火災調査規程 < 火災調査探偵団 >次のページへ >消防法の「火災調査」の解説
Fire-Investgation-Rules
2010’05/03 目次とその解説 全体の目次を見ると、総則から委任までの7つの章に分かれる。 目 次 第1章 総則(第1条・第2条) > −01 第2章 調査業務体制 > −02 第1節 調査の原則(第3条〜第9条) 第2節 調査態勢(第10条〜第17条) 第3節 削除(第18条〜第30条)(ち) 第3章 調査業務処理の基本 > −03 第1節 調査実施上の通則(第31条〜第35条) 第2節 基本事項の処理(第36条〜第46条) 第4章 調査業務の執行 > −04 第1節 火災出場時の調査(第47条・第48条) 第2節 鎮火後の調査(第49条〜第55条) 第3節 立証のための調査(第56条〜第61条) 第5章 調査結果の記録等 > −05 第1節 調査書類の作成(第62条〜第67条) 第2節 照会等の対応(第68条〜第70条) 第3節 立入検査証(第71条・第72条) 第6章 震災時の火災調査 > −06 第1節 震災時の火災調査体制(第73条〜第80条) 第2節 調査結果の報告及び活用(第81条〜第85条) 第7章 委任(第86条) 「目次」の解説 「第1章 総則」は、全体の大枠を指定し、この規程の適用範囲や趣旨を説明。 「第2章 調査業務体制」は、火災調査全体の業務の指針を説明している。 火災調査規程は、昭和30年当時に作成され た原因調査規程と損害調査規程に分かれていた。その後、この2つを昭和50年代に単純に統一化したため、ちぐ はぐな所があったあったことから、平成7年のPL法関連の改正時に見直され、火災調査の基本的考え方と組織 活動のあり方を示している。 なお、3節の「削除」となっているのは、旧「火災調査本部・規程」があったもので、現在は、大規模火災時に 全庁的な対応をとなって、予防部全体として活動することから、本部設置規程は削除された。 ただし、大規模特異火災時に「便宜的」短期的に同名称で設置されることはある。 「第3章 調査業務処理の基本」は、 火災調査全体を捉えて、業務のあり方を基本指針として定め、旧損害調査規程 で示されていた火災調査の枠組みなどの用語等を定めて業務処理の統一性を保つことを主眼としている。 「第4章 調査業務の執行」は、旧火災原因調査規程と関連づけられる内容で、火災調査現場の進め方などの現場活 動上の基本指針を示し、合わせて、現代のPL法等の関連から第3節に「立証のための調査」などを示している。 「第5章 調査結果の記録等」は、火災調査書類の作成責任や要領、内容、様式などを定めている。 「第6章 震災時の火災調査」は、平成7年の阪神淡路大震災を踏まえて、作成されているもので、震災時火災後に おいて調査すべき内容を事前に特定し、震災後の復興支援活動に資することを目的としている。ただし、 震災後において、保険金支払いや後日の検証のためにも必要とされる火災調査は、原因を含めて確実に 行うことにしている。 この章の作成により、地域防災計画での[震災後の復興]に消防の役割の位置づけとなる。 第1章 総則 (趣旨) 第1条 この規程は,消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)の執行について必要な事項を定めるものとする。 趣旨は、火災調査規程が消防法第7章を受けて、作成される性格のものであると示している。 (用語の定義) 第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号の定めるところによる。 (1) 火災 人の意図に反して発生し,若しくは拡大し,又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって,これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの,又は人の意図に反して発生し,若しくは拡大した爆発現象をいう。 (2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の一つの形態であり,急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し,爆鳴,火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。 (3) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し,活用するための質問,現場見分,鑑識,鑑定,実験,照会等の一連の行動をいう。 (4) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため,専門的な知識,技術,経験及び機器を活用し,総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。 (5) 鑑定 火災にかかわる物件の形状,構造,材質,成分,性質及びこれに関連する現象について,科学技術的手法により,必要な試験及び実験を行い,その結果をもとに火災原因の判定のための資料を得ることをいう。 (6) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。 (7) 主任調査員 第12条第1項の規定に基づき消防署長(以下「署長」という。)が指定した者をいう。 (8) 調査担当員 第12条第1項の規定に基づき署長が指定した者をいう。 (9) 鑑識員 予防部長(以下「部長」という。)が調査課員のうちから指定した鑑識を行う者をいう。 (10) 鑑定員 消防技術安全所長(以下「技術安全所長」という。)が消防技術安全所員のうちから指定した鑑定を行う者をいう。(か) (11) 関係者等 法第2条第4項に定める関係者並びに火災の発見者,通報者,初期消火者及びその他調査の参考となる情報を提供しうる者をいう。 (12) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。),観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所,店舗,興行場,倉庫その他これらに類する施設をいう。 (13) 建物の収容物 柱,壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物のほか,バルコニー,ベランダ等に置かれた物をいう。 (14) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製作された用具であって自動車,汽車,電車及び原動機付自転車をいう。 (15) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。 (16) 船舶 独行機能を有する帆船,汽船及び端舟並びに独行機能を有しない住居船,倉庫船,はしけ等をいう。 (17) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に定めるものをいう。 (18) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に定めるものをいう。 (19) 原野 自然に雑草,かん木類が生育している土地で人が利用しないものをいう。 (20) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。 (21) 用途 建物,車両,船舶,航空機等が占有され,又は使用されている目的をいう。 (22) 業態 原則として,事業所において業として行われている事業の態様をいい,教育,宗教,公務,非営利団体等の諸活動を含むものとする。 (23) 製造物 製造物責任法(平成6年法律第85号。以下「責任法」という。)第2条第1項に定める製造又は加工された動産をいう。 (24) 欠陥 責任法第2条第2項に定める欠陥をいう。 (25) 火災調査分析管理システム 火災調査結果から得られた情報(以下「火災情報」という。)を処理し,効果的活用を図るための機能(以下「調査システム」という。)をいう。 (26) 認定者等 東京消防庁職員の技術認定等に関する規程に定める予防技術認定者,上級予防技術認定者(調査)並びに火災調査の分野種別におけるスペシャリスト及びエキスパートをいう。 「火災」の定義は、国の「火災報告取扱要領に従っている。 この要領は、平成6年に改正され、それ以前は「爆発」を火災の定義 の中で扱っていなかった。 しかし、消防法第1条の「火災」の用語としては、消防活動の範囲として「爆発」が含まれ、合わ せて、法7章の「火災の調査」においても「爆発」を火災調査対象としていたことから、これらの活動上の事実行為を踏まえて、 取扱要領を改正した。 爆発を「火災」に含めることは、用語的には無理があるが、消防活動の実態と火災予防上の視点か らも取り込んでいる。このため、損害関係の焼損の程度などで若干の食い違いが生じるが、はめ込んでいる。 「爆発現象」を定義して、火災として扱わない領域は、明確にしている。ここでは、化学的燃焼に視点を置いている。水蒸気爆発や 管体破裂などの主に物理的現象とされる爆発は「火災の定義」から外した。 「調査」「鑑識」「鑑定」と用語を分けている。通常の火災調査活動を広く「調査」とし、より専門的な知見を基に詳細に検討する過 程を「鑑識」として、研究所等の分析や写真判定などの活動を「鑑定」としている。 鑑識を行う実施者を「鑑識員」、鑑定を 行う実施者を「鑑定員」としている。 「主任調査員」は、消防署で最も主体的に火災調査を担う立場いる調査員で、責任者でもある。各消防署は、この「主任調査員」に より活動の効果的な推進がなされる。本部の研修等も主任調査員が、署代表として受講し、技術的にも法律的にも「火災調査」 の最先端を担い、この人物を通して、各署の調査のレベルが向上するシステムとなっている。 「建物」から「業態」までは、国の火災報告取扱要領に準じている。 「製造物」「欠陥」は、PL法に準じた内容で、火災原因調査で留意しなければならない考え方として定義した。 |