レポートの構成

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レポートの構成(こうせい)基本(きほん)

構成(こうせい)とは、内容(ないよう)をいくつかの部分(ぶぶん)()けて、それを適切(てきせつ)順序(じゅんじょ)(なら)べるということである。どんなに(あたま)()(ひと)でも、複雑(ふくざつ)内容(ないよう)全体(ぜんたい)をいきなり理解(りかい)することは容易(ようい)ではない。内容(ないよう)部分(ぶぶん)()けて順序(じゅんじょ)よく提示(ていじ)することで、理解(りかい)しやすいものにすることができるのである(もちろん(むずか)しいものが簡単(かんたん)になるわけではないが、理解(りかい)しやすいものにすることはできる)

以上(いじょう)説明(せつめい)からも()かるであろうが、報告(ほうこく)でも論文(ろんぶん)でも、構成(こうせい)重要(じゅうよう)なポイントである。以下に、レポートの構成(こうせい)について、(くわ)しく説明(せつめい)することにする。

報告(ほうこく)構成(こうせい)基本(きほん)

報告(ほうこく)で、内容(ないよう)相手(あいて)効率的(こうりつてき)(つた)えるためには、全体(ぜんたい)がうまくまとめられていなければならない。()(あつ)めた情報(じょうほう)がバラバラに(なら)べられていたのでは、とても()かりにくいというだけではなく、報告(ほうこく)とはいえないものになってしまう。

報告(ほうこく)構成(こうせい)基本(きほん)は、(つぎ)のようなものになる。

  1. 題名(だいめい)(タイトル)
  2. 報告本体(ほうこくほんたい)
    1. はじめに
       →(なに)について報告(ほうこく)するかを(みじ)くまとめて()
    2. 本文(ほんぶん)
    3. まとめ
       →報告(ほうこく)内容(ないよう)簡潔(かんけつ)にまとめて()
    4. 注釈(ちゅうしゃく)
    5. 参考文献(さんこうぶんけん)リスト
  3. 附属資料(ふぞくしりょう)

題名(だいめい)

報告(ほうこく)では、まず、題名(だいめい)(タイトル)を明示(めいじ)する。題名(だいめい)は、表紙(ひょうし)と1ページ()先頭(せんとう)()表紙(ひょうし)をつけないときは、1ページ()先頭(せんとう)だけに()く)表紙(ひょうし)()(かた)は、〔題名と表紙〕を参照(さんしょう)せよ。

報告本体(ほうこくほんたい)

報告本体(ほうこくほんたい)は、「(なに)について報告(ほうこく)するか」→「報告(ほうこく)具体的(ぐたいてき)内容(ないよう)」→「内容(ないよう)簡潔(かんけつ)なまとめ」の順番(じゅんばん)()く。

はじめに

報告本体(ほうこくほんたい)では、まず、「(なに)について報告(ほうこく)するか」を()かなければならない。これは、『はじめに』の(なか)()くのがふつうである。『はじめに』の(れい)以下(いか)(しめ)す。

はじめに

近年(きんねん)科学技術(かがくぎじゅつ)急速(きゅうそく)発展(はってん)が、社会環境(しゃかいかんきょう)急激(きゅうげき)変化(へんか)させている。そのなかで、「生涯学習(しょうがいがくしゅう)」の必要性(ひつようせい)声高(こわだか)(さけ)ばれてきている。現代(げんだい)社会(しゃかい)では、(あら)たな知識(ちしき)技術(ぎじゅつ)対応(たいおう)するための学習(がくしゅう)生涯(しょうがい)にわたって必要(ひつよう)とされるのである。生涯学習(しょうがいがくしゅう)必要(ひつよう)とされる社会(しゃかい)では、より(おお)くの(ひと)がより()日常生活(にちじょうせいかつ)(おく)るために、学習(がくしゅう)機会(きかい)(ひろ)提供(ていきょう)されていなければならないであろう。

本報告(ほんほうこく)は、日本(にほん)における生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)現状(げんじょう)について報告(ほうこく)するものである。(とく)に、(おお)くの自治体(じちたい)設置(せっち)する「生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」の活動(かつどう)とその問題点(もんだいてん)についてまとめる。


はじめに

より(しつ)(たか)生活(せいかつ)(おく)るためには、心身(しんしん)健康(けんこう)不可欠(ふかけつ)である。健康(けんこう)維持(いじ)にとって日常的(にちじょう)運動(うんどう)重要(じゅうよう)であることは(ひろ)理解(りかい)されている。しかし、現代(げんだい)都市生活(としせいかつ)では、時間的(じかんてき)にも空間的(くうかんてき)にも様々(さまざま)制約(せいやく)存在(そんざい)している。そのため、都市生活者(としせいかつしゃ)日常的(にちじょうてき)運動(うんどう)(おこ)なうには、小型(こがた)効果的(こうかてき)補助器具(ほじょきぐ)必要(ひつよう)である。

本報告(ほんほうこく)では、短時間(たんじかん)全身運動(ぜんしんうんどう)可能(かのう)にする運動器具(うんどうきぐ)「X-Magic」を(もち)いて(おこ)なった実験(じっけん)結果(けっか)紹介(しょうかい)する。

『はじめに』は、報告(ほうこく)のテーマと、報告(ほうこく)()目的(もくてき)説明(せつめい)するものである。〈(なに)について()くのか?〉と〈どのように()くのか?〉とを簡潔(かんけつ)にまとめることになる。

(なに)について()くのか?

『はじめに』では、まず、報告(ほうこく)のテーマに関連(かんれん)して問題(もんだい)となる問題(もんだい)になっている)(てん)簡潔(かんけつ)指摘(してきする)する。たとえば、「生涯学習(しょうがいがくしゅう)」についての報告(ほうこく)ならば、生涯学習(しょうがいがくしゅう)必要性(ひつようせい)現在(げんざい)生涯学習(しょうがいがくしゅう)必要(ひつ)なのはなぜか)重要性(じゅうようせい)(なぜ生涯学習(しょうがいがくしゅう)重要(じゅうよう)問題(もんだい)となるのか)簡潔(かんけつ)()べればよいだろう。

どのように()くのか?

(つぎ)に、その報告(ほうこく)(なに)をしようとしているのかを()く。たとえば、「……現状(げんじょう)について報告(ほうこく)する。」とか「……実験(じっけん)結果(けっか)紹介(しょうかい)する。」とかいうように()けばよい。

なお、自分(じぶん)が今(いま)()いている報告(ほうこく)()場合(ばあい)は、「この報告(ほうこく)」、「本報告(ほんほうこく)」のようにいう。

本文(ほんぶん)

本文(ほんぶん)では、具体的(ぐたいてき)内容(ないよう)()いていく。

本文(ほんぶん)適当(てきとう)(かず)(しょう)(せつ)()けて()くのがふつうである。また、(せつ)適当(てきとう)(かず)段落(だんらく)形式段落(けいしきだんらく))に()けて()くようにする。

本文(ほんぶん)構成(こうせい)は、報告(ほうこく)のテーマや内容(ないよう)によっても()わってくる。ここでは一般的(いっぱんてき)構成(こうせい)(れい)(しめ)すことにする。

  1. 用語(ようご)定義(ていぎ)説明(せつめい)

    例:生涯学習(しょうがいがくしゅう)(かん)する用語(ようご)定義(ていぎ)()べる

    • 生涯学習(しょうがいがくしゅう)」とは(なに)
    • 生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」とは(なに)
  2. 現状(げんじょう)記述(きじゅつ)

    例:「生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」の現状(げんじょう)()べる

    • 全国(ぜんこく)にいくつくらいあるか
    • どのような場所(ばしょ)にあるか
    • どんな活動(かつどう)をしているのか
    • 利用(りよう)条件(じょうけん)費用(ひよう)はどうか
    • 実際(じっさい)利用状況(りようじょうきょう)はどうか
  3. 問題点(もんだいてん)指摘(してき)

    例:「生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」にどのような問題点(もんだいてん)指摘(してき)されているのかを()べる

    • すべての「生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」にあてはまる一般的(いっぱんてき)問題点(もんだいてん)
    • 特定(とくてい)の「生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」に()られる個別的(こべつてき)問題点(もんだいてん)
  4. 解決法(かいけつほう)提示(ていじ)

    例:3で指摘(してき)した問題点(もんだいてん)について、どのような解決法(かいけつほう)提案(ていあん)されているか()べる

    • 総合的(そうごうてき)解決法(かいけつほう)提示(ていじ)
    • 個別的(こべつてき)解決法(かいけつほう)提示(ていじ)

  1. 記述(きじゅつ)対象(たいしょう)範囲(はんい)指定(してい)

    例:テーマとなる話題(わだい)提示(ていじ)する。また、(なに)について報告(ほうこく)するのかを具体的(ぐたいてき)()べる

    • 健康(けんこう)のためには運動(うんどう)必要(ひつよう)であることを証拠(しょうこ)()げながら指摘(してき)する健康(けんこう)運動(うんどう)という話題(わだい)提示(ていじ)する]
    • 都市生活者(としせいかつしゃ)運動(うんどう)をする場所(ばしょ)時間(じかん)がないことを証拠(しょうこ)()げながら指摘(してき)する記述(きじゅつ)範囲(はんい)都市生活者(としせいかつしゃ)(しぼ)ることを()べる]
    • 都市生活者(としせいかつしゃ)でも簡単(かんたん)運動(うんどう)できる器具(きぐ)があることを紹介(しょうかい)する[その器具(きぐ)記述(きじゅつ)対象(たいしょう)となることを()べる]
  2. データの提示(ていじ)説明(せつめい)

    例:運動器具(うんどうきぐ)使(つか)って運動(うんどう)した場合(ばあい)実験(じっけん)データを提示(ていじ)する

    • 本当(ほんとう)効果(こうか)がある器具(きぐ)なのか確認(かくにん)するための実験(じっけん)だと()べる実験(じっけん)目的(もくてき)()べる]
    • 実験(じっけん)方法(ほうほう)回数(かいすう)実験(じっけん)場所(ばしょ)期間(きかん)実験(じっけん)対象(たいしょう)となる(ひと)属性(ぞくせい)人数(にんずう)などを(くわ)しく()べる実験(じっけん)概要(がいよう)()べる]
    • 実験(じっけん)()られたデータを(ひょう)やグラフで提示(ていじ)する実験(じっけん)結果(けっか)(しめ)す]
    • (なに)(あら)わしている(ひょう)やグラフか、項目(こうもく)内容(ないよう)数値(すうち)単位(たんい)(なに)かなど、(ひょう)やグラフの()(かた)(くわ)しく説明(せつめい)する[データの()(かた)説明(せつめい)する]【参考→図表の示し方
  3. データの分析(ぶんせき)解釈(かいしゃく)

    例:実験(じっけん)目的(もくてき)にしたがって、実験(じっけん)結果(けっか)分析(ぶんせき)する

    • 「このグラフから(あき)らかなように、器具(きぐ)使用期間(しようきかん)(なが)くなるほど、被験者(ひけんしゃ)体脂肪(たいしぼう)減少(げんしょう)している。」などと()べる[データが(なに)(あらわ)わしているのか分析(ぶんせき)する]【参考→図表の示し方
    • 「これは、器具(きぐ)による運動(うんどう)体脂肪(たいしぼう)減少(げんしょう)させることを(しめ)している。」などと()べる[データが(なに)(あらわ)わしているのか解釈(かいしゃく)する]
  4. 事実(じじつ)問題点(もんだいてん)指摘(してき)

    例:実験(じっけん)によって(あき)らかになったこと、(あき)らかにできなかったことを()べる

    • 器具(きぐ)による運動(うんどう)実際(じっさい)効果(こうか)があることを()べる実験(じっけん)によって(あき)らかになった事実(じじつ)をまとめる]
    • たとえば、実験(じっけん)結果(けっか)個人差(こじんさ)()られたことなどを指摘(してき)し、さらに(くわ)しい実験(じっけん)必要(ひつよう)だと()べる実験(じっけん)結果(けっか)(たい)する疑問(ぎもん)課題(かだい)()べる]
まとめ

『まとめ』では、本文(ほんぶん)()べた内容(ないよう)簡潔(かんけつ)にまとめて(しめ)す。(なに)について()べたのか、報告(ほうこく)のポイントはどこなのかがわかるように()く。

報告(ほうこく)場合(ばあい)は、本文(ほんぶん)(しめ)した事実(じじつ)だけをまとめて()べべればよい。自分(じぶん)意見(いけん)主張(しゅちょう)()必要(ひつよう)はない(ただし、他人(たにん)意見(いけん)主張(しゅちょう)()いてもよい)

アンケートや実験(じっけん)などを(おこ)なった場合(ばあい)には、その結果(けっか)簡潔(かんけつ)にまとめて(しめ)すようにするとよい。『まとめ』の(れい)以下(いか)(しめ)す。

まとめ

本報告(ほんほうこく)では、日本(にほん)における生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)現状(げんじょう)について報告(ほうこく)した。生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)する目的(もくてき)で40以上(いじょう)自治体(じちたい)が「生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」を設置(せっち)している。

しかし、「生涯学習(しょうがいがくしゅう)」の概念(がいねん)明確(めいかく)定義(ていぎ)されていないために、効果的(こうかてき)活動(かつどう)ができていない(めん)がある。また、地域社会(ちいきしゃかい)との連携(れんけい)不足(ふそく)から、十分(じゅうぶん)機能(きのう)していないセンターも(おお)い。

生涯学習(しょうがいがくしゅう)推進(すいしん)センター」には、設置目的(せっちもくてき)住民(じゅうみん)周知(しゅうち)するとともに、地域(ちいき)実情(じつじょう)(おう)じた活動(かつどう)(もと)められている。


まとめ

生活(せいかつ)(しつ)(たか)めるためにも、心身(しんしん)健康(けんこう)重大(じゅうだい)問題(もんだい)である。

本報告(ほんほうこく)では、運動器具(うんどうきぐ)「X-Magic」を(もち)いた運動(うんどう)により効果的(こうかてき)健康増進(けんこうぞうしん)可能(かのう)であることを(しめ)した。毎日(まいにち)分間(ふんかん)運動(うんどう)を1ヶ月(かげつ)(つづ)けることで、体脂肪率(たいしぼうりつ)平均(へいきん)3.5%低下(ていかした)した。

この方法(ほうほう)は、自宅(じたく)などの(せま)場所(ばしょ)短時間(たんじかん)(おこ)なえるため、都市生活者(としせいかつしゃ)日常的(にちじょうてき)健康維持(けんこういじ)(てき)している。

注釈(ちゅうしゃく)

注釈(ちゅうしゃく)があるときには、『まとめ』と参考文献(さんこうぶんけん)リストの(あいだ)()く。注釈(ちゅうしゃく)がない場合(ばあい)や、脚注(きゃくちゅう)にしたときには()必要(ひつよう)はない。注釈(ちゅうしゃく)について、より(くわ)しいことは【→注釈の付け方】を参照(さんしょう)せよ。

参考文献(さんこうぶんけん)リスト

参考文献(さんこうぶんけん)リストについては、【→参考文献の書き方】および【→参考文献リスト】を参照(さんしょう)せよ。

なお、アンケートや実験(じっけん)結果(けっか)などの報告(ほうこく)で、(なに)文献(ぶんけん)参考(さんこう)にしなかったときにはリストをつける必要(ひつよう)はない。

附属資料(ふぞくしりょう)

必要(ひつ)があれば、実験(じっけん)のデータやアンケートの集計結果(しゅうけいけっか)調査用紙(ちょうさようし)見本(みほん)など、本文(ほんぶん)内容(ないよう)補足(ほそく)する資料(しりょう)をつける。

附属資料(ふぞくしりょう)には、「資料(しりょう)1」、「資料(しりょう)2」などの番号(ばんごう)をつける。また、(なに)(しめ)資料(しりょう)なのかわかるような説明(せつめい)をつけるようにする。

なお、実験(じっけん)のデータなどは、参考文献(さんこうぶんけん)リストの(まえ)()かれることもある。

小論文(しょうろんぶん)構成(こうせい)基本(きほん)

論文とは?】で指摘(してき)したように、論文(ろんぶん)は、秩序(ちつじょ)ある構成(こうせい)()かれるべきものである。

小論文(しょうろんぶん)論文(ろんぶん)一種(いっしゅ)であるから、《特定(とくてい)問題(もんだい)(こた)えを()すこと》を目指(めざ)すものである。そのため、小論文(しょうろんぶん)では、(つぎ)のような構成(こうせい)基本(きほん)となる。【参照:→論文の基本構成

  1. 題名(だいめい)(タイトル)
  2. 論文本体(ろんぶんほんたい)
    1. 序論(じょろん)
       →問題提起(もんだいていき)問題(もんだい)(しめ)す)
    2. 本論(ほんろん)
       →議論(ぎろん)証拠(しょうこ)(しめ)す)
    3. 結論(けつろん)
       →帰結(きけつ)(こた)えを(しめ)す)
    4. 注釈(ちゅうしゃく)
    5. 参考文献(さんこうぶんけん)リスト
  3. 附属資料(ふぞくしりょう)

題名(だいめい)

小論文(しょうろんぶん)では、まず、題名(だいめい)(タイトル)を明示(めいじ)する。題名(だいめい)は、表紙(ひょうし)と1ページ()先頭(せんとう)()く。表紙(ひょうし)()(かた)は、〔題名と表紙〕を参照(さんしょう)せよ。

論文本体(ろんぶんほんたい)

論文本体(ろんぶんほんたい)は、「問題(もんだい)(しめ)す」→「証拠(しょうこ)(しめ)す」→「(こた)えを(しめ)す」という順番(じゅんばん)()く。

序論(じょろん)

論文本体(ろんぶんほんたい)は、序論(じょろん)ではじまる。序論(じょろん)では、(なに)目指(めざ)して、どのような目的(もくてき)()かれた論文(ろんぶん)なのかがわかるようにする必要(ひつよう)がある。序論(じょろん)には、以下(いか)のような内容(ないよう)()くのがふつうである。

なお、ここで(しめ)したものは、序論(じょろん)一般的(いっぱんてき)構成(こうせい)(れい)である。必要(ひつよう)(おう)じて、いくつかの項目(こうもく)省略(しょうりゃく)したり、項目(こうもく)順序(じゅんじょ)()えたりしても()(つか)えない。

  1. 論文(ろんぶん)のテーマ

     →(なに)について研究(けんきゅう)するのかを紹介(しょうかい)する

  2. 論文(ろんぶん)主題(しゅだい)

     →どんな問題(もんだい)(こた)えを()そうとするのかを提示(ていじ)する

  3. 研究(けんきゅう)動機(どうき)

     →そのテーマにどのような興味(きょうみ)関心(かんしん)があるのかを()べる

     →なぜそのテーマに興味(きょうみ)関心(かんしん)()ったのかを()べる

  4. 研究(けんきゅう)重要性(じゅうようせい)

     →その問題(もんだい)がなぜ重要(じゅうよう)なのかを()べる

     →その問題(もんだい)がどのような(てん)重要(じゅうよう)なのかを()べる

  5. 先行研究(せんこうけんきゅう)概要(がいよう)

     →テーマに(かん)する既存(きぞん)研究(けんきゅう)にはどのようなものがあるかまとめる

  6. 先行研究(せんこうけんきゅう)問題点(もんだいてん)

     →既存(きぞん)研究(けんきゅう)をどのように評価(ひょうか)するのか()べる

     →既存(きぞん)研究(けんきゅう)にはどのような問題点(もんだいてん)があるのか()べる

  7. 研究(けんきゅう)目的(もくてき)

     →論文(ろんぶん)(なか)(なに)(あき)らかにしようとしているのかを()べる

  8. 研究(けんきゅう)概要(がいよう)

     →問題(もんだい)(あき)らかにするために(なに)をするのかを()べる

  9. 期待(きたい)される成果(せいか)

     →論文(ろんぶん)によって(なに)(あき)らかにできるのかを()べる

序論(じょろん)は、論文(ろんぶん)全体(ぜんたい)()()(ばや)見通(みとお)すためのものである。したがって、序論(じょろん)では、いずれの項目(こうもく)(とく)(くわ)しく()必要(ひつよう)はない。むしろ、それぞれの項目(こうもく)簡潔(かんけつ)にまとまっていた(ほう)がよいのである。

なお、序論(じょろん)は、「はじめに」、「序論(じょろん)」、「(じょ)」、「緒言(しょげん)」などのタイトルで()き、(しょう)番号(ばんごう)として「0」か「1」をつけるようにする。なお、(しょう)のタイトルについては、【見出しの付け方】を、(しょう)番号(ばんごう)については〔通し番号の付け方〕を参照(さんしょう)せよ。

以下(いか)に、序論(じょろん)(れい)()げておく。

0.はじめに

本論文(ほんろんぶん)は、日本語(にほんご)言文一致(げんぶんいっち)をとりあげ[⇒論文のテーマ]近代口語体(きんだいこうごたい)(はな)しことばの規範(きはん)としてどのように意識(いしき)されているのか[⇒論文の主題]考察(こうさつ)する。

しばしば日本語(にほんご)は、(はな)しことばと()きことばの距離(きょり)がある言語(げんご)だと()われる。しかし、英語(えいご)中国語(ちゅうごくご)学習(がくしゅう)しても、(はな)しことばと()きことばが(おな)じであるわけではない。日本語(にほんご)で、とりわけ両者(りょうしゃ)距離(きょり)指摘(してき)されるのはなぜだろうか[⇒研究の動機]

()きことばの規範(きはん)理解(りかい)されることの(おお)近代口語体(きんだいこうごたい)が、(はな)しことばにおいてどのように意識(いしき)されているか()ることは、(はな)しことばと()きことばとの関係(かんけい)理解(りかい)する重要(じゅうよう)手掛(てが)かりとなるはずである[⇒研究の重要性]

(はな)()規範意識(きはんいしき)調査(ちょうさ)したものに、国立国語研究所(くにたちこくごけんきゅうじょ)(1980)があるが[⇒先行研究の概要]、すでに現状(げんじょう)反映(はんえい)していない可能性(かのうせい)(たか)[⇒先行研究の問題点]

本論文(ほんろんぶん)では、近代口語体(きんだいこうごたい)(たい)する(はな)()規範意識(きはんいしき)()るために[⇒研究の目的]アンケート調査(ちょうさ)(おこ)ない[⇒研究の概要]近代口語体(きんだいこうごたい)規範性(きはんせい)について(あき)らかにする[⇒期待される成果]

本論(ほんろん)

本論(ほんろん)は、論文(ろんぶん)でもっとも重要(じゅうよう)部分(ぶぶん)である。本論(ほんろん)では、序論(じょろん)(しめ)した問題(もんだい)(たい)して、証拠(しょうこ)()げながら(こた)えを()さなければならない。

本論(ほんろん)構成(こうせい)は、論述(ろんじゅつ)方法(ほうほう)によって()わってくる。ここでは、基本的(きほんてき)構成(こうせい)のパターンを示しておく。

序論(じょろん)内容(ないよう)(くわ)しい説明(せつめい)

まずは、序論(じょろん)簡潔(かんけつ)()べた内容(ないよう)に、(くわ)しい説明(せつめい)(くわ)える。

  1. 用語(ようご)定義(ていぎ)説明(せつめい)

    例:「言文一致(げんぶんいっち)とは、ある言語(げんご)口頭言語(こうとうげんご)(はな)しことば)と書記言語(しょきげんご)()きことば)とに齟齬(そご)がないという意味(いみ)である。言文一致(げんぶんいっち)として問題(もんだい)になるものには、言文一致運動(げんぶんいっちうんどう)言文一致文(げんぶんいっちぶん)言文一致体(げんぶんいっちたい)近代口語体(きんだいこうごたい)標準語(ひょうじゅんご)がある。」

  2. 記述(きじゅつ)対象(たいしょう)範囲(はんい)指定(してい)

    例:「本論文(ほんろんぶん)では、このうち近代口語体(きんだいこうごたい)考察(こうさつ)対象(たいしょう)とする。近代口語体(きんだいこうごたい)は、現在(げんざい)規範的(きはんてき)()なされている口語体(こうごたい)定義(ていぎ)される。()きことばだけでなく、(はな)しことばにもあてはまる概念(がいねん)である。」

  3. 先行研究(せんこうけんきゅう)(くわ)しい紹介(しょうかい)

    先行研究(せんこうけんきゅう)引用(いんよう)要約(ようやく)(しめ)しながら、先行研究(せんこうけんきゅう)内容(ないよう)・ポイントがわかるように紹介(しょうかい)する。テーマにもよるが、1つではなく複数(ふくすう)先行研究(せんこうけんきゅう)紹介(しょうかい)するのがふつうである。そのとき、できれば立場(たちば)(こと)なる先行研究(せんこうけんきゅう)紹介(しょうかい)すると議論(ぎろん)がしやすくなる]

    例:「国立国語研究所(くにたちこくごけんきゅうじょ)(1980)は、近代口語体(きんだいこうごたい)(たい)する(はな)()規範意識(きはんいしき)について、(つぎ)のように報告(ほうこく)している。/……/この結果(けっか)は、近代口語体(きんだいこうごたい)(はな)しことばの規範(きはん)という役割(やくわり)(にな)っていることを示唆(しさ)するものである。/また、(はざま)ほか(2006)は、関西地域(かんさいちいき)でのフィールドワークから、地域共通語(ちいききょうつうご)となった方言(ほうげん)には、フォーマルな規範(きはん)として意識(いしき)される(めん)存在(そんざい)すると指摘(してき)している。一般(いっぱん)に、方言(ほうげん)固有(こゆう)書記体系(しょきたいけい)()たないものであるから、前出(ぜんしゅつ)国立国語研究所(くにたちこくごけんきゅうじょ)による調査結果(ちょうさ)とは(かなら)ずしも一致(いっち)しない指摘(してき)であるといえる。」

  4. 先行研究(せんこうけんきゅう)批判的(ひはんてき)検討(けんとう)

    紹介(しょうかい)した先行研究(せんこうけんきゅう)について、それぞれに(たい)する評価(ひょうか)(すぐ)れていると評価(ひょうか)する(てん)問題(もんだい)があると(かんが)える(てん)などを整理(せいり)して()べる]

    例:「国立国語研究所(くにたちこくごけんきゅうじょ)(1980)による調査(ちょうさ)は、日本全国(にほんぜんこく)幅広(ひろ)年齢層(ねんれいそう)対象(たいしょう)(おこ)なわれており、資料的価値(しりょうてきかち)(たか)いものである。しかし、調査(ちょうさ)実施時期(じっしじき)(ふる)いため、現状(げんじょう)反映(はんえい)しているとは()いがたい(めん)がある。一方(いっぽう)(はざま)ほか(2006)の調査(ちょうさ)は、実施時期(じっしじき)(あたら)しいものの、(かぎ)られた地域(ちいき)でなされており、(かなら)ずしも全体(ぜんたい)代表(だいひょう)しているとは(かんが)えられない。」

  5. 具体的(ぐたいてき)研究方法(けんきゅうほうほう)提示(ていじ)

    例:「今回(こんかい)国立国語研究所(くにたちこくごけんきゅうじょ)(1980)による言語調査資料(げんごちょうさしりょう)参考(さんこう)に、全国(ぜんこく)から無作為抽出(むさいくいちゅうしゅつ)した3000(にん)日本語母語話者(にほんごぼごわしゃ)対象(たいしょう)とするアンケート調査(ちょうさ)(おこ)なった。国立国語研究所(くにたちこくごけんきゅうじょ)による言語調査資料(げんごちょうさしりょう)と、(あら)たなアンケート調査(ちょうさ)結果(けっか)とを比較(ひかく)対照(たいしょう)することで、近代口語体(きんだいこうごたい)(はな)しことばの規範(きはん)として、人々(ひとびと)にどのように意識(いしき)されているのか(あき)らかにしすることができるであろう。」

具体的(ぐたいてき)議論(ぎろん)展開(てんかい)

(つぎ)に、(しょう)または(せつ)(あらた)めて、具体的(ぐたいてき)内容(ないよう)記述(きじゅつ)していくことになる。証拠(しょうこ)()げながら(ろん)(すす)めて、論文(ろんぶん)主題(しゅだい)(たい)する(こた)えを(みちび)部分(ぶぶん)である。

この部分(ぶぶん)は、テーマや内容(ないよう)によって、構成(こうせい)(おお)きく(こと)なってくる。論理的(ろんりてき)明晰(めいせき)構成(こうせい)になるように心掛(ここが)ける必要(ひつよう)がある。

結論(けつろん)

論文(ろんぶん)主題(しゅだい)(たい)する(こた)えは、本論(ほんろん)(なか)(あき)らかにすべきものである。結論(けつろん)では、論文(ろんぶん)主題(しゅだい)(たい)する(こた)えをわかりやすくまとめて(しめ)すことになる。

結論(けつろん)には、(つぎ)のような内容(ないよう)()く。

  1. 研究(けんきゅう)概要(がいよう)再提示(さいていじ)

    例:「本研究(ほんけんきゅう)では、アンケート調査(ちょうさ)結果(けっか)(もと)づき、近代口語体(きんだいこうごたい)(たい)する(はな)()規範意識(きはんいしき)について考察(こうさつ)した。」

  2. 結論(けつろん)をまとめて()べる

    例:「その結果(けっか)以下(いか)のことが(あき)らかになった。……」

  3. 研究(けんきゅう)成果(せいか)()べる

    例:「これは、現代日本語(げんだいにほんご)での(はな)しことばと()きことばとの関係(かんけい)(かんが)えるうえで、重要(じゅうよう)成果(せいか)であると(おも)われる。」

  4. 今後(こんご)展望(てんぼう)()べる

    例:「今後(こんご)は、近代口語体(きんだいこうごたい)規範性(きはんせい)言語資料(げんごしりょう)にどのように(あら)われるかを分析(ぶんせき)することで、現代日本語(げんだいにほんご)における言文一致(げんぶんいっち)のあり(かた)(あき)らかにしてゆく必要(ひつよう)があるであろう。」

注釈(ちゅうしゃく)

注釈(ちゅうしゃく)は、『まとめ』と参考文献(さんこうぶんけん)リストの(あいだ)()く。脚注(きゃくちゅう)にしたときには()必要(ひつよう)はない。注釈(ちゅうしゃく)について、より(くわ)しいことは【→注釈の付け方】を参照(さんしょう)せよ。

参考文献(さんこうぶんけん)リスト

参考文献(さんこうぶんけん)リストについては、【→参考文献の書き方】および【→参考文献リスト】を参照(さんしょう)せよ。

附属資料(ふぞくしりょう)

必要(ひつ)があれば、実験(じっけん)のデータやアンケートの集計結果(しゅうけいけっか)調査用紙(ちょうさようし)見本(みほん)など、本文(ほんぶん)内容(ないよう)補足(ほそく)する資料(しりょう)をつける。

附属資料(ふぞくしりょう)には、「資料(しりょう)1」、「資料(しりょう)2」などの番号(ばんごう)をつける。また、(なに)(しめ)資料(しりょう)なのかわかるような説明(せつめい)をつけるようにする。

なお、実験(じっけん)のデータなどは、参考文献(さんこうぶんけん)リストの(まえ)()かれることもある。

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