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2010’05/22 「第4章 調査業務の執行」とその解説 第4章 調査業務の執行 この第4章は、火災調査を現場等で推進するにあたって必要な事項を定めている。分量も多く 多岐に渡っている。 第1節 火災出場時の調査 (火災出場時の見分状況把握) 第47条 火災に出場した職員は,消防活動を通じて火災の状況の見分に努めなければならない。 2 調査員は,出場途上及び現場において関係者等への質問及び現場の状況から発見,通報,初期消火,火気管理,避難,死傷者,消防対象物のり災状況並びに消防用設備等の使用,作動状況等を把握し,事後の調査に活用させるよう配意しなければならない。 3 前項における現場質問は,迅速的確に行うものとする。 (現場の保存) 第48条 火災に出場した職員は,消防活動をするにあたって,事後の調査の支障とならないよう別に定めるところにより,現場の保存に努めなければならない。 第1節「火災出場時の調査」は、火災調査活動は、火災出場と同時に開始されることを定めている。 第47条「火災出場時の見分状況把握」は、出火出場から鎮火のまでの全ての消防活動を通じて、見て、聞いて、感じないようを確認 することを明記し、見分調書として文書に作成されることを規程している。特に、質問事項などの事案は、そのときでなければ得られ ないこともも多くあり、それらの活動に携わった職員全てにその義務を課している。第48条「現場の保存」は、消防法第35条第2項に もえ定められており、消防職員として当然の任務でもある。 詳細な事項として、「現場の保存」は、次の項目に留意するものとして いる。 @ 消防活動に伴い,物件を移動し,又は破壊する場合は必要最小限にとどめ,現場の状況を写真撮影により記録する等 の配慮をしなければならない。 A 現場保存の区域は,必要最小限にとどめ,ロープ等によりその範囲を明確にするものとする。 第2節 鎮火後の調査 (調査現場の指揮) 第49条 署長は,調査の進行の万全を期すため調査の指揮者を定めなければならない。 2 調査の指揮者は,現場見分,写真撮影,図面作成等の各担当者を指定し,組織的に調査の進行を図るものとする。 3 調査の指揮者は,関係者等への質問を行うにあたっては,重複を避け効率的な調査を行わなければならない。 (現場立会人) 第50条 現場の調査は,関係者を現場立会人として実施しなければならない。ただし,特別な事情により関係者が不在でやむを得ない場合は,警察官又は関係者の近親者その他適当な者を立会人とすることができる。 2 現場立会人は,見分しようとする場所又は物件に直接関係する者を優先しなければならない。 3 調査現場において調査のため必要がある場合は,関係者の了解を得て,当該火災に関係する物件(以下「物件等」という。)の製造者等を立会人とすることができる。 4 前各項により現場の立会いを求めた場合は,安全管理,言動等に配意をしなければならない。 (火災原因調査) 第51条 調査の指揮者は,調査員に第4条第1項に定める火災原因調査を実施させるものとする。 2 前項の調査は,人的行動のほか,建築物,工作物及び建築設備並びに火気使用設備器具等の構造,機能,材質等に着目し,製造,施工及び保守管理の状況を調べるものとする。 3 避難状況の調査は,特に出火時の状態と避難行動の関係に着目し,また,延焼状況の調査は,特に延焼の媒体となった構造,材質等に着目し,実施するものとする。 (発掘) 第52条 出火原因の調査は,現場見分状況及び火災出場時の見分状況並びに関係者等の供述を総合的に判断して,出火範囲を限定し,現場の発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。 2 発掘は,出火範囲として限定した区域を周囲から出火箇所付近へ順次実施するものとする。 3 見分に伴う発掘に際しては,立会人の供述に基づく物品配置等に留意し,物件等の原状確保に配意しなければならない。 4 前項の発掘は,原状を復元する観点に立って行うものとする。 (出火原因等の検討及び物件の鑑識等) 第53条 前条に定める発掘の結果,出火箇所が判定された段階において出火原因の検討を行うものとする。 2 前項の検討は,発掘された物件等の鑑識結果及び出火箇所付近の焼損状況並びに延焼経路を参考として行わなければならない。 (火災損害調査) 第54条 調査の指揮者は,調査員に第4条第2項に定める火災損害調査を実施させるとともに,必要と認める場合はり災した消防対象物の関係者に対し次の各号に掲げるり災申告書用紙により申告を求めるものとする。 (1) 不動産り災申告書(別記様式第4号) (2) 動産り災申告書(別記様式第5号及び第5号の2) (3) 車両・船舶・航空機り災申告書(別記様式第6号) 2 前項のり災申告書を求めることができない場合又は被害が軽微でその必要がない場合は,火災損害状況調書(別記様式第7号)を作成しなければならない。 3 関係者からのり災申告書は,これを審査して受理するものとする。審査の結果,現場における消防対象物のり災状況調査の内容と当該り災申告内容が著しく異なる場合は,質問等によりその矛盾を明らかにし,訂正を求めた後,受理するものとする。 4 関係者にり災証明を行う際には,火災損害調査の結果及び前項のり災申告書の内容に基づき行うものとする。 (調査終了時の措置) 第55条 調査の指揮者は,調査現場における調査を終了したときには,別に定めるところにより,関係者に終了した旨を通知するものとする。 第2節「鎮火後の調査」は、まさに火災調査活動そのものである。 現場活動にあたって、火災の規模に係わらず「調査現場の指揮者」を定めて、組織的に実施することを定めている。このことは、火災 現場には、り災者等関係者がおり、その人達への配慮からも円滑な調査が必要とされることから定めている。そして、「発掘」>「出火 原因の検討」をして、現場できない時は「物件の鑑識等」に配慮することにしてい。また、同時に「損害調査」を実施することにしている。 第55条「調査終了時の措置」は、 現場で漠然と終了させないで、関係者に行政活動の結果を公表することを義務づけている。その 内容として、@関係者への通知は,焼損状況及び関係者等の供述に基づき,客観的に判明した状況の説明、A 再出火防止に関 すること、通行人等に対する危害防止に関すること、を説明するように定めている。 第3節 立証のための調査 (立証のための調査) 第56条 署長は,調査現場において焼損物件等の分解や見分が困難な場合は,日時を改めて,火災原因等の究明に関する詳細な見分及び実験を必要とする調査(以下「立証のための調査」という。)を行うものとする。 2 署長は,立証のための調査では見分の場所,日時等を明確にし,努めて第12条に定める主任調査員又は調査担当員に行わせるものとする。 3 署長は,製造物からの火災に関連すると認められる場合は,第13条又は第15条に定める鑑識又は鑑定の要請に配意し,前2項による調査を行うものとする。 (物件等の提出) 第57条 署長は,現場において立証のための調査が必要と思われる場合は,関係者の了解を得て物件等を提出させるものとする。 2 署長は,前項により任意に提出させた物件等については,資料提出承諾・受領書(別記様式第8号)により処理するものとする。 3 署長は,立証のための調査が終了したときには,努めて物件等を返却するものとする。 (資料提出命令) 第58条 署長は,前条の規定によっては物件等の確保が困難と思われる場合は,法第34条の規定に基づき,関係者等に対し,資料提出命令書(別記様式第9号)による物件等の提出を命ずるものとする。 (物件等の保管・返還) 第59条 署長は,前条により物件等の提出があった場合は,提出者に対し資料保管書(別記様式第10号)を交付し,所有権を明確にしておかなければならない。 2 前条に基づく物件等には,保管品台帳(別記様式第12号)に記載してこれを保管しておかなければならない。(ち) 3 物件等を返還する場合には,資料保管書と引換えに行うものとする。 (鑑識実験) 第60条 署長は,立証のための調査に必要な場合は鑑識実験を行うものとする。 (官公署への照会) 第61条 署長は,官公署に対し調査に関する事項を照会する場合は,火災調査関係事項照会書(別記様式第13号)により行うものとする。 第3節「立証のための調査」を定め、従来の「火災調査現場」中心から、さらに、PL法や行政手続法などの社会情勢を踏ま えて、定められている。 第56条「立証のための調査」として、鎮火後の調査と区別した、考え方を示している。そのため、調書なども異なった編纂となる。 第57条から第59条は、行政的な手続きの完結性を示している。第60条は、立証のための調査の中で、必要とされる「鑑識 実験」を定め、実験等に裏付けられた火災原因判定を定めている。実態として、「火災実験」は、予算・場所等様々な制約があ るが、規程上の定めとして、行うようにしている。第61条「照会」は、現在、火災による死者の発生に際して、「死体検案調書」の 照会を得て、その結果から死因判定する、など、立証する上で必要な多くの照会を義務づけている。 |