再 会





       を抱きしめているティーダにユウナが声を掛ける。

       「ティーダ・・・・その子、どうかしたの?」
       「・・・俺の・・・・」
       「えっ?なに?」
       「俺の妹なんだ。シンに襲われた時に離れ離れになった・・・・妹のなんだ!
        どうして?どうしてここにが・・・・ザナルカンドに無事でいると思ってたのに」
       「ティーダ・・・・」

       途方にくれたようなティーダの問いに何と答えてあげればいいか分からずにユウナは彼を見つめていた。


       「ティーダ、戸惑うのも解るけど貴方はその子のお兄さんなんでしょ?
        私が怪我してないか見てあげるから泣くのは止めなさい」
       「ルールー!俺泣いてなんか!」

       ティーダはルールーの言葉に自分が泣きそうになっているのに気付き慌てた。
       ティーダからを預かったルールーはが怪我をしてないか調べたが、幸いどこも怪我をしていなかった。


       「怪我はしてないわ。気を失っているだけみたいよ」
       「ほんとか!よかった・・・・」

       ティーダはルールーの言葉にホッとした表情になる。

       「よかったねティーダ」
       「ありがとうユウナ!」

       自分の事のように喜ぶユウナにティーダも笑顔をかえした。

       「さあここにいてもどうしようもないわ。
        どこか泊まれる所を探さなきゃ・・・ユウナ、貴方はティーダと宿を探しなさい。
        私は、島の人達を手伝ってくるから」
       「でも・・・・」
       「ティーダの妹さんが気が付いた時、誰か事情を聞く者が必要になるから・・・」
       「・・・・そうだね。じゃあルールー、キマリ、島の人達の事お願いします」

       ルールーとキマリはユウナ達を残し、助けを待っているであろう島民の許へと向った。



       「行こうかティーダ・・・・」
       「そうだな・・・・」

       ティーダはを抱き上げるとユウナの後に続いた。
       宿はすぐに見つかった。
       さきほどティーダが助けた少女の家が宿屋だったのだ。
       少女はの事をとても心配していた。

       「姉ちゃん・・・・大丈夫かな?」
       「マヤちゃんだっけ?大丈夫だよはこう見えても強いんだ」
       「うん、解った。ところでお兄さんはもしかしてティーダさん?」
       「えっ!何で俺の名前をしってるんスか?」
       「お姉ちゃんが教えてくれたの」
       「が?どうして君に俺のことを?」

       「うんあのね・・・」

       マヤがティーダにそれまでのことを話してきかせてくれた。



       ティーダはベットに横たわっているの頬を愛しそうに撫でた。

       「たった一人の家族なんだ・・・・」
       「うん・・・・」
       「オヤジと母さんが居なくなってからは俺がコイツを守ってやらなきゃって・・・・」
       「うん・・・・」
       「へへ かっこ悪いな俺、男の癖に泣くなんて」
       「そんなことないよ、心配してた妹さんが見つかったんだから」
       「そう、そうだよな!!」
       「ティーダ、声が大きいよ。目を覚ましちゃうよ」
       「あっ」

       ユウナに言われを見てみると、やはり大きな声に反応したらしく
       のまぶたがピクッと動いた。


       「う、うーんなに?」
       「!気が付いたか?」
       「えっ?お、おにい・・・ちゃん?お兄ちゃんなの?」
       「ああ そうだよ。心配してたんだ気が付いたらお前の姿がなくて・・・・
        おれ・・・お前はザナルカンドに居るとばかり思ってた」
       「にいちゃん・・・・あいたかったよー」

       はティーダに抱きついた。
       そんな二人のきょうだいをユウナは嬉しそうに見つめていた。



       
       は暫くしてティーダの後ろにいる一人の少女に気付く。

       「あの貴方は?」
       「はじめまして、私はユウナといいます。ビサイド島で貴方のお兄さんと知り合って一緒にここまで来たの」
       「そうだったんですか。私はです。兄がお世話になりました。あの・・・・貴方は召喚士ですよね」
       「ええ、そうよ」
       「私・・・ドナさんていう召喚士の方に助けて貰ったんです。
        このスピラの事もイロイロと教えてくれました」

       「そう・・それでそのドナさんは何処に?まさかシンの攻撃で?」
       「大丈夫だと思います。朝早くに用事があるからって寺院に行きました。
        寺院って島の奥なんでしょ?
        きっと津波もそこまでは行かないだろうし・・・・」

        そう言いながらも落ち込むにティーダが

       「!!心配するなって、その人にだってガードが付いてるんだ。きっと守ってくれてるって」
       「バルテロさんが?」
       「うん・・・・・きっと大丈夫よ」
       ユウナにも励まされはやっと表情を和らげるのだった。




       その後、を心配したマヤがルールー達を案内するのを口実に現れた。

       「お姉ちゃん!大丈夫?」
       「うん、心配しないで。マヤちゃんの方こそ怪我しなかった?」
       「全然平気だよ。お姉ちゃんのおかげだよ。だからここでゆっくり休んでね」

       マヤはそう言ってピョコンと頭を下げると部屋を後にした。

       「あの兄ちゃんこの人達は?」

       はマヤに連れられてやって来たルールー達の事をティーダに聞く。

       「右にいるのは俺がビサイド島に流れ着いた時に助けてくれたワッカだ。
        ユウナのガードでビサイドオーラカの監督兼選手だ」
       
       「よろしくな!!」

       ワッカはにそう言って人の良い笑顔を向けた。

       「です。兄を助けてくれて有難うございます。
        あのもしかしてビサイドオーラカってブリッツの?」
       「ああ、ティーダには期待してる。うちのエースだ」

       そんなワッカを呆れたように見ながらルールーが口を開く。

       「私はルールー。同じくユウナのガードよ。よろしくね」

       「です。兄がお世話になりました」

       はそう言うともう一人の人物を見た。その者はがザナルカンドでは見た事のない獣人である。

       「キマリだ・・・・」

       「です。あの・・・あなたもユウナさんのガードなんですか?」

       「・・・・」

       キマリは黙って頷いた。



       その夜、はティーダと二人きりになった。

       「・・・・ほんとに無事でよかった」
       「お兄ちゃん・・・その言葉何回目?」
       「しょうがないだろ!ほんとに心配したんたぞ」
       「うん・・・・そうだね。私もお兄ちゃんが何処にいるか解らなくて心細かった。逢えてよかったよ」
       「ああ・・・・」
       「ねえ、アローンさん何処にいるんだろ」
       「アーロンか・・なんかこのスピラじゃ有名人みたいだぞ」
       「そうなの?」
       「ああ、ユウナの父親のガードだったんだってさ」
       「へえー召喚士だっだんだユウナさんのお父さん。すごいね!」

       しかしティーダの顔はさえない。

       「お兄ちゃん?」
       「・・・・あのなオヤジが・・・・」
       「お父さん?お父さんがどうしたの?」
       「10年前にここにいたらしいんだ」

       「えっ・・なんで?海で亡くなってしまったって皆が・・・・」
       「俺もそう思ってた。けどここに来てワッカやルールーに聞いたんだ。
        ユウナの親父さんのブラスカさんを守っていたガードはアーロンとジェクトだって・・・・」
       「えっ!?」 

       「別人かとも思ったけどユウナが、ジェクトシュートを見せて貰ったって。
        それにザナカンドの話もしてたって」
       「そっ、それでお父さんは?どこにいるの!!」

       「行方は分からないって、シンとの戦いの後ユウナの親父さんは亡くなったって。だから・・・・」
       「でも!アーロンさんが生きてたんならお父さんももしかしたら・・・・」

       「・・・・お前はオヤジに逢いたいか?」
       「当たり前だよ!お兄ちゃんは逢いたくないの?」
       「分からない・・・・もし逢えたら俺は・・・・・」
       「お兄ちゃん・・・・」

       にはティーダの気持ちが痛いほど解っていた。
       父親を失くしたティーダ達に心無い事を言われ、一番傷付いていたのは
       ティーダだったからだ。
       は父親恋しさに泣いたが兄には自分でもどうにも出来ない気持ちが
       あるのを感じていた。



       
       「あのさオヤジの事はともかく、俺はユウナ達とルカに行くんだ。
        ルールーにはお前も一緒にって頼んだからな」
       「一緒に行ってもいいの?」
       「当たり前だろ!それにザナルカンドに帰る方法も探したいしさ。
        明日はユウナ達は寺院に行くからその用事が済んだら出発だって」
       「えっ!?ユウナさんも寺院に行くの?どうして・・・・」
       「なんだ知らないのか?
        ユウナ達召喚士は寺院にある試練の間って所に行って召喚獣に旅の協力を頼むんだって」
       「召喚獣?それに旅って・・・・どういう事?ドナさんそこまで話してくれなかった」


       ティーダは自分の解る範囲で召喚士の旅の目的、そして召喚獣の事を話した。

       「ふーんシンを倒すのが召喚士なんだ。でも倒しても倒しても復活するなんて何か誰も報われない気がする」
       「俺もよく解んないよ。
        でもユウナが頑張ってるから少しでも協力したいなって・・・」
       「あっ!もしかしてお兄ちゃんユウナさんの事・・・・」
       「な、なんだよ!」
       「ふふふ、ユウナさん可愛いもんねー」
       「だーうるさい!明日は早いから寝るぞ」

       ティーダは照れて布団を被ってしまいが話しかけても返事をしようとしなかった。

       (ユウナさんにお礼言わなきゃ。もしユウナさんに会ってなかったらお兄ちゃんもっと傷ついてた)

       はそう思いながら眠りについた。