2001年5月上旬の日常

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2001年5月1日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day01

 うあー、遂に五月に突入してもた。長篇ほぼ手付かず。同人原稿……はぼつぼつと上がっているが、メインはやっぱり大いに途中。大丈夫か。ほんまに大丈夫なのか。
 GWの為に仕事は少なくほぼ開店休業状態。その合間を縫って作業を進めればいいものだが、そうも行かない事情もある……んだよ一応。

 本日のお買い物
1,高田裕三『3×3EYES(36)』(講談社・ヤングマガジンKC)
 ……と、あとは全部定期購読誌。いい加減幾つか切った方がいいような気もしてきたが。にしても、そろそろ終わってくれないだろうかこのシリーズ。前半10巻ぐらいの密度と質が保てていれば、20巻ぐらいで現在のエピソードに到達するか片がついてもおかしくないと思うのだけど。

 行き付けの某CD・DVDショップで先月中頃まで、プレゼントキャンペーンなるものを実施していた。買い物するたびにアンケート用紙のようなものを手渡され、必要事項を記してレジ付近にある応募箱に投じるのだけれど、肝心のプレゼントはA・B・Cの三賞に分かれ希望のものにチェックを入れる形式なのだが、これにダブルチャンスなるものがくっついていて、WOWOWのチューナーセットか衛星対応の携帯電話(詳細は忘れた)の二項目があり、更にそれぞれ「応募する」「説明が聞きたい」の二項目が設けられている。
 日々の買い物ぶりを御覧になれば解ることだが、私は一つの店でそれこそ狂ったように年がら年中買い物をする質である。そのためにこのプレゼントキャンペーンの紙を何度も何度も渡され、しまいには面倒臭くなっててきとーにあしらっていたものの、最終的に6回程度は応募した記憶がある。で、本来の賞品にはそれぞれ魅力を感じこそすれ、ダブルチャンスにはさして惹かれなかったから、その都度適当にチェックしていた。なに、どーせ当たらない、という心情である。途中からは、ダブルチャンスは得にチェックしなければいーんじゃないかと気づいてそこだけ空白で投函するようになったものの、結局WOWOWのチューナーセットに複数回、携帯電話に一・二回ほど応募したことになる。
 結論から言おう。先月末頃から今日までに、『WOWOWのチューナーセットに当選いたしました』という電話が、四回かかってきた。平日、休日、時と場所の如何を問わずに。最初の一回こそ、有り体の勧誘電話に較べればまだ話が解る雰囲気があったので、取り敢えず自分には不要だが知り合いで必要という方があれば譲る、という条件で書類だけ受けとる約束をした。だが、二回目の段階で不信感を抱き、三回目は日曜日の職場にかかり(確かに、日中の連絡先を記すよう書いてあったけどさ……)、今日は外出中の私のPHSにかかってきた。当然というか、声の印象はいずれも(深川が確認した限りでは)別人である。
 複数回応募したものを、住所の一致は考慮に容れず手当たり次第にかけているとしか思えない所業。正直、ダブルチャンスの当選確率は低くないだろうな、という予感ははなからあった。だが、そういう場合でもせめて条件の一致などは配慮して、一人に対して一回以上は連絡しない程度の分別はあるだろう、と高を括っていたのだけど、どうも世間には私の予想を上回る虚け者があったらしい。最初に電話してきた人物から送られてきた書類に、申込が遅れるときなどに連絡するための番号が記されていたので、そちらにまず電話をかけて「やめなさい」と忠告、続いてプレゼントキャンペーンを実施していた某CD・DVDショップにも連絡して事情を聞き、こーいう苦情があるということだけはきっちりと伝えておいた。
 結局のところ、プレゼントキャンペーンを仕切っているところとショップとは全く違う会社、仮に系列でも異なった段階に属しているらしい。故に、ショップに対して腹を立てても仕方がないのだけれど、こういうことがあれば必然的に腹を立てるのも、それで逃げるのも常連客だ、ということを考えればショップもキャンペーンの運営サイドももっと慎重になって然るべきじゃないのか。怒るより何より、そのてきとーさ加減に呆れた、というのが正直な感想なのだった。再度、『ダブルチャンスに当選いたしました』という電話があるか、同じ趣旨のプレゼントキャンペーンが行われても別に不思議に思わないけれど、そのあと何が起きても自分の首で責任取ろうね、と思うだけ。……実際問題として、深川の日常的な行動範囲内で一番在庫量の豊富なショップであるだけに、この程度のことで見放すのは勿体ない、というのもあるんだけど。ま、総体として三度までか、セオリー通りに。

 人材派遣会社のCMは当たり外れが大きい、というより狙いが微かでもずれるととんでもない結果に繋がっている、という気がする。藤原紀香の出演していた、「仕事がたくさん」はそもそも言語道断だったが、一期に複数のシチュエーションを投じている某社(○○ッフサー○○のことです念のため)は、特にこの当たり外れのばらつきが激しい。ゴルフ場でグリーンを人手で運び無理矢理ホールインワンに仕立てる、とか「ありがとし〜の〜ぶ〜」などは許容範囲だが、今期は他のものがちょっと辛い。一つずつ突っ込んでみると。
 野球場にて、キャッチャーがサインではなくサンマを焼いたりネコに餌をやったりしているのはそらピッチャーも腹が立つだろうが、憤って某社に電話しているピッチャーに「ボーク!」と指摘するならその前にキャッチャーを注意しろ審判。どっちかというとその方が問題があるだろう。……まあ、この程度は「シュール」のひとことで許容してもいいが。
 桃太郎からの引用。鬼ヶ島の手前で「いざ出陣」と意気込む桃太郎に対し、「きびだんごぐらいでやってられるかよ」とふてくされる犬、猿、雉。「何言ってるんだよみんな〜」と涙に暮れ、鬼にいたぶられながら某社に電話する桃太郎。「部下に恵まれなかったら○○ッフサー○○」と言うが、この場合怒って然るべきは犬・猿・雉のほうと違わないか。それ以上に、あなたは例えば「命綱無しでビルの窓掃除、報酬は饅頭一個」というところに働きに行くか。そしてそーいうところに人材を派遣するのか○○ッフサー○○。
 最後に、議論するまでもなく問題大ありなのは、戦場を舞台にしたもの。最前線で本営に連絡が取れなくなり孤立した兵士が某社に電話をかける、というものだけども……問題点を論うのも馬鹿馬鹿しい。戦場を扱うならもっと気遣いとセンスを見せろ。それが出来ないなら手を出すな。素人にどうこうできる世界じゃない。
 ……結論としては、斯様にセンスに当たり外れの大きい人材派遣会社って使えると思いますか、そして頼ろうと思えますか、というところか。どっちにしても、私には関係ないけどー♪


2001年5月2日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day02

 何の為に出勤したんだと思わなくもない。

 ここまで追い込まれると躁になるか鬱になるかどっちかしかないのだが、非常に幸いなことにここ暫くにないほど躁である。どんくらい躁かというと、昨日の日記の理解を助けるためにこんなページを探し出してリンクを貼ってみたり。単に意地悪くなっているだけとも言う。

 本日のお買い物
1,渡辺祥智『funfun工房(ファクトリー)(1)』(白泉社・花とゆめコミックス)
2,山田風太郎『人間臨終図巻III』(徳間文庫)

 表紙絵が可愛かったという理由で1を購入する。内容は……ちょっと絵柄が新しくなった竹本 泉。要は私好みだ。いいぞ何の意味もない辺りが。

 今手掛けている長篇が6月末頃までに脱稿せねばならず、作業手順の問題からほぼ同じ時期に新しい短篇、及び同人誌の共同執筆も完成に漕ぎ着けなければならない。そのあと、同人誌の編集とか挿し絵描きとか宣伝のためのHP作成とかまだ作業はあるものの、実質大きな山は7月前までに片付く……はずが、今日また別分野で持ち上がっていた話に関する詳細のメールを頂戴し、結局7月中ぐらいまで何かと慌ただしい日々が続きそうな予感がしてきた。全部望んで選んだことで、そういう意味では現状を愉しんでさえいるのだが、色んな意味で笑いが止まりませんはっはっは。現実になったら絶対邪魔だと思いつつ、分身が欲しいなどと月並みな妄想にふと耽ってみたりもして。
 などと虚けていないで、進めましょうねはいはい。


2001年5月3日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day03

 やることがやることが、と喚いているのは主にやもすると自分で予定の無茶さ加減を忘れそうになるからです。今後も時々似たよーなことを書くでしょうがせいぜい「あほだこいつー」と嘲笑ってやってください。

 毎日あれやこれやでゲームをやっている暇がない、かと思うと意外にもこの繁忙状態が却って幸いして、生まれて初めて「一日一時間」の理想的な時間割で遊んでいたりするのだった。一時間以上は無意識がセーブを掛ける。しかしこのペースでは一向に進みません『夜が来る! -Square of the MOON-』(Alice Soft・Windows95対応ゲーム・18禁)。攻略ページを参照して見たところ、漸くゲーム期間の半分ちょい? まだ一回もクリアしてません。出来はいいんだけど、長い……。キャラクター攻略ものとしては、どうにも長すぎます。

 本日のお買い物
1,井上雅彦・編『異形ミュージアム(2) 物語の魔の物語 メタ怪談傑作選』(徳間文庫)
 数ヶ月前に最寄り駅の前にあった書店が閉店、次に何が入るのかと思いきや別の経営母体による新しい書店だった。昼食を外で採るついでに、帰途立ち寄ってみる。一階が雑誌・新刊書籍類、二階が文庫・新書・コミック・ゲーム攻略本類という構成で、総面積はさほどではないが適当な在庫と品揃えと見え、印象は悪くない。少なくともこないだ改装したあそこに較べれば格段に解っている。で、例によって元バイト先で入荷が先になりそうだった1が平台にあったので、購入してみる。……店舗面積に対して、店員が少ないかも知れない。ま、どーせ私自身は頻繁に利用しないだろうからいいけどね。

 さて作業を始めるか、とここ数日愛聴していたストリーミングラジオに繋ごうとすると、応答がない。どうやら、相手方サーバの不調でアクセスが不可能になっているらしい。仕方なく手持ちのMP3を淡々と流し続けるのであった……はやく恢復してくれー。


2001年5月4日(金)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day04

 その後、ストリーミング・ラジオはもう一度ダウンしたものの、概ね平常を取り戻し、無事深川の耳を愉しませてくれたのであっためでたしめでたし。
 だが気になるのは、オリジナル・ミックス機能を利用してパット・メセニーとそれに近い傾向の楽曲を中心に指定すると、肝心のメセニーよりもラリー・カールトンにフォープレイ(でも何故かリー・リトナーはかかりづらい)、ジョージ・ベンソンあたりが頻繁に掛かり、メセニー自体は何故かグループ作品としては一番マニアックな『Quartet』から「Oceania」が主に、時々「Montevideo」がかかるという不思議なローテーションが続く。お陰でたまーに「Last Train Home」とか「Are You Going With Me?」といったメジャー中のメジャー曲がかかると妙に嬉しい、という状態になる。……新鮮でいいのか?

 某朝の番組の血液型占いで「買い物に出かけると発見があるかも」とか何とか言っていたので、折角天気もいいことだから、と午前中軽く外出することにした……しかしまあ、目的地は相変わらずである。
 時間もあまりないことだし、行く場所ははなから一箇所・二箇所に絞り、基本はひたすらストリーミング・ラジオで発見した私好みのアーティストたちのCDを探し求めることである。先日、取り敢えず日本盤が出ている確率が低いことだけは確認したので、今回はジャンルが絞りにくいミュージシャンについて、探す範囲を若干拡張してチェックしてみることにした。例えば、Jesse CookやCraig Chaquicoは「ジャズ」よりも「フュージョン」、或いは「New Age」という得体の知れないカテゴリにあったりしまいか。他のアーティストたちも、ジャズの棚に新設された「Acid Jazz」なんて未整理の区画に組み入れられて、埋没してはいないか。
 そうした具合に探してみると、やはり私がチェックしたアーティストは大半、日本ではマイナーなアーティストばかりらしい、と悟った。ボニー・ジェームスにグローバー・ワシントン・Jr.なんてのはこっちが知らなかっただけだが、大抵のミュージシャンは棚に枠を設けて貰えないどころか、埋没していたりあちこちのジャンルに散っていたりするのだった。特に、先に挙げたJesse CookとCraig Chaquicoなどは「New Age」「Jazz」「Fusion」とあちこちで発見された。中で唯一、Craig Chaquico――クレイグ・チャキーコだけは幾つかの日本盤を発見し、目当てのものこそ国内盤未発売であるものの一聴の価値有りと判断したアルバムも発見したので、それとDVDを一枚購入して帰還する。
 というわけで本日のお買い物
1,Craig Chaquico『Four Corners』(東芝EMIHIGHER OCTAVE MUSIC・CD)
2,『M:i-2 [MISSION IMPOSSIBLE 2]』(CIC Victor Video・DVD Video)

 ……長年の刷り込み、ってやつですね。結局買っちゃったよ2。GW中価格引き下げ、という惹句にまんまと騙された、という感もある。面倒なので2に関連するリンクは探しませんでした。その気になったら後日追加します。

  ……危うく忘れるところでしたが、本日昼間、当サイトのカウンターが30000を越えました。有り難うございます。50000ヒットまで特に何もしない、と以前決意したため、今日も明日も淡々と日記・リンク中心に更新し続けるだけですが、今後も変わらぬ御愛顧を賜りたく。


2001年5月5日(土)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day05

 週末恒例映画鑑賞、GWだろうと週末に行くのであった。『ザ・メキシカン』とどちらにしようかと迷ったが、こちらを選択する。
ショコラ』(アスミックエース松竹配給):フランスのとある小さな村。そこはレノ伯爵家が代々村長を勤め、カトリックの厳密な戒律と因習によって閉塞的な空気に包まれていた。1958年の北風が吹きすさぶ頃、この村に一組の母娘がやって来た。断食期直前の聖餐が行われている最中、家主のアルマンド・ヴォワザン(ジュディ・デンチ)の元を訪れて、その母親――ヴィアンヌ・ロシェ(ジュリエット・ビノシュ)は菓子屋の空き店舗を貸して欲しい、と言った。
 村人の好奇の眼差しなどお構いなしに、ヴィアンヌのチョコレート・カフェは経営を始めた。断食期、という悪条件ながら、店頭から漂う甘い芳香が少しずつ村人を誘惑する。ヴィアンヌは1917年の戦争で夫を失った女性に恋心を抱きながらも戒律故に打ち明けられずにいた男性に、プレゼントを贈ることを提案し、また自身の不道徳な趣味・嗜好から娘のカロリーヌ(キャリー・アン・モス)に疎んじられ、孫に会わせて貰えなかったアルマンドを手引きし、そして夫に虐げられて奇行に走り村人からも白眼視されていたジョゼフィーヌ(レナ・オリン)を癒し、遂に家出を決意させる。
 そうしてじわじわと人々の心を溶かしていくヴィアンヌだったが、厳格なレノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)は因習を突き崩すような彼女の言動に快い感情を持たず、ヴィアンヌが未婚で娘を持ったことなどを仄めかし、彼女を孤立させようとする。だが、ジョゼフィーヌを匿ったかどでヴィアンヌを追求しようとして彼女の店を訪れて、逆にジョゼフィーヌが夫に虐待されていたとを初めて知り、自らの正当性を立証するためにもジョゼフィーヌの夫・セルジュ(ピーター・ストーメア)を更正させねばならなくなった。しかしヴィアンヌの元で菓子職人としての修養を積みながら己を見つめ直し強さを得たジョゼフィーヌは、紳士的に訪れたセルジュを最初はやんわりと、そして再び暴力的に迫ってきたセルジュを今度は強硬に拒絶した。
 村が少しずつ変わっていく。次第に苛立ちを隠せなくなるレノ伯爵。だが、そこに北風はまた新しい事件を運び込む――船で流浪するジプシーたちを。
 何が驚いたって、受付前にずらっと続いた鑑賞券を購入する人々の列と、その女性率の異様な高さだ。プログラムもちょっと高価だが(700円)良くデザインされていて甘そうです。そしてグッズ売場では有り体のキーホルダーや原作本・サントラの類は置かず、劇中に登場したものと同じチョコレートを扱っていた。内容よりもこの珍しい空気に取り敢えず圧倒される。
 映画そのものは美しい小村の風景、端正な音楽、定番ながらも着実で不思議な説得力のある物語である。故意の人死にと全くの悪人を出さない、下手をすれば「チョコレートより甘い」と評されそうな道具立てだが、さにあらん、苦みを伴った甘みのある作品と言った方が相応しい。全編に細やかなユーモアを配し、楽しげな空気を装いながらも奥底に諦観と悲しみを湛えているのである。そうした感情が当初てんでばらばらになっているものを、作品を飾るチョコレート料理の数々が主人公・ヴィアンヌもろとも導き、何処か御都合主義な結末を何故か頷かせて、単純なハッピーエンドには有り得ない深い余韻を残す。結局のところ、徹頭徹尾「ショコラ」の魔力が支配した物語であるという点、これほど題名に偽りのない作品もまた珍しい。アカデミー賞こそ逃したが、ああした大きな賞に輝くよりは語り継がれて残って欲しい秀作だと感じた。私のように、あまりにも人死にが繰り返される映画ばかり見て些か疲れたときに見ると、効果絶大であろう。何たって、頭脳疲労に最適なのは糖分なのだから。
 ところで、売店のチョコレートに群がった方々、見てばっかりいないで買いましょうね。

 今日も前売り鑑賞券の一つぐらい仕入れておこうと、いつにも増して予告編を真面目に観ていたのだけれど、候補に挙げていた『ガールファイト』は予告編から趣旨が汲みにくかったので一時延期。……でも、もう近々公開なのだな。どうしようか。
 因みに現在までに前売り券を入手、必ず行くことに決めているのが『A. I.』と『千と千尋の神隠し』の二本のみ。だが観たいのは上記の『ザ・メキシカン』『ガールファイト』の他にも『JSA』、『ポエトリー、セックス』、『誘拐犯』、『幼なじみ』――あまりの量に眩暈がしてきたのでここらで止める。しかし、何故か一番楽しみにしているのは日本映画、それも男子によるシンクロナイズドスイミングをテーマにした『ウォーターボーイズ』だったりして。だって楽しそうなんだもん。


2001年5月6日(日)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day06

 根が怠け者な所為もあるのだろうが、凡そ「充実した一日」という言葉に縁遠い質だと自分で思う。創作に従事している日は買い物以外に外出することもなく、読書が捗った日もまた同様で他に何もしていないことが大抵。映画など見に行った日には、興奮さめやらぬまま更に自宅に溜まったDVDを鑑賞してしまったりして、結果日記に書き留めるのもその周辺の事柄だけ、という結果になる。――まあ、だからこそ書くときに過剰に内容が飛び散らなくていい、ということも考えられるのだけれど。
 そういう意味で、今日ほど日記の書きづらい一日も稀だと思う――つまり、ここ暫くなかったぐらいに充実していたのである。

 まず昨晩。同人誌長篇の設定用イラストを描きつつ(まだやっとんのか)、貰い物の『ミッション・トゥ・マーズ』(ブエナビスタホームエンタテインメント・DVD Video)を鑑賞。作業しながら横目で観ていたため、ちょこちょこと理解に切れ目があるため細かな粗筋は省きます。2020年のアメリカ、初の有人火星調査が行われている中、最初に現地を調査していたクルーが何らかのトラブルに遭遇し連絡を絶つ。一人の生存者も絶望視される中、救助と実態調査のために第二陣が急遽送り込まれる、という物語。
 近未来像の描写、特に前半の火星調査団と地球に残ったスタッフとの交流や、第二陣が火星に到達するまでの生活と奮闘ぶりの描き方が出色。但し、結末が近付くにつれどんどんトンデモっぽいSF的世界観が顕著になって、感動よりは呆然とする、という感覚に見舞われた。荒廃した火星世界の描写や終盤に登場する超科学的素材の表現は面白いのだけれど、筋書きはちょっと着地を間違えたかな、という印象。意外性があればそれでも秀作と呼んだのだけれど、この決着では全体的に点数を引き下げざるを得ない。火星着陸あたりまでを堪能し、あとは付け合わせと思って見た方が賢明かも知れないです。悪くはないがお薦めする気にはあまりなれない、というタイプの作品。

 その後いつもどおり三時頃に就寝するも、起床したのは平日よりも更に早い時刻。自分でも訝しがりながら、二度寝するには半端な時刻を読書でやり過ごす。ある程度まで読み終えていたとは言え、それから二時間足らずの間に二冊読み終えたのは我ながらなかなかの勢い。
 山田風太郎『人間臨終図巻III』(徳間文庫)、奇才の奇書、三ヶ月連続刊行最終巻も発売からすぐさま読み終える。一巻は早過ぎる死、二巻は壮年の死とくれば、三巻は自ずと長寿者たちの死となる。結局幾つであろうと死は平等に訪れるのだけれど、こと三巻については各人の死に対する態度が非常に明確で面白い。ひたすら生に執着する人々のバイタリティも興味深いが、「散り様」と形容するに相応しい大往生にやはり憧れてしまうのだった。早過ぎるも遅すぎるもなく、或いはどちらかしかありえない出来事なだけに、一種予行練習のようなつもりで読むのもまた一興。通読する価値ある名著である。
 田中芳樹『白い迷宮』(講談社ノベルス)、私が理屈抜きで愛読する数少ないシリーズの一つ「来夢と耕平」、復刻分最後の一冊。前二作が三度以上読んでいるのに対して、この第三作は積読が非常識な数に上りつつある最中の刊行だったため、筋書きをよく記憶していなかった。ためにほぼ初読と同等の気分で読めた。田中芳樹氏による幻想物語は、いわば旧来の「ファンタジー」に於けるガジェットを彼なりの哲学の枠に収めつつ新しい解釈で提示する点が特徴なのだけれど、それ故に物語全体としての整合性が屡々犠牲になるのが弱点でもある。その点でシリーズ前二作と同様の欠点を得た最新作だが、反面やや古めかしい価値観を持つ耕平と、幼さに似ない気丈さを備えた来夢の描写が安定していて、実の処それだけでファンとしては嬉しかったりする。首魁の倒し方が、適当ではあっても凡庸で全般にカタストロフィに欠くのもちょっと困りものなのだけど、そこに至る過程は常にしっかりしているし、氏の他の作品に較べて説教臭さが緩い分気楽に読める、安定した質のエンタテインメントと言えるだろう。

 で、二冊読み終えてもまだ、日曜日に両親が起床する時刻にならず、作業を再開しながらまたしても横目でDVD鑑賞。今度は宮崎駿監督作品、『ルパンIII世 カリオストロの城』(ブエナビスタホームエンタテインメント・DVD Video)である。例によって横目なのでこちらも粗筋省略。仕事の最中に掴まされた偽札を手繰った結果、カリオストロ公国の長たる一族に伝わる指輪と、それを継承した姫を巡る陰謀に対峙することとなったルパンIII世と仲間たちのアクション活劇。……と私が今更説明しなくても御存知の向きは多いだろうが、生憎というか迂闊というか私はこれが初見である。真っ当なルパンIII世ファンからするとあまりにらしからぬレギュラー陣の描写が腹立たしいようだが、オリジナルに拘りを全く持たない私には充分楽しかった。最初から最後まで冒険活劇のお約束がてんこもりだが、だからこそ堅苦しさ無しにシンプルに堪能できていい。なるほど、間違いなく宮崎駿作品なのである。ことルパンの描写にはのちの『紅の豚』に通じるものが散見されるのも面白い。クラリスに対したときの臭さは兎も角、隠密行動の際のルパンの言動はそのままポルコ・ロッソの原型と捉えてもいいんじゃないかと思う。だが『紅の豚』のDVD化はどうやら来年以降なのがちょっと悔しい。

 その傍らでじわじわと同人誌長篇の設定イラスト執筆。先日伊東屋で購入したインクが、速乾性が過ぎてペン先に固まりやすく、お陰で箱に謳っている「のびがよ」いという性能は殆ど確認できない。試行錯誤の結果、ちょっと前まで使用していたインクに戻してしまった。しかしそうしてインクとの格闘に集中していたために、思いがけず作業はそこそこに捗る。完了にこそ至らないまでも、数日中に終えられる目途は立った。

 昼食・昼寝を挟んで夕方から、また作業の傍らで未消化のDVDを鑑賞する。一番最近購入した『M:i-2 [MISSION IMPOSSIBLE 2]』(CIC Victor Video・DVD Video)である。購入した当日に冒頭だけを軽く摘んでいたので、その続きから。例によって横目、しかもなかなかに事情が入り組んでいるため全体像は把握できていない。要は、人工ウイルス『キメラ』とその唯一の解毒剤を巡る陰謀を阻止する、という筋書き。そこへ陰謀の首領格であり裏切り者のエージェントとその元恋人で腕利きの盗賊、そしてトム・クルーズ演じる凄腕エージェントとの三角関係が形成され絡み、事態の難しさが増す、というもの。しかし本編はそうした状況はいわば引き立て役、メインはあくまでミッション遂行に伴う危険すれすれのスタントと、ジョン・ウー監督独特の美学と迫力に彩られたアクションであり、だからこそ思わず手を止めて見入ってしまうのである。……駄目じゃん俺。
 しかし、前に『ブロークン・アロー』を観たときにも感じたことだが、兎に角この監督のアクション描写は美しい、のひとことに尽きる。凄惨、或いはただ派手なだけになりがちなアクションを、スローモーションや独特の変幻自在なカメラワークによって哲学さえ感じられるものに仕上げてしまっている。ミル姉@笑う犬の冒険が指摘した「二丁拳銃」「鳩」もきちんと挿入されており、その徹底ぶりにはひたすら感嘆する。何より本編は、監督は許より役者も映画そのものを愉しんでいるのが窺われて、それが全体の不思議な清々しさに繋がっているのだ。シナリオ的、ロケーション的に色々嫌味は聞かれたが、それでも面白いことに間違いはない。
 ところで、私はまだウー監督の映画をこれ含めて二本しか見ていないのだけれど、どちらも冒頭でいきなり飛行機が堕とされる点で共通している……恨みでもあるんだろうか。

 その後、入浴中、湯船に浸かりつつ構想をこねくり回しているうちに、とうとう降ってきた――長篇の基本構想が。いや、根本のテーマに誰が語り手で、どういう風に物語を推移させるか、という点は早くから固まっていたのだが、肝心のミステリーとして魅せる部分がいまいち纏まらずに、そのために筆が進まなかったのだけれど、ここに来てとうとう堰を切ったように物語が繋がり始めた。
 無論、実際書いてみなくては本当に繋がるのか解らないし、書いている途中で深刻な軌道修正を迫られる危険も依然低くない。それでも、ここがしっかりしていればあとはどうとでもなる、という発想を得られただけでも書き易さは違う。取り敢えず、出来れば着想仕立ての暖かいままで書き留めておきたい、と感じたラストシーンを原稿の末尾に置く。一時間足らずで五枚ほど書いて、そこで日記がまだなのに気づいて――しかも今日はやたら書くことがあるのだ、と思い返して、一旦ワープロソフトを落としこれをしたためている次第。
 まだ詰めなければならない部分もあるが、漸くいま自分が書きたい物語の全体像が見えたことで、これまでも消えなかった楽観がいよいよ強まった感がある。願わくば、このテンションが執筆中ずっと続けばいいのだけれど。

 ……このハイテンションが災いしたのかはたまたこれこそテンション向上の元凶なのか、昨日あたりから首筋に感じていた熱が高まり、どうやら風邪の初期症状を呈しつつある。本当はもーちょっと作業を進めたい気分ではあるが、ぼちぼち大事を取って休むことにします。――どっちにしても先は長く、けれど締切も少しずつ目前に迫りつつあるのだった。ペースを崩さず行きたいものである。


2001年5月7日(月)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day07

 暇を通り越して何も無し。

  昨日のハイテンションから一夜明けて。依然として高出力を確保しているものの、案の定風邪を引きつつあったようでやや怠い。――但しこれが薬の副作用によるものなのか、薬が効いているからこの程度で済んでいるのかは不明。

 親父から劇場鑑賞券を数枚確保。これで今月中はプログラム以外の出費なしで週末の映画鑑賞が出来るぞくふふ。

 本日のお買い物
1,森見明日『タイムコード プラス』(大都社・Daito Comics)
2,『マジキュー・プレミアム』(enterbrain・MAGICAL CUTE)
3,ジョアン・ハリス『ショコラ』(角川書店・book plus)
4,Toninho Horta『Moonstone』(VERVE FORECAST・CD)
5,Jaco Pastorius『Live In New York City Volume One』(Big World・CD)
6,John Polito『crossing the line』(Seventh Wave/Green Note・CD)

 1はどこかで某氏が言及していたのが気になったので、ふと予定表で見つけた新刊を購入してみたのであった。いわゆるエッチマンガなんだが、全体的に必然性に欠けるのがちょっと。初期作品集だという所為もあるのだろうけれど。ところで、設定的に危険なエピソード多くないですか。
 2は、美少女ゲーム業界のクリエイターたちがゲームとは別の創作を行う、というテーマで作成された、ムックのような体裁の新雑誌。発売からちょっと時間が経っているのだが、俄に必要が生じそうだったので慌てて購入。内容は……うん、まあ、そんな感じ。
 3は言うまでもなく一昨日見た映画の原作小説。満足のいく出来であったし、この「book plus」シリーズは海外小説を1000円程度の廉価で提供していることもあって前々から興味を抱いていたから、折角と思い購入してみた。……毎度ながらいつ読むのかは謎。
 さて、本日の目玉は4〜6である。久々にCD NOWのアメリカ本国サイトに注文した、輸入物。4は数年前に矢野顕子のレコーディング及びツアーにも参加した経歴を持つギタリスト・トニーニョ・オルタの四枚目のアルバムに当たる。表題曲がパット・メセニーとの競演作なのである。あるところのインタビューでは、このギタリストとの共演がメセニーに与えた影響は小さくなく、オルタ自身それを自覚しているというくらいで、実際音楽の風合いは丁度Geffen初期のメセニー・グループのイメージと重なる。故に、メセニー目当てで買ったもののそれを差し引いても私好みのアルバムなのでした。ゲスト・ミュージシャンにはマーク・イーガン(b)、ダニー・ゴットリーブ(ds)という初期メセニー・グループのメンバーに中期のナナ・バスコンセラス(per)、そしてイーガン以降現在までグループのベースを担当し続けるスティーヴ・ロドビーの名前も見受けられたりして。
 5は、ジャコ晩年のライブ演奏を網羅したシリーズの一枚目。三枚目のアルバム『Holiday for Pans』がレコード会社側に拒まれてから以降、ジャコのドラッグ浸りは深刻化の一途を辿り最晩年の演奏は惨憺たるものが多かったというが、ここに収められているのは無論コンディションの良かったときの演奏。収録年月日など詳細なデータが記載されていないため、どういう順序で収録されているのか不明なのだが、取り敢えずこの第一作に収められた演奏についてのみ言えば、最盛期と較べても遜色がない。のちにギター・マンとまで呼ばれるハイラム・ブロック若かりし頃とのトリオによる『Teen Town』など、前半の幾分穏やかなタッチから次第次第に白熱し、終盤にはハイラムを後方に押しやって圧倒的なソロを聴かせる。いやー、やっぱり凄いわ。
 そして6である。今年発売のこれがデビュー作という、ピアニスト・ジョン・ポリト。ストリーミングラジオを聴き始めたその翌日に巡り逢って、殆ど衝動的に注文したのだけれど、正に拾い物でした。ラジオで聴いた曲自体ヴァイオリンを前に出したものだったが、全般に演奏よりも曲の性質を優先している風で、技巧的なイメージはなく曲そのものの完成度が高い。幾分厚みに欠く嫌いはあるが、しかし全体としては大満足の仕上がり。今後も追い掛けてみたい……がどうしたらいいんだ。国内盤が発売される気配は微塵も感じられないし(そもそもこのレーベルからはポリト以外の作品が出ていないようですらある……)、アーティスト自身のサイトも発見できず、どうやって情報を確保すりゃいいのだ。しかも毎回輸入頼りは、ちょっと、しんどいぞ。


2001年5月8日(火)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day08

 作業中。ペン入れペン入れ。……恥ずかしながら私、やっとペン入れに慣れたようです。10年近く使ってきて、やっとだぜやっと。ここに来てさくさくと進み、調子に乗って下書きを一枚増やしてしまう……小説は?

 本日のお買い物
1,渡瀬章一郎『パラサイトムーン 風見鳥の巣』(メディアワークス・電撃文庫)
2,山田風太郎『山田風太郎ミステリー傑作選3 夜よりほかに聴くものもなし』(光文社文庫)

 1ははぎやまさかげ氏のイラスト目当てかも知れません。しかし電撃文庫は他に二冊、光文社文庫は辻真先氏の書き下ろし新刊が欲しかったのだがまだ入荷していなかったのでした。……そう言えば、そろそろ講談社ノベルスですね。私は、赤江瀑氏の短篇集が恐いです。そう饅頭のように。

 作業の合間を縫いつつ一時間ずつゲームを進める。期間が長すぎると言いつつ、漸く『夜が来る! -square of the MOON-』(Alice Soft・Windows95対応ゲーム・18禁)も一回りめの終わりが近付いてきた。ので、ここらで一気に終わらせてしまおうと、帰宅後少し集中的に遊んでいたら、……凍った。最近発生していなかったので忘れていたが、私のパソコンとアリスソフトの作品はあまり相性が宜しくないようで、時々深刻なフリーズに陥るのである。天罰覿面、反省してそれから暫く作業を続けたが、なんか耐えられなくなってきたのでこの日記を書き終えたらちょっとゲームに戻ります。……でもまたすぐにフリーズされたら悔しいので、別のキャラクター攻略準備のために最初からやり直したセーブデータを別途作ろう。うん、そうしよう。


2001年5月9日(水)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day09

 本日のお買い物
1,辻 真先『超特急燕号誘拐事件』(光文社文庫)
 鉄分補給(ローカルネタ)。

『夜が来る! -square of the MOON-』(Alice Soft・Windows95対応ゲーム・18禁)やぁぁぁぁぁっと一回り終了。アリスソフトは元々プレイヤーの便宜を図ることに優れているが、この作品に於いても、一度結末まで見届けるとそれ以降はその時点でのキャラクターの成長を通常のセーブデータとは別に保管することが出来、ゲームを最初からスタートするときにその記録を読み込むことが出来るのだ。一方、毎週末の訓練(つまりは経験値稼ぎ)のフィールドの難易度はそのまま持ち越されるため、RPG戦闘の醍醐味もキャラクター育成の楽しみも損なわれない。だから一回りしたあとの方が展開がスムーズになるのだけれど、お陰ですっかり止まらなくなっております。……取り敢えず、もう一人ぐらいはさっさと攻略しておくか。

「これで駄目なら家にいろ」
 男の私が見ても説得力のあるCMだが、お願いだから映画館で掛けるのはやめてくれ。所在がなくなる。


2001年5月10日(木)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~tuckf/Diary/20010501~.htm#Day10

 別段騒ぎもしませんでしたが、先日女子短大生が刺殺された現場は私の生活圏内でした。事件の翌日、その事実をすっっっっかり失念した私は凶器の発見された公園をちんたら自転車で走り抜けたりしていました。途中でブルゾン姿の中年男性の集団を見かけ「真っ昼間から何をしているやら」と感想を抱いた直後にその事実に思い至って、内心肝を冷やしたりしました。余談ですが、私服警官で背広を着て捜査している人は結構稀らしいです。別件でお会いした捜査中の刑事さんも、ラフなブルゾンに重そうな左脇を垂らして、正直チンピラみたいな雰囲気がありました。
 ちらほらと洩れている(というより、今回警察は非常に巧妙に情報操作を行っていたと見えます)情報などから推しても犯人逮捕はそう遠い話ではないと感じていましたし、実際掴まったことに何よりも安心しています。ですが、それを抜きにした場合、私にとって一番喜ばしいのは、浅草警察署の前に詰めかけた報道陣がこれであと数日中に消えることだったりします。
 この警察署、私の職場と元バイト先の丁度中間点にあり、暇があると自転車で行き来している正しく生活道路なのです。普段は事件現場同様人通りの少ないところなのですが、ここ数日は警察署の前には常にどこかしらのテレビ局のクルーが機材を並べて佇み、そして一帯の道路にはマスコミ各社が手配していると思しい黒塗りのハイヤーがあちらにもこちらにも車輪を停めている。テレビで見ている分には解りにくいでしょうが、あの近辺の道路は狭いです。対向一車線ですが駐車車両が左右にあると擦れ違うのも大変という構造です。どうぞ思い浮かべてみてください、そんな狭い道の左右にずらーっと並ぶ黒塗りハイヤーの姿を。車は無論、狭い歩道からはみ出す自転車にとっても非常に邪魔です。もしあと一日捜査が長引いて、まだあの一帯をハイヤーに埋め尽くされていたら、私はバイクに跨って、ハイヤーの脇腹に愛用の靴の硬ーい踵を突き立てつつあの道を走り抜けていたことでしょう。そういう意味で、私にとっても彼らにとってもこの早期解決は幸運であったと言って宜しいのではないか、と思います。
 ……要するに、近辺の交通整理ぐらいしろよ浅草警察、という話です。ついでに言うと、容疑者護送中の車をヘリコプターから空撮している場面を御覧になった方もあるでしょうが、そのとき通用口の向かいに映っていた白い建物は私の通った小学校だったりします。――これもまた、あの近辺に群がったマスコミに不快感を覚えていた理由の一つ。

 本日のお買い物
1,赤江 瀑『虚空のランチ』
2,浦賀和宏『眠りの牢獄』
3,蘇部健一『動かぬ証拠』
4,森 博嗣『恋恋蓮歩の演習』(以上、講談社ノベルス)
5,柴田よしき『ラスト・レース 1986冬物語』
6,真保裕一『トライアル』(以上、文春文庫)
7,高畑京一郎『Hyper Hybrid Organization 01-01 運命の日』(メディアワークス・電撃文庫)

 そしてこれは珍しい貰い物
8,大江健三郎『取り替え子 チェンジリング』(講談社)
 色々と語ることはあるが取り敢えず省く。大江健三郎の作品自体は、ノーベル賞受賞当時に二・三冊ほど読んでいますが好みです、念のため。

 日頃いちゃもんばかりつけていますが、今日の『アンビリーバボー』は久々に理想的な作りでした。解釈するべきところは解釈し、その必要のないところでは暈かす。何より、定番である「感動のアンビリーバボー」が久々に純然たる“奇跡”のお話であったこと。――まあいずれにしても、この番組は自力の取材よりも既に素材として仕上がった物を番組なりの枠に収めて放映するのが一番無理がない、と感じた次第。


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