酸素療法の火災 <(化学火災) <火災原因調査 <ホーム:「火災調査探偵団」
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火災原因調査では、酸素が発火源となっている。もちろん、酸素はそれ自体が発火源であるわけではない
が、普通の状態では発火源とならないが、酸素が関与することによって、発火源となる火災があることから、
酸素が発火源となっている。分類番号は、7危険物の7201コードの「酸素」とされる。
特に、高圧酸素は、ボンベ等の容器から噴出すると、その近傍に付着した油が摩擦発火し、次いで、容器
本体の鉄などが燃えだす。見ていると、噴出と同時に火柱が上がる様子で、「酸素が燃えている」と思える。
1,酸素療法 | |||||||||||||||||||
★ 在宅酸素療法 (Home Oxygen Therapy) 略称:HOT 心肺機能に障害があり、体内に十分な酸素を取り込めない患者が自宅で酸素を吸引できる酸素濃縮装置により 酸素を吸入するものです。2009年7月現在、全国で約15万人が使用している。 2010年01月15日 厚生労働省によると、在宅酸素療法による酸素濃縮装置などの利用者宅で、過去6年感に火災で27件発生し、 26人が死亡したと発表した。 15件はたばこが火元で、同省は酸素吸入時に喫煙しないなど、装置の適正使用を呼びかけた。 同省によると、2003年12月~昨年11月に起きた装置利用者による火災は、15都府県で計27件。 たばこが高濃度の酸素で燃え上がったほか、ストーブの高温が原因になった例もあり、同省は 「装置の周囲2メートル以内に火気を置かないように」としている。 (読売新聞等発表) ⇒在宅酸素療法については、ネットで検索してもらうと、いろいろ出ているので確認してください。 |
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2, 酸素の燃焼 | |||||||||||||||||||
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3, 在宅酸素療法による火災 この欄の写真や内容は、池袋消防署からの資料です。 | |||||||||||||||||||
火災事例(2008年11月、都内豊島区長崎五丁目) 住宅1棟が全焼し、その火災により居住者の男性(70歳代)が死亡された。 この男性は、在宅酸素療法による治療を受けていました。 酸素療法と火災の発生との関係を、研究調査したのが、東京消防庁池袋消防署で行った。 ★ 酸素噴出時の各種発火源による点火 実験は、カニューレのチューブに酸素100%を毎分1?流した時の各種発火源の発火のようす。 発火源は、ライター、たばこ、線香の3種類である。 いずれの火源を近づけても、ぱっと強く光輝き、勢いよく発火する。火源よる差異はあまりない。
点火後のようすを追いかけると。 カニューレのチューブ先端で、勢い良く発火した炎は、吸い込まれるようにチューブ内を伝搬しながら進んでいく。 酸素流量による燃焼の伝搬速度は、毎分1?、では53秒であるが、4?だと39秒で伝搬していく。 さらに2?を超える流量だと、チューブが途中で焼け切れ炎が外に飛び出しながら燃焼しいく。 このため、チューブの外に飛び出す炎により、その付近の物を燃やして進む状態となる。
人形を使った顔面での着火実験 2?以上の流量だと、前実験のとおり、カニューレのチューブが、燃焼伝搬途中で、燃えきれて、その部分から炎が 噴き出す。 このため、口元付近の噴炎だけでなく、衣類の上で、焼け切れたチューブから噴き出す炎で衣類が次々と燃え広がる。
注意事項: ① 酸素治療中は、あらゆる火気の使用は厳禁である。 ② 火気の使用している側に近寄らない。2me以上は離れること、となっている。 資料: 池袋消防署平成21年4月作成DVD「在宅酸素療法に関わる燃焼実験」 雑誌「東京消防」2009年7月号「在宅酸素療法に関わる燃焼実験」 追記: この高圧酸素治療における火災事故は、上記の在宅酸素療法だけでなく、 病院内の酸素療法としてタンク内に入って行う治療においても、患者がホンロンなどの携帯カイロを 体に付けて入り、酸素濃度を上げていくと勢い良く発火し、タンク内部で焼死する火災が報告されている。 |
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厚生省から出ているパンフレット 厚生労働省「在宅酸素療法の注意事項」 |