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 (2017/5/31) 
「二輪、高速乗り放題」? ― ものは言いよう 

ヤフーのニュース一覧に「二輪 首都圏高速が乗り放題へ」という見出しがあったので、おおっ、と急ぎ目を通しました。現在の二輪の置かれている不当な差別的状況のもとで、朗報のように見えたことと、でもそんなグッドニュースにしては唐突すぎるのが気にもなりました。

記事はローカルの新聞社が伝えたもので、

二輪、高速道路乗り放題へ 沼津ICなど対象エリアに
国土交通省は30日、自民党二輪車問題対策プロジェクトチームの会合で、ETC搭載の二輪車を対象に7月下旬から、首都圏の高速道路が定額で2日間乗り放題(乗り降り自由)になる料金割引プランを導入する方針を明らかにした。
静岡新聞SBS 5/31(水) 7:58配信
一見、国交省が二輪行政の健全化に転じたのか、との印象を与えそうですが、内容をよく読むと、実はその逆であることが読み取れます。

記事の核心部分はここ、

(軽自動車と同じ区分の二輪車料金を区別して引き下げるという要望にたいして)国交省は「料金を独立化するとなれば費用と時間がかかる。すぐにできることから始める」(高速道路課)とプランを提案した。ツーリング需要を喚起し、地域活性化にもつなげる狙い。
「すぐにできることから始める」とは言いよう。なんのことはない、二輪料金を独立化することの引き延ばし作戦が見え見えです。そもそも東京から箱根富士エリアというのは、日帰りツーリングの距離です。それをわざわざ「2500円で2日間乗り放題にする」というのは、一泊しろとでも言っているのでしょうか? 

利用したいというライダーがいれば、それはそれで結構。でも、一時の話題にはなっても、やがて相手にされなくなるでしょう。でも「頭がいい」はずの官僚がどうしてこんなつまらないプランを画策したのでしょう?

それは、これがうまく行っても行かなくても、どっちに転んでも構わない構図があるからではないか。もしも、利用客が増えたら「効果を検証し、他地域でのプラン導入も検討する」という作戦。ライダーがそっぽを向いたら、高速料金を下げても、二輪の利用が増えるわけではない、という解釈に誘導される。

つまり、どっちにせよ、二輪の高速料金独立化は先延ばし、または無視されるしかない。だいいち、それが簡単に実現したら、これまでの二輪行政が間違っていた、ということになりかねない。官僚には、国が亡びようと、自分の過ちだけは認めない信念があります。高速の二人乗りが「危険だから」という理由で禁止されていたのが、「外圧」によってあっという間に解除されたという歴史があります。じゃあ「危険だから」の根拠の検証はどうなっちゃったのかな?



 (2017/3/29) 
「かけがえのない」という価値 

高価なだけで「高級バイク」と呼ぶ慣習がメディアにはあります。大体が排気量の大きい大型自動二輪ですが、オーナーにとっては排気量がどうあれ、愛車はすべてかけがえのない「高級」バイクです。バイク窃盗は件数こそ激減しましたが、その反面、希少車を狙った犯行が目立ってきました。以下は、No.5'311 TZM50R さんが添えて下さったメッセージです。

被害状況は自宅マンションの駐車場です。
この日はたまたまハンドルロックとカバーのみでした。
普段は階段のポールに玉掛ワイヤーをかけチェーンをしてるのですが…
完全に私のミスです。(中略)
大事に修理を重ね、21年乗り続けていました。本当に大事な子なのです。
少しでも何かがわかると嬉しいです。


 (2017/3/28) 
「忖度」と「日本会議」コネクション ― 森友学園スキャンダルの裏側 

森友学園の籠池理事長との単独インタビュー(3月12日)をスクープしたのが、著書「日本会議の研究」(2016年5月 扶桑社新書)で知られる菅野完氏ということで、おやっ、と思いました。そもそも仇敵の間柄のはずが、その動画を見ると、理事長の発言は支離滅裂ではないし、菅野氏も冷静に真実を追及していることが分かります。

その後3月15日に、籠池氏は日本外国特派員協会にて記者会見をする予定が、直前にキャンセル、しかし上京して菅野氏に会うというので、菅野氏の自宅前にマスコミが群がりました。たまたま、ワイドショーの「ゴゴスマ」はかなりの時間それをライブ中継してくれましたが、局によっては「安倍首相の名前が出るや否や素早く中継をストップ。CMに入った」ところもあったそうです。

このぶら下がり会見を要約、一部文字起こしもしてくれている LITERA から、ライブ中継された核心部分を引用すると、

菅野氏はもうひとつ、重要な指摘を行っていた。それは渦中にある稲田朋美防衛相についてと、安倍政権を支える政治家と極右組織との繋がりについてだ。
 「稲田さんのお父さんである椿原(泰夫)先生(編集部注:昨年10月に死去)は関西保守人脈の重鎮ですから、籠池さんみたいな思想をもっている人だったら椿原さんとよく昵懇だったでしょうし、そうすると稲田朋美さんと在特会とか、いわゆるレイシストたちとのいかがわしい関係というのは大阪や京都や福井を歩けばいっぱい見つかると思いますよ」
 「椿原先生の存在を追いかけると、なぜ瑞穂の國記念小學院みたいな学校が大阪に出来たのか、なぜ維新みたいな連中が大阪で権力をもつにいたったかというのも、よくわかると思います。みなさんぜひそこらへんを追いかけてみてください。いかがわしい連中が大阪府庁のなかで陣取っているというのが、よくわかると思います」
籠池の代わりに菅野完が会見、マスコミが中継を打ち切った爆弾発言の中身!・・・
LITERA 2017.03.15
ただ、今回の土地取引そのものに日本会議が関与しているわけではないでしょう。籠池氏は日本会議大阪の運営委員ではありますが、BuzzFeed News のインタビューで菅野氏は、
 「今回の土地取引に、日本会議が関わっているとは思えません。彼らがそれをする動機も、力もない」
 「籠池氏のようなエキセントリックな人が、社会である一定の地位を保とうとするとき、日の丸や君が代など、愛国心などの大義名分は非常に便利です。そういう人が日本会議に引き寄せられる」
 「餡まんで例えれば、餡の部分に日本会議の中枢がいて、最近は、ほかの白い部分がどんどんと拡大している。もう、極限まで。その白い部分の中で起きているのが、今回の土地取引をめぐる問題だと思っています」
森友学園に保守団体から「迷惑」の声 「中国人嫌い」と園児が言う教育の実態
BuzzFeed News 2017/03/05 05:01
と語っています。まさに森友学園スキャンダルに絡んだ「忖度」の裏側を見る思いがします。


 (2017/3/25) 
メディアの情報操作 ― 豊洲市場移転問題 

20日の都議会の百条委員会での自民党委員の質問は、石原元都知事の責任を追及することではなくて、小池都知事批判の場を与えることが目的の時間つぶしでした。元知事は、築地は危険、豊洲が安全なのに小池都知事が豊洲移転を決断しないのは「不作為」の責任、築地で働く業者を「生殺し」にしている、と独演していました。さっさと豊洲移転してしまえば、責任追及の声は静まる、との作戦でしょう。

ところが、翌々日だったか、あるテレビ局が築地市場中卸組合の早山理事長のコメントを報道しました。そこで理事長が述べたのは、自分たちは「生殺し」されているとは考えていない、築地の現状は、豊洲移転ありきで築地の老朽化した設備を放置したことが原因で、それこそ元知事の「不作為」だ、という内容だったと記憶しています。石原演説へのストレートパンチです。

正確に引用しようとその記事か動画を捜したのですが、不思議なことに見つかりません。やっと見つけたのが池上正樹氏のツイッターにアップされた「理事長所感」のコピー。

一度報道されたのに、Yahoo!ニュースにも見当たらないのはなんとも不可解です。逆にニュースになることがおかしいのは、NHKが24日、

このまま築地で営業を続けた場合、年間にかかるコストは現時点で少なくとも84億円、業者への追加補償を含めると100億円を上回り、豊洲に移転した場合の77億円よりもコストがかさむことが東京都がまとめた試算でわかりました。
築地継続は豊洲移転よりコストかさむ 都が試算
NHK NEWS WEB 3月24日 18時52分
と、持ち込まれた情報のような「わかった」ニュースを流していること。情報操作の臭いがぷんぷんします。


 (2017/3/22) 
びっくり。正会員は15人? ― 五輪ゴルフ会場問題 その3 

おととい、霞ヶ関CCが女性会員を認める決定をした、との速報が流れました。あれっ?と首を傾げたのは私だけではなかったでしょう。受け入れたこと、ではなくて、どう決まったか、というプロセスです。

臨時理事会には理事15人中14人が出席し、変更に必要な全員一致で議決された。細則で正会員は「一定の年齢に達した男子」とされていたが、「一定の年齢に達した者」とするなど、3カ所を改定した。
五輪ゴルフ会場・霞ケ関CC、女性も正会員 細則変更
産経新聞 3/21(火) 7:55配信
なにが変って、会員資格の規約(細則)変更がたった15人の「理事」で決められる事案だった、ということ。スコットランドの名門クラブが会員による投票で2/3以上の賛成でやっと規約改正したので、私はてっきり霞ヶ関CCも、「正会員」の投票または総会での議決で決定するものと思い込んでおりました。だったら、会員向け説明会などせずに、さっさと15人で決めれば済むことを、なにをぐずっていたんでしょう?

誤解の原因は、やはり「会員」のネーミングにあったようです。要するに、霞ヶ関CCの「正会員」はじつは15人の理事のことであって、それ以外の会員はどれも「限定会員」だった。これで、なぜクラブ側が平然と「日曜祝日にプレーできないだけで、女性会員はいる」という言い方をしていたのか、深層心理がやっと分かりました。



 (2017/3/15) 
時を逃すということ ― 五輪ゴルフ会場問題 その2 

ものごとを為すにはすべて秋(とき)というものがあります。たとえ良いことでも、時を逸すると逆の結果にもなりかねません。そのいい例が、霞ヶ関カンツリークラブの女性会員排除問題です。

問題が発覚してからすでに2ヶ月が経つというのに、いまだ霞ヶ関CCは規約変更するかどうかの合意がとれていないようです。この11日には3度目ともなる会員説明会を開催したものの、

規則変更についての結論は持ち越された。(中略)倶楽部の意思決定機関は理事会で、さらに説明会を開くかなど今後の日程は未定。
3度目説明会も結論先送り=東京五輪ゴルフ会場 ― 霞ケ関CC
時事通信 3/11(土) 21:01配信
と報道されています。女性を会員にすることにあからさまな反対はないようですが、「IOCから言われたから変えるというのは納得できない」という感情論に固執している男性会員ゴルファーがまだ多数おいでのようです。

時代の変化と空気に鈍感な会員のために、意思決定をぐずぐずと先延ばししているあいだに、スコットランドの名門クラブが14日、女性会員を認める決定をおこないました。

男子ゴルフの全英オープン選手権を16度開催している英スコットランドのミュアフィールド・リンクスが14日、規約の改定に関する会員投票を行い、1744年の創設以来初めて女性会員を認めることになった。
英の名門、女性会員認める=ミュアフィールド・リンクス − ゴルフ
時事通信 3/14(火) 23:05配信
さてこれで霞ヶ関CCは、イギリスの名門も女性をうけいれたのだから、と女性会員を受け入れる方向に動くのでしょうか。けれど、見方を変えると逆に、「イギリスの名門が決断したから自分たちも変えるというのは納得できない」という理屈を感情派に呼び起こすのでしょうか。

いずれにしてもこの推移、たかが80年で名門気取りのクラブが、世論と世界の変化に追いつめられていく姿に見えてきます。それもこれも、問題になってすぐに決断していれば世間の賞賛を浴びたのに、ぐずぐずと先延ばしにしていることで、かえって印象を悪くしています。時を逸するということは、こういうことか、とあらためて考えてしまいます。



 (2017/3/5) 
愛車を再生 ― カラーリング 

No.5'307 熊谷市 Monkeyくまモンバージョンさんが添えてくださった被害状況、

大学の構内にある寮の駐輪場に置いていたバイクが盗まれました。
警察から遺失物通知書が届き、ナンバープレートが拾得されていると!
駐輪場のバイクを確認したら無くなっていました。大切にしていたバイクで
悲しいです。自分に出来る事をやりたいとリストに掲載お願いいたします。
モンキーはロングセラーバイクですが、「くまモンバージョン」があることを知らないでおりました。主要スペックを見ると、標準の「50周年アニバーサリー」モデルと同じなので、カラーリングが主な変更でしょうか。それでも、これまでのモンキーのイメージが一新されたユニークなモデルで、女性にもぴったりです。

バイクは再塗装やカラーリング変更でずいぶん印象が変わるものです。これまでバイクのカスタマイズってパーツ交換や改造がメインでしたが、それよりも、再塗装やカラーリング変更によるパーソナライズがもっと自由にできればいいのに、と思う時があります。

私のK75Sは日本では不人気モデルで販売台数自体が少なく、バイク仲間からは「絶滅危惧種」と揶揄され、私は種の保存に必死です。この色はショップの社長さんがシビックだかフィットだかと同じ塗料で再塗装してくれたメタリックブルーで、私はとても気に入っています。しかもエンブレムは七宝焼。国産バイクに比べると欠点や不便さが目立つ外車ですが、この「わたしバージョン」のカラーリングのために製造から28年のモデルには見えない・・・と言われたい。

いずれにしろ、メーカーはカラーリングをもっと重視して欲しいし、ショップも芸術的な再塗装を提供してくれたら、傷だらけのサビサビバイクだって、また元気に生まれ変わることができるのではないかしら。

肝心なことを言い忘れました。二輪の窃盗件数は激減しましたが、その分盗難防止策がライダーの話題になる機会もまた減少しました。当サイトをご訪問いただいた方には、ぜひともライダー仲間に注意の喚起をお願いいたします。



 (2017/2/23) 
「絶望があれば、希望を」 

昨日22日に開会した都議会の定例会で、小池知事はその施政方針演説の締めくくりに

不一致があれば、調和をもたらしたい。
誤りがあれば、真実をもたらしたい。
疑いがあれば、信頼をもたらしたい。
そして、絶望があれば、希望をもたらしたい。
 Where there is discord, may we bring harmony.
 Where there is error, may we bring truth.
 Where there is doubt, may we bring faith.
 And where there is despair, may we bring hope.
とマーガレット・サッチャー元英首相のことばを引用して、こう続けました。
私が目指す都政とは、都民の皆さま1人ひとりが希望を持てる東京を実現することにほかなりません。今日よりもあしたがいい、あすよりもあさってがもっといい、そう誰もが思って毎日を生き生き過ごせる東京を実現する、50年、100年先も世界をリードするため、歴史の転換点になるような取り組みを押し進める、同じ志を持つ皆様とともに、東京大改革に邁進して行きたいと思います。
マーガレット・サッチャーは文学にも造詣が深く、スピーチや論戦にもそれがフル活用されていました。それはどこか小池都知事に共通するものがあります。都知事が引用したスピーチは1979年、英国初の女性首相就任が決まって、ダウニング街10番地(首相官邸)の玄関前で記者団に語ったときのもの。

ただ、これはサッチャーのオリジナルではなくて、イタリア中世の聖人アッシシのフランシス(Saint Francis of Assisi 1182 - 1226) からの引用・もじりとのことですが、実際にフランシスの作であるかどうかは不確かとのこと。

たまたまTBS系のライブ番組「ゴゴスマ」を見ていたら、都知事のこの演説部分がライブで放送されて、おおっ、と強烈な印象を受けました。聖フランシスなど知らない私には、これをてっきり「キリマンジャロ山頂の灯火」宣言をもじったものか、と思えたのでした。

小池都知事は、サッチャーのことばに続いて東京大改革への決意を表明していましたが、本心は、もうひとつサッチャー語録から引用したかったかもしれません。

政治の世界で、聞きたいだけのことなら、男に言わせなさい、やってほしいことがあれば、女に頼みなさい。
 In politics, if you want anything said, ask a man; if you want anything done, ask a woman.
 (Speech to members of the National Union of Townswomen's Guilds, delivered at the Royal Albert Hall ― May 20, 1965)


 (2017/2/22) 
キーワードの扱いがぞんざい ― 五輪ゴルフ会場問題 

クアラルンプルでの金正男氏の暗殺事件をめぐる謎の数々、豊洲市場問題で石原元都知事が百条委員会に証人喚問されることになった一方で自身で記者会見すると発言したりと、連日のニュース種に事欠かないメディア報道の中で、わたしがとくに気になって追っている事件は五輪のゴルフ会場になった霞ヶ関カンツリークラブの女性会員問題。 この件はもちろん世界でも報じられて、その報道内容も簡潔かつ正確です。

(IOC) has expressed its serious misgivings about the 2020 Olympics events being staged on a Tokyo course which not only excludes women from being full members - but bans them altogether from playing on Sundays.
Tokyo 2020 golf venue ban on female members and women playing on Sundays alarm IOC
17 Jan 2017 The Telegraph
IOCは2020東京大会のゴルフ競技会場となっているクラブが、女性が正会員になることを排除しているだけでなく、日曜にプレーすることも禁じていることに深刻な憂慮を示した。
問題は、プライベートクラブとして男性専用という「伝統」を堅持するのはクラブの自由であるとしても、男女平等の理念を謳うオリンピックの会場としては許容されない、という単純なもの。

この単純な問題が単純に解決されずに騒ぎになっているのは、まず今年の初めに、森喜朗元総理・現五輪組織委員会会長が、霞ヶ関カンツリークラブは交通アクセスに問題があり「本当にできるのか?」と、唐突に懸念を表明したことに始まります。

それに対して、若洲というオプションを持つ東京都の小池知事が、1月13日の定例記者会見で会場変更には触れずに「21世紀の時代に女性が正会員になれないというのは非常に違和感を感じる」と述べたことで、女性排除のクラブであることが広く知られるところとなり、すぐにIOCが「改善」を求めた、という経緯がありました。

歯切れが悪かったのは、日本ゴルフ協会側の弁明。同CCに在籍する212人の女性会員(週日会員)から待遇や施設利用面でクレームはなく「女性プレーヤーに対し充分門戸は開放されている」と反論めいたことを言い、正会員の中には「IOCから言われたから変えるというのは納得できない」との意見がありました。クラブの今泉総支配人は「当倶楽部は正会員、週日会員、家族会員がある。平日と土曜にプレーできる週日および家族会員の中には、女性会員が約210人います。ですから、女性ゴルファーも頻繁にプレーしている」と火の粉を払おうとしました。

そもそも、ゴルフには全く関心のないわたしがこの問題に興味を持ったのは、「会員」という重要な用語のメディアの扱い方がずさんに思えたことでした。日曜にプレーできないだけで「女性会員」はいる、という表現や、クラブの2月19日の説明会には「会員」が約200人が集まった、と伝えられたこと。つまり、「会員」とは「正会員」であって、女性会員はゲストプレーヤー、あるいは「準会員」と呼ぶべきであるのに、その区別をしないので読者に誤解を与えてしまいました。「女性会員」が約210人いるなら、では「正会員」は何人いるかと思ったら、約1200人という。決議権もなく、運営に関与できない準会員を「会員」と誤解しかねないコピべはメディアとしてはうかつとしか言いようがありません。

さて、では規約の見直しを迫られたカンツリークラブの「正」会員はどう対応するのか? わたしが思うに、選択肢は3つ。

ひとつは、IOCの要望に沿って、総会で規約を改正して女性の「正」会員を認めること。これで、女性差別のクラブという悪名を返上し、オリンピック会場となったという箔がつく。もっとも、実際に女性が正会員になるには、推薦条件などハードルがあり、今後も男性専用のままであり続けることになるかも。ただ、オリンピック会場として交通アクセスの問題は残る。

2つ目は、規約改正の議案を否決し、女性排除の「伝統」を守る。その場合、オリンピックの会場もキャンセルされるので、女性を排除したらオリンピックから排除された名門ゴルフクラブという汚名を歴史に残すことになる。ただ、交通アクセスの議論は消滅する。

3つ目は、正会員の間で意見調整がうまくいかないことを理由に、規約改正を議決することをずるずると先延ばしにすることで、IOCと組織委員会がさっさと別の会場を決定するように仕向けること。自ら決断するのではないから、生じる問題をすべて組織委員会の責任に転嫁できる。

ただ、いずれの場合でも、富豪層やエスタブリッシュメントの男性専用プライベートクラブが、なぜオリンピックのゴルフ会場に選ばれたのか、その経緯についてもあらためて問題視されることでしょう。



 (2017/1/31) 
日本語にならないものか、このキーワード ― エスタブリッシュメント 

トランプ・アメリカ大領領の矢継ぎ早の、常軌を逸した権限行使が、アメリカ国内だけでなく、世界的にニュースになり、また批判と非難の的になっています。それはツイッターというメディアを利用した一方的な放言で、既存メディアを振り回している手口と、どこか繋がっているともいえます。結果として、America First どころか America Worst のメッセージを振りまいてる印象を受けます。

トランプ氏が選挙中、また当選後にその短いスピーチの中で多用していたことばの一つが「エスタブリッシュメント」でした。それは、かれが敵視している相手を指しているのですが、しかし、残念ながら、日本のニュースでは字幕でもカタカナのままだったり、既存体制、既成組織などの翻訳が当てられていたので、ピンときた人は少なかったのではないかと思います。

それもそのはず、60年代までは establishment とは「設立されたもの」「確立されたもの」したがって建築物とか、その建築物によって成り立つしくみ、たとえば学校なら教育機関と教育制度、を指していました。それが、社会的に支配的なグループや、かれらによって形成された統治システムが establishment と呼ばれるようになったのは1970年代と思われます。それは英語辞典で追跡することができて、C.O.D.の第六版(1976年)には、

social group exercising authority or influence, and generally seeking to resist changes.
(権力や影響力を行使できる社会的グループで、一般に変化を拒む)
という意味が加わり、アメリカでもウェブスターの Collegiate Dictionary 1979年版 に、
a group of social, economic, and political leaders, who form a ruling class (as of a nation)
と、支配的階級を形成する集団(つまりエリート層)を意味するようになっており、そのまま今に至っています。

つまり、トランプ大統領は、国民が抱いている現状にたいする不満の矛先をエスタブリッシュメントに向けることで、ある意味「変化の騎手」として期待されることに成功したものです。つい数年前にアメリカでも貧富の格差が拡大する中で、ウォールストリートに抗議デモが押し寄せたこともまだ記憶に新しいのですが、それでも「変化」は起らなかった。Changeを合い言葉に当選したオバマ大統領が、はたして国民が期待した「変化」を成し遂げたかどうかも、トランプ候補に票が流れる判断材料だったかも知れません。

政治の支配層にしろ、経済金融界の大会社にしろ、またまた巨大メディアにしろ、いったん自分の利益に適ったシステムが出来上がると、当然ながらそれを維持し「変化・変革」を拒むようになります。革新を掲げて登場した政党も、いったん議会に議席を占めると利権構造が生まれて、いつのまにかエスタブリッシュメントの一部になっていることもあるでしょう。

それにしても、日本語で「支配層」とか「支配階級」ということばを日本メディアが避けたがっているように見えるのは妙です。そもそも、ruling ってなんでもない単語なのに。ともかく、エスタブリッシュメントは、ことトランプ大統領の言動を評価する際のキーワードと思うのですが、どうも当てはまる適切な日本語をメディアがもっていないらしいと心配するのは、わたしだけ?






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