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カレブ・ガテーニョ博士( Dr.Gattegno, Caleb 1911-1988 )

ガテーニョ博士は数学教育・言語教育・識字教育など教育の様々な分野で世界的に知られており、講演会やセミナー、ワークショップはアメリカをはじめヨーロッパなど世界各地で開かれ、日本にも1984年から1988年にかけて毎年来日しました。

ガテーニョ博士は1940年代のはじめに、教育を1つの科学として追及することを提案しています。ガテーニョ・アプローチと呼ばれるその理念は複合的なもので、特にその中核をなす学習理論は教育界に大きな貢献を残しています。サイレントウェイはその学習理論を外国語教育に適用した例の一つです。ガテーニョ博士は「人類の進化は教育によるしかなく、その教育は単なる知識の伝達ではなく人間の真の習得に働きかけるものでなければならない。真の習得は『awareness(気づき)』なしには起こり得ない」という言葉を残しています。

ガテーニョ博士の略歴
1911 エジプトのアレキサンドリアに生まれる。 父はスペイン人、母はイタリア人。
1931

理学(物理化学)学士号を取得。アレクサンドリア(エジプト)のフランス系高等学校(リセ)にて教鞭を執る。

1936 マルセイユ大学(フランス)にて数学の高等教育免状(D.E.S.)を取得。
1937

バーゼル大学(スイス)で数学の博士論文公開審査に臨む。以後1945年までカイロ(エジプト)の高等科学技術研究所の責任者となる。ついで、リヴァプール大学、ロンドン大学(イギリス)で数学教授として教壇に立つ。

1948 同大学で文学博士号(教育学)を取得。
1952 リール大学(フランス)で文学博士号(心理学)を取得する。1950年から1960年まで国際数学教育研究・改革委員会の委員長を務める一方で1952年、イギリス数学教授連合を設立。1961年まで議長を務める。
1954 小学校教諭 G・キュイズネールと出会う。(キュイズネールは学習教材として角棒を考案した人物であり、角棒には彼の名前がつけられている。)ガテーニョはこの角棒を成立させているのが代数的モデルであることに逸早く気づき、このモデルの可能性を追求し、発展させることになる。
1957 ユネスコ技術顧問としてエチオピアに赴任。読み書きのできない人の問題を解決するために色を読ませる識字法を考案。以来、言語習得の問題にも関心を寄せるようになる。
1963 このテーマについて最初の著作を発表。その後も研究を続け、その成果は言語を習得させるために彼自身が考案したアプローチ「サイレント・ウェイ」として結実する。
1965 ニューヨークに居を移し、<Schools for the Future> を設立。
1968 同校は研究機関と出版局の機能を兼ねた <Education of Solutions>となる。著作・研究活動のかたわら、1年の半分以上を世界各地においてセミナーを開き、教育者の養成に尽力する。
1988 パリにて没する。