「虫に刺されてからかき壊してしまって、ぐじゅぐじゅしてきた」「毎年夏になると虫刺されが治りにくい」──こういったご相談をいただくことがあります。
子どもは虫刺されのかゆみを大人よりも強く感じることが多く、無意識にかいてしまいます。かき壊した傷は細菌感染(とびひ)につながることもあるため、早めのケアが大切です。この記事では、家庭でできる対処法と受診の目安をお伝えします。
① なぜ子どもは虫刺されを強くかいてしまうのか
虫に刺されると、虫の唾液成分に対する免疫反応(アレルギー反応)でかゆみが生じます。子どもは刺されるたびに少しずつ免疫反応が変化することが多く、一般的に幼児期から学童期にかゆみの反応が強くなるといわれています。
また、子どもは「かかないようにしよう」と理性でコントロールすることが難しく、眠っている間に無意識にかいてしまうケースもよくあります。
ℹ️ 「スクートン反応」について
蚊に刺された直後(数十分以内)に出るかゆみと、数時間〜1日後に出るかゆみの2種類があります。幼い子どもは即時型反応がない場合もあり、年齢とともに反応が変化します。大人になると遅延型の反応も出にくくなるといわれています。体質・年齢によって個人差があります。
② 刺された直後の対処法
虫に刺された後の基本的な対処法は次のとおりです。
刺された部位を洗う
まず患部を流水でやさしく洗い流し、清潔にします。蚊や毛虫など多くの虫刺されで有効です。刺されたとき針が残っている場合(ハチなど)は、爪などで横にそぐようにして取り除いてください。
冷やしてかゆみを和らげる
患部を清潔なタオルで包んだ保冷剤や水で冷やすと、かゆみが一時的に和らぐことがあります。直接氷をあてると凍傷の原因になることがありますので、必ずタオルなどで包んで使用してください。
市販薬の使用
市販の虫刺され薬(かゆみ止め)を使用する場合は、必ず製品の対象年齢・用法・用量を確認してください。低年齢のお子さんや肌が敏感な場合は、薬剤師または医師にご相談いただくと安心です。
③ かき壊しを防ぐ工夫
かき壊しを防ぐことが、二次感染(とびひ)を防ぐ上でとても重要です。
爪を短く清潔に保つ
長い爪で強くかくと皮膚が傷つきやすくなります。爪を短く切り、こまめに清潔を保つことがかき壊し予防の基本です。
就寝時のケア
眠っている間にかいてしまう場合は、刺された部位に薄い手袋をはめるなどの工夫が助けになることがあります。症状が強い場合は医師に相談のうえ、かゆみを抑える処方薬を使用することも選択肢です。
衣類で覆う
腕や足など刺された部位が衣類で覆える場合は、肌が直接触れないよう薄手の長袖・長ズボンを活用することも有効です。
かいたくなる気持ちに寄り添う
「かかないで」と言うだけでは子どもにとって難しいことがあります。冷やすなどの方法で「かかなくても楽になる方法」を一緒に試してみてください。
④ 「とびひ」に注意:感染の兆候
かき壊した傷から細菌が入り込んで広がる「とびひ(伝染性膿痂疹)」は、夏の子どもに多い皮膚感染症です。
⚠️ こんな症状はとびひの可能性があります
- 水ぶくれが生じた・破れてじゅくじゅくしている
- かさぶたが黄色くなってきた
- 赤みや腫れが周囲に広がっている
- 別の部位に同様の症状が新たに出てきた
とびひは感染力があるため、保育園・幼稚園・プールなどで周囲に広がることがあります。疑われる症状があれば早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。
⑤ 受診の目安
以下のような症状・状況があるときは、医療機関への受診をご検討ください。
🏥 こんな場合は受診をご検討ください
- じゅくじゅくしている・水ぶくれが生じている(とびひが疑われる)
- 赤みや腫れが広がっている
- かゆみが強く、夜間に眠れないほどかいてしまう
- 市販薬を使っても数日以上改善しない
- 顔・目の周囲・口元など目立つ部位や広範囲に及んでいる
- 発熱・リンパ節の腫れなどほかの症状がある
🚨 ハチ刺されは特に注意が必要です
ハチ刺されの後、じんましん・顔のむくみ・呼吸困難・気分不良など全身症状(アナフィラキシー)が出た場合は、すぐに救急車を呼ぶかすみやかに医療機関を受診してください。過去にハチに刺されたことがある方は特に注意が必要です。
⑥ よくある質問
Q. 市販の虫刺され薬は子どもに使えますか?
市販の虫刺され薬には対象年齢や使用制限が設けられているものがあります。購入の際には必ずパッケージに記載された年齢制限・用法・用量を確認してください。低年齢のお子さんや症状が強い場合は、薬剤師または医師にご相談いただくと安心です。
Q. 虫刺されをかいてじゅくじゅくしてきました。どうすればよいですか?
まず患部を流水でやさしく洗い流し、清潔を保ってください。じゅくじゅくしている・水ぶくれになっている・赤みが広がっているなど感染(とびひ)が疑われる状態の場合は、皮膚科・小児科への受診をお勧めします。自己判断でむやみに絆創膏を貼り続けることは蒸れの原因になることがあります。
Q. ハチに刺された場合はどうすればよいですか?
ハチに刺された後、じんましん・顔のむくみ・呼吸困難・気分不良など全身症状(アナフィラキシー)が出た場合は、すぐに救急車を呼ぶかすみやかに医療機関を受診してください。刺された直後は刺さった針を取り除き、流水で洗って冷やしてください。過去にハチに刺されたことがある場合は特に注意が必要です。
⑦ まとめ
- 虫刺されのかゆみは子どもほど強く出やすく、無意識にかき壊してしまいやすい
- 刺されたらすぐ洗って冷やし、かゆみを早めにケアする
- 爪を短く保ち、就寝時のかき壊しを防ぐ工夫をする
- じゅくじゅく・水ぶくれ・広がりはとびひの兆候として早めに受診を
- ハチ刺され後の全身症状は緊急対応が必要なため、すぐに医療機関へ
虫刺されは夏の子どもに多い症状ですが、適切なケアで多くの場合は落ち着きます。「かき壊してしまった」「なかなか治らない」と気になる場合は、お気軽にご相談ください。
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