収れん火災 <(微小火源) <火災原因調査 <ホーム:「火災調査探偵団」
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1, 収れん火災とは。
2, 絵で見る収れん火災のさまざまなケース。(凸レンズ系と凹面鏡系)
3, 「収れん火災」が冬型と言われていること。
4, これからの「収れん火災」は季節感のないステンレス製ボールから火災が増えている。
5, 収れん火災での焦点とは。
6, 収れん火災の事例
7, 太陽の高度と方位角について。
1,収れん火災 | ||||
★ 収れん火災 「しゅうれん」とは、光の束が一点に集まること、との意味があります。 火災原因調査上のもっとも大きな特異点は、「火源が出火箇所にない。」ことです。 似た例に「漏電火災」もありますが、漏電点はなくても、出火箇所に「出火点」があります。 その点、「収れん火災」は、「発火源と出火箇所」が異なる唯一の火災原因とも言えます。 このことから、出火箇所に、こだわりすぎて「原因を誤る」ことも多いと言えます。例えば、 鏡台付近の出火で、「外出前の化粧時に吸ってタバコの火種が落ちたもの」と判定したら その鏡台から少し離れた所に置かれていた“凹面鏡が原因だった”て、ことがある。 「収れん火災」と言われている火災は、経過分類の「9 その他」に放火等と一緒に分類されています。 中身は、「太陽光」がレンズ等により集束した時に発熱する現象ですから 「3 熱的原因で・・」に分類されて もよさそうな原因です。 現象面から「収れん」するためには、凸レンズか凹面鏡の2つに分類されます。 実態としては、凸レンズは少なく、凹面鏡が多くあります。 ① 凹面鏡 ②ステンレスボール ③水晶(ガラス)玉 などです。 他にも、偶然的に発生した事例として、④水入りアレー、⑤ブロックガラス、⑥ワインビンやペットボトルの容器などもあり ます。 また、改良され、「現在はない」のですが、昔の「⑦レンズ付き虫かご」などです。 |
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このようにイロイロな対象があるので、例えば「ガラス玉」とか名称で発火源にしたいところですが、 発火源としの名称は、2つだけの、凸レンズと凹面鏡だけで包含することとなっています。 太陽光でない収れん火災事例 ★ 火災の原因として、太陽光が収れんして「火災」を引き起こす原因の一つとして、「収れん火災」と呼んでいます。 では、「太陽光だけか?」と言われるが、一応「太陽光だけ」にしている。そんな中で、非常に近い事例を一つ。
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2,どんな「収れん火災」があるのか? (絵で紹介します。) | |||
= 凸レンズ系 = | |||
もっともわかりやすい のが、凸レンズだ。 平行光線に対して、 “焦点”を明確に作っ てくれる。 小学校の理科実験で 使用します。 いわゆる“虫メガネ”だ。 |
ビニールハウスに 溜まったた水レンズ。 凸レンズ系の中で、自然 界の現象として見られる。 農家のビニールハウス で夏場に発生します。 ただし、ハウスが燃え、水 が無くなるので、原因不明 で処理される場合がある。 |
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昔、流行した 「虫メガネ付き虫かご」 月日、時間にあまり 関係なく発生している。 現在は市販されていな い。 |
凸レンズの中で、 水晶玉、ガラス玉、そ して、この水アレーの 水球がある。 ペットボトルやワイン ビンもある。 |
= 凹面鏡系 = | |||
代表格の「凹面鏡」 顔を見る時に見やすい ので作られている。 片方が普通の鏡、裏が 凹面鏡となっているも のが一般的だ。 |
ステンレスボールには、台 所の水切りに使用するもの やサラダボールとして使用 するものなど調理用器具と して多品種のものがある。 このタイプの類似に、道路 の凸面鏡が割れて、その反 対側の取付部が凹面となる こともある。 |
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凹面鏡による火災現場写真 左1は、テーブル上の凹面鏡により、窓際のカーテンから 出火し、室内が焼損したもの。 左2は、室内の凹面鏡が収れんした箇所が、姿見の引き出し で、赤丸部分が焼損している。発見が早く、ぼやですんだ。 |
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左 :建物の外装ミラー(熱反射ガラス) ステンレス製のミラー外壁を取り付けると、その部分 がゆがむと、太陽光で焦点を結び、隣棟などの物を 燃やすことがある。 また、建物の外壁の形状が球形をもちいていて、 外壁に反射ガラスを用いると、球形の鏡となって 収れんを起こす。 上左から太陽光⇒ 建物外装ミラーで収れんし⇒ 下左に収れん光が届き → 右図の飲食店のれん が、燃えたもの。 のれんの赤い筋は、右下から焼損 線ができ、左上で大きく燃えた。 |
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このように、かなりの種類がある。 水晶球と同じ凸レンズ系として、ペットボトルやワイン瓶なども湾曲部が凸レンズの作用をして、後方に 焦点を結んで出火している。 ただし、{窓ガラスに付けるアクセサリーの吸盤}による火災は、あり得ない ことで、当時間違った判定が、そのまま継承されているが、間違いです。 いずれにしても「太陽光」が決め手なので、光の入射の具合で、(偶発的)に発生する。 再現時には、できる限り近い日の同じ時間(太陽の高度と方位角が同じ)に同じ場所で行う必要がある。 時間により太陽の高度が変わり“焦点”を結ばないことになる。 |
3, 収れん火災は冬型と言われたこと? | |||
★ 統計から見た「収れん火災の発生状況」
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★ 凸レンズと凹面鏡の中身 1975年(昭和50年)頃の種類 凸レンズ ⇒ 虫かごのレンズ5件、虫メガネ1件 凹面鏡 ⇒ 凹面鏡7件、 ステンレス蓋1、鏡の壊れたもの。 1980年(昭和55年)頃から10年間 凸レンズ ⇒ 虫メガネ2件、虫かご、フラスコ、水晶玉、水アレーなど 凹面鏡 ⇒ 凹面鏡12件、サンルームの屋根、反射ガラス、ステンレスボールなど。 2004年(平成16年)から5年 凸レンズ4件。 凹面鏡15件。 反射板 3件。 この原因となった物件を見ると、1980年頃の10年間では、凹面鏡そのものが多数を占めています。 現在の統計でも、凹面鏡ですが、1980年のソレは「鏡」でしたが、最近の夏場の凹面鏡は、ステンレスボールです。 このため、収れんとしては屋外に放置されやすい、夏場に起こることが多くなってきました。 |
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4, これからの収れん火災は季節感のない、 ステンレスボールの火災が出てきている。 |
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ステンレスボールの火災事例と実験
このように、ステンレス製ボールは、利用目的・全体の大きさ・湾曲部の形などによって、つさまざまな品物が市販されて いる。それだけ、各家庭内での数も多くなり、ベランダや窓際などに置かれることが多くなつてきたことから、このステンレス ボール火災が多くなりつつある。 サバイバルではないが、点火装置がないときは、ステンレスボールがあれば、たやすく「火を起こせる」。 増えつつあると言っても、「収れん火災」全体は、東京で1年間に平均して5件程度なので、別に、「増加」と言えるほど 火災ではない。(「天ぷら油火災」のほうが、けが人の発生状況などから見て、より危険性の大きい火災である。) また、この種の収れん火災は、延焼火災となることはほとんどない。ボール内のゴミなどが燃えるだけで終わっている。 |
ステンレス製ボールの収れん火災の事例 | |||||
ステンレス製ボールによる火災が、2009年3月17日12時ころ、世田谷区内の住宅で発生した。 マンションベランダのクーラ屋外機上に置かれていた、ボール内の雑巾等の物件が焼損し、あわせて その側に置かれていた植木のプランターも焼損した。出火に気づいた居住者が消火した。
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5, 収れん火災での“焦点”とは | ||||||||||||||
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6, 収れん火災の事例 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
凹面鏡のもっとも一般的な事例
凸レンズの火災事例
球体レンズの火災
建物の外壁凹面部の火災事例
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たいへん長い論文に付き合っていただいて、ありがとうございました。 |
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