ボクシングのゲーム、実写でボクシングのバナー(3)

戸高秀樹

特別な強打があるわけでもない。
自分の距離を忠実に守るわけでもない。
手数こそ多いが、きちんと命中させるタイプでもない…

突出した武器がない戸高の
あえて武器を挙げろと言われれば
「勇気」
ということになるのだろうか…。


薬師寺選手が辺丁一を判定に下し、見事世界王者になった夜、
今後の戸高の運命を決定づけるような運命的な出会いがあった。

評判の新人、藤原康二を初回KOで切って落とした4回戦ボーイ、戸高が
上機嫌で控え室前の通路を歩いていた時だった。

「君はチャンピオンになれる…」

言葉の主は薬師寺を育て上げた名トレーナー
マック・クリハラ、その人だったのだ。

思いがけない言葉は戸高を燃え上がらせた。
練習中も心のどこかで何度も繰り返した。

「君はチャンピオンになれる…」

3年後、日本王者になった戸高は偶然、
ボクシングマガジンにてマック・クリハラ氏の
米国ロスの連絡先を発見してしまった。

胸の高鳴りはもう止まらない!

「僕にトレーニング指導をしてください!」

単身、ロスに飛び立った戸高は本当にガムシャラに練習した。
名伯楽も妙に張り切るその姿に心を動かされた。

「私のところへ一人で来た選手なんて初めて。
それにあの野性的な顔つき。
泣き言やグチを決して言わない根性も気に入った。」

猛練習した戸高は帰国すると
指名挑戦者の村松竜二を明白な判定で下す。

が、右手首骨折により、日本王座を返上
1年ものブランクを作る…

「日本ランクから外れた途端、周りから人が去っていった。
そんな時、僕のことを本当に心配してくれたのは
両親とマックだったんです…」

マックから毎週かかってくる電話に励まされて
戸高は情熱を保ち続け、名古屋の緑ジムへの移籍も決めた。

が、移籍先の緑ジムは、ちょうど飯田覚選手が世界王者になった頃。
ジムのスタッフも多忙を極めていた。

「あの頃は戸高にかまっていられる状況じゃなかった。
でも、謙虚な態度とひたむきに努力する姿がね、
我々スタッフの心を動かしたんです。」

ある日、飯田がチャンピオンベルトを
ジムに持ってきた時の出来事だった。

盛り上がるジム・メイト達がベルトを腰に巻いて
記念写真を撮りはじめた。

「僕も…」

戸高は言いかけて、口をつぐんだ。
「絶対、自分でベルトを獲るんだ!」
そう自分に言い聞かせて、サンドバックを叩き続けた…。


そんな戸高にチャンスが巡ってくる。

世界戦の試合中、癖になっていた脱臼が再発した飯田。
無念の末に奪われた、あの日のチャンピオン・ベルト…

どうしても勝ちたい、運命的な巡り合わせと言えるだろう。

が、東京のファンに実力をアピールすることなく
世界挑戦する戸高の知名度は低く、関心もまた薄かった。

「地方のボクサーがまた世界挑戦。」
「無謀な挑戦ではないだろうか?」

期待されずして世界のリングに立った戸高は
実に堂々としていた。

技巧派王者ロハスのパンチを
まったく恐れずに前進を繰り返すその姿は
「お前のパンチは効かないぞ!」
と高らかに宣言しているようだった。

お互いの距離の狭まった4R、両者の頭が激しく交錯。
深い傷を負った王者は試合続行不可能となり、試合はドロー…。

念願の初挑戦が不完全燃焼に終わった戸高だったが
「次こそは…!」
と気持ちを切り替え
マック・クリハラ氏の厳しいトレーニングに打ち込む。


数ヵ月後、再戦のリング上では
両者の吸収力の違いがはっきり確認できた。

すでに完成されたロハスに対して戸高は
不器用ながらも実に効果的な対応策を準備、
更なる成長を遂げていた。

テクニックを相殺するほどの手数、そして勇気…。

前回同様、戸高の打ち終わりにカウンターを狙うロハス。
が、戸高は打ち終わらない。

次から次へと雪崩のように繰り出すパンチに
ベテラン、ロハスも混乱を隠せない。

2R終盤、戸高のショート・ストレートがヒット。
日本人キラーとして名高いロハスが日本での初ダウンを喫する。

前半のオーバー・ペースから戸高のスタミナが心配されたが、
マックの地獄のトレーニングで培われたスタミナは無尽蔵だった。

中盤、ロハスの老獪さに苦しむ場面もあったが
小差の判定は戸高を支持。
見事に世界王者のベルトを獲得するのだ!


が、ロハスの衰えも指摘されていたし
戸高の真の実力を証明するにはまだ不十分だった。
株を上げる為の「強敵」が必要だ…

そんな時、日本最大のホープ、名護明彦から挑戦状が届く。

「天才VS雑草」
と銘打たれた初防衛戦、挑戦者有利の予想は当然だったろう。

名護は松倉、山口といった国内の強敵相手に
その実力を充分に証明していた。

それに対して戸高の対戦相手は地味な選手ばかり…。

知名度とパンチ力で勝る名護が
戸高を踏み台にして
世界のベルトを巻くだろう、
誰もがそう思った…


真価の問われる初防衛戦、
戸高はインサイドからの
押すようなパンチを多用する。

迫力のないその攻撃に威力はまったく感じられない。

実は名護本来のフォームを崩すのが目的だったのだ。

戸高陣営の作戦通り、名護は自分のフォームを維持できない。
一拍遅れた反撃は全て戸高の目前を通過するだけとなる…。

「もっと打ってこい!」
天才を挑発する雑草、戸高。

名護は空振りするたびに自嘲気味な笑いを浮かべる。
「こんなはずじゃ…」

終了のゴングと共に戸高は両手を高々と上げた。

同じリングに上がるまで両者の比較はできない、と痛感した。
戸高はその実力を日本中に証明したのだ。


しかし、戸高に息つく暇はない。
元世界王者ヨックタイ・シスオーが戸高のベルトを奪いにきたのだ。

飯田を何度もグロッキーにさせた強打に
更なる磨きをかけての来日…。
勝敗の行方はまったく読めなかった。

接近戦で活路を見出そうとした戸高だが
ヨックタイのショートアッパーを防げない。
ついには3R、大きく体が泳ぐほどのピンチに陥る。

不利とみたマックはすぐに中間距離への変更を指示。

戸高は忠実に距離を取り
左ジャブと被せるような右フックで落ち着きを取り戻す。

逆にヨックタイはアッパーの感触を引きずったままで
戸高の路線変更に戸惑いを隠せない。

8R終了ゴング直前、戸高の右フックが即頭部を直撃!

ヨックタイはぐらぐらとよろめき
リングを半周ほど移動して倒れるといった、
ダメージの深いダウンを喫する。

こうなればもう戸高のペース、
打って打って打ちまくり
難敵を何度もグロッキーにさせる。

11R序盤、ロープ際で見事なストレートを決めTKO勝利!

この試合は戸高のベストバウトだろう。

日本唯一のタイトルをTKOで守った功績は
ファンにとっては嬉しい限り。

今後も厳しい対戦相手が続々と登場するだろう。
戸高はどんなドラマを見せてくれるだろう…

今後の戸高のファイトが楽しみだ!



皆さんの戸高選手に関する文章を募集しています。こちらまでお願いします!
本格ボクシングゲーム「実ボク」の無料ダウンロードは こちら


戻る


HSPコンテストにて最優秀ゲーム賞を受賞!
本格ボクシングゲーム「実写でボクシング」

↓ バナーをクリックすると公式HPへジャンプ ↓

↑感電しながら実写でボクシング!(サイズ200*80)


↑忘れられない瞬間を増やさないか? 実写でボクシング!(サイズ300*100)

ボクシングのゲーム、実写でボクシングのバナー(3)
↑動かしてみないか? 実写でボクシング!(サイズ150*100)

バナーは随時募集中しています。
あなたのデザインを見てみたい…!

実ボクとは?/トップ/掲示板/ダウンロード/ボクシングの街/グラボクとは?/