law page 4  (深掘りテーマ)
           back to Law Pgae 1(民法関係)  Law page 2(信託・信託法)  Law page 3(その他)

1 桃中軒雲右衛門事件関係資料    論文についてはPage1
(1)レコードを聴いてみる(明治45年に発売されたライロホン社のレコード)
                       
 桃中軒雲右衛門の「南部坂後室雪の別れ」」(その1)         裏:(その2)          
 「お納戸羅紗の長合羽・・・・」で始まる            「戸田が案内に奥深う・・・・」

 レコードの音声を再生(mp3がダウンロードされます)
    録音がよいので聞き取れますが、以下のテキストを見ながら聴くのも一興
 テキスト(PDF約1MBあります。「南部坂雪の別れ」明倫社版1-17頁、国会図書館蔵
   (レコードとテキストは少し異なる部分があります)

(2)ライロホンとはどのような会社か?
 1904年にドイツで、オペラ歌手のLieben兄弟がライロホン社(Lyrophon AG)を設立(ドイツ語表記ではeがないが、英語表記ではLyrophoneとなる)。1905年、レコードを発売。ドイツだけでなく、ヨーロッパ各国、トルコ、インド、タイ、中国、日本などでレコードを発売。日本でも、桃中軒雲右衛門だけでなく、いろいろな日本の伝統的な音楽をレコードにして発売。しかし、1910年には同じドイツのCarl Lindstrom AGに買収される。しばらくはライロホンの名でレコード発売がされていたが、1918年(第1次世界大戦後のレコード業界の再編)にはライロホンの名は消えることになる。雲右衛門のレコードは明治45年(1912年)なので、ライロホン社が買収された後、しばらくライロホンの名が使えた時期のレコードということになる。

 
 日本で発売された各種のライロホンのレコード(いずれも「象印スタークトン」)

     
左右にある楽器がライロ(Lyre)  Lyreは、ピタゴラスが音楽の原理を発見した
際に使っていた楽器と言われる(4弦と7弦があるようだ)
ピタゴラスは、Top Page の「アテネの学園」’ラファエロ画)の左下に描かれている

(3)桃中軒雲右衛門事件そのものの行方
明治45年5月18日 三光堂が桃中軒雲右衛門のレコード(第1弾)を発売
7月 被告人らは三光堂発売の桃中軒雲右衛門のレコードを複製、「鸚鵡印」「獅子印」として販売
東京地裁大正元年11月11日 一審判決  著作権法違反で有罪、原告の損害賠償請求(附帯私訴)を認容

1審判決直後の三光堂の広告ーーー雲右衛門のレコード第2弾の発売広告
広告中に、「複写盤の裁判ーーー雲入道象印音譜の複写盤の製造販売につき、本月11日東京地方裁判所
に於いて有罪を宣告せられる」という記載がある。
2審判決 一審と同じ(被告人有罪、私訴については損害賠償)
大審院  著作権法違反に関して無罪。原告の損害賠償請求も棄却