ライターによる火災<(微小火源の火災) <火災原因調査 <ホーム:「火災調査探偵団」
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1, ライター | ||||||||||||||||||||||||||
★ ライターは、喫煙、特に紙巻きタバコの点火用器具として、また、ガスや石油機器など の点火にも用いられる。 ライターにはいくつかの種類があり、その用途によって使い分けられている。 ・ヤスリ式の携帯用簡易ガスライター 通常、100円ライターなどと呼ばれ、その中でも、発火ヤスリを親指で回転させて、発火石の 火花により、噴出しているガスに着火させる。 ・電子式携帯用簡易ガスライター 圧電装置により火花を発火させて、ガスに着火する。 その中で、ノズル部分が長くガスこんろなどの点火に用いるものを通常「チャッカ・マン」など と呼んでいる。このチャッカ・マンには「チャルドロック」用のスイッチが取り付けられている。 ・ターボ式簡易ガスライター ターボ式は、内燃ライターと呼ばれ、通常のライターの火のように自然の中で空気と混合して 「炎」となるのに対して、燃焼筒内で空気の取り入れ、予混合による完全燃焼の「炎」に している。通常は、口金に白金などの線を取り付けたカタライザーを取り付けて、「炎」を見や すくしている。強風下でも使用できる。反面、山などの気圧の低い所では点火できない。 ライターの分類表記 ★ ガスの充填・補充の分類 注入式ライター 燃料(ガス又はオイル)を再充填して使用できるライター ディスポーザブルライター 燃料の再充填のできないもの。使い捨てライター、と呼ばれる。 ★ 燃料による分類 ガスライター と オイルライター ★ 着火方法による分類 フリントライター フリントとやすりをこすり合わせ、発火した火花で燃料に着火させる。 電子ライター 衝撃を与えると高電圧を発生する圧電装置を使い、火花放電で燃料に着火させる。 電池ライター 内蔵された電池(ボタン型電池)を使い、火花放電で燃料に着火させる。 ★ 燃料方式による分類 プリミキングライター あらかじめ燃焼に適した混合ガスを生成し、燃焼筒内部で完全燃焼させる仕組み のライター。ターボ、フレームレスなどと呼ばれる内燃ライターやジェット・バーナー フレーム式ライターのことを指す。フレームレスの場合は、炎の中に金属線を入れて 炎色反応で色をだしている。使用時に風などの影響を受けない。ただし、高山の低気圧 着火斉が悪い。 ポストミキシングライター ターボ等以外の通常の製品。 ・ライター内のガス ライターの流通 国内のライターの流通量は、平成20年で、輸入が88%、国産が12%となっており、
平成20年の(社)日本喫煙具協会の「国内需要動向調査報告」によると、国内で約6億4200万個のライターが 流通して使用されていることになる。 1億人の国民から平均して、誰もが6個近く持っていることになる。 ・ 国内流通品には、(社)日本喫煙具協会の「型式確認適合品」のきシールが貼付されている。 しかし、これは業界団体の自主規制のため、登録事業者が貼付しており、約半数は対象となつていない。 自主基準は「シガレットライター安全基準」と「携帯要簡易ガスライターの認定基準」がある。 ★ USAの基準 消費者製品安全委員会が、チャイルドレジスタンス機構(幼児安全基準)を平成6年に策定し、製造・輸入品に対して 基準を守らせている。 例えば、要件としてい、「試験において幼児パネルの85%について、ライターの完全な作動を防止しうるもの となつている。 幼児パネルとは、42~44ケ月の幼児約30人、45~48ケ月約40人 49~51ケ月約30人の子供の集団100人に使用されせた時の条件である。」 つまり、大まかに言うと、「4歳の85%が、ライターを自分では使用できない。」と言うことになる。。 EUも平成14年に同様の基準を設けている。 ★ ガスは、n-ブタン、イソブタン、プロパンが充填されており、メーカによって異なり、また、寒冷地 などでは沸点の低いプロパンを多く含有するなど、差異がある。
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2, 子供の火遊びとの関係 | ||||||||||||||||||||||||||
ライターでもっとも「火災」に影響しているのが、子供の火遊びだ。 平成16年(2004年)から20年(2008年)までの5年間の「子供の火遊び」の発火源を調べる。 5年間で833件の「火遊びの火災」がある。
これを、年齢別に調べてみる。 (但し、平成16年から18年の3年間の統計しかとれなかった。また、14歳以上は「火遊び」でなく 「放火」に分類されるので、必然的に行為者は14歳未満となる。)
さらに、平成21年8月に出され、11月に都の生活安全課で報道対応がなされた数字を掲載する。 平成11年から20年までの10年間の「火遊び(12歳以下)」における火源が判明している711件 を調べる。(14歳以下だと744件となるが、子供の対策が主点なので12歳以下の統計となった。) (いずれも東京消防庁「火災の実態」からの提供数値)
火遊びの火源が判明している火災の実に72%を占めている。 平成11年から20年までの10年間の「火災による死傷者の発生率」をピックアップする。
この数値は、もっとも一般的に発生するガステーブルによる火災(天ぷら油火災など)は、火災時の 火災による死傷者の発生が多いとされているがそれでも火災1件あたり46.3%である。 しかし、5歳未満の子供「火遊びでライターを用いている火災」は1件あたり約80%で「死傷者が発生」 している。 そのほとんどが、行為者となっている子供自身が負傷者である。 ★ チャイルドレジスタンス 子供が簡単に操作できないようにするもので、例えば2つ以上の操作を同時にしないと 点火・着火できない工夫である。 (その点では、昔のヤスリ式の簡易ライターは2操作を必要としていたことになる。) しかし、それも単に「スイッチ機構」では、通常誰もが「ON」にして使用するので、置いてある ライターを子供が容易に「点火・着火」できるこになる。その都度、2動作を必要とする装置に する必要がある。 ・USA 94年 5歳未満の基準策定 ・ヨーロッパ 02年 USAと同様に策定 06年 EU加盟国では基準外のライターの販売を禁止 ・オーストラリア、ニュージーランドなどもEUに準拠 |
3 思わぬ所からのライターによる火災 | ||||||||
電子ライターは、ロック機構が無いものがほとんどです。このため、日常の操作性が良い反面、 使用者等の意図に反して容易にスイッチが入ってしまい、思わぬところから火災が発生する 危険があります。 ⇒ どんな原因で? 家具やロッカー等の上に置かれた電子ライターが、気付かぬうちに裏側へ落下し、 ① 住宅では、引き戸に挟まれたり、 ? 家具が押されて壁と家具の間に挟まれ、 ③ ロッカーの上に荷物を乗せたため壁と荷物に挟まれてスイッチが押され、 ④ ロッカー内やプラスチック収納箱等の荷物を押し込んだ際、中にあった電子ライターのスイッチが押 されて、出火し、火災となっています。 車両においても、 ①座席シートの隙間に滑り落ちた電子ライターがシートレールに挟まれ、シートをスライドさせた際に スイッチが押されて、 ②グローブボックス内に入れていた電子ライターのスイッチがボックスを閉めた際に荷物に押されて 出火し、火災となっています。 |
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車両火災の中で、駐車中に、運転席付近から出火した原因の多くが電子ライターに よるものである。運転手が、停車して数日して、火災を発見している事例もあり、内部で 自然鎮火することがある。 また、内部の焼損が強いとライターが火災で焼失に近い状態となり、「原因の究明」が難 しいことも多い。運転手の「喫煙習慣」があると、タバコの可能性よりも「電子ライターによ る火災」が可能性として高くなる。 |
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喫煙者にとってライターは必需品。いつでも、どこにで使用できる状態が望ましい。 電子ライターは、使いやすいし、そして、安価である。今や100円で4個近く購入できる、また 写真1のように「ライト付き」など意匠性の高い物も多い。 このような使い勝手の中で、いつでも・どこでも、置かれて・使用されることが「火災の原因」と なる、最も大きい要因となっている。 「子供の火遊び」や「誤ってスイッチが入る」などによる 火災は、電子ライターの持つ「容易な着火性と、どこにでもある」と言う、ことに尽きる。 |
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★ 東京都の対応 2009年11月18日、東京都・商品安全対策会議で電子ライターに対して「子供が簡単に操作できないように する対策が早急に必要」とされた。 これを受けて、東京都では、消費者庁や業界団体に対策を要望する。(新聞報道) ★ 国の対応 消費者庁は、流通や実態調査をした上で、報告書を来春にまとめる。 (2009’10/30、11/19、11/20 東京新聞等の報道) |
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「消費生活用製品安全法施行令」の一部を改正する政令の公布により 改正政令により、「ライターを消費生活用製品安全法に基づく特定製品及び特別特定製品」とされた。 これにより「使い捨てライター」と「点火棒型ライター」は、チャイルドレジスタンスが付いた製品でなければ ならない、とされた。 公布は平成22年11月10日からで、経過措置後の実施は平成23年9月27日からとなる。 以後は、すべての「使い捨てライター」に安全性が確保されたものとなる。 |