よたばなし3(18〜)
ポケットモンスター全般に関する はなしです

ここは ややまじめな内容のものを集めました

よたばなし1(1〜9) よたばなし2(10〜17)

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ポケモン論文1 ポケモン論文2
携帯獣世界征服計画



18.特務再び!! 19.「ときわたり」の訳 20.タケシ引退の真相 21.「ポケセン占拠計画」を讃する 22. 『敵組織占拠計画&RR団の野望』観察記録 23. 『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』礼賛


23.『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』礼賛 at 2019 8/8
 ポケモンとの出会いは、貰い物のゲームボーイポケットと「ポケットモンスター赤」だった。最初に映像
作品を見たのはTV放送の『ミュウツーの逆襲』だったと思う。これがきっかけで、アニメの方も見るよう
になった気がする。TVアニメを見た初回の記憶はなぜか次回予告で、オドシシの仔がタケシの膝に乗って
いた。
 はじめて映画館で見た劇場版は『劇場版ポケットモンスター セレビィ 時を超えた遭遇』だった。『水の
都の守護神 ラティアスとラティオス』はTVで見ただけだが、わざわざ金払って見に行かなくて良かった
としみじみ思った。以降は多少イマイチなのもあったが、ラティ兄妹よりはまだマシな気がしたのと、レア
なポケモン配布があったので、毎回映画館に通っていた。最後に見た劇場版は確かゾロアークだった。これ
以降は、配布ポケモンが今一つなのと、劇場版自体の質も落ちてきたので足を運ばなくなっていった。TV
で放送されたのを見ても、序盤でもうつまらないので結局最大倍速で(ロケット団が出ているシーンだけは
ちゃんとチェック)見た後は、ディスクに保存はするが、そのまま放置している状態だった。
 今回、この文を書くにあたって、ネットで劇場版のリストを見たら「ゾロアーク」の後、2作合計の
「レシラム・ゼクロム」より後が3本連続で興行収入が急降下している。たぶん「レシラム・ゼクロム」も
両方見た人の分を差し引いたら興行収入は低かったのではないか?やはりこれらの劇場版を「金払ってみる
価値ないな」と思ったのは自分だけではなかったようだ。でも「アニメの第一作」のリメイクっぽい『キミ
にきめた!』で再び急上昇していた。ポケモン開始時から継続中の「ポケモントレーナー」が「とっても
大きくなったオトモダチ」になって劇場に戻ってきたらしい。劇場版『キミにきめた!』は、TVアニメ
「ポケモン!きみにきめた!」を劇場版にリメイクものと思ったので、どうしても異なる箇所に目が行き
がちになってしまう。いつものようにアニメのサトシが主人公だとばかり思っていたら、実際は同名異人の
話で、アニメの初回とは別モノだった。今のような完全無欠、絶対正義のスーパーヒーローになってしまう
前の、初めての冒険に挑んだ時のトキメキを思い出させてくれるような、等身大のいちポケモントレーナー
のサトシの物語を期待していた初期のファンには残念だったかもしれない。実際懐古趣味的なモノが目当て
ではなくても、全体的な内容は「やっぱり今回もナシ」だった。表面的には『キミにきめた!』の興行収入
は前年の劇場版よりもアップしたものの、当局の期待した程ではなかったようだ。しかし「原点回帰」の
価値に気づいたのだろう。新作ゲームでは「ポケットモンスター・赤・緑」の原形にかなり近い形で(その
後のゲームで追加されたサービスをなくしてるくらいに…)「ピカ・ブイ」が発売された。そして更なる
「とっても大きくなったオトモダチ」の心をそそる原点回帰作戦として、今年の劇場版は空前絶後の最高
傑作「ミュウツーの逆襲」の3Dリメイク『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』となったのだな。しかし本当
はそんな考察なんかどうでもイイ。

サカキ様が御出演ともなれば、万難を排しても見なくてはなるまい!!

 夏休み前の平日の初回なので、とっても空いててありがたい。でも逆に静かすぎて序盤で近くの席の人が
ポップコーンをひそかに食べる音が少々気になってしまった。長い長〜い予告編も早送りできないかなと
思ってた。でも次回予告が終わったとたん 「サカキさまにお目にかかれる!」期待感で、本編以外は目
にも耳にも入らなくなった ♪やはり『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』は本当に素晴らしかった!内容も
リメイクにありがちな、余計な付け足しや、無意味な改変等もなく『ミュウツーの逆襲』とほぼ同じという
のが、大変ヨロシイ。(そんなに劇場版『キミにきめた!』の評判が良くなかったのか…?)あえて違いを
あげるとしたら、今回は3Dverのサカキさまの御顔がはっきり拝めた事が嬉しかった。『ミュー逆』の時
は超ロングショットだったり、お顔の一部のみだったりで、アニメのサカキさまの御尊顔がはっきりと確認
されたのは第63話「トキワジム!さいごのバッジ!」だったから。今回、サカキさまの御出演が終わった
直後、おもいっきり脱力してしまっていた…。しばらくサトシ達の出番が続いたせいもあるだろうが。でも
ポケモンがたくさん出てきてミュウツーも大活躍のシーンが続くと、やはり前回同様、ワクワクドキドキの
大感動だった〜っ!と、言いつつも頭の中、半分はずーっとサカキさまでいっぱいだったが。
こめんね、ツーちゃんm(_ _)mでもやっぱりツーちゃんも大好きだよ〜♪(^▽^)
そしてさすがは3D、ロケット団の制服の構造がリアルに表現されていて、資料的に新たな収穫があった。
 『ミュウツーの逆襲EVOLUTION』は『ミュウツーの逆襲』をほぼそのまま3Dで再現されている。それ
だけ『ミュウツーの逆襲』の完成度が高かったという事なのだろう。でもディープなファンとしては、この
傑出したミュウツーというキャラクターの「満潮に乗って」完成度を極める為に『ミュウツーの誕生』と
『ミュウツー!我ハココニ在リ』も3Dの劇場版を作成し、素晴らしき三部作(そしてサカキ様の偉大さ、
素晴らしさを!)を世に知らしめられる事を熱望する!

追記・サカキさまファンへのお薦めアイテム
◎今回手に入った資料は
1.映画館でゲットしたプログラム 818円(別)
2.ポケモン2019 シール 330円(別)
3.大人気アニメストーリー『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲EVOLUTION』小学館 880円(別)
4.えいが超ひゃっか『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲EVOLUTION』小学館 850円(別)
 1と3は肩越しに振り返る全身像1カットのみ、2はそのお顔のみ。もちろん全点ゲットされる事を
おおいに推奨するが、一番お得感があるのは、4の『えいが超ひゃっか』。1、2のカットの他にロング
ショットの前方向、同斜め向きのほぼ全身像も拝見できる。




22.『敵組織占拠計画&RR団の野望』観察記録 at 2018 4/4
 2016年秋、全国のポケモンセンターで実施されたイベント『敵組織占拠計画』が大好評だったと見えて
今年2017年1月20日〜3月11日の間、『レインボーロケット団の野望』というイベントが開催された。
前回同様、各敵組織の「ボス」がポケセンを訪れ更に今回は多種多様な「ボス達のキャラクターグッズ」も
販売されるという、思いっきり敵組織ファン向けの盛大なイベントだった。週末に各組織のボスがポケセン
を訪れるというサービスは同じなのだが、前回同様、我が本命の「サカキさま」以外のボスにも毎週会いに
行ってしまったのは、今回『レインボーロケット団の野望』というサカキさま主催のイベントであり、前回
のイベントでは、恐れ多くもサカキさま御自らが御手を与えてくださった上に直々に「これからもロケット
団の為に尽くすように」との御下命を賜った身としては「サカキさまの部下」になった、それぞれのボス達
のイベントに「賑やかし(サクラとは言わないで欲しい)」として参加するべきだとの判断からである。
ただ、前回の全ボス観測データを今回と比較してみたいという下心があったという事は、正直に認めよう。
 さて、前回の『敵組織占拠計画』についての主観は前回書いたので、今回は客観的に両イベントについて
まとめてみたい。
1, ボスの人気ランキング予想
初回の『敵組織占拠計画』イベント開催を聞いた時、六人のボスの人気度を予想した。
No.1は当然「サカキさま」だろう。単に、自分自身が熱烈な大ファンであるからという贔屓目からではなく
その比類なき存在感、ゲームに登場した回数、更にアニメでは当初から(第二話から既に存在が語られて
いる)現在に至るまで敵組織のボスとして今上である事から当然、大々人気であると予想した。
 実際、現場に行ってみたら予想をはるかに上回る大人数のファンの熱狂ぶりに圧倒されてしまった。
だが、この時の詳細は、21.「ポケモンセンター占拠計画」を讃する」で既に記しているので割愛する。
No,2「フラダリ」 その理由は
 ◎とりあえず「背が高くて美男子」だから(主観ではマイナスポイントだが)。実際アニメでは
   サカキさま以外のボスの中で登場したのが最近だし、出番も華々しかったし。
No.3「アカギ」
  ◎一番若いから(顔は老けてるが実は20代後半だ)。
No.4「アオギリ」
  ◎海賊イメージがカッコイイし(特に子供受けしそう)オッサンでも兄貴キャラはポイントUP。
No.5「マツブサ」
  ◎オッサンだから。おまけにインテリ臭いキャラはあまり受けないと判断。
No.6「ゲーチス」
  ◎オジジだから。実子ではないがNの「父親役」だからおそらく六人の中では最年長だろうなあ…。

 尚、今回のデータ収集場所は両イベント共、ポケモンセンターメガトウキョーがメインで、数回はスカイ
ツリータウンも含まれる。集合人数は、その日の天候などによって左右されるかもしれないので、頭数だけ
ではなく、単なる見物人ではない、本気度(熱意)の高いファンがどれくらいいるかを優先基準として判断
した。そして全6人のボスに面会して調査したものが、以下の結果である。
 当然だが一位は断トツでサカキさま。人数、ファン達の熱さは、他のボス達とは比較にならない。しかし
他の順位は、当初思い描いていた予想とはずいぶん外れたものだった。一位との差には到底及ばないが
それでも三位に目立つ程の差をつけて、なんと「ゲーチス」が二位だったのである!
 いろいろ考えてみるがいまだ理由はわからない。確かに『敵組織占拠計画』の時のゲーチスは、非常に
魅力的な笑顔が印象的であったが、それはその場に行って初めて判ることであって、その日集まっていた
ファン達はあの「ゲーチス」に会いたくて来たのであろうし、サカキさまの熱狂的なファンがサカキさまに
表したのと同じようなゲーチス・ファンの熱く強い思いは、依代が他の人物であったとしても変わらない
だろう。また顕著だったのはゲーチス・ファンの若い御婦人の多さだ。特にスカイツリーでの面会では大半
が若い女性だった事に驚いた。その理由も、やっぱりわからない…。だが、それはそれとして、彼が去った
後に、彼と記念撮影できたひとりのファンがその感激をスマホで誰かに熱っぽく話しているのを見ていて、
サカキさまファンと同じ連帯を感じ、とても幸せな気分になれた。
 三位は「マツブサ」。『敵組織占拠計画』では、人数的にも熱的にもアオギリと同じ位のようだったが、
若年層が多かった分、ややアオギリの方が賑やかだったような気がした。だが『RR団の野望』の際に
集まっていたファンの中には、相当ディープで熱い一団がいた。彼等の忠心に敬意を表し、今回はあえて
アオギリより上位とさせてもらった。
四位は「アオギリ」。考えてみればαサファイヤとΩルビーで再登場していた訳だしマツブサ程はルビー・
サファイアとの変異も少ないから妥当な順位かもしれない。人数自体は少ないわけではなかったのだが、
上位のボス達に比べると特に目を引くような熱烈なファンは目立たなかったなあ。全体の内訳では「小さな
オトモダチ」と「大きな男の子のオトモダチ」がやや目立った気がする。
五位「アカギ」。『敵組織占拠計画』では上位のボス達に比べて全体的に人数も少なく、なんとなく褪めた
雰囲気で、ちょっと気の毒な感じがした。「『RR団の野望』では人数的には十分集まっていたのだが
「こいつは本気だっ!」というファンは、本当はいたのかもしれないが、目につかなかった。
六位「フラダリ」。上に同じだが、更に・・・・・だった。何故だろう…(・_・?
追記
 『RR団の野望』イベントの終盤頃に、ポケセンでグッズの売れ行きをリサーチしてみた。スタッフに
訊ねたところ、やはり「ロケット団」のグッズが好評との事で、グッズによってはロケット団のものは
早々に完売してしまったそうだ。行ったついでに追加購入しようと思っていた某低価格グッズは当然の事
ながらサカキさまのはとうに完売、ゲーチスも残り寡少(多分その日の内に完売するだろう)がフラダリのは
大量に売れ残っていた。当初の予想自体は大外れだったが、グッズの売れ行きが順位結果と比例していたの
は嬉しかった。でも、やっぱりこの結果は…「何故だ〜!?」




21.「ポケモンセンター占拠計画」を讃する at 2016 10/10
 2016年10月1日から11月13日の間、週替わりでゲーム各シリーズの敵組織が全国各地のポケ
モンセンターを占拠し、その組織のボスが登場するという『敵組織ポケセン占拠』のイベントが行われた。
幸運にも「サカキさま」が御登場の時間に居合わせる事が出来た。「ボス」の御機嫌がよろしかったようで
たくさんの来店客達と、快く写真撮影や質疑応答されている。ロケット団ファンの人々が「ボス」に向ける
憧憬の眼差し、畏敬と喜びで震える声、幸福感に満ちた人々の笑顔を見ていたら思いがけずアニメの中で
サカキさまに御目にかかれた時の興奮と感動が沸き上ってきた。
「彼等はいつもの自分じゃないか!」
 サカキさまはゲームやアニメの2次元世界の御方であって、これは三次元に再現された単なる「商業的な
イベント」だと、どこか醒めた気持ちでいたのだがいつのまにか彼等の素直な心に感応していたのだった。
この場に集った同志達に、三次元だからといって「サカキさまLOVE」の気持を封印しなくてもいいのだ
と教えてもらえたような気がした。「サカキさま」と、わずかな時間ではあったが、言葉をかわし御手を
握った時のときめきと高揚感、心身に沁みわたる歓喜は、紛う事なき現実である。
 「祭り」で人々は仮面を被り、衣装を着け「人でないモノ」となり、非日常を演じる。依代に神を呼び、
憑坐に神を降ろす。もはや彼等は「仮」ではない。その瞬間彼等は神と交感し、神と一体となる。それこそ
が本当の「祭り」であり「イベント」なのだ。そしてこの時、我彼のサカキさまに寄せる真摯な思いがこの
場を沙庭に変える。 あの日あの瞬間、我々の目前にいたのは「ボス」に扮した青年ではなく、サカキさま
の憑坐であり、サカキさま自身である。確かに我々は、かの沙庭に『サカキさま』の実存を見たのだ。
 仏像の真贋を問う場合、著名な仏師が造ったか否かに目が向けられがちだが、「仏」の姿を写した物で
あると考えれば「仏のレプリカ」という意味で、すべての仏像は偽物とも言える。また「仏」の分身と考え
れば仏像に偽物はないとも言えよう。仏像を単なる物質ととらえるか、仏性の宿った依代と思うかによって
その存在意義は変わってくる。
 「敵組織のボス」ファンの人々よ。これを単なる客寄せの商業イベントだからと敬遠しないで欲しい。
かの依代である人間の高レベルな「なりきり」と、ファンの熱い想いが呼応しあえば、我々は必ずや敬愛
する「ボス」達に、この三次元の世界であいまみえる事ができるだろう。
 最後に、この素晴らしい企画を実施して下さった当局の皆様方に、雨霰の感謝と賛辞を捧げたい。
そして再び三たび、いや幾度なりと、この企画が行われん事を切望する。




20.タケシ引退の真相 at 2011 2/2
 ポケモン・アニメ・新シリーズの舞台はイッシュ地方である。カントーから始まり、オレンジ諸島、
ジョウト、ホウエン、バトルフロンティア、シンオウと、同行者の顔触れは多少変動しつつも基本的な
パターンはさほど変わってはいなかった。しかし今度のシリーズでは、今までにない顕著な変化が多々
みられる。そのひとつとしてヒロインだけではなく、オレンジ諸島以外のすべての地方に同行していた
タケシもついに引退となった。タケシは、出奔した両親の代りに弟妹を養う為ニビジムのリーダーをして
いたが、本当はポケモンブリーダー志望であった。ゲームでは、主人公であるトレーナーが恣意的にポケ
モンをペアリングさせ繁殖させているのだが、表向きでは、卵は「いつのまにかポケモンが持っていた」
事になっており「ポケモンが生んだという証明はない」という設定になっている。
 しかしアニメでは、リアリティを追求した為なのか「複雑な大人の事情(具体例は自粛)」といった非常
に生々しい事象が取り扱われた場合もあるので、堂々と「ポケモンを繁殖させる職業」であるブリーダーが
存在する。かつてタケシは、オレンジ諸島で非常に女性的な魅力に満ちたウチキド博士と出会い、彼女の
もとに留まる為に一度主人公グループから抜けた。研究者のもとでポケモンの世話をするというのは、彼の
夢であるブリーダーの修行としても十分な理由でありタケシのキャラクターからも納得できる。残念ながら
その修行を続けられない事態に陥り(理由は「聞かないでくれ…」だそうだ)再び主人公グループに復帰した
タケシが、以前にも増して異性に対し積極的なのも、その職業に相応しい象徴性ともいえる。と、同時に
「世界一のブリーダー」になるまで、あえて自分自身の『本能的な欲望』を抑制するのも、修行のうちなの
だろう。このあたりはサトシがローカルなオレンジ・リーグ以外では優勝できないのと通じるものがある。
 しかし、そんなタケシが、突然「ポケモンドクター」という新たに登場した職業に宗旨替えし、物語から
退場するのである。それまでブリーダーを目指していたタケシが突然方向転換を決意したのは、たまたま
乗った客船に「ポケモンドクター」がいなかったからだ。ただそれだけの理由で長年の夢をあっさり捨てて
しまうというのは、あまりに唐突であり不自然である。
 ポケモンワールドは、ジョーイ一族が世界中のポケモン医療を独占している社会である。あちらこちらに
ポケモンセンターがあり、さらに人里離れた孤島へも、野生ポケモンの為にわざわざ小舟で往診にでかける
ジョーイもいるのだ。ポケモンドクターという職業の存在すら疑問があるのに、タケシが悲壮感を持って、
目指す必然性があるとは思えない。タケシの突然の引退、その本当の理由は、イッシュ・シリーズの新たな
方向性、「無性化計画」である。
 ファンと等身大の少年だったサトシがスーパーヒーロー化し、心身の成長を拒否して「永遠の少年」に
退行してゆく過程で、同じく等身大の少女としてスタートしたカスミの方は、ごく当たり前に少女から女に
成長し、その結果物語から退場した。続くハルカ、ヒカリも成長を切掛けにヒロインの座を退いていった。
今回の新しいヒロインはアイリスだが、少女から娘に進化してリタイアしていった歴代のヒロインの中で、
最も♀度が低く、少女というより幼女といった趣である。そのコスチュームも、体型がほとんど見えない
オフラインなシルエットだ。身長もサトシより低くその存在感も薄い。これまで、男子サトシと対をなして
いたヒロインの女子という役柄は、イッシュ・シリーズで、事実上消滅する事になる。
 タケシも一度「男の子」から「男」となって物語から退き、普通の少年であったケンジも「ごく普通の
少年」であり続ける為に、ワンシリーズで退場した。そしてジョウト地方から、タケシは「既に一人前の男
であるがその正常な衝動を敢えて抑圧する」という異常な状態を聖痕として、サトシのパートナーの立場に
戻った。しかし、新シリーズでは、その象徴的な男性性すらも排除の対象になったと思われる。これまで
タケシが勤めていたサトシのサポート係はデントである。タケシ同様レベル1のジムリーダーだがアイリス
同様にその存在感はかなり薄く、今のところはたまに傾けられる蘊蓄が唯一の売りだ。草系を得意とする
トレーナーだけあって本人もいたって草食系であり、アイリス同様♂度は相当低い。この傾向はロケット団
の方も同様で、今までセクシーなユニフォームでそのプロポーションを誇示していたムサシも、コジロウ
共々地味なロングコート姿となり、かなり中性化している。幸いな事に、ジュンサーさんはヘアスタイルが
ボーイッシュに短くなったのと口紅の色がややナチュラルになった程度で、タイトなミニスカート姿は健在
だが、今までミニ丈のフレアースカートだったジョーイさんが、膝丈のスカートにニーハイソックスという
かなりおとなしめなユニフォームになり露出は相当に少なくなっている。物語は今のところまだ、サトシの
ポケモンの顔見せという段階だ。しかしストーリー重視という姿勢なのか、徐々に進行していたポケモンの
道具化と同時にキャラクターの個性も薄くなりつつあるようだ。長く続いているアニメという事でもあり、
この新シリーズを期に、思い切ったモデルチェンジを試みているのだろうが、その挑戦がどういう結果に
終わるのか、白黒のマサラタウンから旅立ったいちポケモントレーナーとして最後まで見届けたいと思う。




19.「ときわたり」の訳 at 2010 10/10
 2010年の劇場版『幻影の覇者ゾロアーク』で、スクリーンプレゼントされたセレビィを、ジョウトの
ウバメの森に連れていくと、「ときわたり」で過去に連れて行かれ、サイドストーリーとしてのイベントを
体験する。前半は、ロケット団解散宣言をした直後のサカキ、後半は復活したロケット団がラジオ塔を占拠
している時のサカキである。
 サカキは3年前、カントーの少年に計画を阻止された時に殊勝な事を言っていたので、そのまま更生する
のかと思ったが、実際はそうではなかったようだ。彼は「部下の力を活かしきれなかった」と今回は負けを
認め自ら責任を取ってロケット団を解散する。そして一度1人になって、より強い組織を作ろうと決意の上
での失踪だったようだ。が、そうとは知らない部下達にとっては、一方的に捨てられたも同然だ。彼の無言
の雲隠れは、組織のトップとして無責任な行動ではないかとの謗りは、まぬがれないだろう。しかしそんな
サカキを、ロケット団の残党等は恨むどころか変わらぬ忠誠心を持ち続けていたのだ。
 アポロは、部下である自分達の力不足で、ボスに捨てられたと思ったに違いない。だからこそ残った仲間
と共に3年間の努力を実らせロケット団再興を果たしたのだ。それほど有能なアポロが、自ら新生ロケット
団のボスになる事をせずに占拠したラジオ塔からサカキに戻ってくれるように呼び掛ける。しかしセレビィ
の介入により、サカキの野望はまたも挫折し再び姿を消してしまう。アポロもまた、サカキとの再会を果た
せず、復活させたロケット団を解散し、彼は同じく失踪する。物語の展開としては表向き何も変化はない。
ロケット団残党の蜂起は失敗し、サカキは行方不明のままだ。
 なぜセレビィは、この二つの場面に主人公を立ち会わせようとしたのか。ただロケット団の再興を阻止
するのが目的であれば、既にアポロ達の蜂起を鎮圧して、ロケット団を再度の解散に追い込んだ主人公を
わざわざ「ときわたり」までして、過去の世界に連れていく必然性は全くない。ましてやサカキと赤毛の
息子との会話は不要ですらある。
 無意味とも思えるこのセレビィの行動だが、金銀編外伝とも言えるこの二つのエピソードによって、判明
した事実がある。ひとつは、サカキは、息子よりもロケット団の方を選んでいた事。もうひとつは、新たな
ボスの座を犠牲にしてまで自分を慕うアポロの想いに、サカキが報いるつもりであった事だ。
 自分自身を責めていた二人。雌伏三年、一度壊滅したロケット団の立て直しをしたアポロ。そして、その
呼びかけに応えようとしたサカキ。一見、無駄に終わったように見えるこれらの出来事も、サカキとアポロ
の血よりも濃い愛と、深い絆をあらわすエピソードであったのだ。そして、これを伝える事こそがセレビィ
の「ときわたり」の真意だったのではないだろうか。




18.特務再び!! at 2009 10/10
 2002年、当初こそ同じポケモントレーナーとして自己投影できたサトシが、いつのまにか『正義の
主人公』の特権を振りかざし物語上の絶対的な権力者になり始めた頃に、ジョウト編外伝という形で、特別
番組『ライコウ 雷の伝説』という長編が放映された。
 この物語は、ゲーム版のポケットモンスタークリスタルを下敷きにしたアニメ版という事で、主人公は
少年ケンタとヒロイン役の少女マリナだ。彼等は本来のユーザーと同じく「ポケモントレーナーの修行を
続ける」少年少女である。最初の一匹を連れて旅立ち、新たな仲間を選び共に成長を続ける彼等は、サトシ
からは失われてしまった自己投影のできる等身大の存在であった。
 そしてこの時、敵役として登場したのがロケット団の特務工作員バショウとブソンである。本編のアニメ
に出てくる悪役は、御馴染のムサシとコジロウ、ニャースの三人組であるが、自称・敵役といいつつもその
実態はラブリーでチャーミーな三枚目である。が、バショウとブソンはシリアスな本物の悪役だ。クール
ビューティーの頭脳派バショウと、野性味に溢れた肉体派のブソンという組み合わせは、実にバランスが
とれたナイスなコンビである♪
 主人公達と狎れ合う事もなく、巨大なメカを鮮やかに操り(ニャースのメカとはエライ違いだ)圧倒的な
強さを見せつける。ポケモンと熱意以外の何物も持たない主人公達に、絶壁の様な冷徹さで立ち塞がり、
最新鋭のメカを駆使して任務を遂行する雄姿はこれぞ本当の敵役といえる。特に野獣のような逞しい強靭さ
を見せつけるブソンと、麗しき容貌に隠されていた氷河の断崖を穿ち奔流する溶岩の様なバショウの凶悪さ
はこれまでポケットモンスターに登場した数々の敵役の白眉である。残念ながら敵役の宿命として、今回の
ライコウ捕獲作戦は不成功に終わる。そしてこの物語は主人公達がまた新たにそれぞれの道へ再び歩み出す
ところで終る。しかし、その後も主人公グループの一人ジュンイチや、ロケット団の科学者シラヌイ博士は
本編のアニメに再登場した。またマリナも劇中の記事の中にコーディネーターとして取り上げられていた。
そしてこの魅力的なバショウとブソンも、劇場版『ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィ』にシラヌイ
博士共々、後ろ姿ではあるが登場したのである。超レアなレックウザを捕獲したと思しき彼等を見た時に、
エリート特務工作員の健在ぶりを確信した。しかしなんとこの映画がオンエアされた時に、劇場版としては
今一つであったこの作品の唯一の取り柄ともいえる彼等の登場シーンがカットされていたのである!!
これは潜在するバショウとブソンのファンにDVDの購入をうながす為の作戦ではないだろうか!?事実、
長大なアニメ『ポケットモンスター』の中のごく一部に、それも脇役という立場だったはずのバショウと
ブソンではあるが、その魅力に惹きつけられたファンの想いは、軽視できない程のパワーがあるのだろう。
 『ライコウ雷の伝説』は劇場版に匹敵する長編でもある名作ながら、レンタル用のVTRのみで、いまだ
にVTRでもDVDでも発売されていない。本編でもジョウト編は序盤しかセルDVDが発売されていない
のでDVDの規格統一を待っているのかとも思われる。 先月ついに、待ちに待ったDS版でのジョウト編
が発売されたのを機に、再び彼らの雄姿をアニメの物語で見られる事を切に願う。


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