電池の火災 < (電気火災) <火災原因調査 <ホーム:「火災調査探偵団」
火災原因調査 Fire Cause |
火災損害調査 Fire Damage |
火災調査の基礎 Fire Investigation |
火災統計と資料 Fire Statistics |
外国の火災調査 Foreign Inv. |
火災調査と法律 Fire Laws |
火災調査の話題 Such a thing of Fire |
火災調査リンク Fire Inv. Link |
A1-22 07.10.08
★2007'09/30 松下電池工場で「火災」があり、工場4,500uのうち1,500uを焼損した。
リチュウムイオン電池の検査工程での“充放電”検査工程からの出火が、可能性と、考えられている。
電池は、単1電池型、ボタン電池型、箱型に大き く分けられる。さらに、単1でも、マンガン電池を始 めとして、アルカリ電池、オキシランド電池などがあ り、それも充電可能式もある。また、ボタン電池で も水銀電池、リチウム電池と様々である。 電池の種類と構造などは、「日本電池工業会」や 各メーカのホームページに詳しいので、見ていた だきたい。 ここでは「電池の火災」に絞って、見たみたい。 さて、右写真は、私の携帯電話の充電電池です。 中央部が膨れ上がり破裂しそう!(2007'10.05) ドコモの電池パックP06 (Pが付くと松下製)。 ノキアの携帯電池はリコールしたけど、この機種は なし。 で、目下、充放電により、どうなるか??実験中。 |
充電電池の出始め時に火災。
自動車電話から始まる携帯電話が、まだショル ダー式の弁当箱みたいな時から、少し軽量化し たハンドグリップの時代。 携帯電池(左写真の全体)が火災となった。 携帯電話の軽量化として、「鉛のバッテリ」型でな いリチウム電池パックを採用したのがNTTだった。 1989年NTTはやっと、社告回収。 この原因は、正極と負極の間にはさむ(セパレー タ )の材質の不均一により、ピンホールができ、 充放電を繰り返すと、ガス圧で穴が拡大し、両極 間が「短絡」出火するものだった。 当時新しい、ポリオレフィン系絶縁フィルムを使っ た製品だが。 |
このNTT携帯電話による「充電電池」火災が、従来の電池による電気事故レベルから、「電気火災」として
認識される契機となった。
この「火災」で、NTTは、製品の安全性の中でも「電池」がらみは、致命傷になる重点事項だとの“認識”が
できはず、なんだが。 まあ、当時、四苦八苦した担当者はもう「退職」かな?
携帯用電気機器用電池の火災
A 内部短絡 | 同じ頃、携帯カメラの「電池」として使用され たリチウム電池から出火した。 カメラ用電池が規格統一され、CR型を多用 するようになり、容量が3Vと高く、自己放電 も少ない、高機能電池としての製品であった。 この富士電気化学製の製品は、正極リード 板の組み立て時にりード板が逆方向に曲が ったものが混入し、充放電時の内部のガス 圧で収縮をする際に、このリード板が負極の 外管に接触して「短絡」出火するものでした。 この火災はカメラの下蓋から、電池から飛び 出し、電池の熱でカメラの置かれた箇所の 床板や紙類を燃やすものでした。 1989年7月30日に社告した。 |
|
B 外部短絡 | 1994年の火災 ウォークマンなどの携帯式CDやカセットなど が、高校生を中心として、一人一台持つよう になった頃、発生した「火災」。 これらの機種に使用される「スティク状電池」 これを高校生がポケットに入れて、制服を壁 にかけて置いたところ、出火し、制服を焼損 した。 原因は、@写真の右側+(正極)のカバーを 外した状態で、クリップと一緒にポケットに入 れた。このため、A写真の+突起に傷が見 られるように、+突起と外枠の負極の間に クリップが挟まり「短絡」出火したものであっ た。 |
「電池」の火災は、内部であれ、外部的因子であれ、正極と負極が「短絡」することにより発生している。
B外部短絡は、この火災を契機に、+突起と負極枠との間隔を空け、製品内部に薄膜カバーを着けるように、
「製品改良」された。
Aカメラ用電池の内部構造からの「出火要因」は、その後、業界内で情報の共有化により、この種の製造ミス
を避けるようになった。
最近、発生が多い、廃棄物としての電池火災
ボタン電池が、廃棄された物は、無造作に廃棄物用分類箱に入れられ る。 倉庫・解体品作業場などで、発生するのが、これらの多数のボタン電池 が、廃棄箱内で、お互いが接触することにより、電気的回路を構成し、 「短絡」出火している。 右写真は、廃棄品として捨てられた同等品を模擬的にコードで回路を 作って、実験的に「短絡」させた、様子である。 例え、廃棄品であっても、残量があり、数千個の単位で、多数が集めら れると、ボタン電池の構造的特性で、接触による輻輳的電気回路を構 成する。 |
電池は、常に正極と負極が「空間的・位置的」に離れていることが、絶対条件であるが、製造設計・製造工
程・使用状態・そして廃棄状態により、この条件が崩れると、いとも簡単に出火する。
車両火災においても、「ガソリン」が積載されているから出火危険があると考えるよりも、実態的には
バッテリーという「電池」火災がまず出火要因として考え、次いで、オイル、その後にガソリンを考える、のが
一般的である。
このように、「電池」は危険であるとの認識が必要であるが、実態は「感電しない」ので「出火危険もない」と
安易な考えが常に存在している。特に、廃棄物品として扱われる時の処理は、極めてずさんである。
電池の利用分野は多岐多用で、かつ、日常生活に直結している。電池火災を無視すると、それを使用し
ている製品にも影響することになる、と言える。まして、「電池」を作る工場が、電池の危険性の認識が低く
なった結果として、工場火災が発生したのであれば、それは、電池自体の製品への信頼性も落とすことに
なるのではと思う。