再び 二輪車ETCは普及しているか? (08.7.2 追記 10.6.7)


1年ほど前に二輪車ETCの普及状況をとりあげたことがありました。正確には、普及状況ではなくて、「普及の障害」についてというべきでした。なにしろ、2006年11月1日から本格スタートといいながら、車載器は初回の製造ロットが3000台、初年度の販売目標がわずか3万台と言われ、当然のことながらスタート直後に品不足に陥り、私の場合は4ヶ月待って、去年の3月にやっと装着できたものでした。

ORSEからはETCのセットアップ台数が定期的に公表されていたのですが、これまた当然のことながら、その時点では二輪車ETCの装着数の発表はありませんでした。

あれから1年経って、今ではそれほど待つこともなく、希望するライダーはETCを搭載できるようになったはずです。では、いったい二輪ETCは現在までにどのくらい装着されたのか? 

以前エッセーで、「初期導入ユーザー」を20万と試算していた手前、はたして私の仮説がどれだけ正しかったか、気になっておりました。初期導入ユーザーとは、他人の評判に左右されることなく、また他社メーカーの参入を待つことなく、装着してみようというライダーを念頭においたもので、だいたい最初の2年ほどで装着するユーザーを想定しておりました。

ORSEのHPには相変わらずETCセットアップのトータル数が発表になっているだけで、車種別の統計がありません。そこで問い合わせメールを送ったところ、案外とすぐに回答をいただきました。それによると、

二輪車ETC車載器のセットアップ累計件数 109,332台(平成20年6月29日現在)
まだ20万には届きませんが、今年中に15万くらいになれば、私の試算とその根拠も、それほど的外れではなかったと言えそうです。しかも、装着したくても取り付けようがないケース、たとえば、オフロード車やネイキッドバイクのように車載器本体のためのスペースがなかったり、アンテナをむき出しにすると具合の悪いバイクもあることでしょう。バイクを選ばない車載器なら、あるいは20万は楽勝だったかも。

繰り返しになりますが、私は別にETC推進派というわけではなくて、ETCによる各種割引を享受する権利を問題にしていただけでした。高速道路は決して利用しない、というポリシーのライダーも多くいらっしゃいます。その理由のひとつが高速料金の高さにあります。いくら原油高でガソリン料金がリッター180円になったとしても、移動距離に占める高速料金の割合はガソリン料金の比ではありません。それでも、首都圏から抜け出すために高速を利用する機会の多いライダーにとっては、私もその1人ですが、通勤割引や深夜早朝割引を利用するためだけでも、ETC装着のメリットはあります。

道路は、一般道であれ自動車専用道路であれ、生活と経済活動のための重要な社会的インフラであるはず。自動徴税装置のような現在のニッポンの高速道路行政はいずれ見直しを迫られることでしょう。(「有料道路のあり方についての意見募集 公開投稿」参照)



追記(10.6.7):3年半でセットアップ件数は?

一体型車載器が追加発売になる一方で、高速道路無料化を見越してETC搭載を見合わせるライダーもなかにはいるでしょうが、2年前から二輪ETC車載器のセットアップ件数がどれだけ増えたか、気になってORSEに問い合わせたところ、今回もすぐに回答をいただきました。それによると、

累計件数 276,633台(平成22年5月30日現在)
自己採点じゃあないけど、私の見立てもいい線いっていたように思います。それは同時に、計算の根拠としたいろんな仮定が、現実的なものであったということでしょう。つまり、高速を利用するツーリストがこれだけいること、さらにツアラーモデルの市場がどれほどのものか、メーカーに示唆を与えるものでもあります。これはまあ、私のバイクがツアラーなので、そちらに偏った見方をしているかも知れませんので、そこは割り引いて読み解いてくださいな。



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