TV版「AIR」舞台探訪

〜東京都国立市編〜



舞台探訪者の心得
 ・探訪先では、地元の人の迷惑にならないように行動する。
 ・観光地でない場所や公共施設でない場所への探訪,撮影には十分注意する。
 ・探訪者の多い場所での行動は控えめに。


 霧島診療所のモデルが東京都国立市の旭通りにあるというのは、原作版「AIR」の頃から有名な話で、実際に私も行ってみた事があります。(「AIR」舞台探訪〜霧島医院編〜
 けれども、どうやら原作版では写真資料集を元にしたようで、特に旭通りが「AIR」の商店街のモデルというわけではないようです。

 しかし、TV版「AIR」のスタッフはやってくれました。ファンの間でのささやかな話題でしかなかった商店街を、実際に取材した上で映像化してくれたのです。
 今回はその、いわば「モデル設定のブーメラン現象」とでも言うべき、画期的な出来事の舞台となった東京都国立市を探訪します。

 神社 −東京都国立市 谷保天満宮−
 もともとの話を言い出したQLAND氏が直前になって参加出来なくなって、今回の探訪はSUGI氏と私の2人というメンバー。
 コミケに行く機会を利用して上京。お金と時間に余裕があるわけではないので、ついでの機会は最大限に有効活用しなくちゃね。

 まず、やって来たのは、東京都国立市の谷保天満宮。
 ちなみに、近くの駅は谷保(やほ)駅で、神社前の信号の標識も「Yaho Tenmangu」となっているが、古来の読み方は谷保(やぼ)天満宮だそうである。

佳乃「ここが神社のモデルかな?」

 木の柵とお賽銭箱の位置がちょっと違うけれども、屋根の形、左右の提灯掛けなどはそっくり。
 けれども、天満宮は形が似たものが多いので、これだけではちょっと断定しにくい。
 補完材料として、
  1.TV版「AIR」のスタッフは、ファンの間で有名となった場所を取材している。
   →谷保天満宮は、一部のファンの間で神社のモデル説があった。
  2.診療所のモデルから約2kmしか離れていない。
   →京都からやって来たTV版「AIR」のスタッフがここに寄らなかった可能性は低い。
 と、プロファイリング的な理由を挙げて、当サイトではいちおうここを神社のモデルとしておく。

第四話の神社裏手のシーン?

 ノーチェックだったのが、神社の裏手。第四話で幼い日の佳乃と聖が神社の中に忍び込むシーンに登場するのだが、モデルがあるとは思ってなくて、画面をプリントアウトして来なかったのだ。
 裏手に回ってから気がついて、記憶を頼りに色々な角度から撮った中で、後からDVDと見比べて比較的似てる構図が上の写真。
 作品中では中央の小さなひさしが無いなど細かい違いはあるものの、ほぼ同じと言って良い。
 けれども、神社は大なり小なり造りの基本形があるので、ここだと断言しにくい。
 当サイトでは、ここをTV版「AIR」の神社と主張しておくけれども、他に異説があってもおかしくないし、原作版の神社のように未だにモデルが見つからずに想像をかき立てるのもまた一つの楽しみなので、ここが決定版とは言わないでおくことにする。


境内から見る大鳥居

 ちなみに、境内から見る大鳥居は作品中の海を背景とした鳥居に似ているなぁ、と思ったり思わなかったり(どっちだ?)

 商店街 −東京都国立市 旭通り商店街−
 谷保天満宮から、国立駅前まで、約2km。
 もしかしてTV版スタッフも歩いたのでは?、という淡い期待をもって歩いてみたけれども…。
 結果から言って、何も無し。緑の並木道の大学通りで、落ち着いた雰囲気の良い通りではあるけれども、「AIR」の雰囲気は無い。

 何も収穫が無いまま国立駅南口に着いて、駅から三方向に走る通りのうち、南東方向へ伸びる旭通りを歩いていく。
 途中、ラーメン屋があったが、作品中に登場するような「ラーメン」の看板が出ていない。

SUGI「看板、無いですね〜」
「店に怒鳴り込んで、『何で看板を出さないんですか! これじゃ、台無しだ!』、と」
SUGI「…やめましょう」

 そうこうするうちに、見えて来たのは…、

美凪「第2話に出てきたお米屋さん…正解?」

 お米屋さんキターッ!
 と、言っても、実はここはQLAND氏が先月のSF大会のついでに見つけていたもの。
 作品中では、「新沼米酒店」。作品中とは自動販売機とビールケースの位置が左右逆だが、ビールケースを脚にした台がそうそう置いてあると思えないので、ここがモデルと判断して良いだろう。

 さらに歩いて行くと…、

第2話でみちるが往人に頭突きをする所?

 これはカルトクイズ級。みちるが往人に頭突きをするシーンの背景に「○○カラー」の看板が出て来るのだが、ココがモデルではないかと?
 こちら側はアルファベットだが、

反対側から

 反対側には「コニカカラー」とカタカナで書かれている。作品中の看板は赤という違いはあるが、スポンサーの関係で製品をイメージする物を変える事は当たり前と思われるので、このぐらいはアレンジの範囲内。
 このさらに先には…、

第2話の花屋?

 これもカルトクイズ級。先のシーンの後、逃げるみちるの足下の背景に、ネコが寝ている花屋が描かれている。ちょうど先の場所からすぐ近くにあるのが、この花屋さんなのだ。
 行った時には、残念ながら夏期休業中で、ここがその花屋なのかどうか判別しようが無かった。けれども、この通りを取材したと考えると、先の場所のすぐ近くのここが一連のシーンで使われた可能性が非常に高いと思う。

 そして、やって来ました…。

佳乃「お姉ちゃんの診療所だね」

 説明するまでもないほど有名な、霧島診療所(のモデル)。
 作品中では、隣は「BOOKS SHIMANO」の看板がある「島野書店」になっているが、実際にはレンタルビデオ屋。
 その横に古本屋があることはあるのだが、残念ながら作品中に登場する「古書買…」の看板は出ていない。
 そして、この診療所の前のシーンでは、背景にたびたびバス停と「あさひふれあいひろば」の文字が登場するのだが…、

あさひふれあいひろば

 それは、たしかに診療所の向かい側のすぐそばにあった!
 この場所は、DVDで見た時から絶対に旭通りにあると思っていた。けれども、それがこんなにも作品中のロケーションと一致しているとは感無量。

 以上で、旭通りの探訪は終了。
 この後、もしかして谷保天満宮の周辺の田園地帯に作品中のモデルがあるかも? と思って車で回ったけれども、収穫は無し。田舎の風景としてはちょっと手狭な模様。
 まだまだ、TV版「AIR」の謎の背景は尽きないのだった。

SUGI「これはやっぱり、TV版のスタッフを夜道で襲って…」
「『さぁ、教えろ! あの場所はどこだ!』、と」
SUGI「『な、何のことだ!?』」
「『とぼけるな、あの場所に決まってるだろう、まだ見つかってない場所だよ!』」
SUGI「『し、知らない、オレはその日、韓国に動画を回収しに行っていた…』」
「『…飛鳥、「AIR」の手がかりは、ここにも無かった…』」
SUGI「いや、『ズバット』は古いでしょう(笑)」

 そんな事にならないよう、現地取材をしたアニメ・ゲームは、背景美術の元ネタが載った設定資料集を出して下さい、お願いします(笑)

 冒頭でも触れましたが、「天地無用!」の頃から現地を取材して作品が作られる事はありました。
 しかし、ファン(の妄想)が作り上げた舞台が逆に作品に取り入れられるというのは、おそらくこのTV版「AIR」が初の快挙でしょう。
 この旭通り商店街の他にも、TV版「AIR」では、(たぶん)谷保天満宮,兵庫県香美町、そして和歌山県と、ファンの間で舞台説が上がった場所の現地取材がされています。
 それは、脚本や演出だけでなく背景のイメージに関しても、スタッフの方々が原作版のファンの思い入れを大切にしてくれたという証拠だと思います。
 原作以来のファンとして、スタッフの方々の努力には感謝と敬意を表します。

 最後に、今回参加してくれたSUGI氏、そして参加出来なかったにもかかわらず色々な情報を提供して下さったQLAND氏に感謝です。

  終わり。