ヘッドライト・テールライト

-54- (2012.8 - 2012.9 ) 


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 (2012/9/26) 
危ないっ!! バイクも居眠り運転注意

今月3日の朝7時、ソチでのできごと。

не спи за рулем!
(Don't sleep while driving!)


 (2012/9/24) 
『GOGGLE』誌のバイク盗難対策特集

今日発売の『ゴーグル』11月号には「オートバイ盗難対策最前線」と題した特集が組まれていて、その中で当サイトを紹介していただいています。まずはゴーグル編集部にお礼申し上げます。

かつてバイク雑誌は時折盗難対策特集を組んで、ライダーに注意を促す役割を担っていました。わたしも中免取り立ての頃、何誌かの記事を参考にしていました。とくに思いだすのは、アメリカ製のU字ロック「クリプトナイト」がはじめて日本にやってきた頃で、少々価格が高めでしたが(たしか、当時1万2千円くらいしたような記憶が)、そのシンプルな工業デザインと強固さが気に入って、さっそく買い求めたものです。そのクリプトナイトは、何度も私のCBXを守ってくれました。

GOGGLEはその頃購読していた雑誌で、どちらかと言うと、数あるバイク雑誌の中で、中年以上向けの硬派な記事がウリでした。買った雑誌はあらかた処分しますが、このGOGGLEの87年2月号は手元に残りました。14年前の「限定解除のススメ - その2」で「心の青春のための限定解除」というエッセーに言及しましたが、それが掲載されていたバイク雑誌というのが、ほかでもないこのバックナンバーです。この一編の挑戦記に背中を押されて、わたしは限定解除に挑む覚悟を決めたものでした。

今回のGOGGLE誌の記事は当サイトを、携帯から検索できるデータベースであり、「みんなで見つけ合うというコミュニティサイト」と正確に特徴づけてくれています。かつての盗難対策記事は、いかに「防ぐ」かに重きを置くあまり、いったん盗まれると泣き寝入りという空気がありました。未然防止の対策だけに集中するのでは十分ではありません。その防護策が破られて「被害が発生」したらどうするか、ということが多重防護の考え方です。なにやら、今回の福島原発事故に共通するものがあります。



 (2012/9/19) 
学界・学問の府が果たさなかった責任

9.11という日は去年まではアメリカで起きた自爆テロの日のことでした。今では福島原発事故から1年半の日として想起されます。この日、国会事故調の報告書が出版され、翌日にはアマゾンから届きました。国会事故調が画期的だったのは、その委員会を公開として、事故究明のプロセスをオープンにしたこと、さらに、同時通訳つきでネットでライブ中継したこと。書籍出版を機に、この録画ビデオの意義と価値が再認識されることを期待します。

動画・音声での発信というものが、これほど力を持つものか、ということを実感したのも、この原発事故の真実を伝え続けてきた小出裕章氏の講演・インタビューによってでした。

事故から1年半後の「たね蒔きジャーナル」では、小出氏の発信をサポートしてきたこの番組をずっと聞いてきたリスナーの声が紹介されています。それはすべてのリスナーを代弁するものでもあります。

20120912 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章youtube

9.11には、その小出氏は応援してきたブロガーと懇談会をもちました。そこで、事故直後、大学・学界がどんな言論統制を受けたかについて、こう明かします。
小出裕章氏、福島第一原発事故当時のかん口令についてyoutube
小出:(事故の直後)日本中の原子力研究をしていた大学も含めて、
 箝口令が敷かれたわけです。個人的な発言はするな、と。
 組織としてしか発表してはいけない、と。
― 12日の時点でですか?
小出:はい、私は12日に発信を始めたのですけれども、
 私が発信を始めた直後に、原子炉実験所の所長から呼び出しを受けました。
優秀な学者が集まっているはずの日本の「アカデミー」たる学術会議がいまごろ「地層処分」見直しを提言したことについては、
20120913 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章youtube
小出:当たり前のことを、ようやくにして学術会議が言い出した、
 ということだと思いますが、
 あまりにも遅すぎる、と私は思います。
 日本の学問を背負ってきた人たちが、
 これまで原子力のゴミの始末の仕方にかんして
 なにも発言もしないまま、むしろ、容認を続けてきた、
 ということなわけで、
 今になって言ってくださるのはありがたいけれども、
 なんで今まで黙っていたのか、
 と私は思います。
「傍観しているのは賛成しているのと同じだ」という映画『東京原発』の中の都知事のせりふが聞えてきます。


 (2012/9/18) 
<'独島'プラカード事件> FIFA 10月5日に裁定を発表

日本のヤフーニュースには、U20女子ワールドカップで来日していたFIFAブラッター会長が今月7日に東京での記者会見で、「慎重に調査を続けている。1カ月以内には何らかの決定が下されると思う」(毎日jp 9月7日)と発言したことが報じられて以降、続報が見当たりません。そもそも、どんな「慎重」さがあと一ヶ月もの期間を必要とするのか、理解できませんが、裁定の結果だけでなく、FIFAの裁定審査プロセスの不透明さ自体があらぬ憶測を許す原因ともなっています。

一方、米ヤフーはその同じ9月7日に、FIFAがこの裁定を10月5日に下すと決定した、とのAP電を掲載しています。

ZURICH (AP) ― A South Korea soccer player who displayed a political sign 
after the bronze-medal match at the London Olympics will have his 
disciplinary case heard on Oct. 5.
FIFA sets date for SKorea Olympic banner case
Associated Press - Fri, Sep 7, 2012
記事は、韓国のサッカー協会の主張として、行為は「計画したものでは無かった(not planned)」、「スタンドから投げ入れられた(thrown from the stands)プラカードを拾っただけ」との言い分を紹介したあと、協会がFIFAの裁定を待たずに、当の選手をワールドカップ予選の対ウズベキスタン戦のメンバーに選んだことも付け加えています。

あまり時間を空費すると、そもそもIOCがなぜFIFAの決定を待つのか、ここにも不透明な霧がかかってきます。



 (2012/9/16) 
バイク防犯は地域コミュニティの力で

No.4'975 GPz400Fさんの被害情報をアップする前に、発見のお知らせをいただきました。ですので、被害と発見が同時登録になりました。ここに、その発見のお知らせを紹介するのは、だれが警察に通報してくれたか、という点です。

昼に連絡した[U]です。
本日15時に警察より連絡があり車両が見つかったとのことでした。
引き取りに行くとマフラー、ナンバーが無くなっていました。
隣の区で見つかり、少年達が車両をバラそうとしてたのを
近所の方が通報してくれたとのことでした。
大都市などでは、他人の不審な行動や犯罪を、見て見ぬふりをする風潮がありますが、この「近所の方」は勇気をもって警察に通報してくれたようです。バイク盗難を未然に防ぐのは、オーナー個人だけの責任ではなくて、地域のコミュニティの力ではないかと思います。とくに集合住宅にお住まいのライダーは、少なくとも同じマンション住民とは顔なじみになっていることが大切です。


 (2012/9/7) 
「CBX盗難多発」報道について

ヤフーニュースに昨日、今日と「ホンダCBX盗難多発 保険拒否」との見出しで読売新聞の記事が掲載されています。特定のバイク機種の名前がニュースの見出しになるのは珍しく、多くのライダーの注意をひいたことと思います。当然、当サイトの読者や友人からもコメントが寄せられています。また「CBX」「盗難」のキーワードで当サイトがヒットしますから、このニュースがきっかけで訪問された方もいらっしゃると思います。同じCBXの名を冠したサイトとして、簡単にコメントしたく思います。

ヤフーに転載された記事は読売新聞の電子版

『盗難保険入れないオートバイ…30年前生産終了』
読売新聞 2012年9月7日07時28分
 30年前に生産を終了したホンダのオートバイ「CBX400F」(400cc)
の盗難が相次ぎ、所有者が盗難保険の加入を拒否される事態となっている。
からのものですが、もともとは読売関西版のもう少し長いこの記事。
『狙われる名車CBX 盗難率他車種の3倍』
読売新聞 2012年9月6日
後者の記事には、「多発」した盗難ケースとして、4月6日と5月23日に、大阪府のともにバイク修理工場の倉庫(中古バイクストック?)から、ともに5台ずつ盗まれたことが言及されています。

じつは、6月の半ばに、わたしは大阪読売新聞の担当の記者から電話インタビューを受けています。そのとき、CBXの盗難が連続している、と聞いたので、「はて?おかしいな。とくに被害報告が寄せられた形跡もないし、立て続けに盗まれるようにオーナーが隣接しているはずもないし」と首を傾げましたが、保管倉庫からまとめて盗まれたものと分かりました。

そこで、私からは、CBXは旧車としては根強い人気があること、けれど、CBXが狙われる機種であることはオーナーは分かっているので、保管は厳重にしていること、たしかに被害にあっているが、当サイトの登録件数からすると、CBXタイプの現行車CB400SFのほうが圧倒的に盗難が「多発」していること、等を説明しました。さらに生産台数が6万台とタマ数が多く、また中古車販売店などの流通ストックになっているものも多いことを付け加えました。

ニュース記事がきっかけで初めてこちらに訪問された方は、「なんだ、CBXの被害が見当たらないぞ」と思ったことでしょう。このトップページには盗難車リスト照合プログラムが用意してありますが、そこにCBX400Fと入れると、27件ヒットします。もちろんNo.1が私のCBXです。同様にCB400SFと入れると、ヒット件数は153件、ZEPHYRだと85件(400cc以上を含む)です。

ということで、CBX400Fの盗難は「多発」していると言えるかも知れませんが、もっと多発しているモデルもあるので、結局は盗難保険がかからないほど盗難リスクの高い人気バイクとして記事になったものでしょう。

それにしても中古価格が「現在は平均で150万円前後。状態の良いものだと500万円で売買されている」というのは、ホントかいな? 500万円というのは、私のCBXに違いない(笑+涙)。車台番号とエンジン番号を照合してみてください。

今回の記事が、CBXの中古価格を押し上げる結果となって、それによって窃盗団に元気を与えることにならなければいいと願っていますが、同時に、二輪窃盗の事実に広い関心を向けさせるきっかけになってくれればとも期待します。



 (2012/8/31) 
国会事故調の報告書が書籍出版へ

7月5日に国会へ提出と同時にpdfで日本と世界に向けて発表された国会事故調の報告書が、9月11日より書籍で出版されます。価格は1,680円(税込み)。すでにアマゾンでも予約を受け付けています。実はわたしも、報告書の発表後すぐに事故調へ書籍出版を要望した者のひとりです。モニター上では読みにくいし、だいいち公共図書館などでの常備ができません。

てっきり国立印刷局から刊行されるものかと思ったら、出版社は徳間書店。その経緯は、

なお、本書は、報告書を国民の皆様に広くお読みいただくことを目的として実施した
出版に係る企画競争の手続きを経て、国会が徳間書店に対して無償での報告書利用を
許諾し、刊行されました。
「報告書は、早い地域では9月11日頃からの発売となります。」
国会事故調 新着情報 2012年08月30日(木)
なお、インターネット配信された公開委員会の動画も、国会事故調の核心となる記録です。報告書にはその会議録としてトランスクリプトがCDとして添付されますが、それよりも、1次資料としての録画ビデオは生々しいものがあります。まだご覧になっていない方は、試しにまず第8、9回委員会での参考人質疑を目撃されることをお勧めします。


 (2012/8/25) 
たね蒔きジャーナル存続に支援の輪

福島原発事故の真実を報道してきた貴重なメディアとしてこのコラムでも紹介、引用していた「たね蒔きジャーナル」に番組の打ち切り話が浮上して、存続を求める声と支援運動が高まっています。番組が一躍注目を浴びるようになったのは、震災直後から小出裕章氏に、日々変化する原発の状況を正確にかつ解り易く対話形式で語ってもらう企画によるものでした。

その小出氏が「たね蒔きジャーナル」の存続をビデオメッセージで呼びかけています。

小出裕章(京大原子炉実験所助教)「たね蒔きジャーナル」存続呼びかけyoutube
そもそもは、大手メディアとしてまず朝日新聞が8月1日に報道したことから。
原発問題を積極的に取り上げ、脱原発派の間で話題のラジオ番組、毎日放送(大阪市
北区)の「たね蒔(ま)きジャーナル」の打ち切りが検討されている。31日には
聴取者らが放送局前に集まり、存続を求めた。 
脱原発報道のラジオ番組打ち切り検討 毎日放送
朝日新聞 2012年8月1日0時45分
その後、東京新聞がより詳しい記事を掲載。
原発報道で高評価番組を打ち切り? 関西のラジオ「たね蒔きジャーナル」
東京新聞朝刊 こちら特報部 2012年8月4日 
さらに突っ込んだ記事にしたのが週刊朝日。
そんな名物番組が、なぜか秋の改編で打ち切られるという情報が駆けめぐっているのだ。
業界関係者が内情を語る。
「局内では『新しいワイド番組を始めるから』という話になっているようです。しかし
局の本音は、スポンサーである関西電力への配慮でしょう。小出さんだけを外すと騒ぎに
なるから、番組ごと終わらせるつもりなのではないか??という話で持ちきりだそうです」
「反原発」で高評価のラジオ番組が打ち切り!? 囁かれる関西電力の影
週刊朝日 8月9日(木)7時4分配信
昨日も、ヤフーニュースが週刊金曜日の記事を掲載していました。
聴取率も堅調とされる中での打ち切り表面化だけに、「原子力ムラの圧力」をはじめ、
さまざまな見方が飛び交っている。厳しいラジオ番組の採算性を指摘する声もあるが、
良心的番組を支え続けてきた熊和子ラジオ局長の定年退職を機に、「合理化」を図る
局幹部の思惑も見え隠れする。
原発問題を取り上げてきた「たね蒔きジャーナル」―“打ち切り”に存続の声相次ぐ
週刊金曜日 8月24日(金)16時46分配信 たどころあきはる・ジャーナリスト
この3月にも、大飯原発再稼働をめぐる動きの中で、古賀茂明氏の「テレ朝=ワイド!スクランブル」降板騒動がありました。


 (2012/8/22) 
<'独島'プラカード事件> オリンピック憲章と国粋メディア

オリンピックのサッカースタジアムで韓国のパク・ジョンウ選手が政治的メッセージを掲げて銅メダルが保留されている事件。日韓ともに、メディアとジャーナリズムの不毛が目立ちます。代わりに、一部ブロガーやツイッタラーの反日・嫌韓の悪乗り発言がネットに溢れる始末。なにか、この事件に触れることは「日韓外交問題」に及びそうな気配が、日本韓国両国のメディアに漂います。

ジャーナリズムがまともに機能していないと、素人発言が目立ってしまう。名の知れたサッカー解説者が「大統領がいきなり上陸したことに比べたら、たかが一選手のプラカードなど大したことではない」と発言するのは過剰に反応することを戒める意味とはいえ、「政治とスポーツが別であるというのは綺麗事だ。IOCやFIFAが、何より一番政治まみれだろう」とまで言うのは、あまりに稚拙。

日本と韓国双方の事情に詳しいらしいスポーツジャーナリストも、ロゲ会長が「メダルはく奪か否かについて今話すのは時期尚早」と言った言葉尻をとらえて、「つまり、行為自体に問題はあったと判断したが、メダルの扱いについてはFIFAの調査結果次第で決めるということだ」との解釈をくわえて、韓国サッカー協会の会長が日本サッカー協会に送った、謝罪とも受け取れる文書について、「現時点ではFIFAの調査結果、それを踏まえたIOCの発表を待つしかない。メダル授与の可否はもちろん、国際試合の出場停止なども想定されるが、これ以上、日韓双方に遺恨が残るような制裁だけは避けてもらいたいものだ」と、日韓関係問題に転嫁してしまっている。

どうしてこんなことになっているのか?

問題は単純に――パク選手の行動がオリンピック憲章に違反しているかどうか――なのだ。そのオリンピック憲章の英語原文も日本語訳も日本オリンピック委員会のHPに掲載されていて、だれでも見れる。憲章というのはCHARTERの訳語だが、これはオリンピックの理念から組織、運営、競技、競技者等々についての明文化されたルールだ。その第50条「広告、デモンストレーション、宣伝」の第3項には、こう明記されている。

3. オリンピック開催場所、会場、他のオリンピック・エリアにおいては、いかなる種類の
 示威行動または、政治的、宗教的、人種的な宣伝活動も認められない。
これは、競技者ばかりでなく、観客にも適用されることがわかる。多分観客の入場チケットにはその注意事項が記されているのではないか。そして、第59条「処分および制裁」の第2項の1にはこうある。
2.1 個々の競技者およびチーム関係:
 一時的または永久にオリンピック競技大会に欠格とすることあるいは除外すること、また
 失格または資格認定の取消し。失格または除外の場合、オリンピック憲章違反に関係して
 獲得したメダルや賞状はIOCに返還されるものとする。
最後の文の「オリンピック憲章違反に関係して獲得したメダル」というフレーズはおかしいが、原文は
the medals and diplomas obtained in relation to the relevant 
infringement of the Olympic Charter shall be returned to the IOC
とあるので、
オリンピック憲章違反に関係する獲得メダル・賞状はIOCに返還されるものとする
としたほうが解り易いように思う。それはともかく、こうして明文化されているルールに照らせば、メダル剥奪は明らかだが、問題はほかにどのような制裁が課せられるか、ということ。つまり、パク選手にどの程度の期間の欠格が課されるか。最悪の場合、パク選手個人ではなく、チームにも及ぶかも知れない。というのは、チームの誰一人パク選手の「政治的宣伝行為」を制止しなかったこと、のみならず、韓国国旗の上にそのプラカードを載せてチームでセレモニーをしたこと、が倫理委員会で調査の対象になっているかもしれないから。

さらに、問題を深刻にする可能性があるのは、だれがプラカードをパク選手に渡したのか、という不問にされている事実が明るみに出たときでしょう。というのも、プラカードを渡している画像から、あれは韓国サッカー協会の関係者ではないか、という疑いがネット上で指摘されているからです。韓国サッカー協会はFIFAに対して「ファンが渡した」と説明しているが、これだけの事件になったのに、また証拠画像があるのに、そのファンなる人物の特定とインタビューが、メディアに見当たりません。

ただし、あのプラカードを作成してパク選手に渡したのは韓国人の留学生との一部報道もあります。毎日新聞のその短い記事はそれを「渡したとみられる」韓国人男性について、

英国の大学で学ぶ27歳の男性で、試合後半の開始後、スタジアム内を歩いていた。
手作りのボードについては、少し答えをちゅうちょした後で領土問題について書いた
と説明した。【カーディフ(英国)大前仁】
五輪サッカー:竹島ボード作製の韓国男性「敵対心はない」
毎日新聞 2012年08月13日 02時30分
と伝えています。ただ、このインタピューなるものも、不自然なところが気になります。試合が行われている最中に、ハングル語のプラカードを持ってプラプラ歩いていた人物がいたので、韓国人サポーターと思った記者がインタビューした、ということか? その男性が、実際に選手に渡した人物かどうか確認情報はありません。

もしも、あれが韓国サッカー協会の関係者だったとすると、事態は深刻です。韓国サッカー協会が日本サッカー協会にたいしては謝罪ととれる文書を送る一方で、韓国国内向けとFIFAにたいしては「違反ではない」と主張せざるを得ない窮地に立たされているのも頷けます。つまり、オリンピック憲章違反が協会ぐるみかどうかの問題になってしまう。

前回のコラムで、「選手は事前に規定を熟知しておくべきだった」とのロゲ会長の発言を引用しましたが、そもそも憲章の第44条「招待とエントリー」には付属の細則として以下の条項があります。

4. オリンピック競技大会への参加は、各競技者がオリンピック憲章の条項、およびその
 競技の統轄IFのルールを全て遵守することを前提条件としている。競技者をエントリー
 するNOC(各国のオリンピック委員会)は、そのNOC自らの責任において、このような
 競技者がオリンピック憲章および世界ドーピング防止規程について充分に認識しこれに
 従うことを保証する。
つまりは、パク選手のメダル剥奪だけではなくて、それを制止することさえ考えつかなかったチームに加え、プラカードを渡したのがサッカー協会関係者だったとしたら、オリンピック憲章の遵守を教育していなかった韓国オリンピック委員会の責任問題までが浮上するのです。

この事件を日韓関係問題にすり替えようとしている国粋メディアがいちばん恐れていることでしょう。



 (2012/8/17) 
<男子サッカー3位決定戦> 関心はメダル剥奪よりも関係者の弁明

オリンピック男子サッカーの日韓戦の試合後のピッチ上で、韓国のパク・ジョンウ選手が「独島(竹島)は韓国の領土」と書かれた紙を掲げて、メダル授与が保留になった件。16日までに経緯の報告をFIFAが韓国サッカー協会に求めていた、と報じられていたので、はたして協会がどんな回答をするものか、と待っていましたが、昨日のニュースに、

報道によると、FIFAは経緯に関する報告書を16日までに提出するよう求めていたが、
協会側は「事案は重大で書面では不十分」と判断し、FIFA本部で説明することにした。
協会幹部は15日午後、FIFA本部があるスイス・チューリッヒに向け出発した。
韓国サッカー協会、FIFAへ直接説明「日韓の歴史」も
サーチナ 8月16日(木)8時56分配信
とありました。この問題には視点がふたつあります。ひとつは、選手がおこなった政治的宣伝行動がオリンピック憲章に違反しているかどうか。抵触していれば、もちろんメダルは授与されないことになります。そして、だれが見ても、政治的メッセージであることは明白で、IOCのロゲ会長が、
ロゲ会長は朴選手の行為について「当然、政治的表現に該当する」と指摘。その上で、
「朴選手は領土問題に関する見解を明らかにしたわけで、IOCとFIFAの規定に
反する」とし、五輪憲章などに違反するとの認識を示した。
韓国選手の竹島メッセージは「政治的表現」 IOC委員長、五輪憲章違反との認識
産経新聞 8月14日(火)11時6分配信
というのも、しごく当然のことです。

けれども、この問題にはもうひとつ、あの愚行を誘導、教唆した関係者がどういう弁明、あるいは責任逃れ、をするのか、という視点が発生しています。というのも韓国サッカー協会が、

同紙(中央日報)は韓国サッカー協会が上級機関である大韓体育会に「パク・チョンウ
のセレモニーは意図的ではなかった。ファンが渡した紙を手にして広げただけ」と釈明
したと報じている。
政治的メッセージを掲げたパク・チョンウの行為に韓国協会「セレモニーは意図的ではなかった」
ゲキサカ 8月12日(日)12時34分配信
と、規定違反ではないという主張を始めたからです。選手は文盲ではあるまいし、「意図的ではない」との協会の開き直りは、対応を間違ったか、自ら事件の当事者であるかのような口ぶり。ロゲ会長が上記のコメントに続いて、
ロゲ会長は「選手は事前に規定を熟知しておくべきだった」とし、「例外を認め始めると
統制が難しくなる」として厳しく対処する姿勢を示した。
(産経新聞 上記)
と述べているのは、この言い訳を暗に退けているようにも聞えます。文書では弁明できない窮地の韓国サッカー協会はFIFA本部に詣でて、「例外」を認めさせようとの作戦に出たもののようです。

そもそも、イ・ミヨンバク大統領の個人的パフォーマンスが引き金になった今回の事件。落ち目とは言え、国のトップのパフォーマンスに韓国メディアが呼応し、サッカー協会まで悪乗りしたという構図が見えてくる。つまり、今回の事件は「パク・ジョンウ選手」問題ではなくて、「イ・ミヨンバク大統領」問題だったわけで、選手は躍らされただけの可哀想な被害者でしかない。メダル剥奪が避けられないとなると、その責任を逃れるために大統領はさらにエスカレートしたパフォーマンスに走ることになる。韓国国民もおそらくそれに気づき始めているでしょうが、注目したいのは、韓国では権力を監視すべきジャーナリズムが機能しているのかどうか、ということ。隣国は我がニッポンメディアを映しだす格好の鏡になるかも知れません。



 (2012/8/10) 
<なでしこ決勝戦> 口惜しい結果・悔いのない内容

わたしは昨年のワールドカップからのにわか女子サッカーファンでしかありませんが、オリンピックは予選からずっと全試合をライブで見ていたので、昼と夜のリズムが狂ってしまいました。昨年のWCの再現となった今日未明の決勝戦、負けはしたものの、WCの防戦一方だった決勝戦に比べても、実力の伯仲したいい試合でした。とくに、失点した後でもなでしこらしいサッカーを組み立てたことは称賛に値します。

多種目のオリンピックなので、サッカーWCに比べると、他チームの試合は放送されなかったり、スポーツメディアによる論評も他の種目の記事に埋もれてしまいがちです。それを思うと、WCのほうがオリンピックよりはサッカーの祭典にふさわしいように思います。

世界のメディアの中では、BBCのスポーツ記者が決勝戦の様子を的確に、かつ公平に、論評していました。その中で、なでしこの戦いぶりをこう評しているのは、日本でも世界でも共通しています。

(2点目を失った後でも)なでしこは諦めることなく、自分たちのパスサッカーの
スタイルを貫いた。そして結果を出した――ゴールライン上でランポーンがクリアした
ボールを大儀見がゴールに押し込んだ時に。
But they refused to give up or compromise on their passing principles and 
they were rewarded when Ogimi tapped home moments after skipper Christie 
Rampone had made a goal-line clearance.

Olympics football: USA beat Japan to secure gold in Wembley thriller
By Paul Fletcher BBC Sport at Wembley
審判がハンドのペナルティをとらなかったことにも言及しているが、その言及の仕方がまた面白い。
日本チームは宮間のフリーキックをヒースがハンドしたことにペナルティをもらえ
なかったのは不運だったが、いっぽう岩清水がヘッドで逃れようとしたボールが
ゴールポストで跳ねたときに点差を広げないでくれたという幸運に恵まれた。
The Japanese were unlucky not to be awarded a penalty when Tobin Heath 
handled Miyama's shot, but the Asian side were also fortunate not to fall 
further behind when Azusa Iwashimizu, under very little pressure, headed 
against her own post.
同じ試合を見ている読者をも頷かせる記事を書くには、それなりの力量が記者に求められます。それはスポーツ記事に限りませんが。




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