは驚くほどの会話の巧みさゆえ。計算が行き届き、地の文が一切排除したにも関わらず情景が透き見えてくる。そして、所謂「本格もの」の論理ではないにせよ結末までの道筋は確かであり、妙な安心感を与えてくれる――落ち着きどころのない不安が場所を得て腰を下ろすような。そういう意味で、論理展開に問題があるにも関わらず、本格ものの佳品と捉えてみたくなる。ただの小洒落た漫才ととることも可。

 PS2の交換品、まだ来ません。どうなっているんだ、と午後七時過ぎに一度連絡してみましたが、状況を確かめてご連絡差し上げます、と言ってから……五時間経ちました。日頃の行いかいこれが。明日音沙汰がなかったらどうしてくれよう。ちゃんと配送に廻っているならどんなに遅れても明日には着くだろうに。

 リンク集に『芦辺倶楽部』を追加しました。それと、トップページに今まで御存知の方たちの間だけでこっそりと動かしていた若おやじの社交場 Nextを独立表記し、新たな参加者を募ることにします。でも何をしているのか何の為の掲示板なのか管理人も未だ量りかねていたり。ま、適当に寛……げないような気はしますが、ちょっと遊んでいってみてくださいな。


2000年3月7日(火)

 朝方電話も鳴らず荷物も届かず。出勤してみれば来たデータは未整理状態で、見本として向こうで出力したものにまだ誤字が残っていた。電話越しに辻褄を合わせるのだが話しているうちに却って混乱する。むきーっと鳴いてみる。あとは空き時間を縫って自分の懸案に懸かりっぱなしだったが、どう考えても実働時間より懸案に取り組んでいる時間の方が長い――勤務時間外を含めなくとも、だ。まあ仕方のない話なのだけど。

 夕方からバイトである。足を運ぶと社長の奥さんに続き娘さんまでがレジに立つようになっていた。それはそれでいいのだが、如何せん奥さんもまだ慣れていないのに娘さんまでとなると、そうでなくとも仕事が週一になって私自身のペースが掴みづらくなっているのに、フォローのために二人の方にも気を配らなければならず結構神経が磨り減る。慣れるまでの辛抱とは言うものの、慣れるまでに身が保つかどうか……週一だから楽のようにも見えるが、それは毎週慣れやスタイルが変わる人間にその都度合わせなければならないことで、単位時間の疲労度は連日出勤している皆さんの多分五割増ぐらいになる。あまり沢山人がいても仕方ないから、と店員の方が気を回してくれて私はいつもより一時間ほど早く上がったのだが、時給制の私にとっては有り難いのか有り難くないのか。

 帰宅。先週の水曜日に申し込んだ『OUTRIDER』のバインダーが届いている。PS2の交換品は届いていない。電話もかかってきていない。試しに十一時半頃にPlaystation.comのサポートセンターにかけてみると、一応稼働していた。そのこと自体は称賛に値するが、この時間帯に「全てのスタッフが通話中で繋がりにくくなっております。このままお待ちいただくか……」というメッセージが流れるというのは、諸般の事情と思い合わせても明らかに尋常ではない。十分ほどそのまま待ち続けて、漸く出た受付にこれまでの事情を掻い摘んで話す。少々お待ち下さい。待つ。戻った。折り返しお掛けする形で宜しいでしょうか、ってそれが裏切られたからまたかけているんじゃと返す。また待つ。戻る。十二時半までに必ず折り返しお電話差し上げますと上の者が申しておりますので、と言う。十二時半て、このあとの十二時半かいと訊き返すと、はいと応える。……仕方ないから待つことにした。これでかかってこなかったら信用無くしますよ、と釘を差す。
 現在12時26分。電話はまだ鳴らない。

 現在12時34分。さっき、予定から一分ぱかり過ぎたところで電話がかかってきた。それによると、商品のストックが少なく確保に手間取ったため発送が遅れ、明日(正しくは今日)頃にこちらに届くように手配した、と言う。それはつまり、昨日の段階ではまだ到着時期が確認できなかったということらしい。あれだけ話題になった商品だから、ストックが少ないのも(初期ロットには不良が多い、という常識からすれば、直営に近い販売店なら販売数よりある程度余裕を持って商品を残しておくのが如才というものだとは思うが)一応は理解しているし、昨日の段階でそう伝えて貰えれば、ひとまずは納得したのだけれど、どうも彼等はそれすら怠ったらしい。以後そちらでは二度と商品を購入しません、と宣言して電話を切った。呆れた。

 最近職場に持っていく荷物が多い。実は仕事にとって本当に必要なものはないのだが、私は暇を自分の創作に利用しているため筆記用具や資料、それに職場のMacでもBGMとしてCDをかけるのが常となっており(当然、Macから離れて自分の作業をするときもBGMは必須)そのためのCDをケースに入れたまま大体最低二枚は携帯している。そこに更に現在進行形で読んでいる本が加わるため――あとで書評を書く、として保留した本はこれ以上嵩張るのを避けるため持ち込むことが出来ない。勢い、感想を書き上げるのは帰宅後から就寝までの数時間に行わないといけないのだが、どうもこの時間帯は疲れと食前食後の弛みがあって何をするにも集中力を欠く有様。まして今日は六時から九時半までアルバイト。そんなこんなで、芦辺拓『明清疾風録』の感想も井上夢人『もつれっぱなし』の感想も挙がっていない次第なのである。今夜はこれから来月発売予定のコミック・文庫から自分が買うものをピックアップし記録しておく作業がある。どんなに急いても一時間は費やしてしまうから、終るのは午前三時頃……もう他に何もできません。時間が欲しい、というより一日一時間程度の睡眠で耐えられる身体が欲しい。それだけで随分捗るような気がするんだが。


2000年3月8日(水)

 昨日分の日記で、今日PS2の交換品が届くとしたのは誤りでした。担当の方は12時を過ぎ日付が変わったという認識の元で「明日」と言い、そのあとにちゃんと「9日到着予定」と付け加えておりました。だから今日はまだ届いてませんしそれに合わせて対応ゲームを購入することもしていないので、性能その他に対する言及は今日もなし。楽しみは楽しみなんだが、「プレイステーション」の語をテレビなどから聴き取ってしまうと急に不愉快になる。

 午前中にひとつ仕事を片付けたあと、漸くMYSCONの企画用に持っていく交換本を購入しに行った。はじめから自分は新刊でと心に決めていたのだが(鉄人諸氏やブルドーザー諸氏のように古本渉猟を繰り返している訳でも、気に入っているからと言って「d」がつく程所持している訳でもないので。今から古書店で探し回って見付かる保証もないし)、近場で一番大きい書店でも私が候補に挙げたものは案外見付からず難渋する。この辺も最早過去の作家なのか、と慨嘆すること頻り。「新刊で見つける」というのが自分に強いた絶対の一線なので、取り敢えず店の中にあるもので一番強く、確実にお薦めできるもの(ただ、現物を見ると思考停止の代物に見えるかも知れない)を選んで買う。だが帰る道々、より面白い選択肢が存在したことに思い当たり、あんまり早々と決めてしまったことに後悔する。まあ、買った作品はもともと別の体裁で持っていて今日買った文庫版もいずれ購入するつもりだったし複数持っていても惜しくないぐらいの作品なので、今日思いついた別の選択肢も明日か明後日のうちに用意しておくことにした。んで、MYSCONで使わなかったら誰かに布教のためくれてやるとか。
 ……と書いてふと某氏のページを眺めると、どっちも比較的最近採り上げられていて驚く。


2000年3月9日(木)

 午前中に郵便でデータが届くからと言われて待っていたのに、届いたのは午後。そしてIllustratorファイルに貼り込まれた写真データは見本に拠れば「アタリ」(作成したレイアウトでどの様に見えるかを予め知るため、試験的に貼った画像や文字のこと)の筈なのだが、肝心の実データが郵便に添付されていなかった。現像写真もデータも。仕方なくアタリのデータを見栄えがするように調子を変え、それでひとまず通すことにした。

 夕飯はまたしてもお好み焼きともんじゃ。親父が近くに住む友人を呼んだ為、横が煩い。牛天も餅入もんじゃもチーズもんじゃも美味だがそれより最後に頼むお茶漬けが何より嬉しかったりする。はお。

 漸くPS2の交換品が配達されてきた。早速接続――せずに『金八先生』を見る。第一シリーズの『世情』をBGMにしたあの名場面を彷彿とさせる演出にちょっと苦笑したが、やっぱり脚本が凄い。あと三回でどう明確な区切りをつけてくれるか非常に楽しみ。ただ、回収されていない伏線はあと幾つかしかない筈なので、概ね展開の予測は出来そうなのだけど。ただ、やや納得できないのは、少年事件の捜査であそこまで警察が大袈裟に動くのかと言うこと、また単純な傷害事件であれだけの報道陣が詰めかけるか(あくまでも見た感じだが、ちょっと多すぎるような)ということ。まあ、このシリーズはある局面ではコメディでもあるので、多少大袈裟なのは愛敬と捉えたい。

 そしてやっとPS2を繋げる。PS2対応ソフトは未だ持っていないので(このソフトウェアの魅力の乏しさこそハード普及の最大のネックだと思うのだが……?)、PS対応ソフトで動作を確かめる。問題の音声部分は……相変わらず基本の音量が低すぎるように思うのだが取り敢えず正常に出ているので良しとする。因みにこの時動かしてみたのは『トゥルーラブストーリーファンディスク』……買ってから今までまともに遊んでいなかったという。大好きなシリーズのひとつなのだけれど、それ故に持っているだけでも満足するレベルに到達してしまっていたのだった。
 次いでDVDを再生してみる。『天地無用』シリーズ。元々音量の低いソフトらしいのだが、それにしたって普段テレビを見ているときの音量から20%ぐらい上げないと辛いというのも考えものだろう。あとあと他のソフトも見るつもりだが……このシリーズは迂闊に見始めるとBGV代わりにしてしまう癖があって、今も再生しっぱなしである。映画作品でも試してみたいのだけど、止められない。どうしよう。
 あと、一度シングルCDの再生もしてみたのだが、CDプレイヤーとしての使い勝手は極悪。再生順序の変更はおろか、リピートの設定が出来ない(出来るのだとすれば、それに対応するパネル等が発見しづらい)のはあんまりだ。リモコン操作じゃないから一回り終る毎にコントローラーを手に取って再生手続をしなければいけないのだから。所詮おまけの機能ではあるが、「対応」と打ったからにはそこまで気を配りなさいって。

 明日はかけずり廻らねばいけないような気配である。明後日の準備含め。


2000年3月10日(金)

 もっさりとゲームをしていたら午前二時を過ぎてしまったので、ちょっと駆け足で。

 朝、あるだけのデータをさっさと出力して用事に出掛けようと思っていたのだが、親父がデータを持ってくるのを待っていたら11時近くなる。バイクを些か乱暴に走らせた。バイト先の前を素通りして真っ先に上野の電気店を訪れる。今日発売予定のソフトを探すが一番待ち焦がれていたものが見付からないため、ソフトは後回しにして周辺機器売場へ向かう。以前調子を狂わせたままほったらかしていたデジカメだが、或いはちょっとした工夫で何とかなるかも知れないと思い、購入店であるここに助力を求めたのである。対応に出た店員はすぐに事情を呑みこみ、成功するか解らないがともかくメンテナンス担当の方に預けてくれると言う。連絡のために電話番号と氏名を伝票に記し写しを預かる。午後にメンテナンスの方に渡し状況が判明次第連絡して貰うことになった。次はソフト売場で目当てのものが入っているか否か訊ねると、……また延期である。仕方なく、もともとついでに買うつもりだった『ぱらパラ』(STUDIO B-ROOM・18禁)だけ購入してとんぼ返り、帰途に寄ったバイト先で待望の文庫化なった立花隆『臨死体験(上)(下)』(文春文庫)を買い、どうにか昼前に職場に戻る。……どっちにしても急ぎの仕事など来ちゃいないのだが。
 一時半頃さきの電気屋から連絡。やはり難しそうだ、という結論だったがもう少し試して欲しいと食い下がり、ひとまず夕方もう一回訪れるまで預かって貰った。それで駄目なら、潔く修理に廻すまでである。
 MYSCON下準備の東野圭吾『秘密』(文藝春秋)読了。ほぼ春都さんと同じタイミングで読み終えたんだろーか。物語として優れた作品だと思いながら酷く冷めた気分なのは、展開が一から十まで読めてしまった(特に主人公が最後に何をするかは最初から自明のように思っていた)こと、そして個人的には340頁ぐらいまで持続したあの自己嫌悪感の重みを最後まで保って欲しかった、という恨みを持ってしまったこと。ただ、そうすると非常に物語としての意味合いそのものが変わってしまうし、恐らく本来の意図からすればあれ以外の着地は有り得ない(と言い切れるからこそ、完璧に筋が読めてしまった訳だが)。これはこれでいいのだ、と或る意味で感嘆しながらもあまり響かなかった、というのが率直な感想。しかし人に薦めて惜しまない作品であることは間違いないだろう。そのまま井上夢人『オルファトグラム』にかかろうとするも、MYSCONの一人一冊お薦め本を読み直す方が先だと気づき慌てて引っ張り出す。この調子では絶対開会までには間に合いません。ああ。

 職場から自宅に戻り一旦荷物を空にして、再びバイクを駆って件の電気屋へ。万策尽きたようなのでデジカメはそのまま修理に廻して貰った。手数料はかかるだろうが午前中に御協力を賜ったのだからそのくらいは構うまい。明日は母親のカメラを借りることにした。そのまま秋葉原まで流れ、書泉ブックタワーでブリジット・オベール『闇が噛む』(ハヤカワ文庫HM)とMYSCON用に買ったお薦め本を更にもう一冊買う。自分が読むためと、「読んでいない気がする」とぬかす母親に突き付けるためである。我ながらしかし……

『ぱらパラ』を遊ぶ。コピープロテクトに神経質なまでの配慮が施してあり、CDケースの裏側にあるコード表がないと満足に遊べないようにし向けてある。作品自体はビジュアルノベルスタイルだが、毎日やたら同じ文章が続くのと文章全般に平板な印象が強く、基本的に「好感度稼ぎ」でしかないシステムと相俟って途中の弛緩が著しい。私のPCでは比較的スムーズに動作するため、メッセージスキップを多用することでそれなりに遊べるものの、二、三年ぐらい前のPCでは苦痛ばかり感じさせられるのではなかろうか。このソフトハウスの作品は一様に推奨スペックが高いことで有名だが、このスタイルの作品ならもっとプログラム的に軽く作った方がいいような気がする。

 駆け足と言いながら結局普段とあまり変わりない量になってしまう私って一体。


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