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生石灰の火災

                                     A2-23      08.01.13

 管内で「生石灰」による火災が発生した。
 生石灰は、農業や学校等の運動で使用する消石灰と異なり、水と反応して「反応熱」を発生させる。
 このことから、古くは「危険物」として規制対象となっていたが、1989年(昭和63年)5月24日の消防法
 改正により、非危険物とされ、現在は条例による消防署への届出(500kg以上)だけでよいことに
 なっている。
  東京の都心部は、昔から低地を埋めたてて地盤を形成してきたことから、掘削工事を行なうと大量の
 汚泥が出る土質となっている。このため、杭打ち時の汚泥や掘削時の汚泥を固化して、処理する必要
 があり、都内の建設現場やトンネル工事現場で「生石灰」が多く使用されている。
 その生石灰からの「火災」を[五右衛門レポート]として、お送りします。

               生石灰の火災   [五右衛門さんのレポート]    08.01/13
  ☆火災現場
   2007年09月  都内
  (1) 火災現場は、新築建物の工事現場で、杭打ち作業をしており、
   杭打ち機械、汚泥用水槽、ユンボなどが置かれていました。
  (2) 杭打ち時の余剰土壌を汚泥用水槽内で“生石灰”と混ぜて固め
    て産廃として捨てるために生石灰を使用していた。
  (3) 現場の道路に面した所に、1トン3袋を俵積みで置き、その奥に
   角材の上に生石灰の1トン用通荷袋(通称:フレコンパック)1袋を置き、
   その横に道具類や昼食時などのゴミを置いて、その隣が水槽であった。
   現場の4袋の生石灰のフレコンパックは、当日朝に持ち込まれたもの
    でした。
 
 ☆出火状況
  (1)当日は、激しい雨が降っており、煙で気付いた通行人から119番さ
   れ、消防隊は“生石灰の火災”であることを、現場で判明し、乾燥砂を
   用いて、消火した。消火には時間を要した。
  (2)鎮火後、通荷袋の生石灰をユンボで移動させると、その下部は
   492℃もあり、また、雨水と反応すると破裂音がして、粉体が飛び散
   る状況であった

  フレコンパック
  上部がポリプロピレン、側部がポリ 
  エチレンとなっている。 
 ☆ 火災原因
 当日の強い雨により、別に置かれた1袋の通荷袋の上に雨水がたまり、
 中に雨水が進入。これにより、生石灰が反応して、膨張し袋を破って、
 300kg相当の生石灰が袋から流出し、これが、さらに、大量の雨水と反応
 したことによって、その反応熱が高くなり、側に置かれていた、ゴミ類が発火
 し、拡大した火災となった。
 ☆ 資料 
 【酸化カルシウム(quick lime)は化学式 CaO で表わされる化合物。
 慣用名として、 生石灰(せいせっかい)とも呼ばれる(俗称で、消石灰
 (しょうせっかい)と区別するため「きせっかい」あるいは「なませっかい」
 とも言う場合もある)。炭酸カルシウムを900℃以上に加熱して作る。
 生石灰は、水分を含むと約2倍に膨張する特徴がある。
 生石灰が、100に対して水分が約32%前後が最大発熱となる。
 土質改良剤などとして、建設現場で多用されている。

生石灰は、
酸化カルシウム96%の製品

 ☆ 実験による検証
  鉄製の容器に200kg生石灰入のフレコンパックを置いて、周囲に
  シユレッターゴミをビニール袋に入れてものや昼食で食べたコンビ
  ニ弁当の容器が入ったレジ袋を置いた。
  フレコンパックに5?の水を入れると、フレコンパックの上部が裂けて、
  生石灰がこぼれ落ちる。温度は230℃前後である。
  鉄製の容器に、200?の水を入れ、生石灰を広げるとシユレッター
  ゴミが焼損し、400℃弱の温度が記録された。
土質安定処理材    [当署の事例]          08.07/13
   ★ 火災事例 
 夜中の9時20分頃に発生した。
 「工事現場から煙がでて、炎が見える。」との通報。
 消防隊、現着時。ユンボ等の機械類の奥に、残土があり、そのそばに置か
 れているベニヤ板が炎を上げて燃えていた。そして、周りから湯気のような
 水蒸気が立ち上がっていた。
 ホース一本を延長して、まずは、ベニヤに放水して消火し、その焼損した
 ベニヤを除去する。その後、熱を帯びた、この生石灰の始末に時間を要
 した。⇒土質安定材を動かし、搬送した乾燥砂と攪拌して、安定化させ
 終了。
   左下が残土、ベニヤの下に“土質安定材” 

★ 石灰系土質安定材の役割
 全部が「生石灰」で出来ている製品は、高含水性があり、有用であるが
 取扱において、発熱性や有機土質などに合わないことがある。このため、
 土質安定材としては、CaO以外にSIO2,R2O3,SO3などの他の無機質
 剤を数%混ぜて、「用途」に適した製品としている。
 用途区分として、浅層安定・深層安定・発生土安定の各処理用に使用され
 ている。
   土質安定材の風袋の上に被せられベニヤが焼損している状態
★ 火災原因
 一日前に降った雨の関係で多量に含水している、地中から掘削した残土の含
 水が、すぐ脇に置かれた“土質安定材”に浸透して反応「発熱」し、被せていた
 ベニヤ板を燃焼させた。

 この現場では
 この現場付近は、地盤が極度に軟弱で、海抜1m前後の上に地下水位が高く
 なってきており、建設残土がでると、ダンプなどによる運搬時に「垂れ水」が発生
 し、そのままの状態で搬送できないため、「ヘドロ」用の土質安定材を使用して
 いる。 生石灰の含有は約80%と、比較的安定したものではあるが、多量に
 土質安定材が、反応発熱すると、「可燃物」があると「火災」となる。
  
   
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