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 (2013/9/23) 
アメリカ帝国がまさに亡びんとした日 ― もうひとつの Untold history of the US 

「世界がまさに終わらんとした日」とは1962年のキューバ危機の別名として、わたしの記憶に焼き付いています。おととい21日のヤフーニュースのトピックスは、さらにその前年の1961年に、アメリカであわや水素爆弾が爆発する寸前の事故があった、との海外ニュースを取り上げていました。もし爆発していれば、威力はヒロシマ原爆の260発分、死の灰はワシントン、ニューヨークにまで及び、数百万人の命が危険に晒された ― 文字どおり、アメリカがまさに亡びようとした危機があった、というのです。

米水爆、事故で爆発寸前に=61年、広島型の260倍 ― 英紙
時事通信 9月21日(土)11時10分配信
 米ノースカロライナ州で1961年、B52爆撃機から落下した水素爆弾が爆発寸前に
至る事故が起きていたことが、情報公開法により米ジャーナリストが入手した
機密文書で明らかになった。英紙ガーディアン(電子版)が20日伝えた。
(中略)
 報告書によれば、61年1月23日、ノースカロライナ州ゴールズボロの空軍基地を
飛び立ったB52が空中できりもみ状態となり墜落し、水爆2個が落下。うち1個の
起爆装置が作動し、四つの安全装置のうち三つまでが解除されたが、最後のスイッチ
が残り、かろうじて爆発を免れた。
これを大きなニュースとして伝えたのが、イギリスのメディアであって、アメリカでないのが不思議でした。そこで、ニュースソースの The Guardian の記事に当たると、事情がわかってきました。
US nearly detonated atomic bomb over North Carolina ― secret document
by Ed Pilkington in New York
The Guardian, Friday 20 September 2013 17.03 BST
それによると、機密文書を発見したのはアメリカの調査報道ジャーナリストの Eric Schlosser 氏で、自身の近書 Command and Control のために、情報公開法に基づいて入手したもの。そうして、イギリスのガーディアン紙がその文書のコピーを初めて公開したことで、大きな反響を呼ぶことになりました。

その機密扱いされていた文書とは、事故から8年後に、原爆の安全装置のエキスパート、Parker F Jones 氏 (supervisor of the nuclear weapons safety department at Sandia national laboratories) が書いたもの。公開されたとはいえ、文書には伏せ字として抹消された箇所がいくつもあります。

BBC News も、Eric Schlosserのインタビュー映像とともにこれを報じていて、分かりやすい簡潔な記事になっています。

US plane in 1961 'nuclear bomb near-miss'
BBC News  21 September 2013 Last updated at 06:34 GMT
たった一個の低電圧スイッチの安全装置 (Only one safety mechanism, a single low-voltage switch) が爆発を食い止めた、という事実が強調されています。

ではなぜ、アメリカでニュースにならないで、イギリスで先に大きく取り上げられたのか? なぜニューヨークタイムズなどが報道しなかったのか?

実はニューヨークタイムズは、Eric Schlosser氏のこの著作の書評を9月12日に掲載していたのです。

Atomic Gaffes -'Command and Control' by Eric Schlosser
By WALTER RUSSELL MEAD
September 12, 2013  The New York Time Sunday Book Review
そして、その書評は、著者が原子爆弾の事故の可能性を大げさに誇張している、という基調のものでした。おそらく、本にはこの機密文書のコピーが使われていなかったのでしょう。それを、The Guardianのニューヨーク特派員 Pilkington記者がイギリスに機密文書のコピーと記事を送ったものと思われます。

原発と同様原爆も、事故が実際に起きても、また起きるあわやの事故でも、その事実は隠蔽されるか、小さく見せようという力が働いていることを知らされます。そして、当事国よりも他の国のメディアのほうが事実を伝えるのは、フクシマでも同じでした。

このB-52から水素爆弾が落下した事故自体は事実として知られていたことです。今回のThe Guardian の記事が「ニュース」になったのは、事故機の水爆が爆発寸前にまで至っていたことが、原爆の安全(したがって起爆)装置の専門家による文書の実コピーとして世に出た、ことによります。そうして、アメリカではなくて、イギリスで最初に文書のコピーが公にされたという背景にも意味があります。



 (2013/9/20) 
ふたたび これで駐米大使が勤まったのか ― 辞任劇で深まる疑念 

昨日19日は、日本野球機構の加藤コミッショナーの突然の辞任がニュースになっていました。

プロ野球の加藤良三コミッショナーが、19日に開かれた12球団のオーナー
会議で、いわゆる統一球を巡る問題で混乱を招いた責任を取って辞意を表明し、
来月下旬までに辞任することになりました。
加藤コミッショナーが辞意表明
NHK News Web 9月19日 22時49分
その会見では、辞任の理由をこう述べています。
統一球問題についてお騒がせした、と
野球のファン、関係者皆さまにご迷惑をけかた、と 
いうこと、それが非常に大きな考慮の要因です。
「迷惑」をかけた相手を列挙するときに、いちばんの被害者の「選手」をあえて除外する周到さが小賢しい。さらに、辞任を意固地に否定していたのに、急に辞意を表明したことにについては、
東京にオリンピック2020年にやってくる、と 
スポーツが前に進むべき時期にある、と 
そういうときに野球もなるべく早くフレッシュなスタートを切ったほうがいい、と 
いうことを考えて、まあ、私は辞任したほうがいいだろう、と。
(以上、上記 NHK News Web のページの映像からトランスクリプト)
と説明するが、やはり日本語そのものが支離滅裂。優勝争いでシーズン佳境に入っている選手に対して、水を差す行為も同然。ここまでやるか?!

会見を取材した記者もあきれたようで、「引き際も『無責任』だった」(日刊スポーツ)という遠慮のないコメントもあれば、もっと決まっていたのが、以前も切れ味鋭かったデイリースポーツの記者の筆力。

加藤コミッショナーが辞任表明…薄笑いで登場「統一球問題で迷惑をかけた」
デイリースポーツ 9月19日(木)17時27分配信
写真につけたキャプションが
言葉の端々に“元エリート官僚”のプライドをにじませた加藤コミッショナー
なぜこの時期に辞任表明か、という疑惑には毎日新聞が、ある球団幹部の推測を紹介しています。それによると「7月19日に札幌で開かれたオールスター第1戦で紹介された際、ファンから大ブーイングを浴び」て以降は「一切、表舞台に出てこなくなった」という。早い話が、
10月26日に開幕する日本シリーズまでコミッショナーを務めた場合、
球場で同じような目に遭う可能性がある。それを繰り返したくないという
加藤氏のプライドが理由ではないかと指摘した。
加藤コミッショナー:辞任表明「統一球で迷惑かけた」
毎日新聞 2013年09月19日 17時19分(最終更新 09月20日 00時59分)
折しも、今日20日は、「シャラップ」発言の上田人権大使が辞職した、とのニュースもありました。国連拷問禁止委員会で暴言を吐いたのはこの5月。もうとっくにクビになっていたとばかり思っていました。次の身請け先がやっと決まったということか。

ふたりの元大使に共通するのは、外交官として当然持っているべき他人へのリスペクトが欠如していることでしょう。



 (2013/9/19) 
"The situation is under control" ― 軍事用語かい 

2020年のオリンピック開催都市が東京に決まった、と朝のニュースで聞いたのは、檜枝岐村で歌舞伎を見た翌朝の民宿でのことでした。そこの女将さんが意外なコメントをしておりました ―「フクシマのせいで落ちたと言われなくてよかった」。そうか。東京にオリンピックを誘致した国は、別の国なのだ。

マスコミ報道の中には、IOC総会での東京の最後のプレゼンテーションが決め手になった、と褒めちぎっていたのがあったのに違和感を覚えました。滝川クリステルは美人キャスターだし、しかもフランス語にコンプレックスをもっている英語話者にとっては、スピーチの内容はどうあれ、好感度は抜群。けれど、安倍首相のスピーチは、だれがコピーライターか知らないけど、映像を見たとき、ギクリとしました。例の "The situation is under control" の句です。

報道では「状況はコントロールされています」と日本語にされていました。もちろん、ウソであるのはだれでも分かる

66% of Japanese doubtful about PM's 'under control' comment on Fukushima plant: Mainichi survey
September 16, 2013 (Mainichi Japan)
のですが、プレゼンというものは、目的によっては、方便の活用法のようなもの。だから、スピーチの内容はそっちのけで、プレゼンの出来を誉める論調がマスコミに多かったのも、マスコミ報道そのものがプレゼンの一種であることと無関係ではないでしょう。

わたしがギクリとしたのは、「状況はコントロールされています」がウソであることもさることながら、この英語のセリフそのものでした。アメリカの映画でときどき耳にしますが、強烈に記憶に残るのはジェームズ・キャメロンの The Abyss(深淵)のシーン。

海溝の崖っぷちに沈没した米原潜の救助に向かった、石油採掘リグで働くオイルダイバーと米海軍特殊部隊のSEALチーム。深海の高水圧のために判断力を失ったSEAL指揮官が、海溝の底に潜む異星人を敵(ソ連)と思い込んで、原潜から取り出した核弾頭を打ち込もうとする。それを阻止しようと結束したダイバーたちを力づくで押さえ込んで、SEAL指揮官はこう言い放つ。

"Everybody just stay calm! The situation is under control."

これは一種の決まり文句・定型文で、たとえば軍事作戦が成功したときによく使われるが、いっぽうで、成功していないときにカモフラージュの方便としても使われます。

現に、Googleでこの反対句 "The situation is beyond our control" を検索すると、アフガニスタン、イラク、シリアなどの軍事紛争の状況を伝える記事がヒットするはずです。

政府・東電がフクシマ事故を「コントロール」できていないどころか、コントロールする約束を破っていたことも報道されています。昨日の時事通信は、東電が1000億円と安全とをいかに天秤にかけたかを伝えています。

東京電力が2011年6月、福島第1原発の汚染水漏れを防ぐため凍土式の
遮水壁設置を検討したものの、多額の費用負担による経営破綻を懸念して
先送りしていたことが分かった。
東電、遮水壁設置を見送り=原発事故直後の6月?民主・馬淵氏が証言
時事通信 9月18日(水)11時35分配信
新潟県の泉田知事が、「東電の破綻処理も選択肢のひとつ」と言い切る根拠は明快です。先月8月28日、知事は東京で「原子力発電所の安全対策における懸念について」と題して、ふたつの講演を行いました。
日本外国特派員協会での講演(英語通訳つき)2013.8.28 youtube
英語で通訳されることを考慮した明晰な日本語プレゼン。通訳の英語も明快。

日本記者クラブでの講演 2013.8.28 youtube
このふたつの映像を見ると、外国人ジャーナリストと日本のマスコミ記者の違いが興味深い。


 (2013/8/31) 
8月の原爆・原発報道 

まず、テレビ朝日の、

「原発と原爆 日本の原子力とアメリカの影」 youtube
ザ・スクープスペシャル テレビ朝日 8月11日放送 
が、日米の関係者の証言や機密情報にもとづく、出色のスクープ番組でした。機密文書のコピーなどが映し出されたとき、放送では文書テキストまでは読み取れなかったが、こうして動画記録としてアップされると、しっかりと確かめられます。

東電の汚染水漏れに関するメディアのニュースは、東電の発表に基づく伝達報道が目立ち、なにか新規の問題が発生したかのような印象を与えていました。事故発生当初から小出裕章氏が対策を提案していたのに、政府東電が対策を怠ってきたことがもたらした人災、というより、犯罪。これもテレ朝のモーニングバードが、これまで一貫して福島原発事故を追ってきただけあって、問題の核心を突いていました。

「そもそも汚染水漏れは防ぐことができなかったのだろうか?」 youtube
モーニングバード! テレビ朝日 8月1日
福島第一原発事故は収束していないし、なぜ事故が起ったのか、そもそも検証・総括も終わっていない中で、原発の再稼働を後押しするような論調のメディアまであります。その代表例が、
柏崎刈羽の申請 知事は責任もって認めよ
産經新聞【主張】 2013.8.21
この日、新潟では泉田知事の定例記者会見があり、質疑応答で当の産経記者がその社説について知事の「所見」を尋ねています。その会見要旨は新潟県のホームページに掲載されております。
平成25年8月21日 泉田知事定例記者会見要旨
新潟県知事公式ホームページ「海彦、山彦、裕彦」記者会見
が、下記のブログでは独自に文字起こしして、適宜アンダーラインや強調色を使い、かつ、産経の元記事と会見ビデオを同時に掲載しているので、参照しやすい。
産経新聞の[主張]と泉田新潟県知事8/21記者会見(文字起こし) youtube
みんな楽しくHAPPYがいい ― 2011年3月11日。その後私は変わりました。
その産経記者とのやりとりを一部引用させていただくと、
産経:知事の対応について、刈羽村長から「評価しない」という答えをいただいたのですが、
それについて

泉田:今と同じです。だから、
なんでね、この事故が起きたんですか?
対処ができなかったんでしょ?
それにどう対応するんですか?
説明していないですよね。
そういうことだと思います。

産経:知事としては再稼働の議論をしないということなんですか?

泉田:だから先行させてくれということです ― 原因究明と対策。
なんでこの事故が起きて、防げなかったのか、と。
防げなかったことに対してどう対応するのか、
ってことを一度も説明していないでしょう。
聞いたことありますか?

産経:ないですよ。その通り。

泉田;だから、それで、じゃあ「リスクだけ取れ」という議論をするんですか?

産経:まぁ、さっきの繰り返しになりますけど、再稼働については安全策、事故の...

泉田:「こことここが原因だったから我々はこう対策をしました」というのがあればいいですよ。
無いじゃないですか。
泉田知事がこれだけスジを通せるのは、2007年の柏崎刈羽原発事故後の県の対応が、福島第一原発事故から首都圏壊滅を救った、という事実に裏打ちされているからかも知れません。7月5日付けコラムで紹介した東電廣瀬直己社長との会談には、以下の指摘があります。
泉田知事:
東京電力は、トラブル隠しを起こしているし、社会的に信用を失いました。
柏崎刈羽原子力発電所が ― 職員のみなさんを含めて ― ですね、
その後信頼回復をするためにどれだけ苦労されたか、
ご存じでしょうか?
で、平素の間でもちゃんとやりとりができるように、
ホットラインだってちゃんと繋がるように、
ということで、免震重要棟 ー あれは2007年の中越沖地震の時に、
ホットラインが繋がらなかったことから、「つくってくれ」ということで 
つくって頂いたわけですよ。
新潟に造ったから、たまたま福島にも造ったわけでしょ。
あれがあったからこそ、東京が今住めているわけですよね。

廣瀬社長:ほんとうにそのときは...

泉田知事:それだけ真摯に現場の人が苦労しているのに、
トップがウソをついたり、約束を守らないという形で信用を失っていったら、
この人達の苦労はどうなるんですか。
そういうことを考えませんか?

廣瀬社長:もちろん、あの、あの...
(7月5日 東京電力廣瀬直己社長と泉田裕彦知事の会談)18:40〜 youtube


 (2013/8/6) 
Sotheby's に出品・落札された13年前の盗難ルノワール ― ではバイクは? 

ヤフーニュースのトピックスに、盗難絵画のオークション落札の記事がありました。

13年前東京で盗難、ルノワールの絵が競売に
読売新聞 8月5日(月)12時55分配信
 13年前に東京都世田谷区の住宅から盗まれたルノワールの絵画が、今年2月に
英国のサザビーズによる競売にかけられ、約105万ポンド(約1億5000万円)
で落札されていたことが警視庁成城署などへの取材でわかった。
大手新聞がみな「警視庁成城署への取材で分かった」と、二次情報をソースにしているので、元情報はどこなのかと、Renoir+Madame_Valtat+Sotheby's のキーワードで捜すと、まず The Japan Times に掲載されたKyodo News の記事がヒットします。
Tokyo man discovers Sotheby's auctioned his Renoir stolen in 2000
The Japan Times  Aug 5, 2013
それによると、絵画は2000年8月に盗難、ロンドンのサザビーズで落札されてのが今年の2月5日、オーナーが落札に気づいて警察に連絡したのが3月、という。それが今になってニュースになったのは、Kyodoがサザビーズに取材した記事が報道されたせいか? イギリスBBCにこのニュースは(今現在)まだ見つかりません。 日本(語)の報道の中には、すでに時効だの、サザビーズが顧客情報を開示しないので捜査はむずかしい、などの記者の憶測が散見されますが、このKyodoの発信記事には、サザビーズ側は絵画が盗品だった可能性を調査していて、関係者と協議中、とあります。
The auctioneer said it has been looking into the possibility the work was 
a stolen item and is in discussion over the issue with the parties involved.
注目したのは、日本のメディアも引用している以下の事実:オーナーは被害時に盗難届けを出したが、警察も被害者本人も、盗難絵画のデータベースに登録しなかった、というもの。
It is believed the owner notified police in Japan at the time of the theft, 
but neither he nor the authorities contacted the stolen items database to 
have the works listed.
はて、オークション取引が盛んな骨董や美術品には、盗難情報の国際的なデータベースがあるのか? それって、だれもが閲覧できる公開のものか、それとも、オークション会社や捜査機関などの会員限定のものか? その詳細は調べておりませんが、日経には以下の言及がありました。
調査に限界、国際連携必要 英で盗難ルノワール絵画競売
日本経済新聞 2013/8/5 12:27 
 世界中の美術品の盗難情報を収集する英国の会社「アート・ロス・レジスター」で、
美術品を捜し出して返還交渉に携わるクリストファー・マリネッロ氏は「日本はわれ
われのデータベースを利用すべきだった」と力を込める。(中略)データベースには
個人でも有料で登録できるが、男性はしていなかった。日本の警視庁も登録手続きを
せず、盗品の競売を未然に防ぐことはできなかった。
サザビーズはオークション名門のひとつですが、骨董や美術品だけでなく、コレクターがいればなんでも品目になります。

2001年の9.11にシカゴにいた私は、そこで、1914年製のSears Dreadnaught がシカゴのサザビーズに出品されたことを紹介しました。わたしのCBXや登録バイクも、もしかして100年後にサザビーズに出て来るかな。それまで、このデータベースをどう存続させるか。ちなみに、当サイトの英文タイトルは「ストールン・モーターサイクル・レジスター&リカバリー」です。



 (2013/7/5) 
国会事故調の参考人追及の続編 泉田知事、東電社長に「ウソをつく会社ですか?」 

今日5日、東京電力の広瀬社長が、新潟県の泉田知事と会談したことがニュースになっていました。報道陣のカメラを入れたのは知事側の配慮と思われますが、映像つきのニュースもあり、その「会談」の生々しい様子が見て取れます。

東電社長、新潟県知事に原発安全審査申請に理解求めるも物別れ
フジテレビ系(FNN) 7月5日(金)19時4分配信
しかし、編集された映像からは、記事では伝えきれていない内容がありそうな気配がしました。というのも、上記のニュースでは「柏崎刈羽原発の安全審査の申請をめぐり、泉田知事との会談に臨んだ」といいますが、会談というよりは、知事の質問に東電広瀬社長はまともに返答できず、東大話法ならぬ一橋話法のはぐらかしが、聞いていて苛つきさえ呼び起こします。

なにか会談の段取りがおかしいな、と思って、この会談のノーカット映像がアップされていないか捜したら、YouTubeにありました。45分ほどです。

泉田知事、東電社長に不快感〜原発再稼働めぐり new
この映像に、どのニュース記事も伝えていない事実のひとつがありました。それは、会談のアポは広瀬社長の再任の挨拶という目的でとっていた、というもの。ところが、下心は再稼働申請決定の「事後」報告だった。それを指摘して、釈明を待つ知事はこう念を押します。
カメラ回っていますからね。これ、国民が聞いたらどう感じるか、という
ことですよ。東京電力ってウソつく会社だと、トップが先頭切ってウソ
つく会社だと、伝わるんですよ。(15:10〜)
国会事故調の公開の委員会で野村委員が清水東電元社長参考人を問いつめていったシーンの再現のようです。


 (2013/7/2) 
これで駐米大使が勤まったのか 

統一球問題は、日本野球機構が第三者委員会を設置することで時間稼ぎと沈静化を計ったものの、事態はさらに進展しています。まずは、労組日本プロ野球選手会が27日に日本野球機構にたいしてコミッショナーの退陣を含む要望書を提出しました。それをデイリースポーツのニュースは、見出し一行で的確に表現していました。

選手会が加藤コミッショナーに“退陣要求”「消極的で責任回避的な人物」
デイリースポーツ 6月28日(金)6時59分配信 
そうして、記事では、
統一球問題が新展開を迎えた。選手会がNPBに提出した要望書の内容は
5項目。その第1項では、騒動の原因として「プロ野球の将来について
消極的で責任回避的な人物がこれまでコミッショナーを務め続けてきた
ことにある」と、アンダーラインを引いて強調した。
この要望書にたいする加藤コミッショナーの反応が、今日ニュースになっています。それによると、コミッショナーは1日、都内の日本野球機構で報道陣の取材に応じたとのこと。映像を捜しましたが、見つからないので、各紙の報道を読み比べたのですが、やはりデイリースポーツの記事がうまくまとまっていました。
6月27日に選手会からNPBと第三者委員会あてに提出された要望書
について、同コミッショナーは「報道で読んだだけ」とその存在は認めた
が「私あてのものではないので」と直接、文書に目を通すことは拒否した。
選手会側に事情説明する可能性について問われると、なぜか「ハッハッハ」
と笑い、「それはありません」ときっぱり。
加藤コミッショナー「私の評価は歴史がする」強まる退陣論を無視
デイリースポーツ 7月2日(火)7時0分配信
自分個人宛のものでないから読まない、という言い分にはさすがに記者も呆れたことでしょう。それが記事のトーンによく現れています。そうして見出しにもなっている引用句はどんな文脈で発せられたのかと思ったら、
強まる退陣論に対して、「私の評価というのは、人間誰でもそうですが、
結局は歴史がすると思います」と言い放った。
(上記 デイリースポーツ)
「人間誰でもそうですが」とは、この元官僚、日本語が支離滅裂。自分を歴史上の大人物と見ているようだが、気の毒にも、開き直っているあいだに、統一球そのものが意味がなかった、という歴史判定を呼び込んでしまいそうです。

このままだと、統一球の歴史的失敗どころか、さらに駐米大使時代の不祥事のリークの、呼び水にもなりかねません。



 (2013/7/1) 
なでしこの不安材料は選手よりも監督 

29日ドイツとの親善試合でなでしこは2−4で破れましたが、実況を見ていて佐々木監督の采配が気になりました。事前にどういう作戦を立てていたのか、そして劣勢に立ったとき、どう手を打ったのかが見えなかったことです。

たとえば、ミスを連発してPKまで与えた田中は、本来のポジションではないSBで慣れない様子だったし、ロスタイムの丸山のPKの与え方も普通では考えられないが、試合終了間際に投入されたことでなんとか結果をと焦ったためのように見えました。同じく終了直前には岩渕も投入されましたが、なんでもっと早く交替させないんだろう、と思ったものです。

そうして、試合後のメディアの報道を見ても、監督の采配についての論評が見当たりません。それどころか、監督のことばとして、

「全てにおいて相手より勝っている点はなかった」
【なでしこ】独に完敗 ノリさん、力の差を痛感
スポーツ報知 7月1日(月)7時5分配信
とのコメントをほとんどが引用しています。いったいこれが指揮官のことばか。上記の記事は続けて、こう言います。
指揮官は「単に若手だからといってチャンスを与えるのではなく、今回は勝てるメンバー
でいく」という方針から、イングランドとドイツの強豪2か国と戦う欧州遠征にベスト
メンバーで臨んだが、1分け1敗。世界女王を研究し尽くしてきた強豪に対し、なでしこ
が停滞期にあることを示す結果となった。
相手はなでしこを研究しているのに、佐々木監督は相手を研究しなかった、と読み取ってしまいます。それは同時に「勝てるメンバー」に根拠がなかったことにもなります。これが男子日本代表ならザッケローニ監督は叩かれていたはず。それが、女子代表の敗将は「ノリさん」と呼ばれ、メディア報道に緊張感がありません。

以前危惧したことがますます現実味を帯びてきている気がしてなりません。

WC優勝とオリンピック銀メダルという功績のために、選手のプレーと監督の采配について冷静な評価と批判がタブーとなっているとしたら、それこそがなでしこが抱える最大の弱点になるかも知れません。





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