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『下級生2』プレイ日記

下級生2
elf / 2004年08月27日発売 / Windows98・Me・2000・XP対応ゲーム / 18禁 [amazon購入ページ]

[ゲーム概要]
 1996年にPC98シリーズ対応ソフトとして発表、同社の大ヒット作『同級生』のシステムを引き継ぎながら、一年という長い期間を利用してより真に迫った恋愛模様を描いた作品『下級生』。それから8年を経て、久々に上梓された第二作。門井亜矢氏による原画とシステムの基本設計を維持しつつ舞台とキャラクターを一新し、面目を新たにしている。
 頼津町の叔父が経営する工場跡で厄介になり、小さい頃から今までずっと暮らしてきた主人公。藤見たまきたち幼馴染みと続いてきたが、次の春が訪れるまでには新たな身の振り方を考えなきゃならない。一年後、自分はいったいどこで何をしているのだろうか? そうして訪れた幾つかの出会いが、主人公の運命を変えていく……

2004/08/28
 早速はじめました。早速……メモを取り始めました。うわあ、俺、こんなしちめんどくさいシステムでも遊んでたんだなあ、などと思いつつ。
 前作と比べると少々牽引力不足という気がする。前作はプロローグ的な箇所が終わったところで謎の少女が出現、主人公の周囲をくるくると巡りつつ話を引っかき回し、一方で他のキャラにもさまざまな展開がほぼ自動的に発生していたのですが、今回そういう“引き”がない。大半のイベントを自力で発掘しなければいけない、というのは長期間にわたって楽しむには悪くない構成ですが、遊ぶ時間があまり取れない状況だとけっこう苛立ちます。キャラクターそれぞれの出没しやすい場所と、態度の変化が見えてこない今のところは、そういうイベント探し自体に魅力を見出しているのみで、キャラクターについてはあんまり感じるところなし。それにしても幼馴染みの女の子にあまり惹かれるところがないのは否定出来ません、好みの問題を差し引いても。
 しかし、町名は「頼津」だし女の子のひとりは「黒猫荘」に住んでるし雑貨店は「ストロベリイ・フィールズ」だしバーの名前は「ベル・エキップ」だし……なんか、他人のような気がしないぞ、この設定作った奴。
2004/09/01
 開始から六日。未だひとりとして攻略終了せず。既に最初からはじめること三度目に達しているせいなのですが。
 このゲームシステムの秀逸である点は、期間が長いため、後半にもなるとメインで攻略している女の子に対して本当に情が湧いてしまうこと。が、それ故に、他のキャラクターのイベントも回収するために同時攻略する、なんてことをやっていると妙に胸が痛み、結局終盤はひとりに照準を合わせて進めたくなってしまう――結果、後半になればなるほどゲームとしても物語としても間延びした印象を受けてしまう、という実に難しい状況が生じる。
 で、最初は“ノラ猫のような女の子”こと堀出実果から攻略……しようかと思ったのですが、途中、あんまりイベントが起きないのでいったん放棄。序盤だけは何人かのキャラクターを同時に進めた方がまだ飽きない、と思って最初から仕切り直し、今度はパッケージにも登場する“大きなリボンの女の子”こと白井夕瑠を中心に何人かを同時に進めてみた。
 ――が、上にも書いたように、いつの間にか愛着が湧いてきてしまうのが本編の困ったところ。だんだん他のキャラクターにも気を配っているのが申し訳なくなってきて、ひととおり逢うことはしてもデートだイベント発生だというのは避けるようにしていくと、次第に夕瑠単体のイベントも減り、他のキャラクターについても新たな展開が見込めなくなる。結果、12月ぐらいにはかなり疲れ果ててくるのです。
 そしてもういちど最初から始めて、それを並行して進めることに。別のデータで愛着を持ってしまったせいでどーも気がリボンのほうに行ってしまいますが、割り切ってひとまずは、未だにヒューマンネイチャーのヒントで登場したことのない理工系少女平沢博子と、外見内面共にどう見繕っても中学生だけど教育実習生として登場する沢村香月のふたり中心で進めているところ。
 その三回のプレイで常になるべく逢うようにし向けているのがこの沢村香月だったりします。キャラクター的にもツボなのは言うまでもないことですが(ないのかよ)、私ゃ昔からこの娘の声を当てている声優のかたに弱いのです。
 あまりに厄介なため既に攻略サイトを参考にしておりますが、検証するべき項目が多いためどこも大変な苦労をしている模様で、必ずしも欲しい情報が得られないのが却って楽しい。既にほぼ全キャラの情報を自信ありげに掲載しているところもありますが、そーいうところはだいたいあっちこっちに誤解や記述漏れがあって混乱を招いたりしてます。上の香月ちゃん夏頃のイベントで、夕方頃ある場所を歩いていると遭遇するイベントがある、という情報は得ていたのですが、条件が特定出来ずなかなか発生させられない。で、その自信ありげなサイトで調べたところ、日曜日の夕方にアイテム「雨傘」を持っていない状態で(この“持ってない”というのが憎い)問題の場所を歩いていると……とあるので試してみるが……発生しない。で、もしや、と思って土曜日に同じ条件を揃えて試してみたところ、無事に見られました。こーいうのは指摘したほうがいいのかどうか。それにしてもこのイベントは殺人的でした。
2004/09/03
 やっと、沢村香月と平沢博子のふたりをクリア。長い。ほんとーに長い。イベントそれぞれのヴォリュームは大したことはないのだけど、その過程の長さは前作同様凄まじいものがあります。
 キャラクターの肉付けとしては個人的にツボに近かったふたりですが、シナリオ全体の踏み込みはちょっと足りないように思う。年齢こそ主人公より三つ四つ上、という設定なのに中学生ぐらいと見紛う容姿に性格もお子様が入っている香月は、そういう自分に多少は葛藤があるらしいのに、本格的にその内面に踏み込むようなイベントはなかった。一方の博子は研究一本槍の女の子が幾つかの出来事を経て急激に主人公のほうへと気持ちが傾いていく、という演出はなかなかでしたが、その特色であるロボットのメイドさんとか何故か声帯を備えて喋り倒す飼い猫などのキャラクターを活かしたイベントがあまり多くなく、設定がちょっと無駄になっていたような。
 ……が、終盤にかけての可愛らしさは秀逸でした。博子は傾倒が著しすぎて客観的になるとちょっと怖いレベルに達してましたが、香月のほうはあそこまで話が進んでもまだ照れているのが良し。また、あの手のシーンが前作と比べて格段と濃厚になっているのも、変にコンシューマーを狙っているような気配を窺わせず好印象に繋がっております。
 ただ、前作ではふんだんに存在したアルバイト先がわずかふたつに絞られてしまい(もしかしたら他にあるのかも知れませんが未確認)、時間潰しの場所が限られているので、早く進めたいと思ったら意味もなく移動や電話を繰り返さねばならないのがちょっと面倒。無論、用が済んだら寝て一日を終わらせてしまう、という手もあるんですがそれはさすがに素っ気ない。この辺の対応をもーちょっと考慮して欲しかった、もし考慮してあるなら解りやすい形で示して欲しかったところ。
 ともあれ、意味もなくミニゲームのビリヤードに手を出す楽しみも覚えてしまったので(高得点を繰り返していると、のちのち女の子と訪れたときに好印象に繋がる、という特典もあるようだ)、引き続きどっぷりと遊ぶ予定。
 え? 堀出実果と白井夕瑠はどうしたかって? ……なんか気乗りがしないのと、ぜんぜんイベントが埋まらないので頭から仕切り直そうかと。あはははは。しかもそこそこ通過したイベントもあるので、他のキャラクター何人か済ませてから戻ろうかと思います。すまんのう。次なる暫定目標は、お節介焼きの女の子と、規律に厳しい女の子。
2004/09/05
 お節介焼きの女の子こと、幼馴染みでいちおうヒロイン的位置づけの柴門たまきと、生徒会副会長だけど会長より存在感のある高遠七瀬のふたりを攻略終了……が、このふたりを並行させるのは間違いだったかも知れません。発生条件が異様にシビアなイベントばかりだったのですこのふたり。特にたまきは、他の女の子との浮気を前提としたイベントが何と三つもある。一個については攻略サイトで条件を知ったのがつい最近だったせいもあって回収できませんでしたが、正直しばらくこの娘のイベントには関わりたくありません。
 発売直後、というかフライング組が既に騒いでいたので実際には直前ぐらいから話題となっていたヒロイン・たまきの設定とシナリオですが……やる前から想像していたとおり、女の子の立場に立てば不自然なところはありません。彼氏はいるけれど、幼馴染みの男の子と一緒に遊ぶのが悪いこととは思えず、二人きりで逢うのを繰り返しているうちに……というのは、この手のゲームでは非常に珍しいパターンながら、現実には充分あり得る展開でしょう。はじめから気安い人間がつきあい始めたら、ああいう言動になるのもごく普通のことで、あの程度で罵詈雑言に等しい言葉を浴びせるのはあまりに人間を知らない。
 ……但し、あくまで実在の人間としてなら、です。更に、これがゲームの登場人物のひとりならさほど問題視されなかったでしょう。いけないのは、そういう彼女がヒロインとして前面に掲げられていたことと、わざわざそういう設定にしておきながら、人がこんなフォローをしなきゃいけないと感じてしまうくらいに描写が足りないこと、この二点に尽きると思われます。
 たぶん型破りなヒロインとして構想されていたのでしょうが、その型破りな部分から次第に魅力が出てくるような描き方がまったくなされていない。最後まで基本的な付き合い方が一緒なので、盛り上がりに欠くのです。そうしてその内面にまで踏み込んだ描写がないから――尤も、これは現時点までにプレイした四人ほとんどに言えることだったりしますけど――感情的な推移にも不自然、というかふしだらな印象を残してしまい、そういう面に過剰反応を示す一部の方々には受け入れがたい造型となってしまった。意思は買うのですが、完全に技術力不足だったためにヒロインとしては反発しか招かないキャラクターになってしまったことは否めません。また、見辛いイベントのほとんどが、他のキャラクターとの交際も一緒に進展させないとダメ、というのもまたマイナス。どうやったってこれでは思い入れのしようがなく、ただの攻略対象としてしか観られなくなろうというものです。
 そんな彼女より、高遠七瀬のほうが魅力は格段に上です。何せ序盤はとりつく島もない有様で、それが毎日毎日毎日毎日根気強く会い続けていると次第に打ち解けていって、二面的な魅力を発揮するようになる。全体通して眺めると紆余曲折はないのですが、情が深まるきっかけは明瞭ですし、その後のイベント個々の破壊力は間違いなくたまきの数段上にあります。とりわけバレンタインデーのイベントについては、久々に平伏します。これは凄かった。
 ただ、いずれにしても、たまきの一部イベントのように不特定な女の子との浮気がきっかけになるようなものを除くと、女の子同士の交流から生じるイベントのようなものがほとんどないらしいのが物足りなく感じられます。前作では主人公との交際がきっかけで親友同士だった女の子の仲が変化していくさまが描かれ、恋愛模様とは別の切なさを演出して秀逸でしたが、今回そういうものがなさそうで、そういう意味では若干後退してしまったような気がしてちょっと残念。
 無論、まだまったく関わりを持っていないに等しい(ゆえに攻略サイト等でもいっさい参照していない)キャラクターもあるので、或いはその辺に意外性のあるイベントが隠されているのかも知れず、評価を確定させるのはまだ早いのでしょうけれど。何はともあれ、次は油絵の具の匂いのするお姉さんと、しばらく放置していたもうひとりのヒロイン格らしき女の子白井夕瑠の攻略に着手予定。
2004/09/06
 ほったらかしにしていた白井夕瑠……ではなく、油絵の具の匂いのするお姉さんこと若井みさきのシナリオ完了。
 微妙なインモラル感を演出して雰囲気を盛り上げている点は買うのですが、そのまんま何事もなく卒業まで漕ぎ着けてしまうのが不思議といや不思議。後半の大っぴらな行動を眺めている限り、さすがに学校関係者の誰かが気づいてもおかしくないと思うんだが。
 他の多くのキャラクター同様、彼女にも感情度の上昇制限があって、その解除のきっかけとなるイベントがなかなか面白かった……わりにはそれっきりで終わってしまったのが物足りない。あとの行動によってHシーンのバリエーションが増える、という組み立てからして、なんとなくそっちが先でイベントを作っていったような気もする。
 攻略サイトで予習しておいたところ、後半にあるイベントを契機にしばらくデートがまるで出来ない状態に陥る、というのがあって、或いはそこで大きなドラマがあるのか、と楽しみにしていたのですが、蓋を開けてみると……乙女モード驀進ではあったが普通のイベントがあっただけでした。あとは格別な波もなくそのままエンディングへ……別のキャラに比べるとまだしも周囲に気を遣っていたようなので、こんな感じである意味何事もなく卒業して関係が続くのもひとつの形とは思うのですが、如何せん波乱がなさすぎてちょっと退屈。
 この波乱のなさは他のキャラについても言えることで、感情度の制限を解除するイベントが設定されていても、それによって話に大きな波が出来るわけではないので、全般にお話としては平坦なのが気に掛かります。尤も、だからこそこの臨場感めいたものが生じているのでしょうけれど。変にドラマチックすぎるより却って生々しいかも知れません。
 先日、人物同士の関わり合いが乏しい、という点で前作より劣る、といったことを書きましたが、その一方でイベント発生条件が複雑化して攻略性が高まったことは評価出来ます。前作ではただのポイント稼ぎでしかなかった世間話が、特定の場所や条件で繰り返すことによってイベント発生の引き金となるものがあり、シナリオ的な不整合も最小限に抑えられていて実に繊細な配慮が窺えます。今回攻略した若井みさきにしても、デートに漕ぎ着けるためには彼女から個人授業を受けるイベントを通過しないといけないのですが、その個人授業はある話題を発展させないと約束を取り付けられない。日常会話をすべてスキップさせてご機嫌取りやデートの進行にだけ気を遣っていては話が進まない、というこの作りはなかなか憎い。攻略サイトを参考にしていても、こういう点にまで目を配っているものがないせいもあって、緊張感のあるプレイが続けられるのも好印象。やはり、シナリオよりもこのゲーム性の高さと次第に高まっていくムードこそが本編の真骨頂と言うべきかも知れません。
 その後、白井夕瑠のイベントを回収しつつ、残り三名の足場固めに着手。しかし、性質上並行させづらいキャラがいるので、やっぱりふたりが限度っぽい。とりあえず、ひとり変身する娘がいるらしいので、まずその顛末から見届けてみましょうか。
2004/09/07
 遊び方にも慣れ、愛着のあったキャラクターを無視することにもさほど抵抗を感じなくなったので、にわかにスピードが増しました。白井夕瑠のイベントを回収すると同時に、彼女といっしょに放り出していたノラ猫のような女の子こと堀出実果と、隠しキャラ的な存在の井伏オキエを終了。ちなみに後者ふたりは聖メアリミード学園在籍……ほんとにもう。
 白井夕瑠は柴門たまきなどより遥かに正統派のヒロインを地でいく展開で、ありがちながらもそれ故にけっこう納得のいくイベント構成になってました。彼女のような現実的にはそうそう存在しそうもない、しかし同じ理由で平凡なキャラクターも、こういうゲームには必要なのです。ありがちなだけに、回想モードで鑑賞出来るイベントの幾つかは発生条件が意表を衝いている点は、製作者たちの一筋縄では片づけようとしない意思のようなものが感じられて快い。
 堀出実果のほうは、前作に登場した女の子のシチュエーションをちょっと捻ったものと考えてよさそう。本質的に優等生ながら、親への猛烈な反発から家も学校も飛び出してその場しのぎの生活を続けている女の子。奔放さと基本的なニュアンスを引き継ぎつつ、背景だけがらっと変えてあるという感じ。ただ、シチュエーションがほとんど一緒なので、受ける印象もさほど変わらないのが難点で、好感度の制限を取り払う契機もほぼ似たような展開で、目新しさに欠きます。
 しかしキャラクターとしての魅力はちゃんと描かれている。才能では方向性こそ違えど平沢博子に匹敵するものを持っているようで、そうした面を見せつつちゃんと変化していく様も表現されているので、目新しさはなくとも安定した雰囲気があります。これはこれで良し……しかし、好感度の変化が劇的すぎたせいなのか、今のところ彼女だけHシーンをひとつ把握し損なってます。いったいどのタイミングで見られるイベントだったんだろう。
 そして隠しキャラ的存在の井伏オキエ――と言っても、この類のゲームに良くあることで、その秘密に気づかないのは主人公ぐらいで、あろうことか友人代表の望でさえ気づいているのに本人だけがまるで解らないまま、というお約束を見事に貫いてます。そもそも(以下ネタバレのため伏せ字)井伏オキエ(ibuse okie)は大山恵比子のあだ名エビスと名前エイコ(ebisu eiko)のアナグラム(ここまで)なのですから、ミステリファンであれば実は初登場の時点でも気づいていいくらいなのです――様々な固有名詞から考えても、この設定を作った人がミステリファンであることは間違いなさそう。……色々と思うところはありますが深く追求するまい。
 ある行動を続けていると二学期の冒頭で登場し、仲を順調に伸展させると三学期のかなり早い時期にまたしても姿をくらましてしまうので、勢いイベントの数も他のキャラクターとくらべてかなり少なめです、が、シナリオとしての面白さは本編中随一と言っても過言ではないでしょう。彼女のテーマはこの手のゲームではありそうであまり描かれなかったもので、終盤の展開もけっこう深刻なのに妙に可笑しい。で、この終盤の紆余曲折があったからこそ、エピローグで描かれる彼女の姿は非常に愛らしく映る。ただ、どーしても一部の描き方に個人的に抵抗を覚えてしまい、のめりこめないキャラクターではあるのですが。
 愛着を覚えるという意味では相変わらず最初のほうに攻略した沢村香月や平沢博子のほうに軍配を上げてしまいますが、お話やイベントの構成という点ではいまのところこの井伏オキエが最強と言っていいかと思います。かえすがえすも登場期間の短さからくるイベントの少なさが勿体ない。
 さて、残すはあとひとり――今更思わせぶりに書いても仕方ないのでズバリ記すと、図書室司書で大人の色香(と言っていいのかどうか個人的には疑問視してますが)を醸しだす女性・横溝ふみのみ。ついでに一部、未回収のままだったイベントを拾いつつ進行中。あとどんなにのんびりでも二日三日で完結します。
 ところで、何回もプレイしているうちに気づいた点ひとつ。町中を移動して人捜しする場合、あちこちをうろついているよりは、いちど誰かに会えた場所を繰り返し訪れたほうが人に遭遇出来る確率は高いようです。あくまで感覚的なものなので保証はしませんけど、これから遊ばれる方はお試しください。但し、うまくほぼ全員に会えることもあれば、特定のキャラに繰り返しぶつかる可能性もかなりあるので要注意。仕様上、一日に何度もあってもあんまり意味はないんですこのゲーム。
2004/09/08
 横溝ふみ終了、ついでに堀出実果の未回収だったシーンも確認して(どうやら好感度が高すぎて素通りしていた場面があった模様)、ひととおり攻略終了と判断いたします。CGモードの差分が幾つか残されてますが、無理矢理怒らせたりもういちどかなりあとの季節までやり直さなきゃならない代物ばかりなので、もう気にしないことにします。あー、長かった。
 まずは横溝ふみのシナリオ評。……最後のひとりに至っても世界は閉じてます。同じ年上、学校の職員との恋愛という体裁でも、若井みさきのほうは発覚する気配もなかったのに対して、こちらは志藤という教師が密かに想いを寄せているという設定。が、この志藤という教師、この手のゲームの男性教師としては非常に人間が出来ていて、ふみの学校での立場に気を遣いふたりが傷つかぬように立ち回り、それでもなお主人公とふみの関係が切れないと解るとあっさり身を引き学校にもそのことを告げない、まっこと良くできた人間ぶりで、波乱すら提供してくれません。好感度の制限を外すイベントは、ふみ自身が勝手に答を出してしまうので、プレイヤー側として考えるといまいち達成感がない。ただ、この作品は恋愛感情を盛り上げていく過程そのものがテーマなので、状況を打破するために自らアクションに出るのは若干本筋から離れており、これで構わないといやそうなのですけど……どこかでもっと能動的な、少なくともプレイヤーにそうと実感出来るイベントがひとつやふたつ欲しかったところ。ゲーム全体通しても、堀出実果の重要なイベントぐらいしか解りやすく能動的なイベントはないのですが。
 最初は無気力な言動の目立ったふみが次第に情を深めていき、そのことに悩みはじめる姿や、吹っ切れたあとの可愛らしさなど、なりゆきの描写は他のキャラクター同様に秀逸。なまじ序盤、体を許すのが早いわりに態度が素っ気ないので、後半の変化が実に沁みます。そういう意味では高遠七瀬に通じるキャラクターとも言えるでしょう。このキャラクターで一番気になるところは……最後のほう、当初はしていたはずの用心をまるで怠っているように見えること。大丈夫だったんでしょうか。いや、交際がばれるとかいう話とはまるで別の問題で。
 ……さて、ひととおり完了させたので、簡単に総評を記しますと。
 ほぼ前作の良さを留めたシステムと高いゲーム性、そして相変わらずのヴォリュームと前作のファンならば納得すること請け合いの出来。前作の下級生の親友同士のような、人物同士の結びつきが深めるようなドラマが減ったのは残念ながら、さりげない日常会話でイベントの伏線を張ったり、微妙なタイミングで発生するイベントがあったりとゲーム性はより極められている印象で、二作目であるという重圧はきっちりとはね除けた、と感じました。
 正ヒロインという位置づけと思われる柴門たまきの描き方にそれだけの重みと魅力が感じられず、全体を束ねるような存在感を発揮するキャラクターが見当たらないのは作品として少々問題だったと感じますが、それでもキャラクターひとりひとりの粒は揃っており、それぞれのシナリオに嵌るといずれも可愛く見えてくるあたりは前作同様のクオリティー――というより、その意味では最終的にどうでもよくなってくる前作以上の仕上がりと言っていいでしょう。前作を知らない人にも――かなり根気の要る作品ですよ、という但し書きの上でお薦め出来る秀作。攻略サイトや攻略本を参照せずに、一日一時間程度と決めて遊べばそうとう長い間楽しめます。Hシーンも濃くて多めだし。
 なお、私が全篇通してお気に入りだったキャラは、やっぱり沢村香月と、ちょっと下がって平沢博子というところ。シナリオの出来としては昨日も書いたとおり井伏オキエがトップでした。彼女は声が長崎みなみ嬢だというのもポイント。そういや、先日攻略したときに言及し損なったのですが、高遠七瀬はエピローグのCG1枚目が笑えます。『逆転裁判』かよおい。

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